現役介護士の深イイ話
インタビュー実施日:2020年8月18日
現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。
大学卒業後、外資系製薬会社のMRとして6年間勤務し、転勤族の夫と結婚。引っ越しの機会が多い為、田舎・都会に関わらずニーズが高い介護職へ転職を決意。ハローワークの職業訓練校を利用し、介護職員実務者研修を取得した。
資格取得後は、通所介護施設にて介護職として勤務している。現在は第一子出産の為、育休を取得中で、育児の傍らライターとしても活動中。また、転勤妻の生活を自身のブログで発信している。
介護士 ワーママけいさん
(ブログ運営:てんつまコンテンツ)
あなたにとって介護職とは?
介護職は、「ありがとう」という言葉を1番多く掛けて貰える職業だと思っています。
もちろん、仕事なので辛いことや試練もたくさんあります。でも、利用者さんはもちろん、ご家族や周りのスタッフから言われる「ありがとう」は、その辛さを打ち消すだけの効力があります。
人の為に「何かしたい」「誰かの役に立ちたい」と思われている方には向いているお仕事だと思います。
私のざっくり変遷記(職務経歴概略)
- 2012年4月~2018年7月新社会人として外資系製薬会社に就職大学卒業後、MRとして製薬会社に就職。主に、高血圧や糖尿病治療薬に関する情報を医師に提供していました。
自身も全国転勤の身でありながら、社会人5年目には同じく転勤族の夫と結婚し、一時期は別居夫婦も経験しました。その生活に限界を感じ、6年間勤めた会社を退職することに決めました。 - 2018年10月~2019年3月職業訓練校に通い介護職員実務者研修を取得退職後、以前より気になっていた介護職への転職を決意しました。転職を決めた当初、無資格だった私は、仕事をしながら資格を取得するつもりでした。
しかし、ハローワークで介護職員実務者研修が取得できる職業訓練があると知り、面接と筆記テストののち入学。
半年間にわたる充実した学校生活を終え、晴れて介護職員実務者研修を取得しました。 - 2019年4月~2020年4月通所介護施設に就職職業訓練校を卒業すると同時に、夫の転勤が決定しました。すぐに就職活動を開始し、なんと!通所介護施設への内定を引っ越しから3日後に頂けました。
通所介護施設では、排泄介助や移乗介助、入浴介助などの介助業務から、送迎(運転の業務は無し)、司会進行、体操、レクリエーションなどの通所介護ならではの業務を経験しました。
プライベートでは、自身の妊娠が発覚しましたが、利用者さんや周りのスタッフに配慮して頂きながら臨月まで勤務し、産休に入りました。色々な方に助けて貰い、お腹が大きくなってからも元気に働くことができました。感謝しています。 - 2020年2月~現在副業としてライター業を開始産休のため、介護の仕事は休止中。産休前に、「家でも子育てと両立した仕事がしたい」と考え、ライター業を開始しました。現在は、ニュース記事執筆やママ向け情報サイトにてコラム執筆の仕事をしています。
いずれはライティングスキルを活かし、介護職の魅力を発信する仕事にも挑戦できるよう日々努力しています!
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私はこんな介護士です。

私は、常に顧客目線にたつことを意識している介護士です。ここでいう顧客とは、利用者さんやご家族はもちろん、同僚や連携施設のケアマネなど、同じ利用者さんへサービスを提供する職員のことも含んでいます。
理由として私は、介護士にとって1番大切なことは、利用者さんが望んでいる想いを聞き取ったり、引き出したりして、その想いに沿ったサービスを提供することだと思っているからです。
しかしながら、介護の現場では介護者であるご家族の想いも非常に重要なものになります。また、そのサービスを提供する職員1人1人が利用者さんを理解した上でサービス内容を統一していく必要があります。
その為、すべての立場の人に働きかけ、チームワークや円滑な連携がとれるよう、常に「顧客」という意識を持ちながら接しています。

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?
冒頭で少し触れましたが、1番のキッカケは転勤族である夫との結婚です。引っ越しの機会が多いことが採用の不利になったり、住む土地によっては求人が少なかったり・・・転勤妻として働き続ける上で様々な壁が想定されました。そこで思いついた職種が介護職でした。
実際に、介護士は資格やスキルを身につけることで、全国どこにでも求人はありますし、パートや正社員など自身のライフスタイルに合わせて働き方も選べます。
夫の転勤で新しい土地に引っ越してから、3日後に内定を頂いたときには、「介護士という仕事を選択してよかった!」と心から思いました。
また、2番目のキッカケは、前職で生活習慣病の薬を取り扱っていたことです。薬を扱う上で、高齢者の疾病について勉強してきましたが、いつしか薬の効能だけでなく、「直接自分の手で高齢者の生活を支えたい」という気持ちが芽生えていました。
今では、疾病や薬の知識があるので看護師さんや医師からの情報も難なく理解することができ、前職での経験が活かせているな、と感じています。
他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?
介護士のやり甲斐は、「ありがとう」と言葉をかけて貰えることが非常に多いことです。私は、こんなにも「ありがとう」と言われる仕事は、他にはないと思っています。
もちろん、人と関わる仕事なので「精神的にきついな・・・」「そんな風に言わなくても」と感じる場面もあります。
そんな時には、利用者さんが帰宅した後、「今日はどんな時にありがとうって言葉を貰えたかな?」と思い返すようにしています。その日だけでも、心温まるような場面が数多くあり、思い返すことで翌日も元気に頑張れています。
前職では、仕事に行くことが苦痛な朝もありました。毎朝の様子を見ている夫から「介護の仕事を始めてから朝も元気だね」と驚かれるほど変わりました。元気に働ける介護士になって本当に良かったな!と思っています。

印象に残っているご経験はどのようなことですか?
認知症を患っている、ある利用者さんが新しく通い始めたときのことです。帰宅願望が強く、常に落ち着き無く歩き回っていました。まだ介護士として働き始めて1ヶ月の私が、その方の通所介護計画書の担当になりました。
その方の経歴を見ると、娘さんを3人育てたことや、編み物の先生をしていたことが記載されていました。早速編み物をお勧めしましたが、興味がないご様子。
そのときに、「編み物の先生なら手先が器用なのでは?」「娘さんを育てたのであれば、塗り絵や折り紙も一緒にしたのでは?」と思い立ち、塗り絵と折り紙をお勧めしてみることに。
塗り絵には興味を示されませんでしたが、折り紙を渡したところ黙々と鶴を折り始めました。ご家族へ確認すると病気がちのご主人の為に、娘さんとよく千羽鶴を作りプレゼントしていたそうです。
その利用者さん、実は私が産休に入る日に、リサイクル紙で作った千羽鶴をプレゼントしてくれました。もちろん千羽鶴を折ったのはすべてその方。とても嬉しかった出来事です。

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。
私が1番苦労したことは、レクリエーションを考えることでした。皆さんは、最後にレクリエーションに参加されたのはいつか、思い出せますか?私が思い出せる限りでは、レクリエーションと呼ばれているものへの参加は大学時代が最後で、社会人になってからは結婚式の余興くらいでした。
それくらい自分には馴染みがない存在で、ましてや50歳以上も離れた利用者さんを巻き込んだ活動なんて・・・非常に高いハードルを感じていました。
もちろん先輩職員からも知識を頂きましたが、今は便利な世の中です。インターネットにはYouTubeをはじめ様々な情報があふれています。情報をもとに編み出したレクリエーションを、利用者さんと一緒に準備し、実際に行うことで利用者さんが笑ってくれたり、頑張ってくれたり。
私も毎回心から笑っていて、今では最高の時間だと思っています。
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日頃から大切になさっていることはなんですか?
私が日頃から大切にしていることは、「笑顔」「明るさ」「教えて頂く」という姿勢です。まず、私が「笑顔」と「明るさ」を大切にしている理由から説明します。
利用者さんの中には、通所介護施設の職員やケアマネとしか話す機会がない方も多くいらっしゃいます。せっかくなら笑顔で明るい人とお話したいですよね?「この人と話せて良かった」と感じて貰えるように常に笑顔は絶やさないようにしています。
次に、「教えて頂く」という姿勢を大切にしている理由を説明します。認知機能が低下している利用者さんの中には、自ら話すことをやめている(諦めている)方もいらっしゃいます。
そのような方に「昨日、料理の味付けが物足りなくて。(味付けを説明して)○○さんだったら、何を加えますか?」「夫と喧嘩中です。○○さんは亡くなったご主人と、どう仲直りされていましたか?」など、「教えて頂く」姿勢で質問を投げかけると、それまで話をしなかった方でも嬉しそうに話し始めることがあります。
話すキッカケ作りとしても、年上の方に接する姿勢としても「教えて頂く」姿勢を常に大切にしています。

今後やりたい事や目標などありますか?
今後の目標は2つあります。1つ目の目標は、「介護福祉士」の資格を取得すること、2つ目の目標は、ライターとして介護職の魅力を発信していくことです。
介護福祉士になるには、現在保有している介護職員実務者研修に加え、3年間の実務経験が必要となります。職場に復帰した際には、様々な介護業務を経験しながら実務を積んでいきたいと思っています。
また、育休を活用してライターにチャレンジし始めた私ですが、ライター業でも徐々にクライアント様から評価を頂ける機会が増えてきました。これからは、ライティングスキルにより磨きをかけてSNSやブログ、コラム執筆などを通じて日本の介護職の魅力を世界に発信していきたいです。
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これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

他業種も経験しているからこそ言えることですが、介護職は非常にやり甲斐の多い職業です。と同時に、普段テレビで流れてくる介護職のイメージとのギャップを感じます。確かに、人と接する仕事ということや、命に関わる仕事なので辛いことや、責任の重圧に押しつぶされそうな時もあります。
しかし、「キツイ」「汚い」というような言葉で片付けられるほど、介護職は劣悪だったり、やり甲斐が全くなかったりする職業ではないと思います。是非、迷われている方がいたら、まずチャレンジしてみて下さいね。
給与に関しては、法人や会社などの形態によって考え方が異なるので、よく求人票を見比べて判断されてみてください!
介護職として一緒に活躍できることを楽しみにしております。