ワークライフバランスは近年非常に重要視されている言葉です。ワーク=仕事、ライフ=生活のバランスを保ち、健康的な生活を送るというものになります。これは介護業界だけではなく、働く人々皆に言えることであり、大手企業を中心にワークライフバランスを整える動きが出てきています。
介護業界のワークライフバランスはそこまで悪くなく、むしろ優れているといえます。私自身結婚、出産、子育てをしている中で介護業界には携わっていましたので、実感として介護業界のワークライフバランスは優れていると認識しています。
それでは、なぜ介護士のワークライフバランスが優れているのでしょうか、その理由についてご紹介していきます。
女性にとって働きやすい職場が多い
一般企業であれば、結婚や出産などで仕事を退職せざるを得ない、職場に配慮して自ら退職をする方もいます。しかし、介護業界の場合はそのようなことはあまりなく、出産、結婚をしても介護士として働けることが多いのです。
介護業界は女性が大半なので女性に優しい
昔に比べて男性の介護士は増加してきていますが、まだまだ女性の介護士が大半の施設がほとんどです。女性が多いということは、それだけ女性に対しての配慮が施設に対して求められます。
例えば、ある女性が妊娠をしたとします。施設側がその女性に退職を選択するように促した場合(言っておきますが、それは法律違反となります。が、残念ながらよくある出来事の一つです)、他の女性介護士の方はどう思うのでしょうか。
私も同じような状況になれば、同じような目に合うのではないかとその施設自体を退職してしまうこともあります。
施設側として人材は貴重ですので、負の連鎖が起きないように女性には出来るだけ手厚いケアでいつまでも働いてもらえるように配慮するようになります。
女性が多い職場だからこそ、きちんと女性が長く働けるようにワークライフバランスを整えている施設は多いといえます。
出産後は一時的に「夜勤」なし
私は結婚し妊娠しました。結婚から妊娠までは半年ほどで、妊娠が発覚した際は正社員として働いていました。
正社員で働いていたので、妊娠をすれば職を失ってしまう可能性があると思っていました。会社の人事に相談をすると「もちろん産休は取っていただけますよ、他に相談したいことがあるなら早めに言ってもらえれば極力配慮するようにします」と言っていただき、とても女性に優しい配慮をしてもらいました。
出産する前から出来る限り力のいらない仕事に変更してもらいました。当時は介護士として働いていましたが、出産を報告してからは事務的な仕事を中心にする部署に異動となり、介護士からは離れました。
出産して産休に入って復帰した際も、子どもがまだ小さいからという理由で夜勤は無しにしてもらい日勤帯だけの仕事を任されていました。
介護業界は人材が非常に貴重ですので、結婚をして出産をしてもまた復帰してくれるのであれば、無理なく復帰できるようにしてもらえていると感じました。
暖かい心を持っている介護士が多く支えてくれる
これは介護業界独特の雰囲気であると私は思っていますが、介護を仕事にしている方は基本的に優しい人が非常に多いです。優しく、人の為に働こうと思っている方が多いですので、女性にとってはワークライフバランスがとりやすいといえます。
産休で長期休みに入ったとしても時々連絡をくれて、食事に誘ってもらい、復帰後も出来るだけ残業をしないように配慮してくれるなど、本当に介護を受けているような手厚いケアをしてもらいました。
キャリアアップするとワークライフバランスが充実する
ワークライフバランスは仕事と日常生活を充実させることですが、介護士はサラリーマンと違って資格をもった専門職ですので、キャリアアップを行うことによって両方とも充実させやすい環境であるといえます。
介護士のキャリアップとワークライフバランスの関係についてご紹介していきます。
マンネリ化の防止の為に資格を取得する
介護士のキャリアップの方法として、主となるものは資格の取得であるといえます。介護士の場合は認知症ケア専門士、ケアマネジャーや社会福祉士を取得することによってキャリアップをし、ワークライフバランスのワークを充実させることが出来ます。
こういった資格を取得することは難しいといえますが、取得をすれば介護士以外の仕事や、介護士でも専門的な仕事を任されるようになります。例えば、ケアマネジャーであれば施設ケアマネをすることもできますし、社会福祉士であれば生活相談員、認知症ケア専門士であれば他の職員に認知症について研修などをすることが出来ます。
介護士という仕事は素晴らしい仕事ですが、同じ仕事を同じ知識で行ってしまいますと、どうしてもマンネリ化してしまいますので、資格などを取得することによって日々の仕事に刺激を与え、ワークライフバランスのワークを充実させることが出来るのです。
給料を上げて生活に余裕を持たせる
生活=ライフを充実することについて、例えば、給料の向上などがそれにあたります。資格を取得することによって資格手当をもらえる場合もありますし、違う職種に変更になることによって給料が増加することもあります。
研修などを行うことによって特別手当などが出る職場もあります。
介護士のキャリアアップは給料の向上に結び付くことが多いですので、給料が向上すれば生活に余裕が出来る、生活が充実するという流れになるのです。
職場の取り組みがワークライフバランスに大きく影響する
ワークライフバランスは自分で気を付けて意識することも大切ですが、一人でワークライフバランスを充実させることは難しいといえます。
やはり職場自体が職員のワークライフバランスを意識していることが大切であり、職場の取り組み無しでは充実したワークライフバランスを取り入れることは難しいと言えるでしょう。
それでは職場が取り組むワークライフバランスはどのようなものがあるのでしょうか?
残業をしない職場環境が整っているのか
残業は労働者の心身を疲弊させてしまいます。一般的には月に80時間を超えると過労死ラインになり、80時間を超えて働かせることは職場にとってもリスクは高いといえます。
介護業界で80時間を超えて残業をするということはあまり聞きませんが、20時間、30時間と残業をしている状態が長期間続くと疲労がたまってしまいます。
残業時間に関わらず、職場が残業についてどのように取り組んでいるのかが、ワークライフバランスを充実させるために非常に重要なことになります。
例えば、残業をきちんと上司が管理しており、残業時間が多くなると上司から声がかかるようになっている。残業しないように会社が業務管理を徹底しているなどです。
なぜ残業しないといけないのか、そういった原因についてしっかりと把握して、会社として対策をしているということが大切になります。
介護業界ではこういった取り組みはまだまだ他の業界と比べると、遅れているといえます。もし今働いている施設が取り組みをしていないのであれば、介護士から声を上げていくのも良いでしょう。
メンタルヘルスケアのサポートが充実しているのか
ワークライフバランスとメンタルヘルスケアは密接に関わっています。メンタルヘルスケアとは精神的な負担を軽減させるということです。介護は人をケアする仕事であり、ストレスを非常に感じやすい職種です。
その為、職員のメンタルが追い込まれてしまうこともあり、うつなどの精神疾患にかかる可能性もあるのです。
そういったことをきちんとケアしていくのは職場の役目です。最近では一定の従業員がいる施設ではストレスチェックが義務つけられているなど、法律的にメンタルヘルスケアを行うようになっていますが、それではまだまだ足りません。
何かあった際にすぐに相談できるようになっているのか、支援の体制が整っているのかなど確認しておくようにしましょう。もし無いのであれば、支援体制を作ってもらえるように働きかけることも大切になります。
幸い介護業界は医療と密接に関係していますので、メンタルヘルスケアが充実しているところもありますし、老健などであれば医師が常駐していますので、すぐに相談できるなどのメリットもあります。
介護士で良かったと思うこと
私が介護士で働いていて、ワークライフバランスは充実している方でした。介護士だからこそ良かったと思っています。その理由はどのようなものがあるのか、ご紹介していきます。
夜勤が自分の時間を作ってくれる
私が働いていた特養では夜勤は17時~9時30分までで、夜勤明けは出勤扱いになり、その翌日が公休となっていました。夜勤は月に4回~5回ほどでした。
この夜勤があった時はワークライフバランスが非常に充実していたと思います。日勤だけの仕事もしていましたが、日勤よりも夜勤をしていたほうが仕事も私生活も充実していました。
夜勤がありますと明けの日はほとんど休みです。9時30分に仕事が終わって10時には自宅に帰っていました。もちろん仮眠を取りますが、その日は10時から休みのようなものでした。
いわば2連休のようなものです。私はよく夜勤明けで旅行にいき、夜勤明けでそのまま遊びに行って、翌日も遊びに行くなどもできていたのです。
みなさんに注意してもらいたいことは、夜勤の時間です。これは就職する際などは必ずチェックしておきましょう。施設によっては22時から7時までの夜勤などもあります。これは一見夜勤の時間が短くて良いと思いがちですが、実際には夜勤明けが公休となりますので注意しておきましょう。
夜勤が長い勤務を2交代制、夜勤が短い勤務を3交代制と言いますので、チェックしておくことが大切です。
ワークライフバランスが充実しているから続けられた
仕事をする上でワークライフバランスは非常に重要であり、私はワークライフバランスが充実していたので介護の仕事をしていました。
やはり仕事をしていく上で、仕事の充実だけではなく、私生活の充実も必要です。介護士は比較的ワークライフバランスが充実しやすい職場ですので、仕事も私生活も満足にしたいという方は是非介護士をおススメします。
まとめ
ワークライフバランスは仕事を続けていく上で非常に大切なことです。介護士が働く現場では職場の環境が悪いところもあり、ワークライフバランスが取れないところもありますが、介護士は他の仕事に比べてキャリアアップがしやすい、夜勤などの変則勤務であるためワークライフバランスがとりやすいという実情もあります。
日頃からワークライフバランスをしっかり意識して働くことが大切ですので、同僚の職員なども交えて改善していくようにしましょう。