車いすでも笑顔で結婚式に参列できる。訪問美容の可能性の大きさ

介護×美容

訪問理美容分野で働く人の経験談

インタビュー実施日:2021年6月25日

プロフィール
  • 年齢・性別:40代女性
  • 仕事内容:美容師
  • 得意分野:ヘアカット、美容全般
  • 介護美容歴:8年
編集部
編集部

何がキッカケで訪問美容・介護美容に関わろうと思ったのでしょうか?

サロンに車椅子の方が来店してくださっているのと、全盲の方が付き添いの方と一緒に来てくださっているので考え始めました。その中で「結婚式に参列したい」という相談を受け、車椅子でも参列できるように手順をどのようにするかなどを考え、ホテルなどとの確認などをとりながら改めて訪問美容というものを真剣に考えるようになりました。

車椅子で快適に過ごせるための衣装選びや生地などの素材、座った際に柄が見えるようにするかなど、通常の業務とはまったく違った目線を持つことなどが訪問美容における、着付けなどには必要だと感じました。

訪問の際にもどの位置に何をおくべきかなどを考えることになり、通常業務と訪問美容の両立、訪問美容の曜日をどこに設定するかなどの課題もできました。

全盲の方の来店も「予約なしで入れる」という口コミと、お客様が全盲であっても見えていることと同じように接することを意識して施術することで、ほかの目の不自由な方や聴力障害のある方などにサロンが広がるきっかけにもなりました。

数としてはまだまだ少ないですが、「このお店は障害があっても気軽に入ることができる」「気軽に出張を頼める」という立ち位置になれたらと考えるようにもなりました。

参考介護美容専門スクール「介護美容研究所」とは?訪問理美容という新しい介護ケアが始まる

編集部
編集部

訪問美容・介護美容の社会的意義はどのようなものだと考えますか?

訪問美容は身体的な障害のある方もですが、メンタル系の障害のある方でも自宅で自分の体やメンタル状態に合わせた施術ができる部分が、すごく大きなものだと思います。

こちらか持ち込むものは最小の道具になるので、結婚式への参列までにはいくつかの工程を提案させていただき、車椅子は利用しているけれどもそれ以外はほかの参列者と変わらないものである部分を重要視しました。

車椅子だから結婚式に参加できない、参加を遠慮しよう。ではなく、車椅子だけども礼服を着て参列してお祝いしよう、車椅子という部分以外は社会的に一般の健常者の方と同じであるという部分を冠婚葬祭などの参列では強く感じることができます。

実際に着物などの生地の選び方もですが、内側にピンなどを入れることでお手洗いなどでも簡単に前を開けることができるようになど、仕込みをするだけで参列の際に心身の負担を一気に減らすことができました。

通常だったら諦めてしまうことでも、少しの工夫と切り替え方で可能になるものが多い。それが、訪問美容の大きな可能性と社会的意義だと思います。

身体やメンタルに障害のある方の社会活動をサポートし、自信につなげることができることも訪問美容の可能性だと考えています。

編集部
編集部

どんな時にやりがいを感じますか?

「結婚式に呼ばれてるんだけれども、車椅子だから諦めようかと思って」というお話を頂き、参列までの流れを作れたことは訪問美容でおおきなものを得たと思います。

衣装屋さんと同行して重くない生地で画像を見ながら数枚に絞り込み、一番気に入ったものを一緒に選択できたことや、式の一週間前までにカラーを終わらせ、当日の朝は30分余裕がある時間に仕上げました。

式場のほうにも参列者に車椅子の人がいることを伝え、披露宴スタッフだけではなくホテルに認識してもらうことで、参列する側も安全がより高く確保できること、調べることや連絡などで自分の中の仕事の幅も広がりました。

参列後も当日の間にお礼の電話を頂き、迷うならば行動をすることでたくさんの人の思い出やその日までの活力、次の日からの心の形などが変わるので実行の大切さも感じます。

やりがいという言葉になるかはまだ分かりませんが、このようにあきらめてしまうことでも訪問美容の形を少し変え、衣装屋さんなどとの連携をとることで諦めを可能にすることもできます。

この部分を今後も広げて可能性を作っていきたいです。

訪問美容師の存在自体が、まだまだ地方では知られていないので自宅で美容サービスを受けることができる部分も打ち出していきたいです。

介護美容業界で働く人達の経験談

介護美容研究所とは?美を引き出す美容福祉で手に職を
サロン感覚で施術。訪問美容師として日常に「うれしい」をプラス
介護美容は高齢者の人生を豊かにする魔法。生き甲斐や人生満足度を向上
利用者様の笑顔を大切に。訪問美容師として大事にしていきたいこと
訪問理容で高齢者に希望の光を。私の第2の仕事人生がスタート
編集部
編集部

施術中にもっとも気を付けていることはありますか?

ご自宅での施術の際には、洗面台のシャワーなどを使わせていただけるなど条件を確認しています。薬剤などを使用する際にはこの部分をチェックしておかないと大変な事にもなるので。

お店での仕事よりもトークの内容などを選ぶこと、姿勢などが苦しくないか、体調不良などはないかを定期的に確認しています。

マンツーマンでの施術になるので、次回の来訪の際にも今回の会話を忘れないようにメモ機能などをつかいます。

ふらっと立ち寄るという部分がないので、ここを意識しておくだけで信頼関係が変わってくるからです。

事前にご家族から病状などを聞いた際にも、現在の状態に合わせた滞在時間を先にだし、ご家族のほうに伝えてから訪問させていただいています。

とくに、メンタル系の方の場合には長時間いることで、負担になる可能性なども考えられるので、お店での施術時間が60分なら訪問美容は45分という感じに短くしていくことを心がけています。

編集部
編集部

介護×美容分野が発展するために必要なことは何だと思いますか?

美容室に来るのが怖い。美容室に行くと誰かいるのが怖い。という方も非常に多いです。

メンタルなどの病気や障害を持っている人などは訪問美容を受けて、視点が変わったといってもらえることが多いです。

あちらの指定の時間などに合わせることなどもが課題にはなりますが、訪問美容が単純に身体面の障害だけではなく、メンタル面などの場合でも対応できるようにしていくことが発展と浸透につながると思います。

身体的な障害であっても、メンタル的なものであっても、施術する際には一人のお客様であり、障害があるという分は理解は必要でも過度の保護は逆にお客様の心を重くしてしまいます。

適度な距離の測り方、対応の仕方、それに追加になる病気などに対する大まかな知識が必須だと思います。

共感もですが理解と、他の健常者の方と同じように接することを意識していくのも必要なことになり、課題だとも思いました。

自宅でもおしゃれができる、自宅でも気分転換ができる。この部分を前に出していくことも訪問美容を広げるためには必須ではないでしょうか。

「来てもらうのが申し訳ない」が「今日来てくれるのを待ってたのよ」に変えていくことを考えたいです。広めるという部分が最大の課題だと思っています。

編集部
編集部

あなたにとって介護×美容とは?

お客様との信頼関係をより強くすることはもちろんですが、同じように訪問や出張美容を待っているお客様を担当させてもらうことで、美容自体の可能性を広げていると感じました。

地方ではまだまだ集団を施術する介護施設などの出張美容は何となく認識されていても、個人のお宅にお邪魔して施術をする出張美容、訪問美容はまだまだ認識されていません。

「来てもらうのが申し訳ない」を「今日もお願い」に変えていけることなどが出張美容をさせてもらう際の大きな原動力にもなっています。

実際に営業時間外になることが多いですが、認識されることで「この日は出張、訪問の日」と決めることでお店に来ていただくお客様も、お宅で待っていてくれるお客様も同じようにデイリータイムで満足していただけるんじゃないかと思います。

編集部
編集部

これから、介護×美容分野にチャンレンジする方へメッセージをお願い致します。

訪問美容は向こうからの希望を頂くこともありますが、こちらから先に「大変な時にはご自宅でもできますので、訪問しますよ」と伝えることが大事だと思います。

こちらから提案することでお客様も「じゃあ、頼んでみようかな」という感覚に名盛るからです。

最初の切り出し方などが大変だと思う人もいるかもしれませんが「自宅でもやってくれる」と思ってもらうことで、人生の大事な日のサポートにつながることもあります。

美容の幅は大きなものであり、一つに限りません。

同じように、一見健康に見えても病気や障害を抱えてる方も多くいます。

私たち美容師がお店の外で出来ることは、まだまだ発展途上中ですが、今後のニーズは確実に増えていくものになります。

基礎力もですが幅広い対応力を持つことで訪問美容で出来ることが増えていきます。

まだまだ対応できる美容師もですが、訪問美容自体の認識や「自宅に来てもらうのが悪い気がする」というお客様のハードルもあります。

この部分を緩和させていくためにもこちらから声をかけていくことで、声が届くお客様が増えていくことも感じています。迷っているならば声をかけてみる。これが一番大事だと思います。

コメント一覧

タイトルとURLをコピーしました