中退、ひきこもりを経て介護の世界へ。紆余曲折ありながも、介護の仕事で生きると決めました。

現役介護士に話を聞く「深イイ話」

現役介護士の深イイ話

インタビュー実施日:2022年01月10日

現役介護士にインタビューすることで、介護職として働くことのメリット、デメリットを伝え、これから介護職を目指そうとしている人達の背中を押すことが最終的なゴールです。

プロフィール

リハビリ系の大学に進学するも、ついていけずに中退。ひきこもりを経験したのち、地元に戻って工場で働きながら通信制の大学に通い、社会福祉士の資格を取得する。

現場経験を培う為介護の仕事をするも、徐々にやりがいを感じ始める。相談員兼介護職員として働くも、心身崩壊し退職する。

その後派遣で働きながら介護福祉士の資格を取得する。

介護福祉士 ginkgoさん

あなたにとって介護職とは?

その人の生活に関わらせて頂く仕事であると考えています。介護を受ける人それぞれに生活や人生があり、その人に合ったケアを行うことで、少しでも楽しく過ごせるよう支援するのが介護職の役割だと考えています。

また、適切な介護を行う為に、日々試行錯誤や知識の更新が必要不可欠な仕事でもあると感じています。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2013年4月~2016年3月
    ひきこもりから抜けだし、地元で働きながら再度大学へ
    高校卒業後、県外のリハビリ系大学の作業療法学科に進学するも、実習でついていけず2年連続で留年し、中退しました。数ヶ月はアパートにひきこもる日々が続いていましたが、アルバイト先の先輩から「ここにいないで地元に戻れ」と叱咤激励され、お金を貯めて地元へ戻りました。
    その後「もう一度大学へ行きたい。どうせ大学へ行くのなら、資格が取りたい」と考えるようになり、通信制の大学へ編入しました。
  • 2016年3月~2019年3月
    現場経験を培う為、地域密着型の特養へ就職
    大学卒業後「まずは現場経験を培おう」と思い、地域密着型の特養へ就職しました。
    最初の一年は介護技術を覚えるのに必死でしたが、2年目からは仕事にも慣れ、周りのフォローも出来るようになりました。
    3年目になり感染症委員会の委員長を任され、嘔吐物に対するマニュアル作成の為、パワーポイントの使い方を学びました。研修も開催しましたが、他者へ説明することの難しさを痛感しました。
  • 2019年4月~2020年3月
    社会福祉士の資格を活かす為、ショートステイの生活相談員兼介護職員へ転職
    「そろそろ社会福祉士の資格を活かしたい」という思いから、従来型併設のショートステイで生活相談員兼介護職員として働きました。
    しかし初めての相談業務に加え、ショートステイの仕事内容は特養とは全く異なっていたので、2人分働いているような感覚でした。日付が変わるまで残業していたこともあり、心身共にボロボロになり、会社に迷惑をかけたこともありました。
    「このままでは仕事を続けられない」と思い、1年で退職しました。
  • 2020年4月~現在
    派遣として介護の仕事をしながら、介護福祉士の資格を取得
    ショートステイを辞めてからは仕事の負担を軽くしようと、地域密着型特養に派遣で働き始めました。仕事をしていく中で「介護福祉士の資格を取得しよう」と考えられるようになり、翌年介護福祉士の試験を受け、合格することが出来ました。

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私はこんな介護士です。

私はこんな介護士です。

私は「助け合いながらケアをしていくようにしよう。」と心がけています。勤務する特養には、心身共に重度の方がいます。適切な介助をしないと、入居者だけでなく職員にも負担がかかってしまいます。

なぜこれを取り上げたかというと、2人介助で移乗しなければいけない入居者を、1人で抱えて移乗している場面を目撃したことがあったからです。どうしてそんなことをするのか聞くと「他の職員を呼ぶのが申し訳なかった」ということでした。

その後「移乗する時は呼んでいいよ。もし手が離せなかったら、後で行くからね。」と声かけすると、次からは呼んでくれるようになりました。

このように、他の職員を呼ぶのに躊躇してしまう人もいます。1人で無理に行おうとすると、入居者のケガに繋がってしまいます。

私はいつでも声をかけられやすいよう、「何かあったら呼んでくださいね。」と、話しかけやすい雰囲気を作るようにしています。その為に笑顔で挨拶したり、時には完璧になりすぎないように努めています。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに介護士になったのでしょうか?

通信制の大学の実習中「自分は頭でっかちで、支援計画は机上の空論だ。」ということを痛感しました。

なので「社会福祉士として働く前に、まずは介護現場で人と関わろう。」という思いから、介護士になりました。

介護の仕事をしていく中で大変なこともありましたが、日常のちょっとした事で泣いたり笑ったりする日々が、自分にとって大切なものになっていきました。

ショートステイで生活相談員兼介護職員として働いている時、仕事が辛すぎて心身共に壊れていく中、利用者と関わっている時間だけが救いでした。

派遣で働き自分の時間が取れたので「この仕事で今後生活していくなら、介護福祉士の資格を取ろう」と決意しました。派遣で働く傍ら実務者研修を受講し、翌年介護福祉士の試験を受けて、一発合格しました。

現在は「介護の仕事は自分にとって天職だ」と、他人に堂々と言える程介護の仕事が好きです。

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く介護士がいます

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編集部
編集部

介護士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

1番は「日常のちょっとした事が、出来るようになった事」です。特養で水分を取らない女性入居者がいました。

最初は無理矢理飲んでもらうよう声かけすることしか出来ませんでしたが、その内「やり方を工夫すれば自分から飲むのではないか」と考えられるようになりました。

その人が好きそうな飲み物を色々と出し、さらにどの時間が1番水分を飲みやすいか他の職員と意見を出しながら試していきました。

また、女性が何故水分を取りたがらないのか聞いてみました。すると「トイレが近くなるから」ということが分かりました。

職員が「トイレ行きたくなったらいつでも声かけていいですよ」と声かけを続けたり、様々な飲み物を試したりと試行錯誤の末、数ヶ月後に自分から水分を取るようになりました。

水分を取るようになった事で、体調も良くなり離床出来る時間も増え、他の入居者と関わる時間が取れるようになりました。

日常のちょっとした事ですが、女性の入居者が笑顔で話をしているのを見ていると、良かったと感じました。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

2カ所目のショートステイで勤務している時です。新しくショートステイを利用される方のお宅に訪問した際、利用予定の女性の方は「行きたくないな」と、暗い表情でぽつりと呟いたのが気になりました。

私は「泊まっている時は、お部屋で本を読んだり、食堂で他の方とお話したり、自由に過ごしていいんですよ」と伝えると、「そう?なら少し安心したわ。」と、少し表情が和らぎました。

施設に来所された初日、私は挨拶がてら様子を見に行くと、他の利用者と笑顔でお話されておりました。「ここに来るまで緊張したけれど、来てみたら楽しいわ」という言葉を頂き、私も安心しました。

その後ショートステイが気に入ったのか、定期的に利用されるようになりました。

ご家族様からは「母は自宅にこもりがちになっていたけれど、ショートステイに行くのが楽しみになった。ありがとう」という言葉を頂き、私も嬉しくなりました。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

最初の1年は介護技術(食事介助・排泄介助・入浴介助)を身につけることで苦労しました。一口にケアと行っても、入居者1人1人やり方は異なります。

基本的な技術を身につけつつ。その人に適したケアを覚えるのに必死でした。

特に入浴介助は1番苦労しました。入居者は裸の状態なので、転倒すれば大きなケガになりかねません。

また限られた時間内で決められた人数を入れなければいけないので、効率良く行うことが求められました。

仕事中はメモを取り、休憩時間や帰宅後に振り返りを行うようにしました。また時間がある時に、オムツのあて方や水分のトロミのつけ方等を動画で学んだり、効率良く業務が出来るよう、空いている時間に施設の物品場所の把握やチェア浴の使い方等を確認したりしました。

2年目からは少しずつ慣れてきました。3年目からは感染症委員会の委員長になり、マニュアル作成や研修の開催等責任のある仕事を任されることが多くなりましたが、その分達成感もありました。

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編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

「自分のこともケアすることを忘れずに」です。最初と2番目に働いていた施設では、日付が変わるまで残業したり、プライベートの時間を削って仕事をしたりと、とにかく仕事に没頭する毎日でした。

そうした日々が続いたので、身体を壊すことも少なくなかったです。

心身共に疲弊していると、適切なケアが出来ないだけでなく、入居者を不安にさせてしまいます。

入居者は職員の顔をよく見ています。「最近元気ないけれど、大丈夫かい?」と声をかけられることも、度々ありました。

今は、休日は温泉に行ったり美味しいものを食べたりして、リフレッシュしています。自分の健康を維持することが、介護の仕事を続けることにも繋がると考えています。

また、「職場では愚痴を言わない」ことも心がけています。入居者は職員同士の会話を聞いています。何気なく言った一言が、入居者を傷つけることにも繋がりかねないのです。

どうしても話をしたいときは、職場の外で家族や職場に関係ない人に話すようにしています。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

3つあります。

1つは障がい者の支援にも携わってみたいと考えています。

介護福祉士の資格を調べる内に、介護福祉士の資格を持っていれば障がい者施設でも勤務することが可能ということも知りました。異なる分野も知ることで、より自分の出来ることを広げられたらなと思っています。

2つめは、介護の仕事をしている人達と交流していみたいことです。

今までは自分が働いた施設でしか、関わりがありませんでした。スキルアップを図る為にも、今後はSNS等を使って、他の都道府県で働いている介護職の方達と交流し、情報共有を行っていきたいです。

3つめは、ケアマネジャーの資格を取得することです。

これは「資格を活かしてケアマネとして働きたい」というよりも、「介護保険制度の仕組みやケアマネの仕事を理解することで、より情報共有がしやすくなるのでは」という思いがあるからです。

ただ、ケアマネジャーの試験を受けるためには、介護福祉士の資格を取得してから5年以上介護の仕事を続ける必要があります。先は長いですが、いつか取ってみたいです。

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編集部
編集部

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

これから介護の仕事を目指している人へメッセージをお願いします。

介護の仕事は「3K(キツい、汚い、危険)」というイメージがある人も多いと思います。実際私も働く前はその印象がありました。

しかし働いてみて「介護の仕事は、その人の生活に関わらせて頂く仕事」という考えに変わりました。

今でもケアの時高齢者から嫌がられたり、重い入居者を抱えて腰を痛めたりと心身共にハードなことは多いです。

ただ入居者と一緒にテレビを見て笑いあったり、入浴介助中に気持ちよさそうな表情を見ていたりすると、私自身嬉しくなります。

また、ケアの方法1つとっても正解はありません。Aさんの時は上手くいっていたのに、Bさんの時はダメだったということも、よくあります。

けっしてBさんのせいではなく「たまたまその時が悪かった」という場合もあるのです。試行錯誤してカチッとはまるようにケアがスムーズに行くと、「やった」という気持ちになります。

介護の仕事をするときは「誰の為にするのか?」「1番大事にすることはなにか?」を常に頭の片隅に置いておくことが、仕事を続けるコツだと考えています。

私の経験が、これから介護の仕事を目指している人に少しでもお役に立てれば、幸いです。

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