介護は老若男女問わず「プロ」としての自覚ができる人には、とてもやりがいのある仕事

現役介護士に話を聞く「深イイ話」
※画像はイメージです。

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年8月27日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。

プロフィール

建設業界で3年働くも挫折。帰郷し、新聞で「介護保険制度スタート」の記事を読み、一念発起して専門学校で介護福祉士資格を取得。老健施設で介護職として6年間勤務後、ケアマネジャーを取得しケアマネジメント業務へ。

以後、引っ越しもあり3回介護業界で転職。居宅のケアマネジャーを中心に、入所、通所、訪問などの介護、相談員業務に携わる。現在は居宅介護支援事業所のケアマネジャーとして活動中。

ケアマネジャー ひろ父さん

あなたにとって介護職とは?

介護職こそプロになろう!というのが、最初に働いた老健で同期の仲間たちと話していたキーワードで、その想いは今も変わりません。

誰でもできそうだけどなかなかできない、「相手の話を傾聴してきちんと対応する」ことを、普通に、毎日、長期間できる。何も難しく考えずに、利用者のことを素直に尊敬して対応できる。

それが介護職だと思います。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 1998年4月~2000年3月
    建設業界挫折後、福祉の専門学校に通う
     3年で挫折した建設業界を諦め帰郷。ちょうど、2000年(平成12年)4月から介護保険制度がスタートすることを知り、両親に相談して福祉の専門学校に通い資格を身に着けることに。選んだのは「介護福祉士」でした。
  • 2000年4月~2010年3月
    最初に働いた老健施設。ここで働く姿勢や考え方を学んだ
     入職時、入所フロアで男性職員は私だけでした。それくらい、一昔前の介護業界は「女性の職場」でした。少ない男性職員とはすぐに仲良くなり、介護とはなんぞやと連日語り合いました。2年目から通所リハビリの介護職になり、どうすればより良い介護ができるかと仲間と話すことが多くありました。誰でもできるしがない仕事ではなく、やるからにはプロになろうと真剣に考えるようになります。
    ケアマネジャーの資格取得後すぐに居宅支援事業所へ異動になりましたが、そこでもどうすれば良くなるのかを考えながら働くことが当たり前でした。
  • 2010年4月~2016年2月
    異動や転職など、とにかく動きの多かった時期
     家庭の事情で、働いていたところから2つ隣の市に引っ越します。当然転職を余儀なくされ、最初に働いたのはデイサービスの生活相談員でした。その後、居宅ケアマネ、新規事業所の立ち上げ、障害福祉、デイケアの生活相談員、サ高住の立ち上げなど、1回の転職を含んで福祉のいろいろな部署を経験することになります。同じ福祉でも、立ち位置が変わるとこんなに世界が変わるものかと思いました。例えば障害福祉では、障害児と初めて接することになりました。それまでは、高齢者のお世話ばかりでしたが、自分の子供と同じくらい(当時小学生でした)の子供とその家族と接することは驚きの連続でした。体のお世話はもちろんですが、この子がどうしたらより良い人生を歩めるのかと、同じ年頃の子供を持つ親として親御さんといろいろな話をしたのを覚えています。
  • 2016年3月~2020年8月現在
    居宅介護支援事業所のケアマネジャー
     今の法人に入職し、最初に配属されたのがケアハウスでした。これも初めての体験で、例えば老健や特養では重度の利用者が中心で、当然ケアも身体介護が中心になります。ところがケアハウスの利用者達は元気な人が多い。すたすた歩くし、自分でご飯もトイレも済ませるし、「一体何をすれば良いのだろう」と途方に暮れたスタートでした。話を聞くことの大事さを改めて感じた時期でもあります。
    今は在宅のケアマネジャーとして走り回る日々ですが、必ず利用者本人の話を聞くことが基本になっているのは、間違いなくケアハウスの経験が生きています。

私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

私は、常に自分の仕事を「プロ」として考える介護士です。

介護業界の魅力の1つに、「ありがとう」と感謝されること、利用者や家族との繋がりがありますが、この「ありがとう」1つでも、「世話になっているから言わなきゃ」と、これまでの人生経験から反射的に出る方が多いのが高齢者の特徴でもあります。私たちに比べて格段に、人と接しながら生きてきた高齢者の方々は、当然のように「ありがとう」と言ってくれます。

その「ありがとう」が、習慣として出ているのか、本当に心の底から出ているのかで、現在利用されているサービスや対応も満足度が変わってきます。

不満な点が少しでも残ると、長い年月で蓄積されて「大きな不満」になってしまう。実例として何度も経験したことでもありますので、普段の言葉のやり取り1つから注意を払い、その人にとって本当に良い介護になっているのかを考えるようにしています。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

建設業界でリタイヤしましたが、帰省して新聞で介護保険の文字を見て「これだ」と思い、迷いなく全く違う業界への転職を決意しました。

でも、私自身は祖父や祖母と接した記憶がほとんどありません。父方母方ともに早く亡くなりましたし、小さい頃に近所のお年寄りと遊んだ記憶もないのです。それなのになぜ高齢者介護の世界が「これだ」だったのか、今もよく分かってはいないのです。

ただ、当時はずっと一人暮らしで大学時代からずっと県外で生活していました。親とも年数回会う程度で、周りには同年代しかいなかった。専門学校の時代から数えて10年程そういう生活が続いていたので、寂しさのようなものがあったのかもしれません。

最初の職場もそうでしたが、1人60代の工場長がなぜか私を可愛がってくれて、私も頼ることが多かったのです。そのような繋がりを求めていたのかもしれませんね。

あとは、「ケアマネジャーになると独立開業できる!」との宣伝文句に惹かれたせいもありますが。(笑)

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

介護職は適職。介護を通じて自分を知り、人間力をつける
転職してよかった。思い切って市役所事務職から介護職へ
クビ同然で会社を辞めた私が転職して介護現場の責任者になれた理由
介護職に対する世間のマイナスイメージを払拭したい
システムエンジニアから介護職へ。思いやり、やりがいのある仕事を
編集部
編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

日常的に笑顔と「ありがとう」が溢れているのは、やっぱり他の業界とは違うと思います。利用者、家族とのやり取りはもちろんですが、介護士になろうと思う人達は平均して優しいのだと思います。

もちろん嫌なことも多いです。

特にケアマネジャーや相談員と言った相談業務担当だと、上司や利用者の家族からきつい言葉を言われることも多くあります。それでも職場内で何とか前を向いてやっていこうという雰囲気になりますし、必然的に笑顔や優しい言葉が多く出ます。

それとこれが大事なのですが、自分やチームがした介護やプランニングが上手くいって、心の底から利用者や家族から感謝されると、何とも言えない達成感があります。

人によっては売り上げが上がったり事業が拡大したりすると同じような達成感があるのだと思いますが、私の場合はこれに勝るものは今のところありません。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

もう10年程前になります。ケアマネジャーになって2年目の新米だった頃、ある夫婦を担当していました。寝たきりの奥さんと足の悪いご主人。それと同居しているとてもきつい娘さん。

担当当初は娘さんに何度も罵倒され(対応が頼りない、男のケアマネは初めてだから信用できないなど)、ご主人にもあまり良い顔はされませんでしたが、しだいに心を許してくれるようになり、訪問すると奥さんの部屋に集まってあれこれ世間話をするようになりました。

ある日、私が訪問していつものように集まって話をしていると、奥さんの呼吸が止まったのです。慌てて心臓マッサージをしながら主治医に連絡をとり、来てくれるまでの10分間何とかもたせようと心肺蘇生を繰り返していると、「あんたが来て安心したから逝ったんだろう、もういいよ」とご主人と娘さんが肩を叩いて言ってくれました。その場で号泣してしまいました。

後日慶弔に伺った際、娘さんから改めて、「○○さんがケアマネで良かった。ありがとうね」と言ってもらえました。

これは今でも鮮明に覚えており、今もケアマネジャーを続けている大きな理由です。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

先にも書きましたが、この業界に入った当初、男性の介護職員はほとんどいませんでした。相談員や施設長などは男性が多かったですが、介護、看護の2職種は99%女性でしたね。

介護自体(オムツ交換や入浴介助など)も悪戦苦闘ではありましたが、何よりも苦労したのが女性職員との距離感です。私が苦労したのはもちろんですが、施設の側も相当苦労したようです。

これは、入職当時の上司だった介護主任からも度々話がありましたし、後日談として当時一緒に働いていた女性職員から、「あの時は男と一緒に働くなんて嫌だったのよ」と言われたこともあるので間違いないでしょう。

特に入浴介助や夜勤帯は、女性職員がこちらを男性として意識することが多かったそうで、笑い話かもしれませんが、「絶対に職場の同僚に手を出さないこと。距離感を持って接すること」と上司からよく言われていましたね。

今は介護士はもちろん、男性の看護師も多数いますので、昔みたいなことはないのでしょうけど、今思い返すとなかなか楽しい時代でもありました。今も付き合いの続いている人もいますので、苦労しながらもお互い真剣に仕事ができていたのかなと思います。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

仕事への姿勢はもちろんですが、今一番大切にしているのは「自分の体」です。

介護士の職業病でもありますが、私は腰の疾患を複数抱えています。体を壊した時期が度々あったことで、不眠病も患い薬を飲まないと眠れません。

全て介護のせいではありませんが、昔まだ機械化が進んでいなかった時代、男性介護士と言えば「力仕事」が当たり前でした。

2階3階から寝たきりの高齢者を抱えて階段を昇り降りしたり、夜勤明けに利用者をベッドから抱え上げてリクライニング車いすに乗せたり、男手はどこでも重宝されていましたし、私も率先してやっていました。その影響が全くないとは言えないと思います。

自分が体を壊したことで家族に一番心配をかけましたし、職場にも迷惑をかけました。

体が資本は何にでも当てはまりますし、何より自分が痛いつらい思いをすることになるので、普段から一番気を付けています。

この体験談は、あちこちで職場の後輩、特に若手の男性職員には都度話しています。同じような辛い思いはして欲しくありませんから。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

一時期はケアマネジャーとしての独立開業が目標でしたが、数年前からは違う目標があります。それは、「介護という仕事が、特別な嫌な仕事じゃないようにするにはどうしたらよいか」ということです。

昔より、福利厚生も給与面も改善してきているのですが、世間一般的にはまだ介護というと、「汚い、安い、つらい」仕事として認知されています。

20年以上この業界にいて、今の業界の状況としては決してそんなことはないと思っているのですが、求人に対して応募数が少ないのが現状です。

介護士になろうという人が減少すれば、この業界自体が衰退し、結果的に利用者や家族に影響が出ますので、私の目標というより、介護業界全体の目標ではないかと思います。

どうすれば良いだろうと常々考えていますが、まず一番手っ取り早く多くの人ができることとして、今の自分の仕事に誇りを持つことではないかと思います。そのために、自分の信念であるプロとしての自覚をしっかり持ち、周囲の人にもそのように話をするよう心掛けています。

編集部
編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

「プロ」という言葉で敷居が高く感じた方もいるかもしれませんが、介護の仕事は誰でもできます。

業務1つ1つは、自宅で家族が普通にしていることです。

高齢者のお世話をして話をする。いろいろと相談をする。

ただこれだけのことですが、やっていくと奥が深い。いつも試行錯誤で、でも成功するととても嬉しくて、同僚と手を取り合って「飲みに行こう!」とはしゃいだり、「ボーナス出して!」と上司に冗談を言ったり、一瞬一瞬がとてもキラキラしています。

お年寄りのための仕事ですが、自分にもいろいろなものが返ってきます。そこは他の業種と同じかもしれませんが、より純粋だと感じます。

介護といっても、施設やサービスによって働き方も様々です。知り合いに話を聞く、ホームページを見てみるなど、情報を集めてみて下さい。求人もたくさん出ています。

また、高齢者施設で見学を歓迎しないところはありません。今は新型ウイルス感染予防のために、見学の受け入れを中止しているところが多いですが、電話で問い合わせると、面会室や相談室で担当者が会ってくれるでしょう。

まず一歩。踏み出して頂けたら、思ったよりも楽しい世界が広がりますよ。

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