転職するなら介護がおすすめ。介護士歴15年シングルマザーの私が魅力を解説

現役介護士に話を聞く「深イイ話」
※画像はイメージです。

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年9月5日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。

プロフィール

超氷河期、何となく大手エステ会社に就職。その後、妊娠を機に約2年で退職。

出産後、シングルマザーで介護士となる。将来に不安を感じ、安定した仕事を求め医療法人に就職してから15年が経った。病院やグループホーム、デイサービスを経験し、今は介護士兼生活相談員として働いている。

介護福祉士 maana972さん

あなたにとって介護職とは?

自分を成長させ、元気にしてくれるものです。他の仕事では得ることができない、貴重な知恵や生き方を教えてくれます。介護というと、体が弱くなったお年寄りに対して、一方的に施すようなイメージを持つかもしれませんが、決してそうではありません。

いつも、私が介護する以上に、多くのものを入居者様や利用者様に与えられています。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2000年4月~2002年6月
    新卒で大手エステ会社に就職
     超氷河期の就職。大学でやりたいことが見つからなかったので、とりあえず正社員で採用してもらえる大手エステ会社に入社しました。就職して2年目に、夫との間に子どもができたのをきっかけに退職。
  • 2004年8月~2009年3月
    医療法人社団の病院に再就職
     出産後間もなく、シングルマザーになった私は、子どもが大きくなるまでは、安定した仕事をしたいと考えました。
    そこで、ヘルパー2級の資格を取り、病院の介護病棟で、介護士として再就職。患者さんの体調不良に対する、基本的な手当の仕方を、医療職から直接教わることができました。
    また、緊急度の見極めができるようになり、その後の施設勤務にも大いに役立ちました。子どもが頻繁に熱を出したにも関わらず「ママの替わりはいないから」と気持ちよく休ませてもらえました。実務経験を3年積み、介護福祉士を取得しました。
  • 2009年4月~2012年1月
    グループホームに異動
     同法人のグループホームに異動。はじめて認知症介護の現場に入り、とても驚いたのを覚えています。
    なぜなら、病院で優先された、効率やスピードを重視した方法とは全く違う、できるだけ入居者様中心に介護する方法を知ったからです。グループホームに医療職はいません。介護士が入居者様の生活の全てを支えます。自分の頭で考えて仕事ができることが、楽しくて仕方ありませんでした。
    この頃ようやく介護士としてのプロ意識が育ち始めます。当時の夜勤は入居者様18人に対し、介護士は1人だけ。タフな精神力は、ここで鍛えられたと思います。認知症対応型の施設で必要な、認知症実践者研修というものを受けさせていただきました。さらに実務経験を積んで試験を受け、ケアマネージャーの資格を取りました。

  • 2012年2月~2020年9月現在
    同法人の認知症対応型デイサービスに異動
     新設デイサービスのオープニングスタッフとして異動。介護士兼生活相談員として8年間働いています。開設に必要な書類や業務を管理者と2人で考え、手探りで少しずつデイサービスを育ててきました。
    認知症リーダー研修というものにも出していただき、介護士のリーダー的な業務をしています。法人内の委員会に加わったり、研修を任せられたりするようにもなっていきました。介護保険の法改定の度に制度を学んだことや、介護請求業務を任されたことで、仕事の幅が広がったと思います。
    生活相談員として、利用者様やご家族の相談にのるうちに、もっと広い視野に立った介護ができるようになりたいと思い、約1年半の通信教育のあと試験を受け、社会福祉士を取得しました。

私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

認知症の施設で働く期間が長かったのですが、入居者様や利用者様との信頼関係を大切にしています。よく新人介護士に、「あの場合、何と言えばよかったんでしょうか」と認知症介護について聞かれることがあります。

そんな時私は「どんな言葉をかけられるかも大切だけど、利用者様にとっては、誰に言葉をかけられるかが大事なんだよ。」と答えます。

徘徊や妄想と言った認知症状に効く魔法の言葉など存在しません。信頼している人に声をかけてもらうからこそ納得でき、安心できると考えています。

あとは表情や話すスピード、アイコンタクトなど、言葉以外のコミュニケーションも大切にしています。「認知症で言葉が通じずらくなっても、信頼関係は深められる」という場面をたくさん経験してきました。

社会福祉士の相談援助実習の時、実習担当の方に「短い時間で多くの入居者様と信頼関係を築くことができているね。これからも、あなたの生き方や介護のセンスを大切にしてください」と言っていただきました。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

シングルマザーになったことがきっかけです。職務経歴の中でも触れましたが、子どもが大きくなるまでは、安定した仕事をしようと思いました。ある日突然倒産したり、リストラされたりするようなことがあっては困ります。

その点、介護施設は医療法人や社会福祉法人が母体になっていることが多く、経営は安定しやすいと言えます。

また、その当時から介護の人材不足は深刻だったので、未経験の私でも、受け入れてもらえるかもしれないと考えました。

シングルマザーになって、子どもを養っていくためには、食いぶちに困らない、資格を活かせるような仕事をしようと思いました。また、夜遅い仕事は子育てに向いていないと考えた私にとって、柔軟な勤務ができることも魅力でした。

あとは何と言っても、仕事の内容が身近なものだったからです。子育てをしていると、食事や排泄の手伝いなど、介護と通ずる部分が多かったというのが介護士を選んだ大きな理由です。

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

介護職は適職。介護を通じて自分を知り、人間力をつける
クビ同然で会社を辞めた私が転職して介護現場の責任者になれた理由
介護職に対する世間のマイナスイメージを払拭したい
転職してよかった。思い切って市役所事務職から介護職へ
将来の夢は自分の介護施設を持つこと。資格取得で変わった介護職のイメージ
編集部
編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

介護士になって良かったと思うのは、たくさんの人生に触れ、豊かに生きる術を学ぶことができることです。

以前の私は、お年寄りをひとくくりに捉えていました。「昔の人」としか思っておらず、関心の薄い世代の人たちでした。

でも介護の仕事を始めてからは、お年寄りは色々な人生を送ってきた、個性豊かな一人ひとりなんだということを実感するようになりました。当たり前のことですが、年齢を重ねても人の魅力は失われません。

もう一つは、この仕事を始めてますます「人間」が好きになったことです。入居者様や利用者様が、若い時どんなお仕事をされていても、介護の現場では皆平等です。

経歴や肩書に囚われないので、飾らない、ピュアな言葉や表情に出会えることがうれしいです。お年寄りのピュアな部分を発見できることも、介護士の特権かもしれません。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

グループホームで働いていた時に出会った、2人の女性が印象に残っています。入居したばかりだった1人の女性がいました。その方には認知症があり、家に帰りたいとよく泣いていました。

私は、お部屋で何度か肩をさすってなぐさめたのを覚えています。そんなある夜勤明けの朝、女性のお部屋を見回りましたがどこにもいません。トイレにもいないので、私は焦り始めました。

あちこち探していると、なんと隣の女性のベッドで一緒に眠っていたのです。とても驚きましたが、2人は気持ちよさそうにぐっすり眠っています。

私は、もう少しそのままにしておくことにしました。何とも微笑ましい光景に、介護をしているこちらの心が温まりました。

隣のベッドにもぐりこんだ女性も、受け入れて添い寝した女性も、あまりにやさしくステキです。「人間っていいな」と思わずにはいられない、うれしい経験でした。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

病院で働き始めたころ、医療用語や医療機器の名前が全く分からなかったので、苦労しました。専門学校を出たわけではなかったので、疾患や介護の基本的な知識も不十分でした。

無知という自信のなさから、必要以上に先輩や同僚に対して委縮していたように思います。そこで、ノートを一冊用意し、分からない言葉を書き出すようにしました。時間に余裕がある時に看護師から教わり、知っている単語を増やしていきました。

また、もともと騒いだり盛り上げたりするのが得意ではなかったので、レクの時間も大変でした。よく「テンション上げて!」と注意されたものです。

でも同期や先輩と仲良くなるにつれて、声の小さい私を見かね、自然と誰かがカバーしてくれるようになりました。介護士と一口に言っても色々な個性がありますが、介護の仕事はチームプレーです。私の場合も、みんなに助けてもらって、何とか働き続けることができました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

信頼関係を大切にしていることは先ほど述べましたが、ポイントは“距離感”だと思っています。先回りして否定するのではなく「何か困っているなら手伝いますよ」というスタンスが重要です。

おせっかいに声をかけすぎると、相手は離れたり心を閉ざしたりしてしまいます。反対に、助けてほしいのに気づいてくれないと、信頼関係はいつまでたっても築けないでしょう。

しっかり見守っているけど先回りせず、必要な時はすぐに手伝ってあげられる、絶妙な距離感を大切にしています。

もう一つは、介護方針で迷った時やスタッフの意見が割れた時、大切にしている視点があります。それは「何の目的で誰のためのやるのか」という視点です。

不思議に思うかもしれませんが、認知症介護では一見正しいように見えて、実は間違いという接し方もあります。一般常識や、ひとりよがりな正義感に惑わされないよう気を付けています。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

認知症に長く携わってきて、人の心理に関心が深まってきました。認知症ご本人にもご家族にも、病気を受け入れるための独特な心理プロセスがあるとされています。子どもも大きくなったので、介護を多角的な視点から見られるようになるため、心理学を勉強したいと思い始めています。

将来的には、認知症介護の専門性を深めたいと考えています。具体的には、認知症介護の人材育成業務に携われるよう、認知症介護指導者養成研修に出していただける人物になるのが目標です。

プライベートでは、介護で学んだ“できないことがあってもいい。自分らしく輝いていい”という価値観を大切にしていきたいと思います。家族や友達など、私の身近にいる人たちに、温かい気持ちを持てる人間になりたいと思っています。

編集部
編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

女性が多い職場ですが、子育て中の女性にはメリットが多いように思います。例えば、出産や育児に対して理解が得やすく、休みがとりやすいと言えます。子どもが小さいうちは日勤のみのデイサービスや訪問介護、大きくなってきたら入所施設など、働き方を選べることも魅力です。

完全土日休みとはいきませんが、私の場合、学校行事はほとんど参加できました。平日休みの方がいいという独身のスタッフは、けっこういるものです。勤務希望を出し、調整してもらっていました。

低賃金なことは否定できませんが、最近は介護士の処遇が見直され、加算が付けられるようになっています。一般企業に近い年収が得られる施設も増えてきました。

介護の仕事に対するイメージはいいものばかりではないかもしれません。でも一般の企業に勤めていると、虚勢や打算、忖度や競い合いなどで心がすり減っているという人は多いと思います。

介護は、善意や良心をベースにお年寄りと向き合う仕事です。とてもやりがいのある仕事だと思いますので、興味のある方は、ぜひ一緒に働いてほしいと思います。

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