システムエンジニアから介護職へ。思いやり、やりがいのある仕事を

システムエンジニアから介護職へ。思いやり、やりがいのある仕事を

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2019年08月15日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。
プロフィール

高校卒業後、IT業界に入りシステムの運用、保守に従事。

約3年間仕事を続けていたが、会社でやりがい、将来性を見出す事が出来なくなり、介護職に就いていた友人から勧められ、求めていたやりがいを得られると介護職に転職することに。ホームヘルパー2級を取得し、有料老人ホームに5年間勤め、結婚を機に退職。

現在は妊活のため、パートタイムで病院の介護職として勤務。

介護職 前川さん

あなたにとって介護職とは?

人との繋がりを感じることのできる、心を豊かにしてくれる仕事だと思います。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

2009年4月~2012年3月
高校卒業後、IT企業に勤務
主に情報処理システムの構築、運用、保守を担当。クラインアントの要求に応え、システムの設計書を作成、システムリリースを行う。
2012年1月
介護業界への転職を考える
会社への将来の不安を感じ、友人に勧められ介護業界への転職を考える。在職中に資格取得の学校に通い、ホームヘルパー2級(介護職員初任者研修)を取得。
2012年10月~2017年12月
介護付き有料老人ホームに勤務
利用者数28名の施設で未経験ながら介護士として勤務。
2018年3月~現在
パートタイムで病院に勤務
結婚を機に退職後、妊活を進めつつ、パートタイムで介護職として勤務。

私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

日常生活をサポートする中で、各入居者の生活リズムを把握し、穏やかに過ごせるようにするにはどうすればいいかその方の最善を考え、行動に移すようにしていました。

食事の前に入浴しておきたい。レクリエーションを始める前にお手洗いに行っておきたい。など、入居者の性格や特性を考えて事前に予想していました。

「みんなの前では言えなかったけど、あなたよくわかったわね」と褒められることもありました。

安心、安全、安楽を提供できる環境を作れるように他職種との連携を怠らず、その方の想いを大切にする介護士です。

編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

介護職に就く前はシステムエンジニアとして働いていました。高校を卒業後、パソコンを触るのが好きで、IT業界に憧れていたのでIT企業に就職しましたが、仕事に慣れていくうちに淡々と仕事をこなす日々に「自分は人の役にたてているのだろうか」と不安を感じるようになりました。

また、勤務の会社で経営悪化が見られ、将来性を感じられなくなった時期でした。

その時に介護士だった友人から仕事について話を聞いていくうちに心が動かされ、高齢者社会が進み、需要が増えつつある介護職に転職を決めました。

関わったことのない分野だったため、仕事をしつつ、資格取得の学校に通いヘルパー2級を所得し、有料老人ホームで働き始めました。

編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

システムエンジニアの頃よりも、コミュニケーション能力が上がったと感じました。

相手が健常者だけでなく、認知症を患う方や、話しづらい方、聞き取りづらい方など今まで関わった事のないタイプの人とどう接するか、初めは苦戦していました。

どうしたら伝わるのか、筆記やジェスチャーなどその方にあったコミュニケーションを模索し、相手との意思疎通が出来た時が嬉しかったです。

仕事が慣れていくにつれ、入居者が顔を覚えてくださり、「○○さん、今日は夜勤なの?」と声をかけてもらったり、身体介護をしている時に「あなたがいてくれて助かった」と言われたり、自分を必要としている人がいると大変励みになりました。

季節毎の大きなレクリエーションは計画や準備も大変ですが、とてもやりがいがありました。

施設内で屋台を出して季節の食べ物を楽しんだり、職員がマジックショーをしたり、コンサートを行ったりいつもはレクリエーションに参加されない方もゲームに参加されたり、スタッフ総出で盛り上げる事に熱を上げていました。

編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

仕事に慣れて、少しずつ任される事が増えていたころ、コンタクトパーソンという入居者の担当を受け持つ事になりました。

その方の入居予定が決まった際に自分が指名され、入居される前から、受け持つ事が決まりました。

それまで、他の職員からコンタクトパーソンを引き継ぐ事はありましたが、自分が初めてという経験がなく、ご家族や他職員からの情報収集に必死でした。

入居当初、ご家族に連れてこられ、入居に納得がされていなかったため、とても不安そうにされていたのを覚えています。

「早く家に帰して」「家族に連絡して」と毎日訴えられ、1階の受付で電話をかけておられました。

要支援の方だったため、ご自分のペースで過ごされ、居室からにずっとこもっておられることもありました。

時間のある時に、居室へ伺い、お話しや傾聴をマメに行うようにしていました。

施設ではアニマルセラピーを勧め、受付の近くで犬を飼っていました。

家では猫を飼っていたのと仰っていたため、お時間がある時に「ワンちゃんに会いに行きませんか?」とお誘いし、抱っこをしたり、おやつをあげたりして笑顔が見られるようになりました。

また、居室でも楽しく過ごせるようにぬいぐるみや猫の写真集をプレゼントさせていただきました。

少しずつ居室の外で過ごす時間が増え、施設内にもお話しできる友人が出来ていきました。

いつしか「私の居場所はここ」「私はここで最期を迎えるの」と言って下さり、安心して暮らせる環境を作ることが出来てよかったと思いました。

編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

介護職に携わる前はまったく異なる業種だったため、右も左も分からない状態でした。

介護の仕事を始めた頃は身体介護に対する不安が多く付きまといました。半身麻痺のためご自身で訴えられる事が出来ない方の移乗ではお声かけをしても協力が求められず、自分の体に比重がかかります。

気づかないうちに麻痺側の体をぶつけてはいないか、自分の力で体を支えられるか自分が怖々とケアをしてしまい、相手にも緊張が伝わり余計に力が入ってしまうことがありました。

人の命を預かっているというプレッシャーが重くのしかかりました。

食事の際にも、早食いの癖がある人や嚥下能力が下がっている人に気を配ります。嚥下のリズムに合わせて、食事介助をしているつもりでも、誤嚥してむせてしまわれたりもしました。

そのまま、のどに詰まって窒息の恐れもあり誤嚥性肺炎になってしまう危険性もあります。

勤めていた老人ホームでは看取りも施設で行っており、病院ではなく、入居者が慣れ親しんだ居室で最期を迎えます。残された生活を心穏やかに過ごせるようにターミナル期の対応には気を遣いました。

利用者の状態が常に変わっていくなかで、苦しむことのないようにケアの方法が変わっていきます。

看取りの際には、エンゼルケアやご家族のグリーフケアも行います。亡くなられた後、残される家族の精神的なサポートも必要となってきます。

編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

業務が忙しい時でも、笑顔を忘れず、心にゆとりをもって入居者と接するようにしています。

不安や焦りを訴える方に対し、同じように焦っていてはより不安感を助長させてしまいますよね。介助する際には行動はテキパキと、でも言葉は優しく語り掛けるように。

よくケアの途中で、「ちょっと待って」という言葉を使ってしまう事があります。

職員からしたらちょっとかもしれないけれど、待っている入居者からしたらどのくらい待てばいいのか分からず不安に感じてしまいます。

なるべくその場で対応できるようにはしますが、職員の手が足りず、どうしてもすぐに伺えない時は「後5分ほどしたら伺います」と実際にかかる時間を伝えるようにしています。

細かい言葉遣いかもしれませんが、真摯な気持ちは相手に伝わると思って日ごろから気を付けていました。

相手によって、砕けた言葉遣いを使うこともあります。敬語でお話しするとかしこまってしまい、不快に感じる方もまれにいます。1人1人にあった話し方や言葉遣いを大切にしています。

時々、友人のように話しかける事もありますが、尊厳を損なわないようにしています。

編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

現在は施設介護ではなく、病院の介護職として働いていますが、病院でも様々な人と関わる事があり、よりよいコミュニケーションの方法を模索中です。

また、妊活が落ち着いた頃に介護福祉士の資格を活かし、今まで働いたことのないグループホームや訪問介護にも挑戦してみたいと思っています。

編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

介護の世界はよく3K「きつい、汚い、危険」だと言われ、マイナスなイメージが根付いています。確かに仕事をしている時に実感した事もあります。

「きつい」については自分よりも体格の大きい方を抱えて移乗し、腰を痛めてしまう事や体力的にきつい事もあります。

「汚い」については食事介助の際に食べこぼしをしてしまったり、口腔ケア時に唾液が出てしまったり、生理的に汚いと感じてしまいます。

また、避けては通れない排泄介助では、どうしても他人の排泄物を見なくてはなりません。

「危険」については季節によって流行するインフルエンザやノロウイルスなどの集団感染があげられます。免疫力の低い高齢者にとって、死のリスクが高くなります。生活をするにあたって、転倒や誤嚥の可能性も毎日あります。

これだけ聞くと介護士はやっぱり大変そうと思っちゃいますよね。

ですが、それ以上にやりがいを感じる事もたくさんあります。移乗介助では摩擦を軽減し、車いすからベッドを移乗できる福祉用具を使い、ボディメカニクスを用いて最小限の力で介助をする事も出来ます。

きつい事はあっても、対処法を知れば体の負担は軽減されます。

食事介助では利用者の食べるペースを配慮し、合間に水分を飲んで頂き口腔内に食べ物が残らないように工夫をします。

排泄介助は排泄のパターンを掴むと失禁も少なくなり、尊厳を傷つけずに済みます。

人によっては尿意や便意を察知できず、トイレに間に合わない方はポータブルトイレの利用も検討します。コツを掴めばよりきれいに介助をこなす事が出来ます。

また、危険が常につきまとうのも仕方のない事ですが、経験を積んで、事前に察知し回避できるようになると危険の可能性を最小限に抑える事が出来ます。

障害のある方や体の不自由な方に寄り添い感謝され、人との繋がりを感じることのできる、心を豊かにしてくれる仕事だと思います。

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