「お年寄りが好き」単純な理由ではじめた介護職。こんなに一生懸命になれると思いませんでした。

現役介護士に話を聞く「深イイ話」

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年10月24日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。

プロフィール

高校を卒業した後は、飲食店のアルバイトをしながらバンド活動をしていました。

自分の将来のことを考えて、仕事がしたい!と思った時に、自分のおじいちゃんおばあちゃんが大好きだからという単純な理由で介護の世界へ。

訪問介護の自費サービスの営業として働いた後、グループホーム、訪問介護で介護職として働く。現在27歳で2児の母であり、訪問介護事業所のサービス提供責任者です。

サービス提供責任者 aorn_msさん

あなたにとって介護職とは?

ご利用者様の人生はお一人お一人さまざまなエピソードがありますが、どんな人にも、人生の最期に関わる人になるかもしれない。と言う気持ちで接しております。

私にとって介護職とは、だれかの人生最期に会った人になるかもしれないお仕事。だからこそ、1日1日を大切に丁寧に接していくお仕事です。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2012年4月~2012年10月
    高校卒業後はフリーターに
    毎週夜通し仲間とバンドの練習。ライブは月に3本4本。いわゆるプロ志向でした。
    とにかく楽しくて仕方がなかったけど、将来的には結婚してお母さんになりたい。
    一度きちんと社会に出ようと決意を胸にバンドを引退。就職活動をすることに。
  • 2012年12月~2013年10月
    「介護の仕事をやってみたい」無資格でできる慈悲の仕事
    無資格で働ける、自費の介護サービスに辿りつき、まもなく就職。
    現場で働きたくて選んだつもりが、実際に働いてみると、営業とマネジメント(ほぼサ責業務)でした。自分の介護の知識も経験もない中で、ヘルパーさんに指示を出したりケアマネさんや施設の管理者などに営業をかけにいくことに不安を感じる日々。せめてお勉強をと、ヘルパーの資格を取りに行くことも、社長に止められて断念。
    本社の研修などはとても充実していて、そこで色々とお勉強させてもらいましたが、結局お客様のお家である実務経験を積んだヘルパーさん達は、とても頼もしくて、自分の未熟さを知る…。安心して任せていただける自分ではないと、大きな葛藤の中で働いていましたが雇用形態のことなどで一悶着あり、退職。
  • 2013年11月~2015年5月
    グループホームに就職。資格支援制度で初任者研修取得
    サービスの営業のお仕事で知り合った方から「うちで働いてみない?」と、お声をかけていただき、大手のグループホームに転職。会社の資格支援制度で初任者研修を取得させていただきました。
    望んでいた介護の現場はやっぱり素敵なものでした。排泄介助に全く抵抗がなかったので、すぐに仕事を覚えて夜勤も任せてもらえるように。特養化しているグループホームだったので、寝たきりの方の介助も経験をさせていただきました。
    ご利用者様の介護度の高い方が多いので、日中はおトイレのことがとにかく忙しくご利用者様の安全確保で手一杯な日々でしたが、スタッフ間で協力をして簡単なレクリエーションやお手伝いをお願いし提供することに努めていました。
  • 2015年6月~2017年2月
    訪問介護のサービス提供責任者
    グループホームも楽しかったのですが、どうしてもご利用者様一人一人のお気持ちに添えない部分があり悩んでいました。個別に対応していく訪問介護の仕事に魅力を感じて、一社目の自費のサービスのお仕事を途中で投げ出してしまったことにも悔しさが残りました(笑)。
    もう一度やってみたいと、今度は介護保険の訪問介護でサービス提供責任者として就職。
    資格がある中で改めて訪問介護のお仕事をすることなりました。ご利用者様は色々。住環境も考え方も性格も様々で、難しいことも沢山ありましたが先輩達にも恵まれて、本当に丁寧に仕事を教わりました。ここで学んだことは、ご利用者様の望んだ最後を実現するためには「訪問介護はどこまでできるのか」ヘルパーの力量次第でもあるということ。
    驚くような環境で生活をされている方も沢山いらっしゃいましたが、それでもご自宅での生活を望んでいて、その手助けになるこのお仕事にとても魅力を感じて、天職だと感じるようになりました。
    在籍中に結婚、妊娠をして産休を取得して退職することとなりましたが今でも本当に感謝しています。
  • 2019年6月~現在
    子育てをしながら再びサービス提供責任者へ
    出産後、子供の保育園が決まり自宅の近くで再び訪問介護のお仕事をすることになりました。
    常勤ヘルパーを希望していましたが、経験を見て薦められるがままにサ責へ…
    ここでは生活援助のご利用者様が大半を占めていて、求められていることが前職と全く違い戸惑いを感じていましたが、体調の変化や、お体やご病気でできなくなったことにいち早く気がつき、今後に繋げていく必要性があります。ご利用者様の過渡期に携わることが本当に多く、ただ家事をするのではなく、介護のプロとして訪問をして、ご高齢の方と関わっていくことの重大さを知りました。

私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

私は、いつでも明るく優しくすることを心がけて、気を遣わせない関係を目指す介護士です。

他人に恥ずかしい部分を見せること、現職の訪問介護で考えると、他人を家にあげるということは、簡単なものではありません。

見られたくない、知られたくない部分に関わっていくお仕事なのでこの人になら見られてもいい。知られてもいい。と思っていただけるような信頼関係を築いていくためにも自分自身の身なりや言動に気をつけています。

訪問したらまずは笑顔でご挨拶をします。慣れない間は笑顔で応えてくださらないことも多いですが、決して折れずに自分は自然な表情でいること。仕事は真面目に行う姿勢を見せ続けること。帰る時も、もちろん笑顔でご挨拶。どんな反応でも、折れずに前向きな姿勢を伝えていくことで、ご利用者様も次第に心を開いてくださり笑顔を見せてくれるようになると感じております。

またご家族様は、他人に任せることに負い目を感じておられる方も多くおられますので、決して迷惑ではないと日々の態度で伝えていくことに努めています。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

きっかけは単純で、お年寄りと関わることが好きだから。

子供の頃から、町で会う知らないお年寄りに話しかけられて、最初に話しかけられたきっかけから話がどんどん遠ざかり、ご自身の身の上話など・・・長々と立ち話をすることが多いのですが、人生経験が長く、考え方の深いお年寄りのお話を聞くのはとてもお勉強になりました。

また、そこで自然と「傾聴」を学んでいた気がします。お話をしてくださる方はみなさんとてもニコニコと、いきいきとお話をしてくださいます。外で他の人と関わることがこんなに嬉しいんだなぁと思うと私も嬉しくなり、ご高齢の方と関わる仕事も素敵だなぁと感じるようになりました。

本当にただそれだけのことでしたが、いざ就職しようと思っていた時に、真っ先に「介護」が頭に浮かび、求人サイトで検索をしたことがきっかけでした。

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

介護職は適職。介護を通じて自分を知り、人間力をつける
転職してよかった。思い切って市役所事務職から介護職へ
クビ同然で会社を辞めた私が転職して介護現場の責任者になれた理由
介護職に対する世間のマイナスイメージを払拭したい
将来の夢は自分の介護施設を持つこと。資格取得で変わった介護職のイメージ
編集部
編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

介護士のやりがいは色々とありますが、一人のご利用者様を知ることでまた違うご利用者様のお役に立てたと感じるスキルが身につき自分自身が介護士として、更に人としても日々成長していけること。

それが信頼と実績に繋がり、また誰かに伝えることができること。

私はまだ27歳と若いですが、ケアマネさんや同じサ責や登録ヘルパーさんに「若いのにしっかりしてるね」と言っていただけるのは本当に嬉しいことです。

確実に経験が心配に繋がり、任せていただけること。

求められているのは仕事だからこそ、自分次第でどこまでも先に進んでいけることです。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

真っ先に思い浮かんだのは、とある男性ご利用者様のことです。末期癌で病院からはできることがないと言われている。

お一人暮らし、身内からは縁を切られてしまった。最初に訪問介護のお仕事をはじめた会社の既存のご利用者様で、初めてお会いした時は気難しく誰にも心を開かない方で、ケアマネさんもサジを投げている状態。電話を持たないため連絡手段はご自宅へ行くこと。

週に2回の訪問のうち、1回を担当させていただくことになり買い物や、通院同行に入っていました。

気難しい方で、いつ怒られてしまうのだろうと内心ハラハラしつつも、精一杯の誠意を見せて関わっていく中で「こんなに優しいのは○○さんが初めてだよ」「俺は幸せものだ」と言っていただくことができました。

ご利用者様の体調がどんどん悪化していく中で、ご自宅はエレベーターなしの3階…同僚の男性職員と一緒に車椅子ごと運び下までおろして病院に行くも、入院せずにご自宅に戻られました。

その時に「お一人で、電話がなくて、不安ではないですか?」とおききしたところ「何かあっても救急を呼べない…ヘルパーさんにもっときて欲しい」とお話をいただき、ケアマネさんに週に6回ヘルパーを入れることをご提案させていただきました。

ケアマネさんは「え?そうなの?」という感じでしたが、最期はヘルパー訪問中に救急車を呼んで、搬送先で亡くなられました。

私がご利用者様に歩み寄って質問をしなければ、お一人で不安を抱えたままご自宅で亡くなられ、長い時間誰にも気が付かれなかったかもしれません。

「気づき」と「提案」が、誰かの最期を変えた。私にとって今でも大切な経験です。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

20歳で介護の仕事を始めて、現在は27歳。

今でもそうですが、やはり当初は「若いのに偉い」「若いから仕方ない」何事にも「若い」がついてきて、自身の若さがコンプレックスでした。

資格を取って「介護士」として就職したグループホームでは、利用者さんにひどいことを言ったり、馬鹿にしたような態度をとる先輩介護士が多く、純粋な気持ちで介護の仕事に就いた若者は我慢して上手に付き合うしかない状態でした。

私も後者であり、純粋な気持ちで介護の仕事がしたかった上に女性同士の人間関係が苦手で、長い物に巻かれる精神もない上に、経験がなくて突っ込みどころが多かったんだと思います。

今はその職場も離れていますが、経験を積み、年上の介護士にも意見を聞いてもらえるようになり、若いからといって好奇の目にさらされることもなくなりました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

日ごろから大切にしていることは、ご利用者様の意思を汲み取り尊重していくことです。第三者の目から見たときに、そのご利用者様とっての最善のことははっきりと見えてきますが、それをご利用者様が望んでいるか、必要としているかはまた別の問題です。

介護士とご利用者様は、歩み寄っても決して家族ではなく違う人生を歩んできた他人であるということは決して忘れないようにしております。

管理するのではなく、ご自分で望まれた暮らしを実現するためのお手伝いをしているということ。

時に、ご利用者様の生命に関わることや介護士を守らなければいけない選択もあり、その狭間で頭を悩ませることはありますが、職場で検討していろんな案を出した中でのご提案という形を取らせていただいております。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

現在は訪問介護のサービス提供責任者ですが、今後とも継続して働いていきたいと思っておりますが、実務経験を積んで、ゆくゆくはケアマネの資格を取得して、在宅のケアマネージャーにキャリアアップをして行きたいと思っております。

まだまだ現場を離れたくない気持ちもありますが、サ責業務でケアマネさんとのやり取りをしていく中で、ケアマネさんの知識の幅や判断力に憧れを感じております。

制度が変わり、介護福祉士から5年の実務年数が必要になったので、試験を受けるにもまだ数年先のこととなってしまいましたが、いつかはケアマネの資格を取得してご利用者様、ご家族様がなるべく安心した形で在宅生活を送れるように、的確なアドバイスができるケアマネージャーを目指したいと思っております。

編集部
編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

介護職には様々な職歴の人が集まりますが、何歳になってから初めても、どんな職歴でも、努力次第で認められ、感謝されることが出来ます。実際に私もフリーターから介護士になり、働きはじめはなかなか認めてもらえず思い悩んでいましたが、経験を積んでいくなかで、今では年上の人に意見をしても聞いてもらえるようになりました。

なによりご利用者様は「気持ち」をしっかりと見てくれています。一生懸命な気持ちがあれば拙いところがあっても「ありがとう」と言ってくださり、認めてくださいます。

辛いことも沢山ありましたが、この仕事を何年も続けることができたのは、ご利用者様に支えられてこそでした。

私自身に「自信」をくれたのも介護のお仕事で、介護の世界に出会えたことにとても感謝をしています。介護の仕事も働き方は様々ですが、自分に合う職場に出会うまで転職をするのも一つの手段だと思います。

私事ですが、介護の仕事を始めてから結婚、出産、育児とライフスタイルが変わっていますが、今後も子供の成長に伴い環境が変われば都度働き方を変えていくつもりです。

一つの職場に拘らなければ、自身のライフスタイルに合わせて、家族を優先して働き方を変えることができるのも介護職ならではだと思います。

率直な感想「資格取っといてよかった」と思う場面もありました(笑)。

自分自身も成長できて、家族を大切にできる介護の仕事を、なにより介護することを好きになって働く人が一人でも多く増えたらいいなと思います。

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