現役介護士の深イイ話
インタビュー実施日:2020年9月2日
現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。
福祉系の専門学校を卒業したが、一般企業の工場に就職する。
ガテン系の力仕事だった上に、化学薬品を使う仕事なので体調の不安を抱えながら続けていたが、ある時期から不景気の為か、上司が次々と辞めていき、会社が危ないと察知し転職を決意。
学生時代に取得していたヘルパーの資格を活かすため、医療法人の通所リハビリへ就職し、小規模多機能を開設するにあたり部署を移動し、現在は施設長として勤務している。
介護福祉士 ペコさん
あなたにとって介護職とは?
介護は機械が相手ではなく、人が相手です。
同じ人に、同じ状況で、同じ支援をしても全く違う答えが返ってきます。これが正解だという決まりが無く、人間の優しさ、難しさらなどたくさんの事を感じ、得ながら自分も一緒に成長させてくれる仕事です。
私のざっくり変遷記(職務経歴概略)
- 2000年4月~2004年7月初めての就職先として一般企業の工場に勤務する福祉系の専門学校を卒業後就職活動がうまくいかなかったこともあり、一般企業に就職しました。
力仕事だったので体もきつかったですが、それ以上に化学薬品を扱う仕事で、薬品まみれになるだけでなく、危険物も多く扱っており、長く働いても大丈夫なのだろうかと不安を抱えていました。ある時期から上司が次々と辞めていく姿を見て、会社の将来が心配になり退職を決意しました。 - 2004年8月~2007年11月通所リハビリに就職 介護職としてのスタート退職を決意したものの、次は何をやればいいのか悩んでいたが、専門学校時代の友達から連絡があり、自分がヘルパーの資格を持っている事を思い出し、介護の仕事に就くことを決意します。
どんな施設に就職すればいいのか全くわからずに、家から一番近くにある医療法人の通所リハビリへ就職することにしました。
初めての介護の世界に戸惑いながらも、1つずつ仕事を覚えていき、介護をするということがどういうことなのかが、少しずつ分かり、自信を持ち始めます。
初めてレクレーションを担当することになった時は、とても緊張しましたが、終わった後に1人の利用者の方から「楽しかった」と言われ、とても自信になった事を覚えています。 - 2007年12月〜2020年8月現在まで小規模多機能へ異動が決まり、さらにスキルアップ勤務していた法人が新規で小規模多機能型居宅介護を新設することになり、管理者に誘っていただけたおかげで、移動することになりました。
介護保険の改正により新しく出来た種別の施設で、前例がないため、どんな施設になるのかがはっきりわからないままのスタート。
何か疑問を感じたり、問題が起こったりするたびに、職員間で話し合い、保険者に問合せて、まさに1から作ってく過程に、参加させていただけたことはとても貴重な経験です。
そこから、介護福祉士に介護支援専門員と資格を取得していき、介護員とケアマネを兼務するようになりました。
参考【介護士転職】処遇改善加算を取得している優良介護事業所の見つけ方
私はこんな介護士です。

私はいつでも笑顔でいる事とその人に合った支援ができるという事を大切にしている介護士です。
毎日生活していると、楽しいこともあれば辛いこともたくさんあります。
介護の仕事でも、嬉しいこと、楽しいこともたくさんありますが、辛いことや悲しいこと、イライラすることもたくさんあります。
楽しい時や嬉しい時はいいかもしれませんが、嫌な気持ちの時の感情が出てしまうと、利用者さんは気軽にお願いができなくなりますし、出来ることも出来なく、楽しみにしていた時間も、楽しくなくなってしまい、結果介護支援もうまくいかないことが多く、悪循環になりがちです。
後は、やりすぎない支援を心がけています。
今の介護は出来ることは、昔のように上げ膳据え膳では無く、自分でやっていただくことが当たり前になっています。
良かれと思いやってあげたことが、実際にはその方の出来る事を奪っているかもしれない、そう思い出来る事を大切にして、挑戦できる機会を出来るだけ増やし、一緒にやってみます。
それには、信頼関係がきちんと出来ていないと難しい場合が多いので、日頃からコミュニケーションをたくさん取るようにしています。

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?
元々は私の母親が、祖母の介護をしているのを見る機会が何度かありましたが、その時にはまだ何も考えてはいませんでしたが、進学を考えた時になぜかその時のことを思い出し、「やってみよう」と福祉系の専門学校へ進む事を決めました。
プロフィールにも少し書かせていただきましたが、1度は就職活動がうまくいかずに、一般企業へ就職をしたのですが、やめることになった時に元々介護の仕事に興味があって資格を取得したことや専門学校で就職活動していた時、ある施設で管理者の方に男の人は介護業界でも貴重な存在で、色々な場面で必要でした。
スキルアップしながらしっかり頑張れば、ステップアップできる仕事だから頑張って欲しい、と言われた事を思い出し、介護の世界に入ることを決意します。
そこに至るまでに、専門学校時代の友人や、介護施設で働いていた友人など周りの方にお世話になりながら進んでくることが出来ました。
それがなければ、今の自分はありませんので、とても感謝しています。
他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?
私は、学生時代を含めると数多くの仕事やアルバイトを経験してきましたが、その中でもこんなに感謝される仕事はありませんでした。
仕事をしているだけなのに、「ありがとう」「よかった」と言ってもらえる、褒められて嫌な気持ちになる人はいませんので、その度に介護士になってよかったなと思いますし、支援が始まるまで大変な生活をされていた方が、私たちの支援が入ることによって生活が改善されていく姿を見ると、とても安心でき、心から良かったなと思えます。
また、介護の仕事は自分の頑張りで、どんどんスキルアップすることが出来ますし、比較的管理職も目指しやすい職種です。
私も資格取得や部署の移動などをきっかけにステップアップすることが出来ました。
そうしたことで、支援に対する気持ちや考え方も少しずつ成長できていると感じ、さらにやりがいを感じていますし、色々な経験が出来ていることで、どんどん自分を成長させながら充実した毎日を過ごせています。

印象に残っているご経験はどのようなことですか?
民生委員の方の紹介で支援をすることになった方が、初めてお会いした時にはお話しすることや歩くことも難しく、2人暮らしの息子さんがお仕事に行けないくらい支援が必要な方でした。
急なADLの低下が見られたので、出席し担当者会議では、内服薬の検討なども行われ、私も積極的に意見を出させていただきながら、検討した結果、向精神薬の見直しをすることになりました。
すると、みるみるうちに状態が回復し、介護度も5→1へ改善され、今では元気に歩いて通所し、お話もたくさんされています。
このケースは、普段仕事で家族がいない時間に、支援の為に自宅に居るようになったことで民生委員さんと繋がり支援へと続けることができました。
ボロボロになり、どうしたらいいかもわからずに、仕事も辞める寸前だったそうです。
どうやって支援に繋げたらいいかわからない方が、まだまだたくさんいて、苦しんでいる中で、支援を受けることが出来て、元気になっていく本人と家族が嬉しそうにお話ししている姿がとても印象に残っています。

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。
福祉系の専門学校で基礎を学んだといっても、一般企業に就職したためブランクもあり、実際に利用者へ介護するのは初めてでしたので、1日の流れ、実際の身体介護の仕方など全くわからず、メモを取りながら1つ1つ覚えていきました。
畑違いからの転職だったため、やる事全てが初めての体験で、初めのうちは目の前の事だけで精一杯、周りを見る余裕などはなかったです。
また、個人で何かを生産するような仕事ではない為、自分は仕事ができなくとも他の職員の頑張りで、どんどんその日の仕事が進んでしまうことや、何をしていいのかわからずに手持ち無沙汰になる事もあり、そこは忙しい以上に苦労しましたが、失敗を重ねる中で覚えて成長し、たくさんのものを得ることが出来ました。
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日頃から大切になさっていることはなんですか?
私が大切にしていることは、いつでも明るく支援するということです。毎日の生活の中では嫌な事もたくさんあります。
そんな気持ちでも、支援を受けている時くらい楽しく、前向きな気持ちでいられるような雰囲気作りができるようにと心がけています。
それでもできる部分の支援をしすぎないようにと声かけをすると、「何もしてくれない」と言われてしまう場合が多いです。
きちんと繰り返しお話しさせていただく事で、今だけを見ずに先を見ながら、将来感謝されるような支援をするという気持ちを大切にしています。
また、日々変化していく支援の知識や技術を勉強し、理解している事も重要で、それが本人や家族を助けることとなる為、知識、技術を身につける事も大切です。

今後やりたい事や目標などありますか?
研修等に積極的に参加しながら、自身の知識、技術を向上させて、頑張っている介護福祉士の皆さんや介護支援専門員の方へ教えられる立場になる事が目標です。
また、介護に少しでも興味のある方達へ、経験や知識を伝えるライターもしていきたいと思っています。
きつくて給料も低い」という介護士のイメージを変えて、介護士にチャレンジしたいと思っている人達に、勇気を持って進めるようなメッセージを発信していきたいです。
一方で自身の知識を高め、利用していただく人達が自分の受けたい支援を自由に選択できるような環境を作ってあげられる介護士、介護支援専門員になりたいと思います。
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これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

介護の仕事に興味があって、やろうかどうしようか悩んでいる人たちは、頭の中は色々な想像でいっぱいになります。
今はネットでどんな情報でも調べる事が出来ますし、介護保険の利用も身近になってきていますので、知り合いから聞いたりする機会もあると思いますが、恐らく実際の現場は想像しているものとはまた違います。
専門的な知識や経験がないと働けないと思われている方も心配いりません。
未経験からでも、いくつからのスタートでも全然遅くないですし、頑張り次第でいくらでもスキルアップ・ステップアップができます。
また、いろんな人に接する機会がたくさんあり、人とのつながりで自分が成長できる仕事です。
超高齢社会を乗り切るために、たくさんの介護士が必要になっていますが、なかなか思うように増えていません。
外から見たり聞いたりするのと、実際に中から見るのとでは全然違いますので、みんなで支え合うために、興味のある方がこれを見て、1人でも多く介護の世界に入って来ていただけることを願っています。