ケアマネと兼務する理学療法士が語る、介護分野でのリハビリテーションとは?

現役PT・OT・STに話を聞く「深イイ話」

現役理学療法士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年04月18日

現役で働くリハビリ職のインタビューを通じ、医療介護従事者として働き続けるモチベーションの源泉に迫ります。周囲の考えに目を向けることで、この先にどうありたいか、自分の将来を考えるキッカケになれば幸いです。

プロフィール

専門学校時代に留年を経験するが、翌年卒業し国家試験に合格。無事に理学療法士となる。

初めはリハビリ専門の病院で脳卒中や骨折した方のリハビリを中心に行っていましたが、結婚を期に転職し、現在は老健で通所・入所のリハビリを行っています。

現在はケアマネージャーの資格を習得し、施設ケアマネの仕事を兼務したり、市町村の事業に参加したりと、様々な活動に携わっています。

理学療法士の仕事は、自宅や施設内での動きを適切に評価・改善し、利用者様の生活を建て直す手伝いをする仕事だと思っています。主役は利用者様であり、自分はあくまで脇役である事を、忘れずに日々働いています。

理学療法士 かずぽんさん

あなたにとって理学療法士とは?

今の私を形成している生き方そのものです。理学療法では評価⇒介入⇒再評価というプロセスを行いますが、プライベートな場面でもシチュエーションに合わせた評価や介入を行い、再評価する癖がついてしまっています。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2006年~2010年
    専門学校時代
    理学療法士がどんな職業かも分からず専門学校へ入学しました。勉強もせず、遊びとバイト漬けの日々を送り、4年生で留年を経験。友人達が卒業し、社会人となった事に焦りを覚え奮起し、翌年に無事卒業し、国家試験合格を果たしました。
  • 2011年~2014年
    病院勤務
    海が近い街に憧れ、地元を離れ一人暮らしを始めました。引っ越した2日後に東日本大震災があり、幸い食器が割れる程度の被害で済みましたが、全く知らない土地で不安な日々を過ごしていました。
    勤務先は回復期リハビリテーション病棟のある病院で、脳卒中や骨折、難病の患者様を急性期~生活期までを通して担当したことで、現在の私の土台が出来上がりました。また、自己研鑽に励み、勉強会や学会での研究発表の準備で残業の日々を送っていました。
  • 2015年~2017年
    結婚、転職
    20代後半で結婚し、地元へ戻ることになったため、転職活動を行いました。その頃には病院でのリハビリよりも、患者様の退院後の生活に興味を持っていたため、現在も勤務している老健(介護老人保健施設)へ入職し、入所と通所の方のリハビリを行っています。
    病院とのギャップや理学療法士という職業の知名度の低さに驚きの日々でしたが、病院を退院した後の方達の生活を実際に見る事ができるのは、大きな経験となっています。
    残業がほぼなく、定時に帰る事ができるため、夜の時間を利用して、学生時代に行なっていたスノーボードや卓球を再開し、読書をする時間を確保できるようになりました。
  • 2018年~現在
    施設ケアマネ取得
    現在の勤務先にも慣れ、学生指導や施設内での委員会、監査対策など任される仕事の量が増えてきました。また、ケアマネージャーの資格を習得し、施設ケアマネとして、入所者様のケアプランの作成も行っています。
    現在は介護予防に興味があり、勤務先と相談し休日には市町村主催の介護予防教室の運営に携わるようになりました。
    仕事が増える一方、年収はほぼ変わらず、今後に危機感を覚え、デイサービスでの機能訓練員としてのアルバイトや、空いた時間を利用してライターの仕事を始めました。

私はこんな理学療法士です。

私はこんな理学療法士です。

利用者様や同僚からは「元気がある」「話しかけやすい」と言われることが多いです。元々はそのようなキャラではなかったのですが、円滑に仕事をするにはコミュニケーションが大切と考え、明るく元気のあるキャラ作りをしていました。

最初の頃は無理をしていたため、家に帰るとクタクタに疲れ、顔も引きつっていましたが、現在ではそのようなキャラにもすっかり慣れてしまいました。

会話の中でもオープンクエスチョンやクローズドクエスチョンを使い分けたりする事で、相手がスムーズに話ができるように意識しています。

また、私は理学療法士の仕事が大好きで、普段から利用者様のリハビリの事を考え、街行く人の動きを観察してしまいます。

そのたびに同じ理学療法士である妻と色々と議論しています。恐らく周囲の人から見たら筋肉について議論している変な夫婦に思われていると思います。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに理学療法士になったのでしょうか?

高校生の時は特にやりたい事もなく、兄が作業療法士であったことから、漠然と理学療法学科のある専門学校へ入学しました。

在学中は遊びとバイト漬けの日々で、勉強は二の次でした。3年生で初めての実習の時に片麻痺の方を担当し、自分の身近にも障害を抱えた人たちがたくさんいるという事実に驚きました。

4年生の時に留年を経験するまで、理学療法士という仕事を理解しておらず、留年後に友人たちが卒業していく焦燥感から、1年生の分野から学び直し、初めて理学療法士という仕事を知り、本気で理学療法士を目指そうという気持ちになりました。

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く人がいます

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編集部
編集部

理学療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

理学療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

理学療法士の仕事は、患者様や利用者様の生活の再建をお手伝いする仕事だと考えています。そのために利用者や看護師、介護士等の多職種と協同して一つ目標に向かって進んでいく事にやり甲斐を感じています。

また、目標を達成し、利用者様の生活が広がり、生き生きとした笑顔をみると、理学療法士の仕事を選んで良かったと感じる事ができます。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

25~6歳の頃に脊髄梗塞という病気を患い、腰から下が麻痺してしまった40代の女性を発症翌日~自宅に退院するまでの約6か月間担当しました。

その女性はアパートの2階で夫と2人暮らし。発症する前日までは普通に車を運転し、パートに通っていたのですが、夜中に突然足に激痛がはしり、腰から下が動かなくなり救急搬送されてきました。

翌日からリハビリが開始され、最初は、両足を全く動かすことができず、起きたり座ったりするのにも介助が必要な状態でしたが、日に日に状態は改善し、6か月後には杖で歩いて自宅へ退院する事ができました。

日々回復していく患者様を目の当たりにし、人間の回復力に驚いたのと、退院するときに「あなたが担当で本当に良かった」と言っていただけ、笑顔で握手をしたことは、今でも忘れられません。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

現在の勤務先に就職した当初は、理学療法士や作業療法士は「マッサージの先生」と呼ばれており、看護師や介護士等の多職種の方たちからの理学療法士の仕事についての理解が低く、理学療法士に何が出来るのかを理解してもらう事に苦労しました。

まずは我々の仕事を知ってもらおうと考え、今までリハビリ室で行っていたリハビリを人目につく廊下で目立つように行い、積極的にコミュニケーションを図ることで、少しずつではありますが、仕事への理解が進んできており、最近では自立度や介助の方法の相談が増えてきました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

適切な目標設定とPDCAサイクルを行う事を大切にしています。目標がずれてしまうと、目指すべきゴールが見当違いの方向へ向かってしまうためです。

そのために、利用者様とのコミュニケーションを丁寧に行い、また普段の生活を観察する事を意識して行っています。

PDCAサイクルとは、計画(Plan)⇒実行(Do)⇒再評価(Check)⇒改善(Act)のそれぞれの頭文字を取ったもので、この考え方はサービスや商品の品質を改善するためのプロセスとして生まれました。

適切な目標を設定しても、その後のアプローチが間違っていると、最善の結果を生むことは難しいため、定期的に再評価を行い、改善点があれば修正し、再度アプローチを行う事を心がけています。

特に通所リハビリの利用者様の場合、在宅で生活している方が対象となり、除雪作業でのスコップ動作や、畑作業での草取りやトラクターの乗り降り、趣味活動等の多種多様な目標に向かってアプローチしていく必要があります。

また、一人一人の生活環境も異なるため、初期評価後に動作の方法の助言や練習を行い、福祉用具等の環境を整備し、その後定期的な再評価と修正を繰り返し行っていく事が大切であると考えます。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

理学療法士としては、現在は介護予防の分野に興味があり、地域で生活している人が住み慣れた場所で健康に過ごすことができるように支援していきたいと考えています。

昨年からは市町村で主催している介護予防教室の運営に携わっています。また今年度からは個人の家に訪問し、評価とプログラムの立案をする事業が開始されるため、そちらも方にも携わっていく予定です。

私個人としては、今後の理学療法士の数は飽和状態を迎えるため、所得の増加は難しいと考えており、これから先の生活に不安があります。

そのため、デイサービスでのアルバイトやライター業で所得を増やし、投資信託等での資産形成を行い、今後の不安なく、豊かに生活していきたいと考えています。

編集部
編集部

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

理学療法士として病気やリハビリの知識や技術を磨く事はもちろん大切ですが、それらを磨くだけではいつか壁にぶつかり、行き詰ってしまう時が来ると思います。

時には、理学療法士としての勉強だけではなく、政治や経済等の専門外の事を学んだり、趣味活動を広げたり、医療・介護現場とは違う人達と接することで視野が広がり、結果として理学療法士としての成長に繋がると思います。

最後になりますが、理学療法の究極の目的は、利用者(患者)様を幸せにすることだと思います。相手を幸せにするには、まず理学療法士本人が幸せでなければいけません。

職場の事や家族の事、金銭面、健康面等々たくさんの心配事があると思いますが、理学療法士の得意技である、評価や介入、再評価を自身にも当てはめ、適切に対応することで、必ず幸せになると信じています。

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