介護での出逢いを通じて、自分らしい人生とは何か考えるきっかけをもらいました。

現役介護士に話を聞く「深イイ話」

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2021年4月8日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。

プロフィール

大学卒業後、新卒未経験で有料老人ホームの介護職として、三年間勤務。働きながら介護福祉士を取得する。その後度重なる夜勤業務で体調を崩し、退職。入居型施設では地域住民との関わりが薄く、閉塞感に疑問を感じていたため、日勤のみで働けて地域との関わりがある大型のデイサービスに入社する。

そこでは、限られた時間の中でどれだけ満足していただけるか、効率よく働いて対話の時間を大切にするための介護技術を学ぶ。

しかし、時間に追われ一人ひとりの個性や良さを活かしきれない現実にもどかしさを感じ、半年で退職したのち、自分が高齢者になったら利用してみたいと思える施設で、一人ひとりにじっくり関わりたいと思い、看護小規模多機能施設のデイサービスに入社。このころ、地域の住民が気軽に立ち寄れてちょっとした悩みを相談し合える地域交流の場の必要性を感じていた。

そこで、休日にボランティアとして看護福祉リハビリ職の方とともに近所のカフェにてコメディカルカフェの立ち上げにも携わる。一年間勤務後、引っ越しを機に社会福祉法人のデイサービスに転職する。

現在は、通所介護で働きながら、駆け出しライターとして活動中。休日は読書、御書印巡り、ピラティス、料理、散歩、ヘルシーおやつづくりが趣味。

介護福祉士 fukumarureyさん

あなたにとって介護職とは?

ときに話を聞いて涙したり、一緒に笑い合ったり。毎日が感動と気付きの連続で、人間力が磨かれ、人として成長できる誇りある仕事だと感じます。

その方がこれまでどんな人生を歩まれてきて、どんな最期を送りたいのか、人の数だけ想いがあります。

ひとはいくつになっても好きなことで誰かの役に立てると生き生きします。一人ひとりの個性や生活歴、長所を引き出して、障害があっても自分でできることを増やしてく。その方らしさをサポートできる介護士でありたいと思っています。

これからも介護を通して、思いやりの心を磨き、自分も人として成長していきたいです。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2016年4月~2019年4月
    新社会人として介護付き有料老人ホームに就職
    大学家政学部を卒業後、新社会人として未経験で有料老人ホームに就職が決まりました。
    夜勤をこなしながら三年間勤務するも体調を崩し退職。3年の間に、ご入居者様に恵まれ、いただく言葉に勇気づけられながら、介護福祉士を取得する。ご利用者様にお抹茶を点て、普段あまり笑顔を見せなかったご利用者様に「昔茶道やっていたのよ。美味しかった。ありがとう」と喜んでいただきました。しかし、その一週間後亡くなられました。その時改めて一瞬一瞬の自分の言動の大切さについて考えさせられました。
  • 2019年5月~2019年10月
    地域に開かれた施設で、介護を続けたいと思い、地域密着の大型デイサービスへ入社
    大人数のデイサービスだったので、一人ひとりにかけられる時間はものすごく限られていましたが、短い時間の中でもいかに満足していただけるか、対話の時間を大切にするために効率良く働くための工夫や技術を学びました。定員の多い事業所でも適切なケアを行うために、効率化できること、とくにデジタル化できることを考えることも介護職の大切な役割だと考えます。
  • 2020年3月~2021年3月
    自分が高齢者になったら利用したいと思える施設で、一人ひとりじっくり向き合いたいと思い、看護小規模多機能施設に入社
    看多機のデイサービスで勤務していたときに、利用者にとって顔なじみのスタッフがいることが生きがいにつながる大切さを実感しました。看護小規模多機能施設は、まだ全国に少なく新しい施設です。看護師と介護士が連携した施設で、医療的なケアを受けられ、最期まで住み慣れた自宅で暮らしたいと思う方が訪問、通い、泊まりを選択しながら利用できる小規模な施設です。看護師と密に関わるため、多職種の専門性の理解やチームワークが求められます。
    医療の知識が増えるのはメリットですが、比較的重度の利用者も多いため、機能向上に注力したいのか、安心した生活をサポートしたいのか働く前に自分の介護の目的をよく考える必要があります。比較的人員配置が手厚いのが特徴で、顔なじみの利用者と長くじっくり関係を築いていきたい方には合うのではないかと感じます。
  • 2021年6月現在~
    引っ越しを機に社会福祉法人の富裕層向けデイサービスに転職
    高級路線の施設では介護技術以上に、高いホスピタリティや細やかな気遣い、観察力などが求められると感じています。「ここに来てよかった、また来たい」そう思っていただけるよう創意工夫を大切にしていきたいと思います。休日は、趣味の読書とピラティスを楽しみ、リフレッシュしています。

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私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

利用者にとって適切で満足していただけるような介護を行う上で大切なことは、スタッフ同士が感謝し合い、助け合える多職種連携を意識したチームワークと利用者のニーズを引き出す対話の時間だと考えています。

真のニーズを引き出すためには、介護職だけでなく、利用者の一番近くにいる介護職が、利用者の変化に気づき、看護師やリハビリ職、ケアマネに働きかけ、複数の専門的視点から利用者の望む生活を総合的にアプローチしていく必要があります。

また、施設で働きはじめてまだ数年技術も実力もない自分でしたが、ありがたいことに多くの利用者様から「あなたの顔を見るとホッとする」「あなたが夜勤で良かった、安心して眠れるわ」と感謝の言葉をいただけたことがやりがいに繋がっていました。

自分だったらどんな介護を受けたいか、どんな人に介護されたいか、そう考えたとき、ふと安心感という言葉が浮かびます。

ひとが当たり前に感じる羞恥心や自尊心を傷つけないように配慮し、あなたなら安心して話せると思っていただけるよう話しかけやすい雰囲気や温かい言葉がけを心がけています。会うとホッと癒やされる、そんな癒し系介護士でありたいです。

本当のニーズは、ご利用者様との何気ない会話の中にあると考えるからです。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

私は、中学の時に介護の仕事の現場をはじめて見学しました。

そこで、排泄介助の現場を初めてみたのですが、はじめての光景にショックを感じたのと同時に、介護士さんが優しく声をかけながらケアをされていて、終わったあと利用者さまが気持ちいい顔で心からありがとうと伝えているやりとりに、とてもあたたかい気持ちになったのと一生懸命ケアをする姿がかっこよく見えたのです。

そのときはこんな仕事もあるのだなくらいに考えていました。

その後、大学在学中にコミュニティデザインを学ぶうちに、人との関わりが人生の豊かさにつながるのではないかと考えるようになりました。幼少期から地域の人に支えられてきた経験から、大好きな街で地元の人と支え合えるようなお仕事はなにか考えていたときに、介護の仕事が浮かびました。

また、自分自身祖母が大好きで祖母の話を聞くのが好きだったため、地域に役立てる仕事がしたいと思い、最終的に介護職を選びました。

しかしながら、思い描いていた理想はつかの間過酷な介護の現場の現実にぶち当たり、効率やスピードばかり求められることもあり葛藤する日々が続きました。道を間違えたのではないかと自分の選択を責め、介護業界に絶望を感じたこともありました。

ですが、そんな中でも「あなたに出会えてよかった、ありがとう」と感謝の言葉をくれたご利用者様との出会いにたくさんの「感動」と「気づき」、自分が工夫して元気になって行く姿を見られた体験が、この仕事を選んでよかったという思いに変えてくれました。

介護職は、ひとの温かさ、人間味に触れることで、豊かな心を磨き、自分自身が人として成長できる仕事だと今は思います。これからも日々たくさんの貴重な経験と感動をくれるご利用者様に感謝しながら頑張っていきたいです。

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

転職してよかった。思い切って市役所事務職から介護職へ
介護職は適職。介護を通じて自分を知り、人間力をつける
クビ同然で会社を辞めた私が転職して介護現場の責任者になれた理由
システムエンジニアから介護職へ。思いやり、やりがいのある仕事を
将来の夢は自分の介護施設を持つこと。資格取得で変わった介護職のイメージ
編集部
編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

介護職に就く前は、人見知りで自分にあまり自身が持てず、初対面の人と話すのも苦手な方でした。

しかし、介護職に就き、様々な年齢、立場の方と接し、経験していくうちに、とても大変な苦労をしていても前向きにいる利用者様の姿から自分の悩みがとてもちっぽけに見えて、今の自分で精一杯を尽くそうという気持ちに変えてくれました。介護の現場は、常にどうしたら満足してもらえるか工夫と改善力が問われます。

これまで自分だけに意識が向いていましたが、介護通じて、コミュニケーション能力が磨かれ、多くの失敗や反省から人間力を磨くことができたと思っています。人はだれでも誰かの役に立ちたいという思いを持っています。

現場で、お世話をしてあげるという意識ではなく、障害があってもその方のできることに着目して、得意なことで利用者様が生きがいを感じられたときにとてもやり甲斐を感じます。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

ある夜勤の日、いつもように寝る前の排泄ケアをしに入居者様のお部屋にいたときのことでした。

ベッドに横になってケアを受けている利用者様が突然涙ぐまれ、話し始めました。

「私ね、ここに来てから人生を振り返ってきたけど、80年間生きてきて最期ここに来てよかったのか悩むこともあったの。でもこうして今あなたに出会えて成長することができた。ここに来てよかったと思うことができたの。これから先あなたは長い人生いろんな事があると思う。わたしは、先は長くないけど80年の中で一瞬のあいだでも出会えたことを忘れない。だからあなたも時々思い出してほしい。本当にありがとう」

と泣きながら、優しく伝えてくれました。

私は、おばあちゃんになったら成長が止まってしまう感覚でいたけれど、このときはじめてひとは亡くなるまで成長する。当たり前ですが自分と同じだと気づきました。

その長い人生の一瞬でもそう思ってくれていた事実に涙が止まりませんでした。手を握りこちらこそありがとうと一緒に泣いた夜はずっと忘れません。その後退職したあと亡くなられたことを聞き、あのとき話を聞けて本当に良かった胸が詰まる気持ちになったのを今でも覚えています。

私達の明日と高齢者の明日の意味が大きく違う。だからこそ一緒にいる一瞬一瞬を大切にしよう。このときから意識するようになりました。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

当初は介護未経験で介護って何というところから始まり、右も左もわからず入社して一年はただ目の前のことに精一杯でした。

最初に入社した職場は、夜勤もあり入居者の方も多かったので、とにかく時間との戦い。時間配分の仕方や優先順位をつけることが苦手だった私にとって、苦しい毎日でした。

また、このときはチームで動いている意識がなく、自分ができない業務のサポートをお願いすることが苦手でした。ですが、がむしゃらに続けていくうちに不器用でも一生懸命向き合う私に入居者様から励ましの言葉や感謝の言葉が増え、徐々に「こんな介護がしたい」冷静に全体を見られるようになっていきました。

ただ目の前の業務に必死でひたすらこなす日々でしたが、いただく言葉にやりがいをもらい、成長することができたので、夜勤も含めて経験できてよかったと今は思っています。

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編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

日ごろから大切にしている事は、とにかく自分が笑顔でいること、大変なことにも楽しみを見つけ仕事を楽しむ姿勢です。介護を始めた当初は、自分の健康を後回しにして目の前の人に何ができるかを考え、いつからか自分の人生を置き去りにしていた時もありました。

しかし、体調を崩し兄から言われた言葉を今でもお守りにしています。「自分が笑顔じゃないと本当の意味で人を笑顔にすることはできない」と。その時の自分に強く刺さった言葉でした。あのときこの言葉をくれた兄にはとても感謝しています。

介護現場で働く人は皆さん優しい方が多いので、当時の私のように自己犠牲の傾向が高い人も多くいるのではないかと感じます。

もちろん、人のことを考えることでいつか自分にも返ってくる。そう信じています。しかし、このときに改めて人を笑顔にすることと自分を犠牲にすることは違うと気づきました。

これからもこのことを胸に、趣味のピラティスで休日にリフレッシュしながら、今の自分ができることで、高齢者の方が幸せになれるような働きをしていきたいと思います。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

今後は、動物とアロマが大好きで、この2つから得られる癒しの効果を実感しているため、ドッグセラピストとアロマの資格を取り、介護の現場でドッグセラピーやアロマテラピーのレクリエーションを企画したいと思っています。

また、これまでの自分の現場での経験を活かして、認知症の方へのアロマの効果に関する記事や介護に興味がない方にも興味を持っていただけるよう介護の魅力や現状を発信して、介護ライターとしても活躍していきたいと思っています。

自分も経験し悩んだように介護での転職を考えている方の理想と現実のギャップを少なくしていけるような記事作りを目指していきたいです。

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編集部
編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

いま時代がリモートやIT、AIなどのデジタル化が加速していますが、介護の仕事を通して、人と人のぬくもりや関わりの大切さを改めて実感しました。人が幸せでいるために必要なことは、他でもなく人との関わりであり、それが人生を豊かにしてくれると知りました。

私自身も介護を通した様々な出会いの中で、自分を知り、成長できたと感じています。もちろん現実はかなり大変なこともたくさんあります。軽い気持ちでできる仕事ではないのは事実です。

ただ、介護業界も少しずつ職員の賃金が改善したり、自費サービスも始まるなど、これからますます可能性が広がる成長業界です。

もし記事を読んでくださっている方で介護への転職を考えている方がいらっしゃったら、自分のしたい働き方を考慮した上で、様々な形態の施設を見学して、実際に足を運んで見てほしいと思います。

必ず合う職場があるはずでず。そして志したときのキラキラした気持ちを忘れずに持っていてほしいと思います。

いまわたしがこうして介護を続けて来られたのも、ご利用者様との出会い、そしていただく言葉です。自分の心を豊かにしてくれた介護の出逢いにとても感謝しています。

これからますます求められていく職業です。

この誇りある介護のお仕事を少しでも多くのかたに経験していただけたら、嬉しく思います。

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