機械から人へ目を向けて 一人ひとりに合った援助のできる介護士を目指して

機械から人へ目を向けて 一人ひとりに合った援助のできる介護士を目指して

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2019年06月14日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。
プロフィール

人の役に立ちたい、と福祉の道を志し、ホームヘルパー2級を取得していたが、医療にも興味があり、医薬系の専門学校卒業後は臨床検査の受託サービス会社へ入社。

機械相手中心の仕事に4年間従事したのち、やはり直接人と関わる仕事がしたいと転職を決意。

老健にて4年半、有料老人ホームにて4年半介護士として勤務。老健ではフロアリーダーとして人事管理や新人教育にも携わる。現在は主婦業に専念するため、派遣スタッフとして週3回、日勤のみで有料老人ホームに勤務。

派遣介護職員 小池さん

あなたにとって介護職とは?

介護は心のある生身の人間を相手にします。人と接することの難しさと楽しさを感じられるやりがいのある仕事です。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

2007年3月~2011年3月
検査受託サービス会社
検査受託サービス会社にて、生化学や血液学等の臨床検査業務に従事。病院で検査を受けられた患者様のデータをドクターへ提供。
2011年3月~2015年10月
介護老人保健施設
一般棟75名、認知棟60名規模の介護老人保健施設に介護士として勤務。一般棟、認知棟と経験し、それぞれでフロアリーダーを務める。スタッフの勤務管理や新人教育にも携わる。
2015年11月~2019年3月
有料老人ホーム
全室個室59名の介護付き有料老人ホームにて介護士として勤務。夜勤を中心に全フロアのご入居者の身体介護や生活援助等を行う。
2019年4月~
介護系派遣会社
派遣スタッフとして日勤のみ週3回、介護士として働く。

私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

どの施設でもそうですが、全く違った方々がその場所で生活されています。後遺症で半身麻痺等の身体的に障害を抱えておられる方、言葉が話しづらい、聞き取りづらくなられている方、ご病気で食事や水分を制限されている方等がおられ、様々な障害を複合的に抱えておられたり、症状に個人差があったり、と誰一人として「同じ」状態になることはありません。

目的も在宅復帰へのリハビリだったり、希望の施設へ入居するまでの仮住まいだったりと様々で、ご入居者によって必要とされている援助は少しずつ異なります。

人によってはこちらの過介助になってしまったり、遠慮や自尊心から介助拒否で介入が難しくなることもあったりで、答えが明確にないため非常に難しく日々悩みながらですが、他職種との連携を図りながら、お一人お一人に合った介護を目指してきました。

まじめで責任感が強く、迅速な対応を心掛けていたこともあり、周りから頼られることも多く、介護士仲間だけでなくPTや栄養士、ケアマネージャーからも意見を参考にされる介護士でした。

そんな私も、仕事ではきっちりしているイメージですが、友人の間ではのんびりマイペース人間なのでオンオフのギャップはかなりあるようです。

編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

元々は中学生時代に福祉の道を志し、福祉科のある高校でホームヘルパー2級(現:初任者研修)を取得していました。

在学中、勉強していく中で医療方面から人に携わる仕事がしてみたいと思い、一度は医薬品関連の勉強に励み、臨床検査業務に従事していましたが、機械を動かし、データを取り医療機関へ送る、というルーチンワークをしているうちに、数値としか向き合うことができない環境になっていました。

そんな中、高校時代の福祉の道へ進んだ友人らの話を聞くたび思いが募り、やはり直接人と接する仕事がしたいという思いから転職を決意し、老健にて一から介護士としてスタートしました。

編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

何よりも「ありがとう」の言葉に勝るものはありません。ありきたりですが、この言葉をいただいた時が一番嬉しく、やりがいを感じる時です。

顔と名前を憶えていただけることもあり、「いつもありがとうねぇ」と声をかけていただけると、思わずほっこりします。

編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

普段は業務に流されがちでなかなかご入居者とゆっくりお話をすることもできないのですが、入浴介助中や更衣介助の際にふと会話を持ち掛けてみると、口数が少ない方でもお話をしてくださることがあります。

昔の記憶は鮮明に覚えておられることが多く、特に音楽の話題は共通して話しやすく、ある方に思い出の曲のエピソードを語っていただけた際に、よく通る素敵な声で歌ってくださったこともありました。

普段寝ておられることが多い方なので、初めは周りのスタッフもその歌声が誰のものか特定できず、皆驚いていました。

また、施設で生活されていると行動範囲も狭く、やれることも制限されてしまうため、どうしても楽しみが少なくなり、活気がなくなってしまう方も多いのですが、ちょっとしたイベント事は気分転換にもなって、始まる前はあまり乗り気でなかった方も最終的には楽しんでいただけるようなこともあります。

お花見ドライブや紅葉ドライブのような車で少し外出するイベントでは、普段あまり会話されない方同士が景色を見てお話されている様子があったり、外食レクでは生もののため提供することがなかなか難しく、施設では召し上がることのできないお寿司を目の前にして目を輝かせてたくさん頬張っていたり、ということがありました。

ネタをゆっくり吟味しておられる方もいれば、大好きなマグロばかり10貫ぺろりと平らげてしまわれた時は、見ている私も楽しんでしまいました。

小さいことですが、施設の中では見ることの少ない、楽しまれているお姿を見られた際には実施してよかったなと思えました。

編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

介護を始める方は特に全く異なる業種からの転職というケースが多いので、完全に未経験という方が大半かと思います。

人によっては初任者研修等で資格を取得されてから就業開始する方もおられますが、それでもやはり実際の現場は未経験です。

私の場合は高校時代に資格は取得していましたが、一度違う業種へ就職し、介護から遠ざかっていたため、不安も大きかったです。

まずはご入居者の顔と名前、特徴を捉えていくところからのスタートでしたが、人の多さと決められていることの多さに圧倒されてしまいました。

食事介助や排泄介助といった基本的な介助方法の知識や技術はある程度持っているつもりでいたのですが、ご入居者に合わせて少しずつ異なっており、スムーズに行えるようになるまで苦労しました。

例えば、あまり食事が進まない方に小皿に入れ小分けで提供するとモリモリ召し上がれる場合があったり、入浴がお好きでなく「お風呂」という言葉だけでその場から動かず拒否されてしまう方に「ちょっとお散歩に付き合っていただけますか」と伝えるとスムーズにお誘いできたり、といったことがあります。

お茶の提供一つ取っても様々あり、甘い飲み物はお好きでないため全て番茶で提供したり、温かいものが苦手なため氷を入れて冷たくして提供することもあり、好みの場合は大きな影響はないのですが、水分制限されている方に他の方と同じ量を提供してしまったり、糖尿病を患っておられ糖質制限されている方に甘い飲み物やおやつを提供してしまったりと、直接ご入居者のお体に関わってくる場合もあるので注意が必要で気を遣っていました。

慣れてくるとご入居者とのコミュニケーションもスムーズに取れるようになり、戸惑うこともなくなりましたが、新しくご入居された方を覚えたり、長く生活されている方でもご病気の変化等で対応を変更したりすることもあるので、いまだに学ぶことも多いです。

お一人お一人に合わせた介護というものが簡単ではなく、けれどそれが介護士としての務めなのだろうと実感しました。

編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

私は「気づき」を大切にしています。介護の業務というのは正直なところ日々同じことの繰り返しです。

しかし、私たちにとって同じ毎日でも、ご病気や障害によっては、いつどのように変化してくるかわからないので、ご入居者にとっては同じとは限りません。

昨日できたことが今日はできない、ということは日常的に起こり得ます。その都度その方に合った援助をして差し上げることを心掛けています。

実際に、普段元気にお話されている方が静かに過ごされていたため声をかけると調子が良くない、とのことで注意深く様子をみていると、その後発熱され、体調を崩されるということもありました。

何でもないように思うかもしれませんが、この一つの気づきが、のちの転倒やご病気の重篤化を予防できているのです。

また、介護は一人で行うものではありません。施設での介護というのはチームワークです。ご入居者が少しでも快適に過ごしていただけるような方針を常に考え、実践していくものなので、介護士だけでなく、看護師、医師、栄養士、ケアマネージャー、PT、OT等のリハビリスタッフと連携を図り、より良いと思う選択をしていきます。

介護の技術はもちろん大切ですが、何か変だな、いつもと違うなという変化を感じ取れるような介護士でありたい、またそれを伝達して連携のとれる介護士でありたいと思います。そのため、お一人お一人にしっかりと向き合うことが大事だと考えています。

編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

人手不足はどの地域でも明白です。今は、派遣スタッフとして週に3回、有料老人ホームで働いています。

介護職はどこでも必要とされている職であり、援助を必要とされている方のお手伝いができればと思うので、いずれまたフルタイムで働きたいと思います。

特養やグループホームでの介護経験はないので、新しい環境にもチャレンジしてみたいと思っています。

編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

ここまでいろいろと自分の経験や理想論を語っており、大変そうと思われるかもしれませんが、難しく考えることは全くありません。

他業種からの転職、一から始めることの不安等あるかと思いますが、まずは挑戦してみてほしいと思います。資格の有無は私の感覚からすればそこまで重要ではないです。

介護の仕事を目指そうと思われている方であれば、少なからず人の役に立ちたい、自分でもできることがあるはず、と考えておられることと思います。

綺麗事かもしれませんが、何よりもその気持ちが最も必要なことです。実際、無資格未経験で入職された方でも気持ちの強い方は周りから吸収しようとする意欲があり、どんどん成長していきました。

介護現場での経験が一番の学びの場、ご自身のスキルアップの場に繋がると思います。

介護の仕事は楽なこと、楽しいことばかりではありません。むしろ世間のイメージ通り、大変な思いをすることの方が多いかもしれないです。

ですが、自分が関わったことでその方の介護方針が良い方向へ向かったり、ご本人やご家族から感謝の言葉をいただいたりした時には達成感、充足感があり、やってきて良かったと素直に思えます。

高齢化社会が続く日本では、これからますます介護士は必要とされ、身の周りでも介護を必要とする方が出てくるでしょう。介護は心のある生身の人間を相手にします。人と接することの難しさと楽しさを感じられるやりがいのある仕事です。

近頃介護関連でよくないニュースも耳にしますが、ご自分でちゃんと理解せずに拒絶や諦めることをしないでほしいと思います。

やってみたい、その気持ちを大事にしてみませんか。少しでも多くの心ある介護士が生まれることを望んでいます。

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