ゼネコン退社し介護の職業訓練を受けて、思い切って建築業界から介護職に転職

現役介護士に話を聞く「深イイ話」
※画像はイメージです。

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年9月12日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。

プロフィール

大学で建築を学んでいたこともあり、卒業後は何も考えずに教授の推薦でゼネコンに就職。ゼネコン勤務では主に、街作りや商業施設、主に病院や店舗の設計・施工をしていました。

16年程建築に携わり、その後、家族と話し合い、理解を得られたので、自分のやりたい事を実現するために、ゼネコンを退社し、介護の職業訓練を受けて介護業界に飛び込んでみました。

介護福祉士 takeshiさん

あなたにとって介護職とは?

利用者様に寄り添える人間。介護職に携わるといっても、利用者様も人、自分も人。

対人関係の仕事で難しい部分であるのかもしれませんが、仕事として割り切ってしまうと、業務だけの関りを優先してしまい、「本当に人として接している事ができているのか?」そこは、日々悩む仕事であると、私は思っています。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 1996年4月~2012年3月
    社会人として建築業界で働く
     建築業界と言っても幅は広く、現場で働く職人さんから、私みたいに、設計や企画開発する社員まで幅は広いです。最初の数年は現場で働いて職人さん達と一緒に建物を作っていました。現場から離れて企画に回り、ここから本格的に設計業務に特化して仕事をしていました。
    最初は自分のアイデアや思いをぶつける事ができ、すごく楽しんで仕事をしていました。ただ、長くいると普通に管理職になるのですが、これが自分には結構辛かったです。
    自分の思いは押し殺して、部下の言う事を聞かないといけない。上から押さえつけるとパワハラ、モラハラと言われる。そういう立場がだんだんしんどくなり、仕事が楽しくなくなってきたときに、兼ねてから携わりたかった介護業界に転職しました。
  • 2012年8月~現在
    介護職として病院、特養にて働く
    半年ほど職業訓練として介護基礎研修を取得し、病院、特養で仕事をしました。その間に介護福祉士、介護支援専門員を取得。高齢者と直接関わる現場は理不尽な利用者様もいましたが、楽しく仕事ができました。
    高齢者と関わっている時は楽しいのですが、ここでも長くいると管理職にあがってしまいました。介護業界は人手不足もあるのか、管理職になると、いろいろ気づかいをしてしまう。自分はことごとく管理職に向かないと思いました。
    一職員として動いている時は、周りの人の行動は気にならないのですが、人に指図した時は、どういう反応が返ってくるのだろうと気にしてしまう所がある。指示するのが嫌いとつくづく痛感しました。
    しかし、介護業界は自分がしたい仕事だったので、現場に固執し、行ったことのない小規模な施設に今後転職する予定です。

私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

私は理想が高く、目の前で起こった事だけではなく、その先にある利用者様の真のニーズを探求してしまう所があります。
そのため、周りの職員ともしばしば衝突することもあります。決して喧嘩をするわけではないです。チームで仕事をしているのは理解もしていますし、専門職がお互いの立場から意見を言う事はとても大切だと思っています。

ただ、その結果、業務が増える、しんどいと言われる職種の人がいると何故?何故?と聞いてしまいます。

ただ、周りに必要以上に気を使って、結局利用者様にシワ寄せがいくのが納得できないので、主張はします。だいたい却下されますが。却下されても、それが利用者様に必要と思うなら今後も訴え続けていきます。

他の意見の方が合理的な場合はもちろん、その意見に賛成します。主張はしますが偏屈にはなりたくないので。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

大学の時に建築を専攻していましたが、その時の卒業論文に、現在の高齢者施設の在り方について、介護施設の現状についてという研究をしていました。

社会人になって、病院や介護施設の設計をしたかったのですが、そんなに上手く仕事が入る訳でもなく、店舗などの設計や、街作りの企画をしていました。身内や友達に医療従事者が沢山いたこともあり、いつかは高齢者と接する仕事をしたいと思っており、子供たちが手を離れた時に介護職に転職しました。

周りから決して楽な仕事ではないし、本に書いてあるような理想が実現できるような環境では無いと聞いていました。それでも自分の目で見て、自分で体験しないと解らない部分があるので、不安もありましたが思い切って転職しました。

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

介護職は適職。介護を通じて自分を知り、人間力をつける
クビ同然で会社を辞めた私が転職して介護現場の責任者になれた理由
転職してよかった。思い切って市役所事務職から介護職へ
介護職に対する世間のマイナスイメージを払拭したい
将来の夢は自分の介護施設を持つこと。資格取得で変わった介護職のイメージ
編集部
編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

これはほかの方も多く思っていると思うのです、とにかく、ありがとうと言ってくれる事が多い仕事です。良い仕事をすれば人から感謝される事はあります。建築の世界でも、ありがとうございますと言われる事は多かったです。

が、介護の業界は利益など関係なく普通に、ありがとうと言ってもらえる事が多いです。これはやり甲斐を感じるには十分な理由と思います。

夜に寝られない、徘徊、暴言等、色々な人の側面や、病気の症状を見る事になり、時には高齢者を嫌いになるかもしれないです。

しかし、これほど周りから素朴な感謝をされる仕事も少ないです。華やかさや便利さからは程遠い仕事かもしれないですが、人と人が接する事ができる仕事は大変やり甲斐があります。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

全く歩けないけど、意識のはっきりされている利用者様と一緒に旅行に行きました。東京ディズニーランドや京都等に泊りでいきました。

施設を利用させている方は、本人も家族様も、もう旅行になんか行けないと思っている方が多いです。そこで自己満足になるかもしれませんが、思い切って施設や家族様に旅行に行きたい旨の計画をしました。

準備や段取りに時間もかかり、調整には苦労しました。特に、車いす利用できる施設は少ない、特にホテルではお風呂が対応できないと言われる事が多かったです。

当日も天候や臨時休業等で予定通りには進みませんでしたが、旅行を実施した後は、本人からも、家族様からも非常に喜んでもらいました。

生きている間に旅行に行けるなんて思っていなかった、と言われた時は、計画して良かったと思いました。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

やはり何をとっても食事介助にはすごく苦労しました。自分で食べられない方の飲み込みやペースが全く分からないですから。最初、仕事をし始めた頃は、少しでもムセたり、エズいたりすると、そこで食事を中止していました。

しかし、先輩たちからは、少しムセたりしたぐらいで気にせずに、続けるように言われたり、もっと早く介助したりするようにと言われていました。

経験がないので、そんなものなのかと思いましたが、自分ならムセた時に次から次に口の中に食事を入れられていくのは嫌だと思い、少し慣れてきた頃には、意見も言わせてもらいました。

やはり、作業のように食事を提供するのは嫌ですとはっきり言い、限られた時間内に提供しないといけないなら、直接食べてもらう時間を削るのではなく、いかに多くの人に満遍なく時間をとれるかを考える事を思案しました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

毎日、必ずこれをしようというより、その日、その日の利用者様の体調、気持ちを察する事ができるようになりたいと考えて仕事に取り組んでいます。

過去にこれをやったから上手くいった。このような声掛けの仕方で上手くいったという経験は確かに積みあがってきましたが、それがその日、その時の利用者様に通用するかというと、必ずしも上手くいくとは限りません。

だからこそ、その方の生活歴などを深堀して考え、そこに利用者様は今どのような状況なのか照らし合わせ、自分の中でこのような接し方がいいのか?このような声掛けの仕方がいいのか?を日々考えながら仕事に取り組んでいます。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

色々やりたいことはありますが、なんといって人生の最後を過ごす可能性が高い施設で勤務している以上、看取りを避ける事はできません。その方の最後を穏やかに過ごしてもらうためのお手伝いをしていく。

その気持ちが強いので、どのようにしたら、チーム一丸となってその方が笑顔で最期を迎えられるかという事を考え、実践していきたいと思いっています。

無論、自分の考え方が全ての方にとって幸せかと言われれば、決してそんな事はありません。

だからこそ、多くの職種が集まり、いろいろな意見がでる環境を作りたいと思っています。非常にデリケートで難しい問題を追及していますが、チームのみんなで一緒に考えていきたいと思っています。

編集部
編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

私は、介護が素晴らしい仕事と全員に言うつもりはありません。「自分の中では介護の仕事=自分の幸せ」みたいな公式は成り立っています。

しかし、この公式は全員に当てはまる訳ではないので、仕事が素晴らしい、やりがいがある、と言葉で訴えるより、これから介護の仕事に就こうと思っている方に言いたいのは、自分が介護をしていて、楽しいか?を考えてもらってから仕事についてほしいと思っています。

人間関係で悩み、体力的にも、精神的にもつらい状況でも、楽しいと思えれば乗り越える事は可能です。

全てにポジティブになる必要もないですし、しんどい時や落ち込んだ時はそのまま表現しても構わないと思います。ただ、自分が譲れない気持ちの部分は持っていてほしいです。

あと、自分一人で解決しようと思わないでください。介護職に就く人は、責任感が強く、優しい人が多いです。だから、自分がしないと思う人が多いですがそれをすると空回りする事が多いです。自分もそうでしたから。

なんにせよ、皆さんが高齢者に関わっている事が楽しいと思えたら、きっとこの仕事は素晴らしいと思えるようになると思います。

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