現役介護士の深イイ話
インタビュー実施日:2019年9月19日
現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。
高校を卒業してすぐに神奈川県海老名市で介護の道へ。尊敬していた先輩に介護福祉士の資格を勧められ、2007年に取得。資格取得後、すぐに中間管理職として20人のメンバーをまとめる。
スキルアップとして、社会福祉士とケアマネジャー、ガイドヘルパー、重度訪問介護従業者など資格取得のために勉強中。
50歳までに自分の介護施設を建て、高齢者の役に立ち介護しやすい環境を作ることが最終的な目標。
介護職 長野さん
あなたにとって介護職とは?
社会的使命であり、私の天職です。この仕事に誇りを持って取り組めています。体力ある限り、この仕事は続けていきたいです。
私のざっくり変遷記(職務経歴概略)
- 2003年4月~2008年3月有料老人ホーム高校を卒業してすぐに神奈川県海老名市で介護職を始める
- 2007年介護福祉士を取得先輩の勧めで資格を取得。介護福祉士を取得してからすぐに中間管理職として昇級。
- 2008年4月~2009年3月休職期間体調不良のため休職
- 2009年4月~現在特別養護老人ホーム長野県で管理職をしながら介護職員として働く。
私はこんな介護士です。

自分がされて嬉しいと思える介護、自分がお金を出しても入居したいと思える施設の介護士を目指しています。
介護の世界に入って、もう15年が過ぎようとしています。あっという間に過ぎていったと思います。楽しいことも辛いこともたくさん経験してきました。
困ったときに「いつ何時」「余裕があって」「笑顔で」手を差し伸べる事ができる介護士で居続けたいです。

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?
私が介護職を目指したきっかけは中学生の時に慰問訪問したことです。その時に障がい者を持った方とと出会い、手伝いをする機会がありました。
しかし私は何もすることが出来ず、介護スタッフがやっているのを見ているだけという状況でした。
その障害を持った方は自分達と年齢がほとんど変わらないのに誰かの補助がないと日常生活が難しい。という現状を知りすごく自分がやるせない気持ちになりました。
どうして私には何も出来ないのだろう、手助けをすることが出来ないんだろう、施設に行った時に様々な事を思いました。
もし介護職として施設で働いていたら、楽しい、やりがいを感じられる時はいつだろう、介護職に対して興味が湧いてきました。職員の人にお話を聞いた時にはありがとうって直接言ってもらえるのが1番のやりがいかなと言っていました。直接ありがとうと言ってもらえるのは本当に魅力的だと思ったのが、中学生ながら記憶に残っています。
企業で働いていると、ありがとうと言われる機会も少ないだろうし、やることが当たり前だと思います。
介護職につけば直接入居者ににありがとうを言ってもらえる。こんな素晴らしい環境は他にありません。夜勤もあることもある程度覚悟していたので働く上での心配はありませんでした。そして、全てのことを踏まえた上で施設の職員として働くのは良いかなと思いました。
また、私の親は介護職をやっていて生の声を聞くことが出来たのも大きかったです。メリット、デメリットを教えてもらっていたので自分の中である程度覚悟した上で介護職になろうと思えました。
高齢化社会が進んでいるので介護職は解雇されることがないので安定しているというのも介護士を目指したきっかけでもあります。国家資格などの資格を取れば介護職は昇級しやすいです。
福利厚生面なども配慮して介護職としての働こうと決めました。決めてからは高校二年生から資格の勉強を始めて知識だけは身に付けるようにしていました。やるからには他の人には負けない介護士になろうと決めました。

介護職をやってみて苦労したこと、大変だったことは何ですか?
私が介護職を始めて苦労したことは入居者とのコミュニケーションがナチュラルに出来ないということです。
入居者は基本的に65歳以上の方が多いです。そのため何を話して良いのかも分からず、非常に苦労しました。最近流行りの歌、話題を話したとしても入居者は理解することは出来ず、コミュニケーションを取るのはこんなにも難しいんだと痛感しました。
その時に私は上司にアドバイスを求めました。上司に言われたのが入居者のペースに合わせてコミュニケーションを取れば良いということでした。
私が引っ張るのではなくて入居者に合わせたコミュニケーションをする。例えば着ている服はおしゃれだね、どうしてこの色の服を選んだの?であったり、ここに置いてあるのは趣味でやってるの?であったり、その人に合わせたコミュニケーションを取る。
それをする事で入居者とのコミュニケーションも以前よりも改善されて入居者とも良い距離感を保ちながら仕事が出来るようになりました。
また、私が苦労したのは入居者に合わせた介護をするということです。入居者には足が麻痺している方、右半分が麻痺している方、一人ではトイレに行くことが出来ない方という色々な問題を抱えている方がいます。
そのため私達はその人たちに合わせたケアプランを立て、介護をしなければなりません。しかし、私が若い頃はそれが出来なくて苦労しました。
まれに髪の毛を引っ張られたり、殴られたり、噛まれたりしました。入社してすぐだったので本当にショックでご飯も喉に通らない感じでした。すごく悩みました。
再度、上司にアドバイスを求めた時に言われたのが距離感をしっかり掴んで自分が介護しやすい空気を生み出すこと。その人に必要なことなんなのか素早く察するということでした。
シンプルのようで難しいアドバイスでしたがこの二つは常に意識して介護をするようになりました。自分は当時はあまり知識もなくてスキルもない方なのでどう介護をしなければ良いのか分かりませんでしたが私の上司のアドバイスのおかげで殴られたり、引っ張られたり、噛まれることはなくなり自然とコミュニケーションが取れるようになりました。
私は苦労した事はたくさんありますが、それも色々な方に支えてもらい改善することが出来ました。本当に大変で沢山悩みましたがその都度アドバイスを求め自分のスキルアップに繋げていきました。たくさんの人に支えられるのは本当に大切だと感じました。
他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?
私が働いていてやりがいを感じるのは、利用者の最期の人生に寄りそうことが出来ると言う点です。介護職は、人生の最後まで見届けることが出来る数少ない職種です。
私たちは外出をして桜を見たり、散歩をしたり、思い出の場所に行ったりします。そうすると利用者は笑顔で楽しんでくれます。その時に介護士として働いてやりがいを感じました。
その理由として私たちの仕事は入居者をただ介護して生活の身の回りをサポートするだけではダメで、少しでも笑顔になってもらう努力をしなければなりません。
実際最近も外出をして公園に行きましたが笑顔で外の空気を浴びるのは楽しいし落ち着くと言っていました。その時に介護士のやりがいって入居者が少しでも楽しいと思ってくれるようにサポートをして行くこと。近くに寄り添いながらやって行くことが必要なんだと思いました。
次は直接感謝を伝えてもらえることができる点です。私たち介護職は入居者を介護するたびに感謝を言ってもらえます。
例えば、排泄の手伝い、体を拭くときなど。感謝の言葉を直接いた抱けるのは本当に嬉しくてどれだけ辛いことがあったとしても忘れることが出来ます。私が働き始めて2年経った時に言われたのが「若いのにしっかりしていて、常に私たちのことを考えてくれて感謝しかないよ」と言われました。
その方は本当に私のことを孫のように見てくれる方でした。その方は孫がいないので私を孫のように見てくれた。辛いことがあれば私に言いなと言われました。こんなに嬉しい言葉はないと思いました。
普段私たちが介護をしていますが逆にサポートをしてもらっているような感じになりました。こうやって介護職としてのやりがいを見つけて行くんだなと思いました。
次にステップアップしやすいという点。私は6年目で中間管理職まで行きました。上司の意見を聞き、部下に反映して行く立場になりました。基本的に一般企業で働くよりもステップアップしやすいです。
大変な仕事ではありますが自分の頑張り次第では上の立場に行くことが可能です。上司とのコミュニケーションも取りやすい環境があるというのも魅力の一つかなと思います。
上司は基本的に施設にあることが多くて外出をしていることが少ない。なので中間管理職の私にとっては有難いと感じました。私もどうしたらステップアップすることができるのか常に考えていました。その為に資格も取って私しか出来ない強みを持つことにしました。
その努力が認められて6年で中間管理職になれました。上司が近くにいる環境だと自分の頑張りも見てもらえることが多い。ステップアップすることがやりがいにもつながります。私は常にステップアップすることだけを意識するようにして生活をしていました。
やりがいを見つけて生活をするというのは中々難しいことではあります。しかし仕事でのやりがいは絶対に見つけなければならない。介護職は大変ですがやりがいを見つけやすい仕事でもあります。

日頃から大切になさっていることはなんですか?
相手の立場に立つことで気持ちを理解するということです。入居者は自分の思い通りに身体を動かすことができない人がいたりストレスが溜まっている不満を抱えている人がいます。
人によって性格が違うので常に相手の立場のことを考えて行動をとるようにしています。私達は接している入居者が多いので常に相手の立場を考えて接客をするという事は必要不可欠で絶対に大切にしなければなりません。
高齢者は納得が行かないと必ず口に出して言ってくれるので分かりやすいです。入居者はストレスを積極的に私達にぶつけてきます。その時は忙しいときにはイライラしてしまうことがあります。
その時は自分を納得させて対応するように心がけています。イライラする気持ちをしっかり自分なりに落とし込むようにしています。絶対に態度、言動に出さないように心がけています。
次に分からない事は必ず聞く事。これは入居者ではなく仕事の面です。自分の分からないことを分からないままにしてしまうと自分に仇となり返ってきます。その経験をしてからは絶対に分からない事は他の人に聞こうと決めました。
上司も分からないことをそのままにするのではなくて積極的に質問をしてくださいと言ってくれました。わからないことをそのままにして二度目も失敗してしまうのでステップアップの妨げにもなってしまいます。妨げになることを避ける為に常に分からないことがあれば質問をするようにしています。
また、現在管理職として働いていますが部下にも分からないことがあれば必ず質問をするように言っています。自分の経験を後輩にさせないように注意をするようにしています。少しでも自分の経験を後輩に反映していき後輩が成長できる手助けができれば良いなと思っています。
私はこの二つは常に意識するようにしています。意識することで自分のスキルアップ向上にも繋がります。常に自分が成長したいという気持ちを忘れないように仕事に望むようにしています。

今後やりたい事や目標などありますか?
私の今後の目標として考えているのは部下を管理職まで育て上げるということです。部下は現在8人います。8人とも管理職に育てるというわけには行きませんが、一人でも多く管理者として活躍することができる人を育て上げたいという気持ちがあります。若手の育成はこれから大切になってきます。
現在若手や介護職の人が足りなくて介護業界は困っています。困っているからこそ大事に育てて介護職の魅力を伝えながら育成をしています。若手の子達はゆとり教育世代なので少し扱いにくいという点はありますが、それでも逃げずに向き合うようにしています。
また、若手とも積極的にコミュニケーションをとっています。辛いこと、大変なことなどを聞いてあげるようにしています。メンタル面でのサポートもするようにしています。
さらに、資格の数を増やして自分のスキルを伸ばしていきたいと思っています。資格があれば自分の仕事の幅も広がります。最終的な目標でもある自分の施設を作るということにも繋がります。自分の目標を叶えるためにも資格を取るという事は絶対にチャレンジして聞きたいと思っています。
最終的な目標は自分で施設を作るということです。高齢化社会がかなり加速してきます。施設も足りなくて自宅で介護をしなければならない人が増えてきています。それを少しでも改善しなければならないと私は感じています。
自分の施設を作れば自分が感じたことを反映した施設を作ることができます。少しでも高齢者の役に立ち介護しやすい環境を作ってあげる。若手が働きやすい環境を作ってあげることも必要だと私は感じています。その手助けのために自分で施設を作りたいと考えています。
現在はこの三つの目標をモチベーションにして仕事を頑張っています。目標は必ず達成していきたいです。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

介護職は大変と思われている方が多いです。確かな大変ですが仕事に楽、楽しいという事はありません。どの仕事も大変だし、辛いと思うことがあります。
でも、それを乗り越えた時に大きな達成感があります。介護職も同じです。介護職は入居者にありがとうと直接言ってもらえる環境でもある。コミュニケーション能力を上げることができる環境もあります。メリットもあればデメリットもあります。それを上手く自分なりにポジティブ思考に考えて行くことが必要です。
そしてこれから介護業界は賑わってきます。その理由としては高齢化社会です。高齢化社会がどんどん加速して行く中で介護職として働いていればクビになる事はありません。人手が足りないということが原因です。安定した職であるといえます。公務員のような感覚で良いと思います。
安定した職種であるからこそこれから介護職として働こうと考えている方にはお勧めをしたいです。若手の力が介護業界を変えていきます。その為に力を貸してもらいたいです。大変な仕事ですがその分しっかりやりがいを感じられる仕事でもあります。
ぜひ一度足を踏み入れてはいかがでしょうか。