18才無資格未経験で介護の世界へ。「遠い親戚より近くの他人」そんな介護士を目指して

現役介護士に話を聞く「深イイ話」
※画像はイメージです。

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年06月11日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。

プロフィール

進学に挫折し手に職を付けたいと考え、高校卒業後18才で高齢者デイサービスに正社員として就職する。

介護の世界も社会人の心得も分からないまま現場で経験を積み、働きながら介護福祉士の資格を取得する。

6年間勤め退職し、障害者施設や小規模デイサービス等で経験を積みながら、在宅にて祖母を介護する。

介護職 mtap1215さん

あなたにとって介護職とは?

介護士として働いている自分は誇りであり好きな所です。
時には家族のように利用者さんの事を思い考えるのが介護士と言う仕事だと思っています。

例えば食事をいつも拒否される方にどのように接したらご自分で食事をして頂けるのかスタッフみんなで考え、意見を出し合いました。その結果一回だけではありましたが、ご自身で食事された時には心から感動し喜んでいる自分がいました。

このような経験を繰り返しているうちに介護士として利用者の方と向き合っている自分が好きなのだと感じました。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 10代
    音楽が大好きで日々ピアノの練習に励み音楽の勉強が出来る高校に入学
     大学進学を目指していたが、自身の実力と経済的理由から諦め就職を決意する。
    就職先候補の中から介護の仕事を選び、担任の先生からは「介護は大変な仕事だ」と反対されるも、手に職を付けたいと就職を決意し無事に正社員として採用される。 
  • 勤続一年目(19才)
    高齢者デイービスに配属
     「介護」の技術の前に利用者・スタッフとコミュニケーションを図る事に苦戦する。
    とにかく利用者と話せるようになることを目標に取り組む。
    初めて利用者の死を経験し、老いていく事への淋しさを感じる。
    勤続二年目以降、一通りの仕事が身に付き徐々に事務仕事も任せられるようになる。
    趣味のピアノを活かして主に音楽レクリエーションを担当し、それをきっかけに利用者との距離を縮める事が出来る。
  • 勤続3年目
    教育を任せられる
    介護の仕事に対してやりがいを感じられるようになる。一方年間行事等、任せられる仕事が増え負担も大きくなる。
    方向性の同じスタッフと異なるスタッフの中で対立する事が増え人間関係に悩む。
  • 勤続4年目
    介護福祉士の資格取得
    働きながら介護福祉士の勉強に取り組み、合格する。介護職への自信と難しさを感じながら三年間経験を積む。
  • 勤務7年目
    高齢者介護以外にも関心を持つようになり退職
    地元に帰り障害者施設にて活動担当として勤務しながら自宅にて祖母の介護を手伝う。
    3年間勤務し、自分には高齢者介護の方が合うと感じ小規模デイサービスに転職する。
    祖母の在宅介護も本格的に始まり、自宅介護を通して利用者や家族の思い経験する。二年後祖母を見送り、結婚を機に引っ越す。病院にて看護助手として働き現在は育児の為休業している。

私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

私は「ゆっくり」な介護士だと思います。

本当はとてもせっかちな性格ですが、だからこそ「ゆっくり」を心がけています。ゆっくりな話し方、ゆっくりな歩き方、ゆっくりな接し方、それが「丁寧」な介護に繋がると思います。

職員不足の現場の中では速く排泄介助をして速く食事介助をして速く入浴介助をしてと「速さ」を求められることが多くあり、現場では速く出来ることが良い介護士だとどこかで勘違いする雰囲気もありました。

もちろんチームワークや手際の良さは求められますが、それは経験を積むにつれ徐々に身に付いていくと思います。

その一方、日々の忙しさで初心の様な丁寧な介護を忘れそうになることがあり「忙しいのに悪いね」と利用者の方に言わせてしまう事が何度もありました。

どんなに焦っていても忙しいと思わせない気を遣わせない「ゆっくりな接し方」=「丁寧な介護」を心がけています。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

大きな理由は手に職を付けたい、そして大変だというイメージが強い介護士として働けたら格好良いだろうなぁと言う単純な思いでした。

もう一つの理由は、物心付いた時には老人ホームに入所している祖母がいた事でした。ある日、昨晩祖母がトイレに行き自分の排泄物を触っていたと言う報告の連絡があり、

報告をして下さったスタッフの方は祖母の進行していく認知を悲しみ涙ぐんでおられました。

祖母とは言え殆ど関わりのなかった私は、その話を聞いても他人事の様で、涙ぐんでいたスタッフの方の気持ちをその時は理解する事は出来ませんでした。

ですが、家族以上に祖母に対して親身になって下さっていたスタッフの方の事は時が経っても強く印象に残っていました。その事も介護士を目指したきっかけの1つになったと思います。

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

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編集部
編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

人と人の関わりの中で喜びも悲しみも直接感じられる事です。

自分の思いをストレートに口にされる方も多く、信頼関係を築けるまでは「他の人に介助を代わって欲しい」と言われた事もありました。

未熟な新米スタッフと言うことは利用者の方には直ぐに見抜かれてしまいますが、逆に成長や努力も良く見て下さっています。

「ありがとう」や「あんたは上手に手伝ってくれるわ」と感謝の気持ちやお褒めの言葉を直接受け止める事も出来ました。

頑張った分だけ結果として現れ、それが直接感じられることはやりがいと自信になりました。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

就職して1年目の頃、利用者の方を自宅に迎えに行き園に到着すると1人の方が「車の暖房が強くてしんどかった」と怒りだされ、その日は1日怒っておられました。

車内で話しかける事すら出来ない不馴れな私の事が気に要らない部分もあったのだと思います。

私はただただ涙をこらえるのに必死で、その日は出来るだけその利用者さんには近づかないように過ごしていました。

ですが、業務終了後に先輩スタッフに「怒られて苦手になったからと言って避けたらあかんで。そう言う人にこそ逆に自分かんどん話しかけに行かないと」と言われました。

次のお迎え時、正直気が重かったですが1番に「車内の温度は大丈夫ですか?この前はすみませんでした」と謝罪しました。

そうすると「何事も勉強勉強!」と明るく笑いながら返して下さいました。

その時、私自身の沈んでいた気持ちが明るくなったことは今でもよく覚えています。

その後は私の事をニックネームで呼び可愛がって下さり「この子は上手に歩かせてくれるんやで」とご主人に話して誉めて下さる事もありました。

1番最初に怒られた事は印象に強く、介護技術だけではなく介護士として人と関わることの難しさと大切さを学ぶことが出来ました。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

1人だけ10代だったこともあり、利用者・スタッフ両方とのコミュニケーションが中々取れずに悩むことが多かったです。

どんな話題をどんな風に話しかけて良いのか分からなく、ただただ立ちすくむしか出来ず「自分からどんどん話しかけに行かないと!」注意を受けることもありました。

介護技術も全く無かったので、車椅子を押すという介助すらも不安で「私が人の介助なんてして良いのだろうか」と常に不安でした。

先輩から寝たきり方の着衣介助を教えて頂いた時も何をどうして良いのかさっぱり分からず「この介助を私が出来る時が来るのか?私には絶対に無理だ」と思っていた程でした。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

「おはようございます。今日もよろしくお願いします」とひとりひとりの利用者の方に挨拶をすることです。最初は先輩の真似をして挨拶しているだけでしたが、ある日「あの子はひとりひとりに挨拶して偉いねぇ」と利用者さん同士が話されたいるのを耳にしました。

何気なくしていたひとりひとりへの挨拶をそんな風に誉めてもらえた事がとても嬉しく、何気ない事が信頼関係に繋がるのだと感じた瞬間でもありました。

どんなに忙しく業務に追われていても「挨拶」を大切にしています。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

音楽療法に関心があります。

普段のレクリエーションの中でもカラオケや手遊び歌等の音楽を取り入れた関わりをすることが多くあり、認知症の方でも昔懐かしの曲は上手に歌われたり、普段居眠りして過ごすことの多い方でも歌の時は元気に歌われたりすることがあります。

実際に音楽療法士の方に来て頂いてのレクリエーションでは、普段のレクリエーションに消極的だった方も熱心に参加される様子が見られました。

音楽療法を学び一歩進んだレクリエーションを行うことは、普段とは違った利用者さんの姿を引き出すことに繋がるのではないかと思います。

編集部
編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

介護の仕事は幅広いい年齢の方が活躍でき何歳から始めても遅くない世界だと思います。

実際に私が18才で就職した1年後に就職された方は60代の方でした。

人と人との仕事なので、まずは自分の年齢で自分だから出来るケアを見つけて欲しいと思います。

私は就職した頃、10代と言う年齢を活かして利用者の方にお料理やお裁縫を教えて頂いていました。孫のような存在のスタッフに教え、頼られる事も少しはご利用者の方の喜びに繋がったと思います。直接的な介護ではないですが、これも10代と言う年齢だから出来たひとつのケアなのではないかなと思います。

そして私のような未経験や無資格の方は特に不安だとおもいますが「資格は後から付いてくる」私は先輩スタッフが言って下さったこの言葉を信じて現場に飛び込みました。

専門知識を学ぶことも資格を取得することももちろん大切な事ですが、一番大切な事は実際に介護の現場の中で利用者の方との関わりの中でしか見つけられないと思います。

悩むこと、分からないこと、怒られること、悲しいこと、死という別れも沢山ありますが、それと同じくらい楽しいこと嬉しいことやりがい出会いを経験出来る仕事です。

「介護の仕事をしたい」と思ったその気持ちを大切に、まず勇気を出して一歩踏み出して欲しいと思います。

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