有料老人ホームでの機能訓練指導員の経験が、理学療法士の役割を再認識

現役PT・OT・STに話を聞く「深イイ話」
※画像はイメージです。

現役理学療法士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年4月23日

現役で働くリハビリ職のインタビューを通じ、医療介護従事者として働き続けるモチベーションの源泉に迫ります。周囲の考えに目を向けることで、この先にどうありたいか、自分の将来を考えるキッカケになれば幸いです。

プロフィール

中学生の時に参加したボランティア活動をきっかけに、理学療法士という職業を知る。

養成大学に入り、厳しい実習と国家試験を乗り越えて理学療法士となる。

理学療法士9年間、転職を通じて理学療法士の幅広い仕事の場を知る。また転職活動を通して、向上心にも繋がった。

結婚を機に退職、在宅分野に興味があったためケアマネジャーの資格取得に挑戦する。今後研修を経て、両資格を生かした在宅分野での仕事復帰を検討中。

理学療法士 パピコさん

あなたにとって理学療法士とは?

病気や怪我を治すお手伝いをするだけではなく、病院や施設や在宅において家族のような存在だと考えています。

不安を抱える状況の中で、その人らしく無理なくリハビリに参加できるよう、精神的サポートをすることが一番の役割だと感じています。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 大学卒業後~
    急性期総合病院に入職
    社会人一年目、仕事を覚える事や技術習得に同期達と終業後日々励む。急性期病棟でのリスク管理に一番苦戦し、日々緊張感を持ちながら業務実施していた。年度末法人経営破綻通告があり、退職となる。
  • 20代半ば~
    有料老人ホームへ入職
    有料老人ホームでの機能訓練指導員として入社。母体が株式会社ということもあり、営業や出張等もあった。
    機能訓練指導員は施設に一人の配置であり、仕事と私生活の両立は難しかった。入居者の居室の環境調整、福祉用具の選定等幅広い介入が必要であった。
    施設での介護職への介護技術指導の実施や、施設内の行事・レクレーションの提案も実施していた。生活そのものがリハビリテーションという施設の考え方であった。
    福祉用具の選定にとても興味が高く、福祉用具業者さんに時間を作ってもらい新しい製品の説明等知識習得に励んだ。
  • 結婚を機に~
    急性期の整形病院に入職
    脊椎・上下肢の術後リハビリテーションに従事。後輩も多く、術後リハビリテーションに対してのリスク管理等重点的に指導。
    また術語自宅復帰される患者さんも多く、退院前の家屋評価に行く機会も非常に多かった。福祉用具の選定も施設での経験が生きスムーズに自信を持ち行う事が出来た。
  • 現在~
    ケアマネジャーの資格取得に向け挑戦中
    家庭との両立が難しくなり退職。在宅分野に興味があったためケアマネジャーの資格取得に挑戦する。今後研修を経て、両資格を生かした在宅分野での仕事を検討中。

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私はこんな理学療法士です。

私はこんな理学療法士です。

私はいつも笑顔で穏やかな雰囲気でいる事を心がけていました。その人らしさを引き出せるように、親しみやすい環境作りをすることが重要だと考えています。しかし私達の職業はサービス業であり、患者様からも評価される仕事であります。

リハビリテーションというサービスを、どう充実させるかが課題であります。技術・知識向上は絶対であり、経験年数が増すからといえ忘れない様に注意していました。分からないことを恥ずかしがらずに調べ、質問し解決していく事がマイルールでした。

私は他の理学療法士と比較し転職回数が多いです。様々な病院や施設を経験し、適応能力は身に着けられてきていると思います。

また経験は必ず自分に返ってきます。躓いた際は真っ白な紙に箇条書きで書き込み考える時間を作っていました。この仕事は考える事は忘れたらおしまいだと考えています。

私はどんな理学療法士か・・考えさせられますね。ただ私は痛みや嬉しい・悲しい等の感情を理解できるようその方の身になって考えています。不安を抱えて入院している方の精神面のサポートができるよう担当していました。

またご家族が安心できる関係を心掛けていました。どんな理学療法士がいいのか正解は私には分かりませんが、充実した楽しいリハビリテーションサービスを提供できるよう日々思考錯誤していました。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに理学療法士になったのでしょうか?

中学生の際に参加した、障害者スポーツのレクレーション大会のサポートボランティアがきっかけです。

その時参加していた理学療法士の方とお話をし、この職業を知りました。それから施設の介護ボランティアに参加し、介護・医療分野に興味が深まりました。

中学生活でのボランティア経験が私にとっては、この世界の入口となりました。

大学に入り、理学療法士の幅広い分野での活躍を知りました。解剖学や運動学等の専門知識の習得に苦戦しながらも、実習を乗り越え総合病院での理学療法士になる事ができました。

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他にも、やり甲斐や誇りを持って働く人がいます

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編集部
編集部

理学療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

理学療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

自分が担当した患者さんが元気に自宅に帰れる事が一番嬉しいです。

その過程を一緒に経験できる達成感はとても強いです。また自身が考えたハビリプログラムが、目標達成の近道になったり、その逆になったりする事もあります。休みの日も担当患者さんの事を考えている事も少なくありません。

私にとって理学療法士の仕事はやりがいのある好きな仕事です。仕事が楽しいと感じられるのは、患者さんのおかげですね。

人生の先輩である患者さんから、私自身リハビリを提供している感に色々な社会勉強をさせていただいています。

有料老人ホームでは、自宅で生活できない方が最後の生活の場として選択して入居されていました。ホームでのレクレーションは理学療法士が提案する機会も多かったのです。施設内での機能訓練を通じて外出したいという要望が一番多かったのです。

実現にむけ、他職種と考え喫茶店に行くという外出レクを実施しました。外出レクに参加するために、車いすに座っている時間を延ばし練習する姿も見られました。歩ける方は自身の足で、いつも部屋でとじこもっている方が車いすに座り外出される姿もありました。

喫茶店ではいつも会話しない方同士がコミュニケーションを取っていて、施設内で見ることのできない光景でした。皆さんからたくさんのありがとうと、次はどこに行くの?と笑顔で話しかけられました、中には数年ぶりに、喫茶店に行ったわとの声もあり考えさせられました。

私は一人でも多く、その人らしく生活していただける事が一番うれしいと感じました。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

有料老人ホームで朝出勤すると、夜間の転倒等の報告があります。入居者様が、日中は問題なく生活されているのに夜間連日転倒されていました。

本人の居室に訪問すると、冷蔵庫の位置が微妙にずれていることに気づきました。

夜食にお菓子を召し上がる習慣があり、冷蔵庫を開ける際に転倒している可能性が高い事が分かりました。

冷蔵庫の手前に天井からバー(福祉用具)を設置することを決めました。ただ動線の妨げになる恐れもあるため様子を見る事としました。

介護職の方から、あのバー付けてから居室内での活動量増えていますよ。本人も安心し冷蔵庫を開ける事ができると喜んでいただけました。

その方にとっての生活の場でのリスク面は、本人の事を知らなければ把握する事が出来ないと考えさせられました。

有料老人ホームでの理学療法士の仕事はその方の身体能力と生活スタイルを把握する事が求められています。たった一本の福祉用具で転倒リスク減らせる、環境調整の重要性を学ぶ事ができた事例です。

福祉用具の種類・機能を知る事は使用者の生活の拡大にも繋がります。一人一人に合わせた福祉用具の選定にてADL向上した例も少なくありません。施設内での生活環境での情報を他職種と情報共有し、思考錯誤し生活リハビリテーションに繋げられた事がとても嬉しかった事です。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

入職した際に一番に苦労した事は、リスク管理です。患者さんの病態の予後予測する事ができず、無力さを覚えていました。症状が良くなる方が多いですが、一方で悪くなる方もいます。

なぜ悪くなっているかが理解できず、ちゃんとお別れができず死に対して向き合う事が出来ない時期がありました。それに気づいた上司が私に、予後予測をするには知識をつける事、また自分の患者さんがどういう状況であるかしっかり把握する事で死に対して用意をする事も大切だと教えてくれました。最後に理学療法士として、なにができるか考える事と課題を出されました。未だに答えは完全には出ていません。

担当患者さんや、代行で介入する患者さんの全身状態の確認は欠かせないものです。飲水、食事摂取量、浮腫、トイレの回数等気に掛ける事で気づくことがあります。

高齢者の方は入院生活の間に、新たな症状の変化があることも多いです。昨日まで元気だから大丈夫だとは思わず患者さんからのサインを見逃すことなくリスク管理に努める事が大切だと考えています。多職種との情報交換を欠かさず、業務する事を心がけていました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

その人らしさを引き出せる環境作りをすること。また、患者さんとのリハビリの中では挨拶含め、「お願いします」の言葉から始まる事です。

リハビリというサービスを選択し、受けて頂いている事を忘れないこと。より良いサービスを提供出来るよう、日々技術・知識向上に努めていました。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

在宅分野に興味があります。その一歩として、ケアマネジャーの資格取得にチャレンジしました。研修を経て、ケアマネジャーとして働くよていです。

在宅で生活している利用者の方の身体状況とケアプランが合致していない、満足していない方が多くいます。

そんな方から不満を聞く機会も少なくありませんでした。今後ケアマネジャーとして、知識習得し理学療法士の経験を生かしたその方がその人らしく生活できるようなケアプランの作成をしたいと考えています。

また福祉用具等の必要性も検討し、御家族の負担軽減に向け他職種と連携をとっていきたいと考えています。

編集部
編集部

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

理学療法士は色々な方がいて、良いと思います。こうじゃなきゃいけない等はありません。自分らしさがあってこそ、人と人の関わりが深まると思います。

まず社会人としての挨拶、組織間での役割、協調性が求められています。最近の若い理学療法士の方はこれらができない方が多いです。学生ではないので、社会人としての自覚をもち責任をもった行動を心がけていただきたいです。これらを備える事にて他職種間の連携もスムーズに実施可能になると思います。

リハビリテーションを実施するのは患者さんです。理学療法士が治したのではなく、患者さんが痛みや苦悩を乗り越えて回復した事を忘れないでほしいです。

私達が対象とする患者さんは様々な方がいます。どんな方へのリハビリテーション介入時も、対応に変化なく接していただきたいです。人間なので好き嫌いあるかと思いますが、接遇的に見ていられない場面もあります。

近年の臨床実習では、患者さんと接する時間が非常に少なくなっている現状があります。その分資格取得後、苦戦する事や悩む事が多いでしょう。

分からないことは決して恥ずかしい事ではないので、是非身近な先輩方に質問し学ぶ事に否定的にならないでほしいと考えています。

この仕事は体力的な負担も多いと思いますが、楽しく仕事に向き合える方が増える事を願っております。

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