介護はキツイだけ?実は意外とワークライフバランスの整えやすい仕事でした

現役介護士に話を聞く「深イイ話」

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2021年3月18日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。

プロフィール

新卒で貿易関連の仕事に携わる。介護業界は将来を見据えて40代~50代になったら挑戦したい職業であったが、祖母が体調を崩し引っ越しを機に介護業界へ転職する。

半年間の初任者研修を受講しそこで紹介を受けた派遣会社を通して、家から自転車で通える有料老人ホームで働く。そののち同社の正社員となる。

現在はライターとして活動する傍ら、訪問介護の仕事をしている。

介護士 やまなか猫さん

あなたにとって介護職とは?

究極の接客業務です。私は人との関わりに強い苦手意識がありましたが、介護の仕事を通して、人見知りを克服することができました。

例えば、介護技術が格段に優れていても、ちょっとした気配りが出来ないと利用者様に不信感を抱かせてしまう事になりかねません。

積極的な自己表現は苦手ですが、もともと相手の気持ちになって考えて行動する事が得意であったため、この点は苦労しませんでした。

介護現場は職員が自己表現をする場所ではなく、まず相手の話を最後まで傾聴する姿勢が求められる仕事だと思います。そのうえで相手のニーズにこたえられるようになれば接客レベルは上等だと思います。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2014年6月~2016年9月
    新社会人として貿易関連会社に就職
    学生時代、福祉施設の生活相談員と、貿易会社のアルバイトスタッフの掛け持ちでパートをしていました。大学卒業後、同じ貿易会社の正社員として働き始めました。
    しかし祖母が体調を崩したことをきっかけに、わたし自身も心身のバランスを崩し、社長との関係性に折り合いがつかなくなりました。
    祖母のケアに専念するため、そして社長のパワハラにも耐えかねたため、退職を決意しました。
  • 2016年1月~2017年7月
    心機一転初任者研修を受講する
    祖母のケアで身近に介護する機会はあったものの、もっと専門的に学びたいと考え、自宅近くの介護施設主催の学校で初任者研修を受講しました。週2の通学でしたが、振り返ってみると、祖母のケアと自分自身の心のケアにはちょうどいい塩梅の受講ペースでした。
    主催の介護施設が訪問介護事業であったため、研修では実際にご利用者様のご自宅に伺いおむつ交換を見学させてもらいました。実地研修では、デイサービスに訪問し半日間デイサービス業務を体験しました。
    半年間初任者研修を受講したのち、学校へ宣伝にきた派遣会社に仕事紹介をお願いすることにしました。
  • 2017年12月~
    紹介派遣先の有料老人ホームにそのまま就職
    就業予定の施設見学後、あらためて同施設で、1日職業体験をさせてもらいました。職業体験の時点ではまだ正式な職員でないため、利用者様にケガをさせてはならないので、実際にお仕事はできませんでした。
    しかしながら、一人のスタッフに半日付き添わせていただき、職場の様子や仕事内容を見学することが出来ました。派遣会社を利用して良かったことは、就業を決める前に職場見学、1日体験を通して実際の職場の様子をうかがえたこと、人間関係を覗けたこと、心の準備が出来た点です。
    結果、2つの施設で職業体験をしましたが、家から自転車で通える施設に決めました。半年間紹介予定派遣としてはたらきそのまま正社員になりました。
    就業してはじめの数日は職員とマンツーマンで指導していただいたのですが、一週間も立たないうちに独り立ちとなり、わからないことがあって職員に尋ねても無視をされたり、看護師に聞いても「研修で習ったはずよね?」と冷たくあしらわれた事を覚えています。
    しかし、介護施設は女社会であることは覚悟していたので、多少のことでぶれないで逃げない強い心を介護の仕事を通して鍛えることができました。そうやって仕事に一生懸命打ち込んでいるとはじめは硬かった人間関係も徐々に打ち解け始め、お互い協力して仕事ができるようになりました。
    余談ですが、施設の女社会が怖いと感じる方は、男女比が半々の施設を就業先に選ぶのもいいと思います。そもそも、一人で仕事をする訪問介護という選択肢もあります。
    数年たち自分が先輩となっても、悪い歴史を繰り返さないため後輩に自分が受けたような嫌な指導をするのではなく、つらかった経験を生かして、指導や言葉かけにはより一層工夫しました。

関連記事【介護士転職】処遇改善加算を取得している優良介護事業所の見つけ方

私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

「死にたいくらいに辛い時、とりあえず横で一緒に酒を飲んでくれる友達がいればまずその場で死ぬことはない」これはとある有名人の言葉です。

私は、傾聴を重要視する介護士です。

相手が何を求めていてどうしたいのか?これが介護をするうえで最重要だと考えます。介護施設も同様ですが、どうしても組織社会にいると、『全体的に』『他の人がそうだから』『一般的には』という建前で人は行動しがちです。

しかし『常識』もその人によって千差万別。同じ日本で生きていても、人それぞれ育った環境も考え方も異なるので、理解し合うのが難しい事もあります。そこで重要なのが職員としてまず自分がどうしたいかというよりも、相手の話を最後まで聴いてそのうえで何を提案できるか、常に先に考えてから行動にうつすことです。

利用者様はご家族と離れ離れになっていて、心の奥底では寂しい気持ちもあると思います。そんな思いを相手の話を最後まで傾聴することで寂しさをかなり和らげることが出来るのを介護士の仕事を通して実感しました。

職員としてご利用者様が辛い時、職員としての姿勢はそのまま、けれども「まるで隣で酒を飲む友人」のように親身になって相手の話に傾聴できればという思いです。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

もともと将来のビジョンとして介護の仕事をやりたい気持ちはありましたが、直接のきっかけは祖母の介護と、就業先での人間関係の行き違いが重なったことです。思いがけぬことが2つ同時に重なったため、心身のバランスを崩し、私は家族を優先することに決めました。

そこで家族のことを考え当時の自分にできることが『介護』でした。初任者研修を受けたことをきっかけに、最終的に介護施設へ就職しました。介護の仕事は地方問わず、どこでも求人があるので、いざとなればいつでもどこでもやり直せるという自分自身の心の健康の保険にもなっています。

結果としてこの仕事に巡り合った運命には感謝しています。

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

転職してよかった。思い切って市役所事務職から介護職へ
クビ同然で会社を辞めた私が転職して介護現場の責任者になれた理由
介護職は適職。介護を通じて自分を知り、人間力をつける
システムエンジニアから介護職へ。思いやり、やりがいのある仕事を
将来の夢は自分の介護施設を持つこと。資格取得で変わった介護職のイメージ
編集部
編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

他人に感謝できるようになったことです。自分が介護の仕事をして改めて『他人に手を施してもらうことは当たり前ではない』ということに気が付けたこと。人に何かしてもらったら家族でも親友でもかならず「ありがとう」と伝えるように心がけています。

『印象に残っている経験』で詳しく語りますが、言葉の力は結局のところ相手に伝えなければ何にもならないというのが私の考えです。

思うだけ考えているだけでは何事も始まりません。相手を傷つける言葉でなければ伝えてこそ価値を見出せるというのが自論です。利用者様にかぎらず良い言葉は積極的に相手へ伝えていきたいと思います。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

就業して1年が経つ頃には、ほぼ毎日夜勤勤務でした。就寝中のご利用者様のおむつ交換をするのですが、いつもはおちゃめなおじい様が、珍しくもの悲しげな表情をしていたのを覚えています。

時々意地悪を言うおじい様でしたが、きちんと「ありがとう」と挨拶のできる方であったことを強く覚えています。いつも「ほ~いありがとさん」といったテンションのおじい様でしたが、この日ばかりは「ありがとう、また来てくれるか?」とまるで後ろ髪をひかれるような雰囲気を漂わせ、意味ありげに私に言葉を交わしました。

次の日の朝、朝食を食べていただくため、お部屋を訪問したところ意識不明となっており、そのまま搬送先の病院でお亡くなりになりました。

そのおじい様はとてもひょうきんな人で、職員にも人気のおじい様でしたが、前日に交わした言葉が最期の言葉となってしまいました。

しかしながら、人と最期に交わす言葉が「ありがとう」ということ、それを受け止められたことはとても素敵な経験だったと思っています。言葉はその人の生き様を表すのだなと強く印象に残った出来事でした。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

職務経歴にも記載しましたが、人間関係に苦労しました。介護の仕事に限ったことではありませんが、無駄に強く当たる人は残念ながら存在します。

しかし振り返ってみると、皆さん自分のことで手一杯で、他人にやさしくする余裕がなかったのかなと思います。私が勤めた施設には、ベテランというベテランがいなくて、皆介護士になって最長でも4年程度の方が多かったです。今思うと人に教える自信や余裕がなかったから最初は特にぶっきらぼうな態度に出てしまったのかなと思います。

しかし理由がどうであれ、介護という人間相手にしている職業は特に介護者自身の心の健康も重要です。

なぜなら、人が纏う嫌な雰囲気というのは本当によく伝わりやすくすぐに伝染してしまうからです。

具体的に言うと、不機嫌な人がいるとその周りも不快な思いをするということです。自分がされて嫌なことはしない。これは鉄則だと思います。

関連記事ブラックな介護施設を抜け出すには?しろくま介護ナビの評判・口コミ

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

介護士として続けていくためにまず、第一に自分の心の健康を優先しています。数年前まで正社員で介護士をしていましたが、今はワークライフバランスを考えパートタイムで介護士をしています。

施設形態も有料老人ホームから訪問介護へ転職しました。結果として自分の心の健康を保つのにあった環境を見つけられたと思います。

自分自身が健康でないと、他人を思いやる仕事は厳しいと思います。介護は思いやりを必要とされる感情労働のお仕事です。それと同時に身体介護など肉体労働も含まれるため、究極の接客業務だと思います。

利用者様に喜んでいただくケアをする、そのためにはまず介護者自身が心身共に健康であるのが一番だと思います。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

私の今後の目標は大きく分けて2つあります。1つは介護福祉士の資格取得。2つめはライターの仕事でより一層活躍すること。

今後も自分のペースで介護の仕事を続け、いずれ介護福祉士の資格取得に挑戦したいと思います。

今はライター兼介護業務をしていますが、ライターとしてももっと、福祉業界での経験を活かした発信活動により一層力を注ぎたいと思っています。

在宅ワークでのスキルとしてライティング業務、現場職として介護職を極められたら理想です。

関連記事【無資格・未経験OK】かいご畑は介護士を目指す未経験の方がおススメ

編集部
編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

介護の仕事はキツイ仕事であると印象付けられやすいですが、実際のところ働く施設・雇用形態をきちんと自分に合うものを選べば長く続けられる仕事です。

例えば訪問介護と施設では一度に相手にするご利用者様の数も違いますし、チームプレイ、1対1の一人で仕事など、働き方も実は千差万別です。

資格と実力さえ身に着ければ、全国どこでもとりあえず仕事に困ることはないのが一番の介護の強みだと思います。派遣会社を利用すれば無料で介護資格取得をサポートしてくれる会社もあります。

例えば副業で介護の仕事をして、もし本業の会社が倒産しても副業の介護を本業にすれば、少なくとも経済的に立て直すことができます。なんだか心の健康保険みたいでとても心強い仕事ではありませんか?

しかし、確かに介護は入り口の広い業界ですが、誰でも続けられる仕事という訳ではありません。

読者様がご自身にあった働き方を見つけられることを願っています。

人気記事介護未経験でも働きやすい施設とは?離職率や定着率に着目しよう

人気記事特養と老健どちらが働きやすい?介護士がメリット・デメリットを語る

介護士ライター募集中
タイトルとURLをコピーしました