【体験談】看取りケアを行う際の介護士や介護福祉士の役割・仕事内容とは?

教えて!介護士ってどんな仕事?
※画像はイメージです。
看取りケアについて知りたい介護士
看取りケアについて知りたい介護士

看取りケアについて、よくわからないので詳しく知りたい。看取りケアでの苦労話や、やり甲斐を知りたい。看取りケアで介護士に重要な役割なんてあるの?これからの看取りケアはどのようになっていくのだろう。

介護施設の現場で長い間働いていると、『看取りケア』の現場に直面する場面が多くなってくるのではないかと思います。

『終末期ケア』とも呼ばれるこのケアは、最後の時期のケアを指す言葉でもあり、患者様がより良く最後の時を迎えられる体制を整えていく試みが、このケアとも呼べるでしょう。

ここでは、老人保健施設、介護療養病床、特別養護老人ホームで働いてきた中で、私が実際に見て経験した看取りケアの苦労、体験談をベースに感じた事などをお伝えしていきたいと思います。

現在、看取りケアの対応をしている介護士の方から、まだ看取りケアを経験していない方にも、参考になるようにお伝えしていきたいと思います。

記事のテーマ
  1. 看取りケアの重要性とあり方
  2. 看取りケアでの苦労
  3. 看取りケアの今後や介護福祉士としての役割

質問があれば気軽にコメントください

看取りケアについて

看取りケアについて

この章では、看取りケアについての説明と、私が実際に経験した中での、看取りケアの実際、なぜそれが必要なのかを体験をもとにお伝えしていきたいと思います。

その①:看取りケアとは?

看取りケアとは、終末期ケアとも呼ばれ、『その方の人生の最後の時をより良く迎える為に行うケア』と言われています。

看取りケア(終末期ケア)の概念は、緩和ケアやホスピスケアなど多く存在しますが、それぞれに共通する内容も多く混同していて、どのケアでも共通している事は、対象者(患者)の苦痛や問題点を軽減するが一番の目的となっている事です。

今後さらなる高齢化、多死社会に向けて、どんどんこの看取りケアの需要は多くなってくることでしょう。

その②:看取りケアの実際

看取りケアと他のケアの違いはたくさんありますが、大きな違いの一つに『看取りケア』の場合は、定期的にカンファレンスを開催し他職種が集まり、対象者に対して病状の進行や現在の状態、今後の事を話し合う必要性があります。

これは、残り少ない時間の中、刻々と変わりゆく対象者に対して、またそのご家族に対して、その都度対応が適切なものなのか、要望はないかを他職種の幅広い観点から考え、可能なかぎりニーズに応えていく為であります。

また、いつ病態が急変してもおかしくない状態の対象者に対して、いつ何時でも適切な対応ができるようにする為でもあります。

しかしながら、実際の介護現場では職員不足や業務多忙などによりなかなか集まる機会を設ける事が出来ず、少ない時間で簡易的に済ませてしまっている施設が多いのも悩ましい問題となっています。

その③:看取りケアの必要性

誰しも最後の時は安らかに迎えたいと思うものでありますが、看取りケアを行っている、ほとんどの方の場合が身体的な苦痛や不安を抱えながら最後の時迎える事となっています。

私が今まで現場で見てきたほとんどの方が、徐々に肩で呼吸をするようになり、苦しそうな表情で最後を迎えていました。もちろんその様子を近くで見ているご家族も、心苦しく感じているようでした。

看取りケアは、そのような問題を少しでも解消し、患者、家族ができる限り穏やかに、納得のいく最後を迎える為には必要不可欠なケアになっています。

看取りケアを行うにあたっての介護福祉士の役割

看取りケアを行うにあたっての介護福祉士の役割

看取りケアは、現場の介護職のみで提供されるものでは決してなく、1人の患者に対して医師、看護師、栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの様々な職種によるチームアプローチがあってこそ、より良い看取りケアが提供できるようになります。

前章でもお伝えしたように、対象者の基礎疾患や、そこから現れる症状に対して適切な対応を行う為には、他職種による様々な視点からの観察や、アプローチが必要になってきます。

ここでは、私が実際に現場で感じた、看取りケアを行うにあたっての介護福祉士としての役割をお伝えしていきたいと思います。

その①:対象者をよく観察し、気づきや変化の発信

私は、看取りケアの現場で介護福祉士はとても重要な役割を担っていると思っています。

その理由の一つが、毎日対象者と接し、日々の変化や状況を把握できる立場にあるということです。

病状の進行に伴い、小さな変化を看護師や医師、場合によっては理学療法士や作業療法士などにお伝えし、対象者が感じる痛みや不安などを早い段階から和らげていく事が、より良い看取りケアを行う為の一つになっていきます。

症状がはっきりと現れる方もいれば、ゆっくりと穏やかに現れる方もおられるので、介護士は、患者の小さな変化や、症状の進行をよく観察し、それを各専門職に伝える中核的な役割を担っていると私は思います。

その②:ご家族への対応

(200文字前後)

患者の残された時間が少なくなるにつれて、ご家族や親族の方々が会いに来られる機会が多くなってきます。

病状が進行していくにつれて、患者の反応が薄くなり、目を瞑ったまま反応されなくなるケースがほとんどです。

しかし、家族や親族の方の中では、そのような状態をなかなか受け入れられず、心苦しく感じてしまう事も多いかと思います。

そのような時に、日々関わりを持っている介護職員が日々の変化や、まだ反応があった時にどのような事を話していたのか、などの患者についてのお話しする事で、ご家族や親族の心苦しさを少しは和らげる事ができるのではないかと思います。

実際の看取りケアで経験した症例

実際の看取りケアで経験した症例

ここでは、私が実際に経験した看取りケアでの場面や症例、どのように対応したのかなどを体験談としてお伝えしていきたいと思います。

また、そこから得た私の気づきや思いも最後にお伝えしますので、現在ご自分の担当が、看取りケア真っ最中の方やこれから看取りを経験するような方への参考になればと思います。

その①:ご家族のクレームや要望の多いM氏(男性)のケア

M氏は、入所された時からご家族(主に奥様)の要望やクレームの多い方でした。

そんなM氏を私が担当する事になりました。

M氏自身は温和で優しいおじいちゃんのような方でしたが、M氏の奥様がほぼ毎日面会に来られ、定時誘導やM氏の訴えのない時でも『トイレに連れて行ってあげて欲しい』などと言われ、お茶がなくなったら随時部屋に配茶をしてほしい、などの細かい要望が多く、それができていなかったら、他の入居者対応中でも割って入ってきてクレームを言うような方でありました。

当時の施設は、1フロア50名の従来型施設であった為、入居者それぞれに細かな個別の対応を行うという事はなかなか難しいのが現状であった為、その方(奥様)は職員間ではクレーマーとして認識されてしまっていました。

その②:M氏の変化

その様な日々が続いていく中で、M氏の状態も少しずつ変化し、徐々に動けなくなり寝たきりの状態になっていき、看取りケアの対象として個室対応になりました。

看取りケアになってからも、ご家族の強い要望は変わらず、食事が取れる状態ではないのに『好きだったラーメンを食べさせてあげたい』『甘いものが好きなのであげたい』と言われ、要望が多くありました。

はじめは看護師から、嚥下状態の説明を行い、食事は無理と言う事を説明して頂きましたが、あまりの強い要望に、現場の介護士、看護師だけでは対応しきれず、緊急的に他職種カンファレンスを開くことになりました。

その②:M氏とその家族への看取り対応

カンファレンスでは、ご家族がどうしても『何か食べさせてあげたい』との思いが強い事を踏まえ、看護師、作業療法士、栄養士、介護士で話し合いました。

その結果、ご家族面会時に看護師に報告し、看護師立ち会いの下でご家族が『水飴』を数口ほど唇や舌の上に塗る事が決定しました。

奥様は、水飴の件に関して『そんなもん気休め程度や』と、満足していなさそうな様子でしたが、とりあえずやってみますと言ってくれました。

しかし、実際に水飴を下に塗ると、M氏も甘みを感じたのか、何か塗られたのが分かったのか、舌をモゴモゴと動かして、嚥下されている様子が伺えました。

それ以前は口を動かす様子もほとんどない状態だった為、それを見ていた奥様も、『あ!舐めてる!』『美味しい?』と目を見開いて語りかける姿が見られていました。

最後の時が近いてくる段階で、次第にずっと目を閉じたまま反応が薄くなってきているM氏でしたが、時折ボソボソと何かを話したり、介助中に奥様の名前を口に出したりする事がたまにありました。

そこで『M氏ノート』というものを作成し、そこにM氏が時々話した事を時系列で記入していき、ご家族に見られるように置いておく事にしました。

普段は気難しそうな顔をしている奥様でしたが、それをみて、『そんな事言ってたんや笑』と笑顔が見られる場面がありました。

その②:M氏の最後のケア

(600文字前後)

M氏は私の夜勤明けの朝に亡くなられました。

夜勤の間から肩で呼吸をしていて、朝方になるにつれて下顎呼吸(顎で呼吸する程、必死で呼吸している状態)になっていきました。夜勤の間に奥様やご家族が訪れ、『じいちゃん頑張って!』などと小さいお子様も一生懸命声をかけられていました。

M氏が亡くなられたのは、私の夜勤が終わる少し前の8時30分頃でした。
私がM氏のご家族のもとへご挨拶に行くと、一番にM氏の奥様が『◯◯さん(私の名前)本当にありがとうね・・・あの人もきっと喜んでいるわ』と涙ながらに話してくれたのを聞いて、私も思わず涙を堪える事ができませんでした。

私は、このM氏の看取りケアを通してたくさんの事を学ばせてもらいました。

より良い看取りケアを行なっていく為には、現場で関わる介護職員だけでは不可能であり、対象者を取り巻く様々な職種の意見や協力があってはじめて良いケアが作られるのだと感じました。

また、多種多様な要望のある事例も多くあると思いますが、他職種と協力して、どのように対応したら良いか、その要望は実現可能なものかを話し合い、こちら側が真摯に対応していく事で、患者やご家族の信頼を得る事できるのではないかとの学びを頂きました。

今後の看取りケアに求められるスキルや人材

今後の看取りケアに求められるスキルや人材

この章では、私が看取りケアの現場を通して経験した事をもとに、看取りケアでの介護士として求められるスキルや必要な能力について、自分なりに考察した事をお伝えしていきたいと思います。

その①:コミュニケーション能力

これまでも常々お伝えしてまいりましたが、より良い看取りケアを提供していく為には、ご自分以外にも対象者の担当介護士やそれ以外の現場職員、他職種の協力があって初めて提供できるものであります。

しかし、ただ理論やエビデンス(根拠)を掲げて人を動かそうとしても、協力を得る事はなかなか難しいと思います。

そのため、私が第一に必要な能力として思う事は、コミュニケーション能力です。

私は幅広い職種の方から協力を得るような、信頼ある人間になる為には、このコミュニケーション能力が必要不可欠だと思っています。

そのために私が日々の業務で心掛けている事は、他職種の職域を尊重し、いろんな職員、職種の方に話しかけたり、助言を頂いたりすることを大切に日々業務に就いています。

日々の現場からそのようにアドバイスを頂戴したり、手伝ってもらったりする事で、いざと言うときに支援をお願いしやすい関係をつくっておく事が可能になってくるのではないかと思います。

その②:観察力

第二に必要な事として思う事は、対象者の変化や機微を察知する観察力だと思います。

看取りケアの対象となる方は、いつ疾患や状態が急変してもおかしくない状態にあります。

そのため、日々の変化や呼吸状態、バイタルサインを適切に判断し(※介護士がバイタルを判断し、勝手に処置や対応するのは禁止されています。)、看護師等に報告する必要があります。

そのためには、日々の業務から対象者の変化や起こりうる可能性などを医師、看護師等から助言を貰ったり、話し合ったりする事が重要になってくると思っています。

また、呼吸状態の変化や終末期の状態変化に関しては、実際に経験して養われる感覚などもあると思っています。

その③:柔軟な対応力

そして最後に私が思う事の一つが、柔軟性だと思います。

これは私もまだまだ未熟な面も多く、これから習得していく必要のあるべき能力でもあります。

前章の事例でもお伝えしたように、一般的には看取りケアや終末期にさしかかった方へ食事を提供する事はリスクが多く、困難とされている事がほとんどです。

しかし、ご家族や対象者の強い思い、その方のQOLを最後まで維持、向上してもらう為には良い意味での型を崩すという柔軟性も必要なのではないかと思っています。

前章の事例では、食事摂取の件をリスクが限りなく小さい水飴に置き換えて提供させて頂きましたが、対象者の残された嚥下機能を医師、看護師、またはST(言語聴覚士)と検討し、可能性なものを提供していく事で、最後までより良い人生を過ごす事が可能になるのではないかと思っています。

まとめ

私の拙い経験からのお話でしたが、看取りケア(終末期ケア)は私の介護福祉士人生にとって、とても大きな影響を与えてくれたケアでもあります。

今私は、さらなる知識や技術、経験の向上を図るために今年から始動した(2020年現在)「終末期ケア専門士」という資格取得に向けて受験勉強中であります。

この資格は、様々な施設や病院でより良い看取りケアを行う為に、看取りケアの実践、指導できるエキスパートを養う為の資格となっています。

また、合格後はリモートセミナーやカンファレンスにて全国の看取りケア(終末期ケア)に携わる様々な職種の方とお話や繋がる事が可能となっています。

もし、この記事を読んで看取りケアについてもっと学びたい、経験したい、より良いケアを提供したい!と思う方がおられるのであれば、私は一緒に研鑽し合える仲間が増えた事に何より嬉しくて思います。

この記事を書いた人

カフェフリーカー

県内の福祉系専門学校に入学し、卒業と同時に介護福祉士の資格を取得。

その後県内の老人保健施設、介護療養病床、福祉系専門学校教諭を経験し、現在は県内の特別養護老人ホームにて勤務。さらなるスキルアップの為新しい専門資格にも挑戦中。

経歴

  • 2007年4月~2009年3月:福祉専門学生
  • 2009年4月~2015年3月:老人保健施設 介護福祉士
  • 2015年4月~2017年3月:介護療養型病院 看護助手兼ケアマネジャー
  • 2017年4月~2017年11月:福祉系専門学校(母校) 介護教員
  • 2017年12月~現在:特別養護老人ホーム 介護福祉士

資格

  • JSFCAコーヒーソムリエ
  • 介護福祉士

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