制度の改善を待つだけでなく、一人一人が成長し、業界を改善する事が介護の未来を作る

介護士の「現在」と「未来」を考える

介護士の「現在」は暗い

介護士の「現在」の状況について、明るいか暗いかの2択で言えば、私はまだまだ暗いと思います。

そう感じる理由について、経済的な面から、人材、仕事の内容に至るまで現実的に挙げてみました。

これは介護の仕事自体には不満がなくとも、実際に現場で働いている人が直面する問題であるとも思います。

では以下で一つ一つ見ていきましょう。

理由①:まだまだ収入が高くない:

世間一般に言われていることですが、介護の業界は収入が低い傾向にあります。全業種の平均年収は、約440万円と言われていますが、これに届く収入を得ている職員は私の周りをみてもあまりいません。

その数字に届く職員でも、勤続10年ほどの経験に加え、介護福祉士などの国家資格手当や、夜勤手当、そして処遇改善手当などを足して、ようやくその数字にたどり着いている感じではないでしょうか。

逆に言えば、手当がないと基本給だけでは月給10万円台の方が大半かと思います。

なおかつ、介護報酬は、地方の方が都市部よりも低い水準となりますから、地方の介護事業所はより低い水準の収入であると考えられます。

処遇改善手当が徐々にアップする傾向にはあり、現在の状況は、以前に比べれば改善しました。

しかし、介護報酬自体がとりわけ上昇したわけではありません。下がったサービス種もあるくらいです。

つまり、現在の所は、過酷な労働のわりに、安定して世間の平均年収が得られていないと言えると思います。

理由②:体力的、精神的に負担がある仕事

介護士の仕事は世間的に言われるままに体力的、精神的な負担があります。

高齢者福祉は基本的に、「心身の状態が低下されている方」に対しての仕事になり、その低下具合によって、介護士の仕事の内容が変わってきます。

身体的に能力の低下されている利用者に対しては、介護士の体の負担が大きくなり、また精神的な低下に対しては、認知症に代表される様に、意思疎通が難しい方が多いため、介護士の心の負担が大きくなります。

現在の介護業界では、基準ぎりぎりの人員配置にくわえ、夜勤などの不規則勤務、ますます進行する利用者の心身の状態の低下などから、介護士の心身の負担が増しています。

認知症と言えど、なにもわからなくなるわけではなく、ある程度分かって職員を攻撃する人もおられ、またご家族にもハラスメントに近い言動、行動をされる方もおられます。

テレビなどで、介護士からの虐待などはすぐに話題になります。しかし、実態はその逆も見られ、その対応が遅れている状況です。

理由③:人材不足で介護業界の質があがらない

現在の介護現場は人材も不足しています。私自身、もともとは福祉とは全く異なる業種で仕事をしていました。また福祉の業界に入ってからも、ケアマネ等で多業種の方と仕事を一緒にする機会があります。

その中で感じるのは、介護業界は、人員も十分とは言えないだけでなく、法令や介護技術、知識等を理解して仕事を進めていける人材があまりいないという事です。

介護事業所は、介護保険法や消防法などいくつかの法令や、省令等に基づいて運営されます。それに違反すると減算となり、収入が減ってしまう事態にもなります。たまにニュースになりますが、それが続くと事業停止にも至ります。

しかしながら、現場の実態はそういったことを知る由もなく、淡々と業務をこなす人が多い印象があります。こういった環境で危惧されるのは、よい人材がよい所へ言ってしまう、いつまでも介護業界の待遇がよくならない事など多岐にわたります。

介護士の「未来」は明るい

介護士の「未来」は明るい

では、未来についてはどうでしょうか。私は少しの期待をこめて未来は明るいと考えています。

それは、今のまま現場で努力していれば、団塊の世代の後期高齢化や、少子高齢化などの社会的に介護が必要な状況に加えて、それに対応する介護職員を保持するために国からある程度の改善策が示されるからです。

では、その内容を見ていきましょう。

理由①:仕事が安定している:

20年~30年のスパンでの未来を考えた時に、明るい材料として一番に挙げられるのは、仕事が安定しやすい点にあると思います。

よく言われることですが、団塊の世代が後期高齢者になり、高齢者数、つまり、「利用者の数が安定しやすい事」が主な理由になります。少子高齢化で、人口がどんどんと減っていく中で、お客様である利用者数が増えるという事は、小売業や通常のサービス業等でみればあまりない事ですから、この点は介護の仕事を長く続けたい方にとっては大きなポイントになると思います。

それに加え、ご家族が介護を出来ない実態があります。私自身、ケアマネをする中で感じますが、たとえ介護保険制度がなくなったとしても、医療が発展したとしても、介護予防の取り組みが効果をだしたとしても、現実として仕事等で介護自体ができないご家庭が多いわけですから、介護の仕事自体がなくなることはないと思います。

理由②:待遇の改善が続いている

上記の項目で待遇面の低さを挙げました。たしかに現在では他の業種と比べて、よい水準の待遇ではありません。

しかし、人員不足を補ったり、介護人材の離職を防ぐための処遇改善手当が少しずつですが、上昇しています。また介護の基本の報酬である介護報酬についても、サービス種によって増減の幅はあるものの、貢献度の高いサービスについては特に上昇傾向があります。

上記でも触れていますが、利用者数が上昇し、働き手が足りない状況がほぼ確実な中で、現在よりも、削減が続くことはまずないと考えられます。

また、介護事業所同士の人材の取り合いも実際にあり、求人をみていると以前に比べると事業所の給与についても、上昇傾向にあります。私が介護を始めた時は、介護福祉士をもっていないと正社員になれませんでしたが、現在は、なんの資格を持たなくても正社員として採用される事業所が増えています。

国の方針以外に、こういった事業所の傾向もあり、介護士の待遇の改善が進むと考えます。

理由③:介護職員へのハラスメントを減らす取り組み

人材確保の難しさから、働きやすさの面も厚生労働省を中心に徐々に考慮されています。ICTを活用した業務の効率化、印鑑の廃止などいろいろと耳にされたことがあるでしょう。

しかし、現場で働く職員にとって現実的なのは、職員の立場の向上ではないでしょうか。

「介護現場の現在は暗い」の項目でも触れていますが、「虐待」「ハラスメント」と言ったことはよくニュースになります。しかし、それは介護職が責められる事柄ばかり。しっかりと仕事をしている職員にとって、こういったニュースは、関わりや仕事のやりにくさにつながってしまいます。

私自身も思うことですが、利用者様やご家族からの言葉や行動によるハラスメントは、実は日常的にあります。現在の流れとして、この利用者様、ご家族からの職員へのハラスメントについての対応が進んでいます。

福祉の心を持っている職員にとって楽しく仕事出来ることが大切であるため、こういった取り組みがされていることは、介護の仕事の明るい未来につながると考えます。

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私の5年、10年後のキャリア戦略

私の5年、10年後のキャリア戦略

ここでは、私自身の5年、10年後を考えたキャリア戦略を紹介したいと思います。介護業界の未来は先述の通り、明るい方向に向かうと思います。

しかし、それと個人の未来が明るいとは必ずしも比例しません。個人のレベルアップが必要です。目の前にいる利用者様のために、個人、事業所レベルでの継続的なスキルアップは必須と考えます。

私が目指す、5,10年後の姿もその目的に応じた内容になっています。

5年後目指す姿

5年後に目指す姿は、「経験と質を向上させた福祉の専門家」です。といいますのも、私自身はまだ経験を積み始めたばかりだと思っているからです。

私は、30歳ほどまで介護とは全く異なる仕事をしていましたが、現在はケアマネージャー兼介護職をしています。ケアマネとしてはまだまだ経験が浅いと思います。前業種から介護業界を選んだ一つの理由として、介護福祉士や、ケアマネージャーといった資格を取得することで、ある程度の仕事の幅が広がる点がありました。現在はその資格取得の段階を過ぎ、ケアマネージャーの仕事を実際に経験している段階と捉えています。

経験にはどうしても時間が必要になります。5年後の姿を考えた時に、日々のケアマネ業務の中でどれだけの経験を積めるか、またそれと並行して、どれだけの知識や必要な資格を取得できるかが、私の5年後の専門家としての姿を左右すると考えます。

10年後目指す姿

10年後に目指す姿は、「人材を育て、質の高いサービスを提供する支えになる」事です。

介護の仕事は、2025年問題を乗り越えた先、その後の10年、20年後を見据えたときに今度は介護事業所の生き残りをかけた時代になると考えています。

当然ながら、少子高齢化が進んでいるわけですから、高齢者が少なくなります。また医療が今よりも進んだり、予防の観点からの取り組みが功をなしたりすると、高齢者でもサービスを利用する必要がない方も増えていきます。もしかしたら、認知症の方も予測よりも減るかもしれません。

そして、現在の様子をみていると財源である社会保障費も十分な状態になるとは考えにくいです。

そうなった時に、介護事業所が生き残るには、質の高いサービスを提供し、他事業所との差別化をはかることです。私が10年後に目指す姿は、そういったサービスを提供できる人材を育てることです。

まとめ

大きく、介護業界が「明るいのか暗いのか」「私の5年、10年後の姿」を見て来ました。私自身、面白い視点で業界の事を見つめ直す機会となりました。

私の場合、介護業界にはもっと成長してほしいという思いをこめて、現在は暗く、未来は明るいとしました。誤解のない様に書きますが、今でも決して他の業界よりも劣るという様には思いません。

ですが、現在、未来の介護業界をよりよく導くのは、最後には個人、事業所レベルでの向上が必要だと考えます。皆様と一緒によい業界を作っていければと願います。

この記事を書いた人

みやあらや

現在は、小規模多機能事業所のケアマネージャー兼任介護福祉士。夜勤もこなす。

30歳のころまでは、畑違いの研究職の仕事をしていたが、知人が入所していた特養を訪問したことをきっかけに介護業界に転職。その後、ホームヘルパー2級、福祉住環境コーディネーター2級、介護福祉士、介護支援専門員等の資格を取得し、現在に至る。

経歴

  • 2012年4月~2013年9月:特別養護老人ホーム
  • 2013年10月~2014年3月:短期入所施設
  • 2014年4月~2016年2月:一般病院 看護助手
  • 2016年3月~2018年8月:老健、医療療養棟
  • 2018年8月~2019年9月:グループホームのケアマネージャー
  • 2020年9月~現在:小規模多機能事業所のケアマネジャー兼介護福祉士

資格

  • 介護福祉士
  • ケアマネジャー
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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