
グループホームの介護士が抱える悩みは何?グループホームに転職したいけど、理想と現実のギャップがありそう・・・。よくありがちな職場の問題が知りたい
グループホームと聞くと、「家庭的」「他の施設より少人数だから楽」「のんびりお話する」といったイメージの方も多いのではないでしょうか。
初心者が始めやすい施設ではありますが、看取りまで対応するグループホームも多く、1名体制の夜勤もあります。
今回は、グループホームで正社員として働くシフォンケーキさん(仮名・30歳)に、転職して分かった職場環境について色々とお聞きしました。
- 挫折や失敗談から学ぶ
- 人間関係は仕事と割り切る
- 夜勤で体調を崩さない方法
- 施設長やリーダーとの相性
- モチベーションの保ち方
グループホームのイメージは転職前後で変わった

転職してグループホームのイメージはどう変わりましたか?
まずは、シフォンケーキさんの自己紹介をお願いします。実際に働いてみて、当初抱いていたグループホームのイメージはどう変わりましたか?

介護度にはバラつきがありますが、穏やかな共同生活をしており安心しました。
医療事務からの転職でグループホームの正社員として働き、気が付けば早2年、自分が1番驚いています。アットホームだと聞いていた通り、個人を尊重したケアプランになっています。
てきぱき業務をこなす殺伐とした現場ではなかったので働きやすいと思いました。共同生活でも介護度にバラつきがあることには驚きましたね。
入居当時は皆さんもっとお元気だったそうで、緩やかに進行されてきた結果だそうです。
グループホームは認知症高齢者専門の施設ということで、転職を躊躇う方も多いかと思います。是非私の体験談を通じて、転職に役立てて頂きたいですね。
失敗の連続・・・挫折の日々

失敗や挫折の経験はありますか?
読者の参考になる失敗談や挫折の経験があれば、是非教えてください。

ヒヤリハットは多く、挫折も沢山しました。
服薬ミスではよくヒヤリハットを作成しました。服薬担当の私が他のスタッフのセットミスに気が付かないというパターンや、起床介助でバタバタして食前薬を忘れてしまったこともありましたね。
人のする事にはミスが付き物だと自覚して、ダブルチェックなどで入念に注意しています。(※ヒヤリハットとは、事故になる一歩手前の「冷やり」「ハッ」としたことの発見を指します。)
器用ではないので挫折はありますよ。経験も実力も乏しく「もっとこうしてあげていたらよかったのでは」と思うことも多々ありました。

入居者との関わりはどんな感じで進みましたか?
認知症高齢者との触れ合いはスムーズに出来ましたか?支援で上手くいかなかった事はありましたか?

快く迎え入れてくれる方々が多く、皆さん薬で落ち着いておられました。
初めは戦々恐々としていたのですが、皆さんにご挨拶して普通に始まって、毎日働くうちに何となく顔を覚えて頂けたようです。心配していた程目立った暴言や暴力はありませんでしたが、症状が進んで対応が難しい方も中にはおられます。
グループホームは共同生活に重大な支障が出ると退居にもなるため、その点は初めての現場として安心でしたね。
私は料理に不慣れで、10名以上の大人数も作ったことがなく、初めの頃は食材の分量が多すぎたり足りなくなったり、時間がかかってしまうことがよくありました。
人間関係での離職が多い?

スタッフとの関係性は良好ですか?
グループホームは女性の職場で、チームワークが重要だと伺ったことがあります。職場の人間関係はいかがでしょうか?

入居者やスタッフとの関係性で悩む事が起こります。
ベテランが多い現場で派閥が発生し、板挟みになった時は大変でした。感情的に何か言われても受け流して、仕事だと割り切っていましたね。
人間関係の行き詰まりは誰しもが経験するのではないでしょうか。
また、入居者と上手くいかない理由は様々あり、入居者の被害妄想が原因になることもあります。グループホームでは会話が多く密に接するため、人間関係で悩みを抱えると辛くなりがちです。
施設長やリーダーによって左右されやすい

現場をまとめる人は居ますか?
グループホームはユニット毎に主任が居て、施設長が別にいる場合もありますよね。
主任になる人はどんなタイプが多いですか?

新卒入社や経験豊富な資格保持者はリーダーになる事が多いです。
一言で言うと優秀なタイプの人が多いですね。高学歴で勤続年数が長く、他社での経験が豊富でケアマネ等の資格保持者が多い気がします。
権限のあるシフト作成で嫌な仕事を回されることがあるので上司との関係性は結構重要ですよ。
主任や施設長と相性が良かったら、是非そこで長く働くことをお勧めします。困った時に助けてくれる同僚が居るか、上司とウマが合うか、少しでも人に恵まれているならよい職場だと思った方がいいです。
中にはどちらにも恵まれず、すぐ諦めて辞めてしまう人も居ますから。

ひとつの施設で長く働くのは大変ですか?
介護業界は離職率が高いと言われていますが、やはり、ひとつの施設で長く働くのは大変ですか?

施設の理念に共感し、気の合うスタッフが居れば長く続けられます。
3日で辞めてしまう人と数年続く人の違いと言えば、その施設の理念に共感しているか、覚悟があるか、自分の居場所が見つけられるかというところですかね。
工夫して良い支援を心掛けている施設であれば、やり甲斐も感じることが出来ます。グループホームはレクリエーションの企画なども率先して行っていますので、やる気が伝われば色んな事に携われますよ。
気力体力を要する命の現場と言っても過言ではないので、人間関係含め職場環境は重要です。
夜勤は体調不良になりやすいのか?

グループホームの夜勤は1人体制ですが、ストレスは感じますか?
グループホームは少人数ではありますが、夜勤は基本的に1人体制だと伺っています。大きな施設と違って看護師も不在ですよね。

1人夜勤は体力的な面だけでなく、緊張感が伴う重労働です。
正社員は基本的に夜勤があり、月に5~6回程シフトに組み込まれます。早番や遅番もありどうしても不規則になります。そこに夜勤が入ってくるので、体内時計が狂います。
夜勤明けの次の日は通常お休みですが、スタッフに急病が出て出勤になることもありますね。

仕事のオンオフで、プライベートを大切にしています。
夜勤手当が付くので生活のために入りたがるスタッフも居ますが、ターミナルケアをしている時の夜勤は特に疲れます。普段から緊急時対応マニュアルなどを再確認し、報連相で不安要素は出来るだけ取り除いておくようにしていますが、看護師が常駐していないですし、夜勤は勤務時間が長く1人という緊張感があります。
夜勤で出社する前はなるべく家で過ごし、夜勤明けは数時間寝て夜から遊び、次の日は1日休みなので仕事を忘れてのんびり過ごすことが多いです。
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夜勤で困った事はありましたか?
認知症高齢者は、人によっては性的な言動が目立ってくる場合がある様ですね。夜勤は1人体制ですが、その様な言動はありましたか?

時折、入居者の態度が変わってしまうことがありました。
初めからではなく、慣れた頃に性的発言が目立つようになり体に触られることがありました。先輩に相談すると経験のある人が多かったので驚きました。被害に遭わないスタッフも居るので相手を選んでおり、若いスタッフが必ずされる訳でもないようです。
認知症特有の症状でもあるし、かといって対策をしないとエスカレートする危険性もあるので、早めに相談しました。

家族も強いショックを受けるので配慮が必要です。
毅然とした方がいいとアドバイスされました。夜勤では「一緒に寝てくれ」と言われて困ることもありましたね。家族が介護記録を読んだ時「うちの父が(母が)そんなことするなんて」と信じられず、非常に大きなショックを受ける場合が多いとお聞きしました。
ご家族の気持ちも考慮しつつ、記録しています。
グループホームの理想と現実を知る

実際に働いてみて、いい支援は出来ていますか?
認知症高齢者は、ひとりひとり症状が異なるようですが、シフォンケーキさんが考える「いい支援」は出来ていますか?点数で言うと何点位でしょうか?

中々、自分の支援に満足は出来なくて70点位です。
毎日いい支援が出来ているとは限りません。同じことの繰り返しに慣れてくると、ミスにも繋がりやすいです。現場は9割女性ということもあり、人間関係だけでなく上下関係でピリピリしています。
長年働いているスタッフばかりになると、その人達のやり方を受け継ぐことになるため、いい事もあればよくない事もあるのが現状です。
また、入居者の介護度が高くなると介助から離れられず、比較的元気な方が窮屈に感じる事が増えてしまいます。共同生活のバランスも入居後に状況が変わるため、中々現実は厳しいですね。

グループホームも男性介護士が必要です。
入居者が女性ばかりという事もあり、男性スタッフはユニットに1~2名と少ないです。意外と力仕事も多いですし、男性にしか出来ない支援もあるのでグループホームが気になる人は是非働いてほしいですね。
女性入居者も男性スタッフを歓迎している様に見えます。
ヘルパーズハイでモチベーションを保つ

どうやって試練を乗り越えましたか?
認知症高齢者を支援することは大変な仕事だと思います。介護士を続けるためにモチベーションを保つ秘訣はありますか?

心から感謝されることで得た精神的な満足感は、何事にも代えがたいです。
周りからは「認知症のお世話なんてよくやってるね」と驚かれますが、「ありがとう」と心から感謝される事が多い仕事なんですよ。
他者への思いやりの心を持ち周りに与えることが増え、精神的な満足感を得られるようになりました。その喜びは何事にも代えがたく、介護士が辞めない理由のひとつだと思います。
ヘルパーズハイとは、人を助け、親切にすることで幸せを感じることを言うそうです。介護士になって人の役に立ちたいと思う人には、そういう優しさが備わっていると思います。

自ら働きやすい環境作りすることが第一歩です。
小さな優しさでも、続けていれば誰かしら気付いてくれますよ。現場では、普段の自分ではなくムードメーカーになってみたり、面倒な仕事を引き受けたり、敢えて好き嫌いは作らず、日頃から労いの言葉を掛け、マイナスな言葉は発しない様に心掛けています。
自分が気持ちよく働き続けるためにも、感謝を忘れないようにしたいですね。
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