介護施設の施設長は苦労の連続。3年経験して分かった施設長の難しさ4選

介護職の働き方を考える
※画像はイメージです。
管理職になりたい介護士
管理職になりたい介護士

施設長の仕事に興味はあるけれど、なにをやっているかよくわからないな。でも、仕事ぶりを見ていていつも忙しそうにしているし、具体的にいったいどんなことが大変なんだろう。

介護施設の施設長、どういったイメージを持っていますか?

「家族ができても、介護業界で働いていきながら給料をアップさせたい。」「利用者さんの一番近くで仕事をするのもいいけど、もっと施設全体を支えるマネジメントにもチャレンジしたい。」など、挑戦していきたい人にはもってこいの役職ですが、いざやってみると苦労の連続なんです・・・。

ですが、それ以上にやりがいや成長できることもたくさんあります。今回は実際の経験をふまえながらお伝えしていきます。

記事のテーマ
  1. 利用者さん本人だけではなく、その周囲にも配慮が必要
  2. 施設を良くするも悪くするも施設長次第
  3. 運営管理には、「施設の経営者」という自覚を持つことが大事
  4. 介護保険制度上、行政とのやりとりが多くなるが、学びになる

質問があれば気軽にコメントください

施設長の難しさ【利用者さんの管理編】

施設長の難しさ【利用者さんの管理編】

介護職員だった頃は、利用者さんひとりひとりに対してどうすれば良いケアが出来るかを考えて、実践していく、いわゆる「介護業務」をメインに仕事をしていました。

しかし、施設長となると、現場から一歩下がった角度から見ていくため、現場だけでは難しい判断や利用者さんに関係する周囲への対応が求められます。詳しくお伝えしていきます。

その①:介護職員では難しい判断や対応力が求められる

施設ではたくさんの利用者さんが過ごされていますので、日々「施設内での転倒」や「夜間時の急変」などが起こります。看護師が常駐している施設では看護師が判断することがありますが、そうでない場合、現場の職員が頼りにするのは施設長です。混乱する職員から冷静に状況を聞いたうえで、次の対応を判断し、指示しなければなりません。

責任も重くのしかかりますが、対応できた際は職員や利用者さんからの信頼も厚くなり、自信にも繋がります。

その②:利用者さんのご家族との関わりが増えてくる

施設長として苦労するうちのひとつとして、「利用者さんの家族との関わり」があります。

利用者さんのトラブルや転倒などの事故があった際は施設長がやりとりをすることが多くなります。

中には、クレーマー気質を持った家族もおり、対応に苦労することもありますが、大切なことは「感情に寄り添うこと」です。そうすることで信頼関係が生まれ、問題を解決しやすくなります。

この関わりから逃げずに向き合うことで、家族からも頼られる存在となるでしょう。

その③:利用者さんを取り巻く環境(担当ケアマネージャーや他事業所)との報告連絡相談がある

利用者さんの担当ケアマネージャー(入居系ではない施設の場合)や利用者さんが他に利用している事業所など、利用者さんのことで連携をとることがあります。相談員が主に行うことですが、相談員が不在時などは施設長が行います。

施設内だけでは実施できないことや、足りないことを関係機関にお願いすることがあります。中にはすぐに対応してくれないということや、情報共有が不十分のため、現場の職員や利用者さんに迷惑をかけてしまうということがあります。職員が円滑にケアを行えるよう、窓口対応が重要になってきます。

施設長の難しさ【人事・育成・採用編】

施設長の難しさ【人事・育成・採用編】

施設長として求められるのが「職員のマネジメント」です。採用時の面接や、職場の人間関係など、神経を使い苦労することも多いですが、良い施設をつくりあげていくためにも、ここが施設長の腕の見せ所です。

壁にぶつかり悩むこともありますが、乗り越えたときには、自信や成長を感じることができます。詳しくお伝えしていきます。

その①:現場リーダーがいても、最終的な人事・育成は施設長に求められる

比較的小規模の施設にはありがちですが、現場リーダーが配置されていても、新人の育成や、フロアの人員配置、シフト作成などは施設長が担当する場合が多いです。

施設長になりたての頃は、「自分がやっていかなければ!」となんでもやってしまいがちですが、勇気を持って現場リーダーに一任してみることも、自分自身を守るためには重要です。任せきりにするのではなく、現場リーダーのサポートを徹底することで、現場リーダーの本来の役割を引き出すことができます。最終判断は、施設長が行います。

その②:採用する際の面接は特に慎重にならなければいけない。

深刻な人員不足のなかで、求人応募は本当に希少ですが、だからといって誰かれ問わず採用していいわけではありません。そこは慌てず冷静になって求職者との慎重な面接をする必要があります。

人の心に寄り添うデリケートな仕事ですので、「この人なら大丈夫」と確信が持てるまで、時間の許す限り対話をします。筆者は何度もこの採用で失敗してしまい、利用者さんや職員に迷惑をかけてしまったことがありました。

その③:施設内の人間関係をどう解決していくか

離職理由のなかで最も多く、どの施設を見ても、こういった問題を抱えています。人間同士、考え方や価値観を変えて関係性をよくすることは難しいです。まずは問題が大きくなる前に、いち早く施設長が情報をキャッチし、必要があれば面談をする、人員配置を変更するなどの、対策が必要です。

一番やってはいけないことは、すぐに諦めて渦中の職員を離職させてしまうことです。「この人は周りとの関係が良くないから」「少しやりにくい人だから」と諦めてしまうのではなく、どうしたらより良くなるかを考え抜くことが大事です。最後の味方は施設長だということを忘れずに!

施設長の難しさ【営業売上・利益・収支管理編】

施設長の難しさ【営業売上・利益・収支管理編】

施設を運営していくためには、売上げなどの数字管理を施設長が行わなければなりません。利用者さんにいいケアを提供するためにも、職員の生活を守るためにも、施設長が意識していかなければならない大切な項目です。

現場フォローをしながら切り盛りをしていくことは大変ですが、運営方法の理解が深まります。詳しく見ていきましょう。

その①:施設を運営していくためには利益が必要

介護報酬は国の制度で決まっており、上限があります。そして他の産業と比べ、決して多くの利益が出るものではないです。特に課税対象である民間企業においては、近年倒産してしまっている事業所も少なくありません。それをふまえ、施設や職員の雇用を守るためには、施設長が利益の意識をしていくことが必須です。

利益を出すことは簡単ではありませんが、計画達成時には、現場職員とはまた違った嬉しさとやりがいを感じることができます。

その②:人員不足により現場に出ることがあるため、収支管理の把握が難しい

事務職員を配置している施設や現場には出ない施設長もいますが、小規模な施設ではほとんどの施設長が介護現場にでており、日々の収支管理が追えていない状況になってしまうことがあります。現場の合間や、シフトを終えたあとなど、時間を作り出して本来業務がなかなか出来ません。

思い切って、現場には出ないシフト作成をすることが理想ですが、人員不足のなかで、簡単ではないですよね・・・。ここは遠慮せずに法人本部に声を上げてサポートしてもらうことが大切です。自分の身体を一番に考えましょう。

その③:集客=介護職員の不満に繋がりやすい

売上げ、利益を上げるためには当然利用者さんを増やしていく必要があります。ですが、現場職員は数少ない人員のなかで利用者さんをケアしており、厳しい現状のまま新規の利用者さんを迎えると「現場が大変なのになぜ迎え入れるのか」「現場のことがわかっていない!」と不満を口にすることも少なくありません。

現場を理解している施設長はジレンマを抱えてしまいます。大事なことは、現場職員と日々の現状を共有して、理解してもらうことです。筆者がいた施設では、共有を大事にしていたので「利用者さん減ってきているけど、今月の売上げ大丈夫?」と逆に心配されるくらいまでになりました。

施設長の難しさ【行政管理編】

施設長の難しさ【行政管理編】

介護保険サービスは国から報酬が出ている為、コンプライアンスも厳しく、膨大な書類の保管が必要ということと、施設の変更点や事故などは、すべて行政に報告しなければいけません。

やることがたくさんありますが、介護保険制度の理解が深まるため、マイナスなことばかりではありません。詳しくお伝えしていきます。

その①:施設長なら誰しもが恐怖する「実地指導」

各自治体の職員が定期的に施設へ出向き、その施設が適切な運営や書類が整備されているかを確認する実地指導があります。当然、対応するのは施設長なので、前日までに死にものぐるいで、書類を整備した施設長も少なくないはずです。最悪、施設の指定取消しということもあり得ますので、法人総勢で準備フォローをしてくれます。

自治体職員からも有益な情報や、適切な運営のための勉強にもなりますので、施設長として成長出来る場でもあります。

その②:権利擁護(虐待など)があった場合の窓口対応

残念ながら施設内で起きてしまった職員による虐待などは、行政に報告をしなければなりません。厳密に言えば、各自治体が委託をしている「地域包括支援センター」なのですが、その窓口対応等も、施設長が行います。

大切なことは、起きてしまった事実を包み隠さずに報告すること、今後の対策防止策をきちんと伝えることです。書類提出などやることは多いですが、自治体職員も地域包括支援センターの職員も、敵対視するわけではなく、一緒に考えてくれますので、真摯に対応していきましょう。

その③:現場で困った案件を、各市町村担当へ相談するも・・・

日々、施設を運営していくうえで、制度上行ってよいことなのか、現場での判断を迷うことがあります。

法人本部に連絡をしても「各自治体によってルールが違うから行政に確認をして」と言われ、行政に連絡をするも「電話連絡ではお答えしかねますので書面で送ってください。」と言われ、仕方なく書面をFAXするも全然返答が返ってこず、「こっちはすぐに答えが欲しいのに!」と嘆くことも少なくありません。

判断を誤れば重大な行政処分になる可能性もありますので、このFAXルールなど少しでも現場に寄り添った迅速な対応をしてほしいと願います。

まとめ

施設長は決して簡単な仕事ではありません。一つ問題を解決したらまた次の問題が出てきてと、その繰り返しですが、逆を返すと常にやりがいがあり、飽きがこない仕事ということです。

職員となにかを成し遂げたときや目標を達成したときなど、嬉しさ喜びは施設長でないと味わえないものもありますし、外部との関わりも増えて、地域との繋がりを感じることができます。

自分の裁量で施設をつくることができる、そんなやりがいが半端ない仕事にぜひ一度挑戦してみませんか。

この記事を書いた人

koike43
さん

新卒として、祖母が通っているデイサービスの会社へ入社し、現場職→介護リーダー→事業所の管理職→エリアマネジャーとして働く。

しかし、もう一度介護の専門職としてひとりの利用者と向き合って仕事がしたいと考え、社会福祉法人へ介護職として転職する。

経歴

  • 2013年4月~2015年3月:訪問入浴オペレーターとして裏方役へ
  • 2015年4月~2016年3月:新規開設ショートステイの現場リーダーに抜擢
  • 2016年4月~2019年3月:事業所の管理職として奮闘
  • 2019年4月~2020年9月:エリア統括マネージャーとして、事業所の管理者へのサポート支援や採用活動、集客など内部の仕事をメインとしながら、地域包括支援センターの職員と共同で認知症カフェを運営や、地域のイベントへの参加運営などの地域活動
  • 2020年9月~:社会福祉法人の介護職として転職。副業で夜間訪問介護の仕事をこなす。

資格

  • 介護福祉士
  • 社会福祉士

質問があれば気軽にコメントください

コメント一覧

タイトルとURLをコピーしました