介護職としての私と、これから介護職に就く方へ伝えたいことについて

現役介護士に話を聞く「深イイ話」

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2019年09月20日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。

プロフィール

年齢は29歳、介護歴は累計11ヶ月。ライターを本業としつつ、特別擁護老人ホームの夜勤専従職員として勤務。

また、介護施設が発行するメルマガの執筆などにも携わっています。介護職はたいへんであることを受け入れつつも、やりがいと喜びを感じるタイプです。

収入面ではライターの方が恵まれているとは分かりつつも、介護の世界に関わり続けています。

介護職 タチバナさん

あなたにとって介護職とは?

一言で言えば、「何物にも替えがたい喜びと、大きな試練が同居する仕事」です。心身ともに辛いこともありますが、それと同等の喜びを得られるのが、介護職だと思っています。

また、試練を乗り越える覚悟が求められる仕事でもあると感じています。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • ~2018年12月
    工場の生産管理者
     主に製品の品質管理、受発注業務を担当。しかし明らかに自分の資質と合わないと感じることが増えて、わずか半年程度で退職することとなりました。この反省を活かし、「次の仕事は、自分の資質や性格とマッチしたものにしよう」と決意。検討して結果、最終的に介護職へとたどり着きます。
  • 2019年1月
    介護職としてのキャリアをスタート
     ユニット型の特別擁護老人ホームにて勤務を開始。自分の資質、性格とマッチしている職業であることはわかっていたので、楽しく働いていました。入居者さんとの触れ合いは、私にとってたいへん大きな喜びです。とは言え、中にはコミュニケーションを取り辛い入居者さんと出会うことも。しかし、それについては覚悟していたこと。苦労はしましたが、なんとか関係性は築けました。
  • 2019年3月
    初めて入居者さんの死に直面
    「介護職とは、入居者さんに何を提供するべきなのか?」ということについて、深く考えるようになりました。「入居者さんに、幸福な日々を一日でも多く提供する」という答えに行き着きました。ここから私のモチベーションは、さらに向上。僭越ながら、上司からもやる気の高さは評価していただいていました。しかし2019年6月、本来は副業だったはずのライターが多忙になり、やむをえず一旦離職。後ろ髪を引かれる思いで、離職の手続きへと移ります。とは言え介護への未練は立ちきれず、別の介護施設が発行するメルマガを執筆するなどもしていました。
  • 2019年10月
    ライターの方が収入は高いとは理解しつつも、夜勤専従として復帰。
    施設の方から「うちで夜勤専従として、やらないか?」と誘われたことがきっかけでした。現在は週3日ほど、夜間帯で勤務しています。

私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

安全を確保した上で、コミュニケーションを積極的に取るタイプの介護士です。いつもニコニコしながら、入居者さんと話しているという評価を、第三者から受けています。

かつて昼間に勤務していた時は、少し暇ができようものなら、入居者さんとコミュニケーションを取っていました。別のユニットに入居している方とも関わることも。別のユニットの入居者と関わることについては賛否あるかと思いますが、私はおおいに歓迎すべきことだと考えるタイプです。

現在は夜勤専従なのでコミュニケーションを取る時間は、朝5時から7時の間と限定的です。起床介助で忙しい時間帯なのですが、それでもコミュニケーションは、可能な範囲で取るようにしています。

また、職員同士の人間関係においては、衝突を避けるタイプです。
色々と周囲で衝突がありましたが、あまり深入りしませんでした。個人間の問題は個人間で解決すべきである、という態度です。

ちなみに介護の方針については、あまり口を出しません。そもそも初任者研修を修了したというレベルなので、方針の策定について深く関与すべきではないという考えがありました。したがって、より介護について熟知しているケアマネの指示を綿密にこなすスタンスでした。ただ、当然のことながら、明らかにイレギュラーな事態があればケアマネに報告します。

また、安全確保に対して人一倍過敏である側面もあります。何を差し置いても、まずは事故のない生活が第一であるというのがもっとも優先すべきこと。直属の上司が安全確保について相当な厳しさを持っていたので、自然とこのような側面を持つようになりました。

また、僭越ながら男性で20代ということもあり、女性の入居者さんから好かれる傾向にあります。逆に男性の入居者さんからは、時折厳しい意見を頂戴することが多いです。男性の入居者さんからの関係性を築くということが、私にとってずっとついて回る課題ではあります。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

少し人と変わったきっかけです。「ストレングスファインダー」という、とても正確な性格診断を受けたことが大きな理由。診断結果は、「人をいたわる、助ける、サポートする仕事に向いている」というものでした。一番この結果に沿った仕事は何かと考えた結果、「介護職」というところに行き着きます。

また、自分自身が高齢者好きであるというのも、理由のひとつです。私は、おじいちゃん・おばあちゃん子だったので、高齢者というだけで親しみが持てます。「そこは介護職に就く上で、ひとつの武器となる(あるいは最低限のハードルはクリアしている)」と考えました。

ちなみに介護職として働いている知人から、「あなたなら介護職としてうまくやっていける」というレコメンドが得られたことも、キッカケのひとつです。

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

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編集部
編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

よかったことは、人と人との信頼関係を築ける、ということです。これは職員同士ではなく、私と入居者の方に限定されます。前職、前々職と、ドライな会社で勤めていました。誰と関わるにしても利害関係があり、およそ信頼できる同僚はいなかったのです。

しかし介護士になると、入居者の方と信頼関係を築けます。信頼関係が結ばれた相手と関わるということは、非常に貴重な経験です。これは私にとって、たいへん幸福なことでした。

もちろん自分が楽しいということだけではなく、入居者の方にもメリットがあります。信頼関係が出来上がっていれば、少なくとも私がいる時間は、いつもより安心して過ごせるはずです。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

入居者さんの死です。

今まで一度だけ、直接的に関わった入居者さんの死に触れています。たいへん元気な入居者さんでしたが、私の休養日に容体が急変して亡くなりました。「いつ亡くなってもおかしくない病を抱えている」というのは、事前聞かされていたので、覚悟自体は当時の段階でできていたはず。

しかし、あれほど何の前触れもなく亡くなるとは・・・たいへんなショックがあったことを、今でも覚えています。この経験は、先ほどお話した通り、私の中で大きな変化をもたらしました。介護職として、1日でも長く幸福な日々を提供するという思想を持つに至ります。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

暴言、暴力の目立つ入居者さんとの関わりには苦労しました。とにかく「新人嫌い」の入居者さんだったので、最初はとにかく叩かれて、怒られたことを憶えています。そう言った扱いを受けることについては、ある程度覚悟はしていたつもりです。

とは言え、実際暴言や暴力を受けることについては、ショックが大きかったです。「どこにそんな力があるのだろう」というくらい、強く叩かれたこともあります。

しかし毎日粘り強くコミュニケーションを取ることで、なんとか関係の構築に成功。とにかく「なぜ、そのように暴言暴力が発生してしまうのか?」というところから逆算して、関係を築くに至りました。

今ではある種「仲良し」というような関係になっています。私が夜勤専従になってから関わる回数は減りました。

しかしこの方は、昼間に「タチバナ君はいないのか?」と言っているそうです。こう行った課題を乗り越えられるか否かが、介護職における関門だと思います。
日常業務レベルまで落とし込んだ話をすれば、排泄介助に慣れるまでは多少時間がかかりました。もともと潔癖な部分があるので、最初はかなり抵抗がありました。現在では全く苦にしてはいません。

また、勤務を始めた頃は、ユニットリーダーから怒られっぱなしではありました。特に安全の確保については、相当厳しくしつけられていたと思っています。

(私だけではありませんが)密室でひたすら安全確保に対する考え方を厳しく叩き込まれたりもしました。ただこの経験があったからこそ、現在円滑な介護業務を実施できているものだと考えています。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

何よりも大切にしていることは、「安全」です。もちろん、コミュニケーションを取ること、QOLの向上に貢献することは大切だと思います。そしてそこに、やりがいを感じているのは、上述したとおりです。

しかしそれは、「安全が確保できている上で、初めて追求できること」だと考えています。初任者研修でもそのように教わりました。転倒や誤薬などの可能性は、徹底的に排除するようにしています。例えば誤薬については、自主的にダブルチェックを実施。転倒などについても、自分が怪我をしてでも起こさない覚悟でいます。各種介助をおこなう際も、徹底的に安全優先の姿勢で向き合っています。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

できることなら、ライターとして介護の情報を発信するような仕事がしたいと思っています。現在も、メルマガを執筆したりしています。それだけにはとどまらず、介護職を志している人へヒントが提供できるような記事などを執筆できれば理想的だなと言うのが正直なところです。また、介護施設や介護職の方へ取材をおこない、より実情に則した発疹ができればいいなと思います。

また収入面を解決することができれば、非常勤夜勤専従ではなく、正社員的な立場で介護の現場に立ちたいとも思っています。

編集部
編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

介護職は、辛いことと何物にも替えられない喜びが同居している稀有な職業です。特に入居者さんとの間で芽生える信頼関係は、あなた自身をも幸福にさせるでしょう。もちろん、入居者さんの幸福にも直結します。

一方で、心身の疲労は決して軽いものではありません。時には怒りを感じることでしょう。もしかしたら、涙を流すことさえあるかもしれません。

また、職員同士での意見の衝突も、避けては通れないことです。それを乗り越えられる覚悟があるか、容赦無く問われる仕事です。ぜひ前向きな気持ちと勇気を持って、介護職に向き合ってください。それだけの気持ちを傾ける価値のある職業だと、私は考えています。

最後に現実的な話をすると、介護職の待遇は国レベルで向上しつつあります。実際2019年10月には、介護士の待遇を向上させる処遇が追加されました。これから介護職に就くという人からしてみれば、ある種の追い風は吹いていると、私は考えます。

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