飲食業界の経験も、カルチャー好きも。介護就労ではこれまでのことが丸ごと活かせます。

現役介護士に話を聞く「深イイ話」

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2021年2月23日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。

プロフィール

学生をしながら飲食の世界へどっぷり浸かり、就職活動せず卒業を迎える。丁度、世は介護保険施行後の就労ブームで『息の長いサービス業を学んでみよう』と腰かけのつもりで介護業界へ。

認知症ケアや「生活」の奥深さにハマり、施設管理者、施設立ち上げ、業務改善コンサルタント等を経験し、パラレルキャリア介護士として今も現場に立つ。

介護福祉士 Sagannさん(ブログ運営:介護と介護の道場【夜の保健室】

あなたにとって介護職とは?

誰もがいずれ行く道である『老い』の姿や、誰がその立場になってもおかしくない『不自由』ある生活状況を「自分がその立場にならばどうか」と、できる限り想像しながら利用者に寄り添って耳と心を傾けて取り組む仕事です。

利用者本人では気づきにくい身体や生活上の不具合や危険を想定して、押し付けずに伝える意識もまた大切な要素です。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2004年8月~20010年8月
    大卒後、腰掛けのつもりで介護業界(特別養護老人ホーム)へ
    就職活動せずにバタバタと卒業。経験のある飲食業界も進路検討したが、当時、就労の勧めの声が高かった介護業界に「息が長いサービス業で資格制度/キャリアパスもある」と気軽な気持ちで入職。
    そこで認知症ケアの奥深さや暮らしの様々な局面で人に寄り添う面白さを知る。小規模多機能型居宅介護、グループホーム、老人保健施設など経験し知識を深め、介護福祉士資格を取得。
    同時に、業界を知るほどに独特の閉塞感を味わい、これからの介護業界のあり方を考え、自分自身が独立して事業を興しサービスを提供しようと考えるに至る。
  • 2010年9月~2013年3月
    お泊りデイサービス事業への参入(新規施設立ち上げ)
    将来をイメージし介護事業の運営に携わることができそうと感じた企業に転職する。飲食経営がメインの企業が新しくスタートさせたばかりの介護事業部にスピード感を期待。
    しかし、通所サービスと自費サービス(宿泊)の複合や、介護不慣れの職員が多い環境で意思疎通を図ることの難しさに戸惑う。
    仲間との関係を構築し生活相談員となった後、サービスを丁寧に地域に浸透させると業績は向上。その後、施設管理者として新事業所の立ち上げを任され、利用者、家族、ケアマネジャーから高く評価して頂ける事業所となるが、その矢先、経営陣の意向で事業譲渡が決まり退職を選ぶ。
  • 2013年5月~2016年3月
    小規模通所サービスへの参入(新規施設立ち上げ)
    前職での仕事ぶりを評価され、小規模デイサービスの施設管理者/立ち上げ担当として再始動。
    その当時ではユニークな業態のDSであった為、地域のケアマネジャーの理解/浸透に時間がかかるが、次第に業績は上向き、運営の楽しさを知る。
    後任管理者育成に早くから取り組んだのが功を奏し、スムーズに管理業務の引継ぎ完了。兼ねてからの目標である「独立」を視野にいれて、退職。
  • 2016年9月~
    訪問介護(サービス提供責任者)参入とパラレルキャリア介護士生活
    起業し、自社サービスとして飲食、イベント、(介護業界内外の)業務改善コンサルティング等の事業を展開。
    同時に、訪問介護事業所にてサービス提供責任者 兼 ホームヘルパーとして勤務し、『パラレルキャリア介護士』生活にある。

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私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

私の座右の銘は「温故知新」。

実際、高齢者の皆さんの経験してきた文化、風土、環境、地域のお話を誰よりも楽しみます。

また、その頃の風景が今どうなっているのか、今の時代との違いはどういうところにあるか、そして、これから先の時代、どう変わっていくか、そういうことに思いを馳せるのが好きなのです。

仕事をしていない環境でも、特に意識をしないで状況でも、「そういえば、あの方、こういう場所いったって話してくださったなぁ」「あの時代はこういうことがあったと教えてくださったなぁ」という連想ゲームは続き、また、それぞれの方々の新しい表情や輪郭が見えてきます。

介助技術、高齢者特有の身体的変化や精神的疾病などについての知識をしっかりと持った上で、そこに存在しておられる「個人」の有様を受け止め、今、何を必要としているのかをしっかり探る。その方の日々の癖やエピソードからキーワードを拾い集め、新しい理解へ役立てる。私はこんな介護士です。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

大学生の頃、『介護』の仕事には興味をもてませんでした。『介護』や『福祉』は、どこか現実的ではなく、偽善的な印象すらありました。

当時、学生をしながらバーテンダーとして勤務をする中、よく近所の80歳前半の男性が通ってきてくださいました。

かつて公認会計士をしておられたその方は、とても博識で、様々な事柄や歴史の話を教えてくださり何かと食べ物をもってきては、私にくださる・・と大変かわいがって頂いたのです。

後に、その男性は癌の影響により胃を全摘出しておられ御自分はあまり食べられないのに、私に食べさせる為に食べ物を持参していたことや、自宅で同居家族との折り合いがとても悪いけれど、私を孫のように感じていて通ってきておられたことをその方の御友人に聞き、とても驚きました。

その後、進路を考えた際に「息の長いサービス業」として介護に多少興味もつことになったのも、古式ゆかしき文化に親しむことを楽しく思えるようになったのも、その方との出会いがきっかけでした。

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

転職してよかった。思い切って市役所事務職から介護職へ
介護職は適職。介護を通じて自分を知り、人間力をつける
クビ同然で会社を辞めた私が転職して介護現場の責任者になれた理由
将来の夢は自分の介護施設を持つこと。資格取得で変わった介護職のイメージ
介護職に対する世間のマイナスイメージを払拭したい
編集部
編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

誰にとっても目の前に立ち現れる可能性のある現実である「介護生活」についてある程度の知識と経験、技術をもっているという自信があるのは大きいです。

街の喧騒の中、白杖を携えて、人込みを逆行する視覚障害の方がおられた際に、特に慌てることもなく、適切な方向からお声をかけ、お手伝いを申し出ることができるなど、社会生活の中で活用できるライフハックのいくつかをお金を頂きながら手にすることができました。

また、介護生活に悩む方、困る方は世に多く、相談を受けることはよくあります。

そうした機会に様々な可能性を比較した上、偏りのない客観的なアドバイスができること、そして喜んでもらえることは、遣り甲斐を感じますし、こちらも嬉しいですね。

また、例えば、歩行のメカニズム、立ち上がりのメカニズムなどを自分自身でも意識しながら生活をする為、培った経験や知識は、今後自身が衰えていく際、より自分自身を助けるだろうと考えています。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

通所介護の管理者をしていた頃のご利用者様で、昔、芸者さんをしていた女性がおられました。

いつも凛としていて、気風がよくて、オシャレで、明るさ朗らかさを大切に、好きなものは好き、嫌いなものからは角が立たないように身を退く。とてもカッコよい生き様を見た目にも示した方でした。

山あり谷あり笑いあり涙あり15歳から約80年一人暮らし。

大阪の下町で自分のペースで夕方には散歩。いつも商店街の女将さん連中から声をかけられ「お母さん、ごはんとってるねん、持っていき」「うわー、うれしいわー、おおきにー」というやり取りで、町から愛されて。

「ひとりぼっちで寂しいこともありますけど、二人『扶養家族』おりますさかいになぁ」とお道化てはかわいがっていた猫2匹を遺し、ご自宅で眠るように息を引き取りました。

施設入所を悩み、ケアマネでもない私のところによく電話をかけてきてくれた、その方との関わりが大きな影響となり、人の暮らしを支える在宅介護に惹かれたのでした。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

就労開始時は特に人間関係に悩みました。

施設介護の現場では「早出」から「遅出」「夜勤」含め、いくつも勤務帯が分かれ、それぞれの動きが連動する形で設定されており、先輩方の一糸乱れぬ動きが展開されますが、新人にはうまく合わせられません(2週間程度の同行研修があるとはいえ、なかなか覚えることは難しいです)。

周りと合う形でうまく動けない・留意点を忘れてしまっている・時間がかかってしまう等、うまくやれないと、溜息をつかれたり、舌打ちをされたり・・・当たりのきつさには、苛立ちを隠せないこともありました。

また、『介護は正解がない』と言われる通り、良いか悪いか2択の判断が難しい、自分の行動がこれでよいのかどうなのかがわからない不安が日々ストレスでした。

その経験があったからこそ、後から入ってきた人に対しての態度に気をつけるようになりましたし、『正解はなくとも、わかりやすい基準』をその都度どの伝えるようになりました。

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編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

施設介護の時であれば、どの立場であれ、施設内を移動する際など、できるだけお声掛けや関わりの時間を積極的にもつことです。また、訪問介護サービスに入る時であれば、御利用者本人はもちろんのこと、ご家族、場合によっては近隣の方との関係も(問題のない程度)意識して繋がりをもつことです。

これらのことの根本にあるのは、『サービスその時は1人、でも1人で生活はしていない』ということを軸に据えているからです。

サービスを受ける時だけが関わりの時間ではなく、サービスを受けていない時も、その方の生活ですし、むしろ何気ない時間にこそ、その方との繋がりをつくるタイミングがあることもあります。

同様に、その方とのやり取りではなく、その方を取り巻く環境とのやり取りにより、もっと深く知り合えることもあります。

このように、多角的・多面的にその方をみつめ、奥行きのある「生活」「人生」を支援することが大切と考えています。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

今、実際、つくっていってるのですが、地域住民、そして近隣の介護施設職員にとっての交流の場/介助技術の練習道場、いわば「地域介護情報の受・発信基地」を立ち上げます。

これまでの経験上、家族介護、在宅介護従事、施設従事でも、どうしても視野が狭くなり、なかなか周囲に頼りづらいということを感じてきました。また、介護現場の取り組みをもっと世の中に発信し理解してもらうことも必要です。

大切な「介護の担い手」を地域で育て、地域で大切に評価する仕組みをつくりたいことの根本にはそういう理由があります。

また、介護業界の課題解決の助けとして、「他サービス業界/他産業」の取り組みのシェアや知恵の交流そして人材の交流は大きな意味をもつと考えています。

「介護」の魅力、見どころを業界の外側に広く発信し、社会から理解をしてもらえるような、そして同時に、他サービス業の「問題解決技術」も集まるような『基地』をつくるのは大きな目標のひとつです。

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編集部
編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

介護従事は、安心・安全を担保しながら、サービス利用される方に安寧もお届けする仕事です。

専門的知識を必要とすることもありますが、周りの上司や先輩に確認することで何とかなりますし、すべての事業所で御利用者・顧客の個人ファイルが備わっていて、手順を示した手順書、生活上/心身上の課題と目標を示した計画書などがあり介護サービスの目的を確認できるはずなので、まずは安心していいと思います。

技術面に関しては不慣れな間は特に不安ですが、その方の特徴を確認しながら覚えるしかないので、御利用者・顧客、おひとりずつに向き合っていきましょう。

さて、一番難しいけれども一番最初から大切にしてほしいことがあります。それは「まずは自分が自然に笑うこと」です。知識面でも技術面でもなく、介護士が朗らかな気持ちで接する余裕をもつことが大切です。

「誰かの為に・・・だからこそ、まず自分が笑えているかな?」という問いかけをいつも自分自身にできる介護士をどうぞ目指してみてください。

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