
介護職として働きたいけど、自分は未経験者だし、介護の資格だって持っていない。そんな状態で介護職として働けるのだろうか。仮に採用してもらったとしても、周りについていけるか心配。
- 無資格・未経験でも介護職は務まる
- 介護デビューするなら介護老人保健施設
- 介護職未経験でスタートした場合のキャリアパス
高齢化や介護職への待遇改善により、介護職として働きたいという人が急増しています。
かつては低賃金・高負荷な仕事のひとつとして知られていましたが、今では大幅に改善されています。
本記事を読んでいる人の中には、介護職へ挑戦することを考えているという人も多いでしょう。無資格・未経験から介護職へチャレンジすることについて、詳しく解説します。ぜひ介護職としてのキャリアをスタートさせる前に、目を通しておいてください。
無資格・未経験でも介護職は務まる
結論から言えば、無資格・未経験でも介護職は務まります。実際に多くの人が、まったく何もない状態で介護業界へ飛び込んでいます。そして少しずつ力をつけて、一人前の介護職へと成長していく人も決して少なくありません。
とはいえ、「本当に無資格・未経験でも介護職を目指せるの? そもそも資格って必須じゃなかったっけ?その資格を取るのも難しそうだし、不安なことがたくさあるなぁ。」と思っている人も多いのではないでしょうか?
ここでは、介護に関するよくある勘違いについて解説します。
よくある勘違い①:資格が無いと働けない
「資格がないと、介護職として働けない」というふうに思っている人は多いでしょう。しかし、資格は必須ではありません。法律上は、一部をのぞいて資格がなくても介護職として働くことが可能です。
介護資格がない段階でも、たいていの介護業務に当れます。例えば、
- 食事・起床・臥床・排泄・入浴などを介護する
- 衣類洗濯や食事の用意などの「生活補助」
- 介護施設内での掃除、介護記録入力
などが該当します。無資格・未経験だからといって、できることがないということではありません。
ただし、「介護の資格を持っている人しか採用しない」という介護施設も存在します。そういった介護施設は除外して、「無資格可」としているところへチャレンジすることとなります。
また、「ずっと無資格の状態で介護職として働く」というのは、現実的ではありません。働きながらでもよいので、資格を取得する方向で動きましょう。
ちなみに、最初に取得するべき資格は、「介護初任者研修」というものです。
介護初任者研修とは、「介護職として最低限、必要なスキルと知識を持っている」ということを証明する資格です。費用は10万円前後で、取得までに要する日数も、短ければ40日程度。
まずは、介護初任者研修の修了を目指しましょう。たいていの場合、取得した段階で月5,000円程度の資格手当が支給されます。出来るだけ、早い段階で取得したいところです。
よくある勘違い②:資格を取ることが難しい
介護職の資格取得は難しい、というのも、よくある勘違いでしょう。しかし介護職の資格取得は、飛び抜けて難しいものではありません。
先ほど触れた「介護初任者研修」であれば、合格率はほぼ100%です。追試を受けることが可能なので、投げ出さなければ取れるように設計されています。
その先には、「実務者研修」「介護福祉士」といった資格があります。実務者研修の合格率もほぼ100%で、追試を受ければ問題ありません。
介護福祉士でも、合格率は73.7%と比較的高い部類にあります。参考までに、運転免許証の合格率は60~70%です。
現在では、資格を習得するための環境もかなり整っています。「ニチイ」や「介護のツクイ」などで、資格を取得するための講座なども開催されています。
また、介護職員初任者研修は、ハローワークでも取得可能です。ハローワークでは「職業訓練」というものがあります。職業訓練では、「失業手当」や「職業訓練受講給付金」を受けつつ、さらに資格取得を目的とした教育が受けられます。一度、職業訓練を受けられるか、ハローワークに問い合わせてみましょう。
本来であれば資格取得は自費ですが、職業訓練は無償どころか補償を受けながら資格取得にチャレンジできる、唯一の方法です。
ちなみに、介護施設が、資格取得の費用を負担してくれるケースもあります。そういった介護施設への就職を目指すのも、ひとつの方法です。
介護職デビューするならどの施設で働くべき?
無資格・未経験者にも、介護職として働くことは可能です。
とはいえ、「私でも働けるのはわかったけれど、どこの介護施設を選べばいいのだろう。介護施設っていろんな種類があるし、その中には無資格・未経験者には向かない介護施設もありそう。私が働くべき介護施設はどこだろう?」という疑問を持っている人もいるでしょう。
ここでは、介護デビューするうえでおすすめできる介護施設について紹介します。
第1位:介護老人保健施設
要介護度 | 要介護度は決して高くはない |
---|---|
人間関係 | 平均的な水準 |
給与・福利厚生 | 給与水準は、介護業界でもトップクラス |
介護職として初めて働くならば、「介護老人保健施設」(老健)がおすすめ。なぜなら未経験者でも働きやすく、それでいて給与や福利厚生が優れているからです。
介護業界において、入居者には「要介護度」というものが割り当てられています。要介護度は1から5の5段階で分けられており、5がもっとも手厚い介護を要します。
介護職員の立場に置き換えると、「要介護度5の入居者は、もっとも介護するのが難しく、スキルを要する」ということです。
しかし、老健は、すべての要介護度が割り当てられている人を入居者として迎え入れています。つまり「要介護度が高い人だけを入居させる施設」と比較すれば、総合的な要介護度も低くなっています。
そして老健が「自宅での生活に復帰すること」を目標とする施設であるという点も、業務の負荷に関係しています。入居者は基本的に「復帰するために、できるだけ自分のことは自分でやろう」と考えているわけです。すなわち、介護が必要となる場面は、やや少なくなる傾向にあります。
総合して、「高度で高負荷な介護を要求される場面が少ない」というわけです。無資格・未経験ということであれば、いきなり難しい介護を要求されることもないでしょう。
ただし、ある程度慣れてくれば、ハイレベルな場面にも挑戦できます。つまり今後の成長に向けて、経験を積むチャンスもあるということです。
給与面については、数ある介護施設の中で、2番目に高い水準が保たれています。運営母体にもよりますが、賞与や手当をはじめとした福利厚生の充実度も高め。
人間関係という面では、「可もなく不可もなく」といったところです。これは老健で働いている人たちの人間性によっても左右されます。
しかし、特別に人間関係が悪くなりやすい要素は見当たらず、ものすごく大きな問題に悩まされる可能性は低いでしょう。
このように、様々な要素を考えれば、老健は無資格・未経験者に向いていると言えます。
第2位:デイサービス
要介護度 | 要介護度は低い |
---|---|
人間関係 | 人間関係はやや良好な部類 |
給与・福利厚生 | 給与水準は低め |
デイサービスで働くという選択肢もあります。デイサービスとは、「日帰り」の介護施設です。さまざまな事情で日中に自宅にはいられない要介護者を介護します。
デイサービスの利用者は、全体的に要介護度が低い傾向にあります。デイサービス自体は、1から5すべての要介護度に対応している施設です。しかし実際には、利用者の55%程度が要介護度1か2に該当します。
したがって、デイサービスにおける介護業務の負荷は、介護業界全体をとおしてもっとも低い部類に入ります。起床・就寝など、力が必要な介護を要さないのもポイントです。
ただし「介護が楽」というのは、絶対的なメリットというわけではありません。難しい場面が少ないということは、スキルアップするチャンスは限られる、ということでもあります。自信を成長させたいのであれば、積極的にチャレンジする姿勢が必要です。
また、人間関係は良好な部類に入ります。施設が機能している時間帯が日中に限られている関係で、トラブルや揉めごとになる要素は少なくなっています。デイサービスは「利用者に楽しい時間を過ごしてもらう」ということに念頭を置いているため、全体的におおらかな雰囲気が流れています。
ただし、給料の水準は、他の業態と比較するとやや低めです。平成29年度に行われた厚生省の調査によれば、デイサービスでの平均年収は317万円程度。同年の介護業界全体の平均年収は332万円なので、やや低めであることがわかります。
給与が低い点は気になりますが、業務の難易度は低く、人間関係もある程度安定しています。「最初は給料が低くてもいいから、ゆっくり慣れていきたい」という人にはおすすめです。
第3位:グループホーム
要介護度 | 要介護度は低い傾向 |
---|---|
人間関係 | 人間関係はやや良好な部類 |
給与・福利厚生 | 給与水準は平均的 |
グループホームも、無資格・未経験者がデビューする上ではよい選択肢となります。グループホームは「認知症患者が、できるだけ自立的に生活すること」を基本とした介護施設です。
先ほど挙げた老健と同じく、何から何まで介護するわけではないので、業務負荷は軽い部類に入ります。自立歩行ができるという人も多いのが特徴です。
ただし、認知症の重症度が高い入居者への対応には苦労する場合もあります。今まで認知症というものをよく知らない人にとっては、驚くような場面に出くわすこともあるでしょう。認知症という病気を理解し、冷静に対応できるだけのスキルが必要です。
また、人間関係は、極端に悪いということはありません。入居者に楽しく過ごしてもらうことが目的なので、それにともない温かい雰囲気が流れています。ストレスとなる要因が少なめなので、揉めることも少ないでしょう。
給与水準は他の業態と比較すると、やや低めです。平成29年度の平均年収はおよそ315万円程度で、介護業界の平均は下回っています。ただし、グループホームの給与水準は上昇傾向にあるので、今後に期待は持てるはずです。
参考【介護士転職】処遇改善加算を取得している優良介護事業所の見つけ方
無資格・未経験で働く際の注意点とは?
無資格・未経験でも働くことは十分可能で、紹介した介護施設を選べば、より良い形で介護職としてのキャリアが始まるでしょう。
とはいえ、「無資格・未経験が介護施設を選ぶとき、はどんなところに気をつければいいのだろう?求人票を見てもピンと来ないし、どこがいいのかまったく見えてこないし、一歩が踏み出せない」という人もいるでしょう。
ここでは、介護施設を選ぶうえで大切なポイントについて解説します。
注意点①:研修・教育制度が整っているか
まず、「教育・研修制度が整っているかどうか?」という点に注目しましょう。なぜなら制度が整っているか否かで、働きやすさは大きく変わってくるからです。
研修・教育制度が整っている介護施設なら、たとえ無資格・未経験でも働きやすいはず。出来れば、最初は補助的な業務に携わり、少しずつ仕事を覚えていくといった形を取りたいところです。
研修会やトレーニングなどを開催しているもあります。そういったものを開催しているのであれば、さらに安心してチャレンジできるでしょう。
また、資格取得の費用を負担してくれる介護施設も選択肢に入ります。今すぐに資格取得の費用がまかなえない状況であれば、よりよい選択肢と言えるでしょう。
注意点②:どんな人が働いているのか
次に大切なのは、「どんな人が働いているのか」というところ。介護施設は、「どんな人と一緒に働くことになるか」によって、働きやすさが大きく変わる仕事です。上司や同僚に恵まれれば、やりがいを持って働けるでしょう。
面接での対応や電話での印象などをチェックして、人間性を見定めるのが重要。出来れば、現場を見学して、普段の様子も見ておきたいところです。
無資格・未経験で始めた介護職のキャリアパス
介護の世界に飛び込んだなら、ぜひとも介護職としてキャリアアップしていきたいところ。
とはいえ、「介護職って、どのようにキャリアアップしていけばいいのだろう?色々と資格や役職の名前は聞いたことがあるけれど、何がどういう位置にあるのかわからない。ちゃんとキャリアパスを確認しておきたい!」という人もいるでしょう。
ここでは、介護職のキャリアパスについて解説します。
方法①:介護福祉士やケアマネージャーの上位資格を取る
基本的な介護職のキャリアパスは、上位資格を取得することです。介護職のキャリアパスは、おおむね以下のようになっています。
- STEP1無資格様々な業界出身者が、未経験で介護職デビュー
- STEP2初任者研修在宅・施設で働く上で必要となる基本的な知識や技術を修得し、指示を受けながら介護業務を実践
- STEP3実務者研修介護福祉士国家試験の受験資格として、実務経験3年に加えて、実務者研修の修了が義務づけ
- STEP4介護福祉士利用者の状態に応じた介護や他職種との連携を行うための幅広い領域の知識や技術を修得し、的確な介護を実践
- STEP5ケアマネージャー、生活相談員ケアプランの作成や評価を始め、サービス事業者と家族の間に入り、連携や調整を行う介護保険のプロ
- STEP6サービス提供責任者訪問介護事業所で配置が必須の資格者
基本的に取得した資格が上位であればあるほど、待遇も高くなります。また、資格手当も得られるようになり、それは基本的に月給ベースで加算されます。
資格手当が得られるというのは、誰にとっても魅力的なはず。先ほどから何度か触れていますが、資格取得には積極的に取り組みたいところです。
方法②:施設の業態を変えるために転職する
転職することで、別な業態の施設に移るという道もあります。業態を変えることで、よりよい働き方が見つかるかもしれません。
例えば、24時間機能している介護施設で働いていて、業務負荷を辛く感じているとしましょう。となると、デイケアなどの日帰りで運営している介護施設へ移る、というようなことが考えられます。
給料を理由にして転職するのも、よい選択肢と言えるでしょう。給料は介護施設の種別や運営母体の方針によってさまざまなので、チャンスは多くあります。そのため、転職して別な施設に移るというのも、キャリアパスのひとつとして考えられます。
方法③:生活相談員として働く
その他、生活相談員になるというプランも存在します。生活相談員とは、特別擁護老人ホームやショートステイで働く介護職員です。生活相談員の仕事内容は、実に様々です。一例を挙げると、
- 利用者や家族から寄せられる相談への対応
- 利用者の利用状況を管理する
- 介護職員の補助
- 窓口業務
- クレームや要望への対応
- ケアプランの考案、作成
- 施設内での調整
などが挙げられます。生活相談員になるには、介護福祉士など、自治体が指定する資格を取得する必要があります。そのうえで、介護施設からの指名があった場合、生活相談員として働けるというわけです。
生活相談員の給与は、基本的に介護職員よりもやや高めの水準となっています。中には年収500万円を超えるケースも。
生活相談員の仕事は多忙であり、大変な部分もあります。しかし、活相談員は施設を運営するうえで欠かせない存在。強いやりがいを持って、働けるという点も魅力的です。
介護施設は未経験・無資格の人を歓迎するのか?
無資格・未経験でも介護職は目指せますが、施設としては、ただでさえ忙しいのに全くの無資格者に基本的な技術や知識を教える時間的余裕はありません。
無資格者よりは、少なくとも介護職員初任者研修(ヘルパー2級)を持った人に入職して欲しいというのが施設のホンネです。
また、施設で働く人の中に、無資格者が増えてしまうと加算(※)が取れなくなってしまうので、施設としては人員が足りないからと言って、無資格者ばかり採用することはありません。
だからといって、介護職員の数を減らすことは出来ません。人手が足りないという理由以外に、入居定員に対する必要な職員配置数の基準が法律により定められており、それを下回ると介護報酬が減されてしまうからです。
つまり、介護報酬を減らされてしまえば、施設の運営が成り立たなくなってしまいます。
ちなみに、介護職の人員配置基準についてですが、特養では介護・看護職員で「3:1(うち看護は入所者数51~130の施設では3)」、老健でも介護・看護職員は「3:1(うち看護は2/7以上)」となっています。これは要介護者3名に対して、看護・介護職員を1人配置するのが望ましいということを意味します。
それぞれの施設の平均的な規模に合わせて具体的な数字を算出すると、入所者100人の特養の場合、「介護職が31人」「看護師が3人」となります。入所者100名の老健の場合、「介護職が25人」「看護師が9人」となります。
つまり、施設としては無資格者を増やしたくないが、採用せざるを得ない状況に置かれているということです。
介護福祉士の資格者が、施設における全スタッフのうち、どれくらいを占めているのかを都道府県知事に報告。介護福祉士の資格保有者、常勤職員、勤続年数が3年以上の者などが一定以上雇用されていることが、加算算定の条件となります。
評価基準を満たしていると認可された事業所に対して、介護報酬が加算されます。なお、ヘルパー1級でも加算の対象とはなりません。
介護職デビューするなら無資格ではなく資格取得して欲しい理由
「介護職員初任者研修」は現場配属される前に取得しておきたい、その理由を考えてみたいと思います。
理由①:人手不足により教育体制が整っていない
人手不足でスタッフ1人当たりの業務量が非常に多く、与えられた仕事をこなすので精一杯な状況です。介護レベルが重い施設であれば、利用者にかける時間が増えるので、なおさらです。
ただでさえ、介護の現場は人手が少なく業務過多なのに、他の人のことを考えている暇はないと考えてもおかしくはないです。
そのような現場では、新人に対する教育が手薄になってしまうのも分かります。自主学習で事前に備えられる知識があれば、スムーズにチームに参画出来ますし、知っておいて損はないと思います。
理由②:怒りや不満の矛先が向けられる
人手が足りない現場では身体的な負担以外に、時間に追われ精神的にゆとりが持てずイライラしたり焦ったりして、職場全体の雰囲気が悪くなってしまうことも少なくありません。
介護の仕事は、感情労働です。感情の抑制や忍耐がついて回る仕事ですので、当然ストレスは他の職種に比べ大きいです。そういったストレスが溜まった環境で、最低限の知識すら備えておらず迷惑を掛ければ、回りのスタッフの怒りを買ってしまうのも容易に想像がつくでしょう。
理由③:業務範囲が狭まる
代表的な介護職の仕事として、洗濯や掃除などを行う「生活介助」、入浴や食事のサポートを行う「身体介助」が挙げられます。
しかし、無資格の場合だと、そのスキルの低さから「生活介助」がメインになるケースが多いです。洗濯や掃除のほかに、ベットメイキングや物品の移送、利用者の移動補助など、介護職というより「お手伝いさん」の要素が強くなります。
食事・入浴・排泄介助を全く教えてくれないということではなく、教える時間が限られているので、未経験者を一から育てるというよりは、経験者に業務が寄るということ意味します。
理由④:利用者やご家族に対する配慮や心情理解が欠ける
介護施設では身体的な介助を必要とする利用者のほかに、視覚障がい、聴覚障がい、認知症など様々な障がいを患った方も介助の対象となります。介護の仕事は、利用者、その方を取り巻くご家族との人間関係の構築が何より大事です。
障がいに対する理解、心情理解がなくして、良い人間関係は望めません。介護職員初任者研修の学習プログラムでは、介護の知識やスキル以外に、演習を通じてコミュニケーション技術も習得します。
介護現場で無資格で「出来ること」「出来ないこと」
施設における介護業務は「出来ます」
施設の場合、現場に介護福祉士がいるために、無資格者でも介護業務が出来ます。掃除・食事介助・排泄介助・入浴介助(洗髪)などが介護業務に該当します。
訪問介護における<生活援助>は「出来ます」
集合住宅や戸建など利用者の住まいに行って暮らしを助ける訪問介護のうち、介護対象者の生活や家事の手伝いを行う生活援助業務は、無資格でも行うことができます。
訪問介護における<身体介護>は「出来ません」
介護の仕事は無資格で勤めることが出来ますが、訪問介護の「身体介護」だけは介護保険のルール上、無資格者が行うことが禁じられています。
施設勤務とは違い、訪問介護は常に介護福祉士や看護師が同行するわけではありません。同じ訪問介護でも、介護対象者の身体に直接触れる身体介護は無資格では行うことができません。
訪問介護において身体介護が出来るのは、「介護職員初任者研修」を習得した介護職のみとなります。
訪問入浴は「出来ます」
訪問入浴は資格取得の必要はありません。訪問入浴サービスで働くには、未経験の介護職でも大丈夫です。まれに、「無資格では訪問入浴が出来ない」と社内規定で定められているケースがあります。管理者か施設長に確認してみましょう。
参考訪問入浴勤務に向いている介護士とは?未経験介護士に求められるスキル
働きながら「介護職員初任者研修」資格は取得できるデキル
ニッソーネット「かいご畑」の場合
ニッソーネットが運営する「かいご畑」ではキャリアアップ応援制度が充実しています。介護職員初任者研修であれば、通常、受講するとなると定価75,000円の費用が掛かりますが、かいご畑の運営会社であるニッソーネットの「派遣スタッフ」として就業すれば、「0円」で受講できます。
さらに、介護福祉士を目指しキャリアアップを図るために必要な資格「実務者研修」は定価164,600円のところ、同様に「0円」で受講できます。かいご畑のサービスの評判・口コミは高く、相談から受講まで丁寧にコーディネーターがサポートしてくれます。
無資格・未経験で介護職を目指すのであれば、かいご畑に登録しておけば、まず問題ないです。
このキャリアアップ応援制度を利用するには、ニッソーネットの派遣スタッフとして働く必要がありますが、介護の派遣スタッフのメリットは、時給が高く残業が少ない他に、転職を繰り返さずに介護施設を転々と出来るので、様々な施設形態を経験できます。
「ベネッセ介護士のお仕事サポート」の場合
ベネッセ介護士のお仕事サポートも同様に評判の良い会社の一つです。かいご畑とは違い、ベネッセMCMでは受講料は有料(関東エリア49,720円/関西エリア47,000円)となりますが、メリットが大きく分けて二つあります。
まず一つ目が、ベネッセスタイルケアが運営する有料老人ホームに無料で施設見学、実習体験が出来ます。学習したカリキュラム内容を実際の介護の現場で実践できたり、利用者と直接交流できたり、施設の雰囲気を体感できたり、メリットが多いです。
そして二つ目ですが、ベネッセMCMに登録後、「介護職員初任者研修」を取得した場合、ベネッセが運営する施設(特養、老健、有料老人ホーム、デイサービス、グループホーム、訪問介護)の求人紹介を「無料」で受ける事が出来ます。グループ会社が運営する介護施設のため、職場環境や残業時間、人員配置、有給取得状況など詳しく聞くことが出来ます。
なぜ、この2社なのか?
「かいご畑」と「ベネッセMCM」を取り上げた理由としては、働きながら資格取得できるメリットのほかに、就職先を選ぶ方法として「事前に介護施設を見学できる」メリットがあります。
かいご畑では、派遣スタッフとして一定の契約期間、様々な介護施設を体験出来ますし、ベネッセMCMであれば有料老人ホームに無料で施設見学、実習体験が出来ます。
未経験で資格がなく介護職を目指す方にとって、情報が少ないゆえに就業先を選ぶのは難しいかもしれません。ただ、「かいご畑」と「ベネッセMCM」のように、未経験で資格がなくともサポートする会社があるということは理解して欲しいと思います。
まとめ
介護職は、無資格・未経験からでも挑戦できる職業です。
特に資格がなければ働けないということはなく、特定の教育機関を出てなければいけないという決まりもありません。介護という仕事への情熱があれば、誰でもチャンスはあります。
ただし、護職として働くのであれば、「
あなた自身が介護される側に立った時、自分の家族に介護が必要になった時、この介護施設にだったら入居させたいと思えるかどうか。そういったポイントで就業先を選んでみてください。
「介護職になぜ、資格が存在するのでしょうか。また上位資格である介護福祉士の資格が存在するのでしょうか。」資格なしで介護職を目指すことを否定するつもりはありませんが、それを推奨しない理由はそこにあります。
例えば、訪問入浴と聞くとハードルが高いように思いますが、実際は無資格、未経験の介護職の方はたくさんいらっしゃいます。入浴介助は非常にデリケートなサービスです。
利用者は高齢者が多いですが、行政委託で障がい者、障がい児の訪問入浴を行う事業所もあります。
結局のところ、よい介護サービスを提供しようとするとなると、その方々に対する知識、理解、コミュニケーション能力が求められるのです。予備知識があるかないかで、当然サービスの内容は異なってくるでしょう。
もし、あなた自身が介護される側に立った、もしくは自分の家族に介護が必要になったと考え、こう自分自身に問いかけてみてください。
- 自分が提供する介護サービスを自分自身で受けたいと思いますか?
- 安心して介護をお願いすることが出来ますか?
- その介護サービスで満足しますか?
本記事を参考に、自分に合った介護施設を見つけてください。
この記事を書いた人

コメント一覧