サロン感覚で施術。訪問美容師として日常に「うれしい」をプラス

介護×美容

訪問理美容分野で働く人の経験談

インタビュー実施日:2021年3月30日

プロフィール
  • 年齢・性別:40代女性
  • 仕事内容:美容師
  • 得意分野:美容、メイク、着付け
  • 介護美容歴:10年
編集部
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何がキッカケで訪問美容・介護美容に関わろうと思ったのでしょうか?

新人の頃にホームなどのボランティアカットに参加したのがきっかけです。

その後に祖母が特老にお世話になることになり、祖母と一緒にほかの入居者さんのカットやメイク、米寿などのお祝いのお手伝いをさせていただく機会が増えました。

美容職なので、年齢ごとのお祝いのお手伝いをさせていただくことも増えるようになり、改めて勉強をし直し夜学に通うきっかけにもなりました。

実際に介護施設で訪問美容をさせていただくと、理容よりも女性らしい髪型にすることが多いことから、女性の入居者さんは女性らしい感じになることから訪問させていただくと笑って迎えてくれることが増えてきました。

施設の介護士さんたちも、美容室などの時間が確保できない人も多く、入居者さんの訪問美容が終わった後に、介護士さんの美容ケアなどをさせていただくことも増えてきており、訪問美容は入居者さんだけではなく、施設という単位で考えていくことも大事だと思えるようになりました。

カットだけではなくヘアカラーやパーマなども含めて、仕上がった後の入居者さんが本当に可愛い笑顔になってくださることや、介護士さんたちのホッとしたという言葉をもらうたびに、訪問美容の広さを感じています。

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編集部
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訪問美容・介護美容の社会的意義はどのようなものだと考えますか?

介護系の美容はどうしても「手入れのしやすさ重視」が多く、女性でも男性的なヘアスタイルやボウズスタイルに近いものが多くありました。

衛生面を考えてベリーショートでも女性的なスタイル、ドライヤーで乾かすだけでヘアスタイルになるようにカットすることで女性の柔らかさ、顔立ちつくると鏡越しに仕上がった瞬間の入居者さんの表情が本当に変わります。

眉を整えて、無添加系のメイク道具で簡単なメイクをするだけでもみなさん時間が巻き戻ったような会話を聞かせてくださいます。

その人が満足できて、笑顔に萎えることが訪問美容には大事な部分です。

ですが、同時に手間をかけずにできるお手入れ、衛生面の向上も損なうわけにはいかないので、ご家族がいらした時にいつでもきれいでいられる状態のスタイルを作ることがさらに大事だと感じています。

ドライヤー一つで完成するスタイル、眉は自然な形にカットして整え、自然な美しさを維持できるようにすることで入居者さんのメンタル面にも影響が出るので女性と美容は永遠に切り離せないものだと感じています。

施設にいるから仕方ない、ではなく、施設にいてもいつも通りにきれいで笑顔という部分を重視する意識も訪問美容をする側には必要だと痛感しています。

編集部
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どんな時にやりがいを感じますか?

仕上がった瞬間の笑顔もですが、忘れがちになってしまう喜寿や米寿などのお祝いができるということを伝えた時に家族から希望が出たなどの声を頂いたときです。

ネイルなどはエメリーボードで表面の艶出し磨きなどを中心にしているんですが、仕上げのネイルクリームを指先や手のひら全体にマッサージすると本当にきらきらの笑顔になってくださり、昔のお話をたくさん聞かせてもらえるのもうれしいです。

たまたまいらしたご家族の方から「前は男っぽかったけども、うちにいた頃のおばあちゃんに戻ったのでうれしいです」と言葉を頂いたときも本当に良かったと思いました。

美容にしかできない部分や美容分野で出来ることをより広げながら、施設にいてもきれいな女性、を提案できるようにありたいです。

介護士さんたちにも、サロンと同じサービスを提供することでプライベートと仕事の充実のお手伝いにもなることから、自分自身の気持ちの維持にもつながっています。

「学校行事があるけどもサロンに行けなかったからすごくほっとした」といわれた時に、改めて記念日に携わることの重大さとうれしさを感じました。

入居者さんが「待ってたのよ」といってくださることも継続する力になっています。

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施術中にもっとも気を付けていることはありますか?

男性はできるだけかっこよく、女性は可愛らしく、を大事にしています。

トイレや衛生面だけを最重視したスタイルではなく、洗って乾かすだけで形になること、平均して2ヶ月に1度のケアで維持できるようにすること、シャンプーなどの希望がある際には安全度の高いものを携帯しています。

ヘアカラーやパーマは、カット+ワンメニューで1時間以内に終わるようにしています。

メイク用品、ネイルケア用品などは天然成分を主体にしたもの、口に入っても安全度の高いものを使用しています。

ドライヤーだけで形になるようにすることで衛生面の維持を簡単にできることと、介護士さんたちの負担を減らすことができることにもつながるので乾かしてこの形にできる、という部分を重要視してスタイルを作っています。

入居者さんと訪問美容師ではなく、サロンにいらしてくださったお客さんと美容師という形式にすることと、必ず1回の施術で3回とも、お名前で○○さんはどうですか?といった具合に名前で呼ばせていただくことを意識しています。

その一瞬だけでも介護される側ではなく、いち個人として美容サロンに来て、くつろいでいるという空間を作ることを常に意識して心がけています。

編集部
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介護×美容分野が発展するために必要なことは何だと思いますか?

介護だから多少男性的なスタイルでも仕方ない、ではなく、男性はカッコよく、女性は可愛らしくを意識し、ドライヤーを入れるだけでOKというワンステップでスタイルを完成させていく位ことが大事だと思います。

自宅にいた頃と同じスタイルを作ることで、ご家族も「預けてよかった」という形になり、入居者さんも「普段通りの自分」で過ごせるようになり、介護という部分を少し変えられると考えています。

衛生面の向上のために仕上がりだけではなく、清潔な状態を作りやすいスタイルで男性的なもの、女性的なものを提案することで介護美容を出張美容という形に変えていき、入居者さん、介護士さん、ご家族の三方向に嬉しいを作れるようになれば若年層の理美容師たちが取り組むためのハードルも下がってくると思います。

また、介護美容という言葉になると責任を大きく感じやすい人も出てきますが、訪問して行う出張美容の感覚になってくれば幅広い年代が対応できるようになると考えています。

介護美容だから、ではなく一人のお客さんを担当させていただくという気持ちで施術することで仕上がりも大きく変わってくるのでこの部分も大事だと思っています。

介護であって介護でない部分も大事な仕事なので、施術する側がどこまで個人というものを尊重するかも必要な部分だと思います。

編集部
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あなたにとって介護×美容とは?

自分の家族もですが、自分もいつ介護される側になるのかわからない時世であり、遠いものではないと思っています。

そのため、移動サロンや出張美容という感覚で施術させていただき、利用する側もサロンに来ている、サロンが出張してきたという感覚になることを目指しています。

そうすれば、次回の訪問を楽しみにして下ることにもつながりやすくなるので、日々の活力にお互いになっていくことにもなります。

誰でも直面する可能性があるからこそ、介護であって介護ではない部分も大事であり幅広い美容とサービスの提供を行い、普段よりもちょっとうれしい、を作れることが大事だと考えています。

施術に使用するものは安全度の高いものを選ぶのはもちろんですが、あくまで通常業務と同じようにすることで一瞬だけ介護という日常を忘れてくつろげるという部分が出てきます。

利用者さんもですが、ご家族、施設の介護士さんと三方向に良い形を作ることが介護美容だと思っています。

自分の知らない時代の話や、得意な料理を教えてくださる方が多く、刺激や学ぶ機会が多い分野だと思っています。

そこから得られるものや考えさせられることなどは、訪問介護を通しての出会いがなければ知らないものばかりでした。気付きと発見の多い仕事だと思います。

編集部
編集部

これから、介護×美容分野にチャンレンジする方へメッセージをお願い致します。

介護、というとハードルが高いように思えますが実際に施術させていただくときに感じるのは、一人の個人として対面することでそのハードルはとても下がるという部分です。

普段通りに接することで多方面においての良い効果を発揮することができます。

その一方で、介護という部分を意識することで薬剤への知識、認識、施術時間を短しぃくするために必要な技術などを改めて考えることになりスキルアップにもつながります。

今後必要とされる分野であり、新しい世代が入ることでより発展していく分野でもあります。

サロンでの勤務に対する意識も変わってくるので、介護美容、訪問美容に一歩踏み出して取り組んでいただきたいと切に思います。

介護というものは今後身近になってくる存在です。

その時に気軽にサロンに行けないから、訪問で来てもらおう!という環境が整うことで利用者さんの気持ちは変わっていきます。

まだまだ人数が少なく、手探りであることは否めません。美容業界全体としてみても今後広がっていく分野です。

フリーランスの訪問理美容なども多くなっていくので一つの就業形態として考えられます。

美容学校などでの短期セミナーなどで紹介などもあるので、一度参加してみるだけでも認識が変わるので、まずは参加しやすい部分から取り組んでみるのがおすすめです。

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