介護美容は高齢者の人生を豊かにする魔法。生き甲斐や人生満足度を向上

介護×美容

訪問理美容分野で働く人の経験談

インタビュー実施日:2021年3月28日

プロフィール
  • 年齢・性別:30代女性
  • 仕事内容:介護福祉士
  • 得意分野:美容、メイク、コミュニケーション
  • 介護美容歴:10年
編集部
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何がキッカケで訪問美容・介護美容に関わろうと思ったのでしょうか?

私は介護をして10年になります、これまで訪問介護や施設の介護職員として働いてきました。介護士として多くの高齢者と関わるようになったのですが、自分の中で一つだけ気になることがあったのです。

それは、年を重ねていく内に美容に対する意識が薄れていくということです。年を重ねていっても美意識が高く、化粧やファッションなどにこだわる方もいるかとは思いますが、少なくとも老人ホームに入居している方の中で、化粧をしている方はいませんでした。

私自身美容には非常に興味を持っていて、好きだったので、余計にそのような事を思っていたのかもしれません。

私が訪問美容に本格的に取り組んだのは働き始めて5年目のことでした。施設のイベントで、写真撮影会があったのです。近隣の美容室で働く若い夫婦が提案してくれたイベントで、女性は化粧をして、男性は髪の毛を整えて、衣装に身を包み写真撮影会をしたのです。

すると、今まで笑顔が少なかった方が笑顔になったり、いつも怒っている方が楽しそうに過ごしたりなど、これまでいくらコミュニケーションを重ねていっても引き出せなかった部分を引き出すことが出来たのです。

そのような経験から私は介護美容に興味を持ち、今では介護の中に美容を取り込むことによって、高齢者の新たな顔を引き出せるぐらいにまでなりました。

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編集部
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訪問美容・介護美容の社会的意義はどのようなものだと考えますか?

訪問美容、介護美容は高齢者に楽しみをもってもらう、高齢者に対して明るさを与えるという面では社会的な意義はあるかと思っています。

高齢者は喪失体験を経験しています。その数や重みは私たちでは考えらえないほど多いでしょう。例えば、長年連れ添った夫を亡くした、親を亡くした、友人を亡くしたなど、年を重ねていくことによって人との別れを経験していきます。

「寂しい」「辛い」という経験を重ねているのです。そういった経験をすると人生に生きがいをなくしてしまうケースも多々あります。

また、喪失体験は人との別れだけではなく、自分自身に対してもあります。歩けたのに歩けなくなった、若い見た目を失ったなどがそれに当たります。

訪問美容や介護美容はそういった喪失体験に対して、改善が有効なツールであると考えます。若い見た目を取り戻す、美容によって人のぬくもりを感じて、人との関りを増やすことが出来るなど、高齢者に元気を取り戻す働きがあります。

これは通常の介護だけでは経験してもらうことはできません。そういった意味では訪問美容、介護美容の社会的意義は人生の明るさ、生活の明るさを与える社会的な意義があるかと思います。

編集部
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どんな時にやりがいを感じますか?

私は訪問美容の仕事が大好きです。やりがいも感じています。なぜ好きかと思うかというと、大きく2つの理由があります。

1つ目は、私自身美容が好きだからです。化粧も好きですし、ヘアアレンジも好んで行います。今までは自分自身にしかやってこなかった美容ですが、人にやるとその難しさを実感します。

この人の肌にはこのファンデーションが合う。眉毛の色はこうしよう、ヘアスタイルはこっちの方がいいんじゃないかなど、その方に合うように考えて美容を行っていきます。これらが上手くいって、綺麗に出来上がったときはとてもやりがいを感じます。

2つ目は、いつもと違う高齢者を見えるやりがいがあります。ある高齢者の話ですが、その方は女性で、男性の高齢者に恋心があったのです。しかし、同じ老人ホームに入居する高齢者同士ですし、自分に自信がなかった女性は好意を寄せる男性にアプローチができませんでした。

写真撮影会のイベントで、私はその女性の化粧を担当しました。綺麗に仕上がった女性はとても喜んで「ありがとう」と言ってくれました。本来であればそこで写真を撮って終わりですが、自ら好意を寄せる男性に話しかけて女性と一緒に写真を撮ることになったのです。

化粧は人を変えることが分かり、まるで魔法にかかったように女性はキラキラしていたのです。

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編集部
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施術中にもっとも気を付けていることはありますか?

相手は高齢者ですので、施術中にはいくつか気を付けることがあります。1つ目は私の独りよがりにならないことです。私がいくら「こうした方が良いですよ」といっても、それが高齢者が望むものでなければ意味がありません。どんな感じにしたいのかをまず確認し、出来るだけそのイメージ近づけるように気を付けています。

2つ目は、丁寧に行うということです。高齢者になると肌が弱くなってしまいます。ファンデーションを塗ろうと肌を少し擦っただけで傷がつく場合もありますので、極力弱い力でゆっくりとすることを心掛けています。

また、アイメイクについても注意が必要です。高齢者の目は加齢によって上瞼が下がっており、下瞼も下がっています。下瞼にアイメイクをするときはそこまで注意が必要ありませんが、上瞼の場合は注意が必要です。

アイラインやアイシャドーを上瞼に行うと、それが目に入りやすいのです。アイラインやアイシャドーが目の中に入ると痛みを感じさせてしまいますし、高齢者の場合は白内障や緑内障などの病気を抱えていることもありますので、病気の進行を促してしまう危険もあります。

そのほかにも、極力肌に優しい素材を使うことです。できるだけオーガニック性のものを使用しています。それはやはり高齢者の肌は、若い世代に比べると薄くて弱いからです。

化学薬品中心の化粧品を使ってしまうと肌が荒れてしまうこともありますので、極力自然由来のものを使うように心がけています。

編集部
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介護×美容分野が発展するために必要なことは何だと思いますか?

訪問美容分野は、まだまだ発展していないといえます。

まずは、意識の改革が必要なのではないでしょうか。若い世代の方の中には「高齢者が美容に興味をもってどうするんだ」と思う方もいるでしょうし、高齢者自身も「こんな年になって美容に興味を持つのは恥ずかしい」と考える方もいます。

やはり、そういった意識があると発展は難しいといえます。その為、訪問美容の普及活動が大切になるかと私自身感じています。広報誌を作成したり、イベント会をおこなったりなど、訪問美容を行うとこんなに素晴らしい効果があるということを普及させていくことが大切になります。

訪問美容をしたくてもどうしたらいいのか分からない方も多いでしょう。職員向けにまずアプローチをすることも必要になります。セミナーを開催することも発展に貢献できるのではないでしょうか。

また、老人ホーム側の資金的な問題もあります。化粧品を買いたいけれど買えないなどで、訪問美容の発展が阻害されているケースも考えられます。そういった場合は、化粧品メーカーやドラッグストアなどに働きかけスポンサーとして商品を提供してもらうなどの取り組みが必要になってくるでしょう。

編集部
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あなたにとって介護×美容とは?

私にとって訪問美容は、私が介護の仕事を続けるうえで欠かせないことであり、仕事を行う上で大切な取り組みの一つです。介護の目的の一つとしてQOLの向上という言葉があります。

QOLとは生活の質であり、生活の質を上げることが大切になってくるのです。介護×美容は生活の質を上げるという点においては非常に優れているのではないかと考えています。

例えば、足が痛くなり外出も少なくなり、身なりにも気を使わなくなった高齢者がいるとします。そういった方は、いわゆるQOLが低下している状態であるといえます。

人に見せられる身なりではない為、さらに外出が少なくなってしまいます。通常のアプローチ方法であれば、足の痛みを軽減させるためにリハビリに通ったり、薬を飲んだりしますが、介護×美容の概念があれば逆のアプローチが出来るのです。

身なりに気を使ってもらうようになり、人に合うことが楽しみになって、リハビリや服薬に対して意欲的になり、外出できるようになるという今までと反対のアプローチを行うことが出来ます。

私にとって訪問美容は、QOLの質を上げるために必要なものだといえますし、今までになかったアプローチで高齢者の意欲を増進させるものだと考えています。

編集部
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これから、介護×美容分野にチャンレンジする方へメッセージをお願い致します。

訪問美容には技術も接客も必要ですが、決して難しいものではありません。ある程度化粧を行ってきている方であれば、問題なくできます。また、訪問理美容は化粧やヘアメイクだけではありません。

最近ではネイルなどもニーズが増加しています。ネイルであれば自分でも出来ると思う方も多いのではないでしょうか?簡単に一色だけを使ってネイルするだけでも、高齢者にとっては非日常であるといえますし、少しストーンなどの装飾をするだけで喜ばれることもあります。

今後、訪問美容のニーズはますます増加してくると考えられます。現在介護を受けている方は、戦争などを体験し若いころから化粧などしたことがない方が多いのですが、これから介護を受ける方は、若い頃は化粧をして、おしゃれを楽しんだ世代ですので、着飾ることに抵抗がなくなるといえます。その為、年をとってもきれいで過ごしたいと思うニーズもあるでしょう。

もし、これから訪問美容の世界に入ろうと思うのであれば、一度は高齢者施設の見学などを行うことをお勧めします。私は介護の現場に美容は必要だと考えています。寝ぐせのまま過ごしている高齢者、汚れている服を着ている高齢者などを見るかもしれません。見学をすることによって訪問美容の必要性を感じてもらいたいと考えています。

ぜひ、訪問美容を世の中に広めていって、高齢者でも生きがいを持てる社会を目指しましょう。

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