一般大学卒業後から言語聴覚士を目指した私が語る、リハビリ職の魅力とは?

現役PT・OT・STに話を聞く「深イイ話」
※画像はイメージです。

現役言語聴覚士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年04月28日

現役で働くリハビリ職のインタビューを通じ、医療介護従事者として働き続けるモチベーションの源泉に迫ります。周囲の考えに目を向けることで、この先にどうありたいか、自分の将来を考えるキッカケになれば幸いです。

プロフィール

一般大学在学中、障害児支援のボランティア活動に参加。主に食事介助やレクリエーションの補助、トイレ介助などを行う。

その中で、言葉を使ったコミュニケーションが難しくても、思いが通じた時や楽しさを共有できた時に嬉しさとやりがいを感じる。同時に、何か専門的な知識やスキルを磨いた上で、障害のある方のサポートがしたいという気持ちが生まれる。

知り合いに言語聴覚士の仕事をしている方がいたこともきっかけとなり、卒業後に言語聴覚士の養成校への進学を決める。2年間資格取得に励み、リハビリ病院の回復期病棟に入職。現在3年目で日々勉学に励んでいる。

言語聴覚士 近藤さん

あなたにとって言語聴覚士とは?

患者さんが、障害とうまく付き合いながら、生活に戻れるための支援をする仕事です。リハビリをするのは、私たちではなくあくまで患者さんです。患者さんのやる気や前向きな気持ちが機能の回復には1番大切だと思っています。

私たちの役割は、リハビリをする患者さんのやる気を引き出すこと、リハビリの環境を整えるなどのサポート役です。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2011年~2015年
    一般大学時代
    特別な夢や目標はまだありませんでしたが、英語が好きであったことから、英文科へ進学。人の役に立つことがしたいという思いから、ボランティア活動に興味を持ち、障害児支援の活動に参加をしました。
    また、大学3年生の時には、知り合いの言語聴覚士より、話を聞く機会がありました。人が生きる上で大切な機能である「話すこと」と「食べること」の支援を行う仕事に魅力を感じ、言語聴覚士を目指しました。
  • 2015年~2017年
    養成学校時代
    大学卒業後、2年間で言語聴覚士の資格を取得できる養成学校へ進学。レポートや実習準備など夜遅くまでクラスメイトと勉強する日々は大変ではありましたが、とても充実した日々を過ごしました。
    外部実習では、成人・小児分野の両方を経験し、迷いましたが、まずは成人分野へ進むことに決めました。また、在学中には病院での看護助手のアルバイトも行い、病院で働くという経験もさせていただきました。
  • 2017年~2019年
    リハビリ病院勤務
    リハビリ病院の回復期病棟に入職し、主に脳血管疾患、廃用症候群、認知症などの疾患の患者さんを担当しました。2年目からは、療養病棟も兼務しがん患者さん疾患や難病、終末期と幅広く経験しました。2年半ほど勤務し、家庭の事情により退職。
  • 2019年~2020年
    半年ほど離職
    言語聴覚士として病院での仕事からは、離れておりましたが、短期でヘルパーの仕事や医療系記事の執筆を行うライターの仕事を行なっていました。
  • 2020年~
    転職活動中
    再度、病院で言語聴覚士として働くため、現在はライターの仕事を継続しながら、転職活動を行なっています。次の職場は、急性期や訪問など幅広く学べる病院を探しています。

私はこんな言語聴覚士です。

私はこんな言語聴覚士です。

1日の中でリハビリをする時間だけが、患者さんと関わる時間ではありません。私は、リハビリ以外での患者さんの様子にも目を向けられる言語聴覚士でいたいと思っています。

言語聴覚士のリハビリは頭を使う課題が多く、患者さんの中にはリハビリに前向きになれない方もいらっしゃいます。そんな方には、課題を行うことに重きをおくのではなく、まずは信頼関係を作ることが大切だと考えています。

例えば、リハビリ以外の時間で患者さんとすれ違った時には、「体調はどうですか?」「ご飯は食べられましたか?」など一声かけます。また、患者さんの家族の方を見かければ、患者さんのリハビリの様子などもお伝えします。

もちろん、いつもそのような時間に余裕があるわけではありませんが、なるべく私という存在に気づいてもらえるような関わりを大切にしています。

言語聴覚士のリハビリは、個室で1対1になり行うことが多いです。患者さんとの信頼関係が構築出来ていれば、困っていることや不安なことなどの相談にのることもあります。

そして、初めは訓練に前向きになれなかった患者さんも、徐々に積極的に訓練に励まれるようになります。リハビリには、患者さんのやる気や前向きな気持ちがとても大切だと思っているので、そのためにもまずは患者さんとの信頼関係を構築できる言語聴覚士でいたいと思っています。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに言語聴覚士になったのでしょうか?

障害児支援のボランティアをした経験がきっかけです。その中で、うまくやりとりができない難しさやどのように接したらよいか分からないと感じることも多くありました。

また、トイレ介助や食事のサポートなど、障害を持っている方に「やってあげること」は誰にでもできると思います。しかし、障害を持っている方が「自分で出来ることを増やすこと」が必要ではないかと感じました。

もっと専門的な知識をつけた上で、障害を持っている方のサポートがしたいと思ったことが言語聴覚士になりたいと思ったきっかけです。

他にも、やり甲斐や誇りを持って働く人がいます

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編集部
編集部

言語聴覚士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

言語聴覚士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

たくさんありますが、やはり患者さんが無事お家に帰れるようになり退院される時には、一緒に頑張れて良かったと感じます。

脳卒中の患者さんの場合、麻痺や失語症などの症状を完治させることは難しいです。障害を持ちながらもどうやって元の生活に戻るかを考えることが、とても大切なことだと思います。

私たち医療職だけが頑張るのではなく、患者さんやその家族の方も巻き込んで支援を行い、退院という目標が達成できた時は、「ありがとう」「みなさんのおかげです」と嬉しい言葉をかけてくださる方もいます。

大変なこともありますが、これからも頑張ろうと私も元気をもらっています。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

終末期のがんの患者さんを担当したことは印象深く残っています。

その方は、痰の量が多く呼吸の状態も悪く、とても食事ができる状態ではありませんでした。話すのが辛い様子で、私に何ができるのかと悩みました。

ある日、家族の方より「お酒が飲みたいと言っている」と伺いました。話を聞くと病前よりお酒がとても好きだったとのこと。

水分を取ることはリスクもありましたが、少しでも患者さんの希望を叶えてあげたいと思い、医師や看護師と相談をし、無理をしない範囲であればと許可をもらいました。

たくさんの量は飲めませんでしたが、とろみをつけて少し口に入れただけでも「美味しい。これが1番の楽しみです。」と素敵な笑顔が見られました。

その方は、その数日後にお亡くなりになりましたが、最後にあの笑顔が見られ良かったと思っています。リハビリの仕事は、機能を回復させることが目的ではありますが、「目の前の患者さんが今必要なことは何か」を考えることがとても大切だと教えていただきました。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

当初は、他職種の方とのやりとりに苦労しました。入職したばかりの時は、患者さんの食事や言葉の状態のことしか見ることができておらず、看護師や理学療法士、作業療法士など他職種の方とのコミュニケーションがうまくできていませんでした。

そんな時に、先輩より「もっと広い視野で考える」ということをご指摘していただきました。例えば、食事についても患者さんの姿勢や麻痺の状態も知っておく必要があります。

また、リハビリの様子がいつもと違うときには、患者さんの睡眠や排便の状態などが関係しているかもしれません。

患者さんを取り囲む環境を広く考えることができるようになったことで、自然と他職種の方とのコミュニケーションもうまくいくようになりました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

「いいところにも目を向けること」を大切にしています。誰でも悪いところや問題になっていることは、気付きやすいことだと思います。

しかし、リハビリをする上で、患者さんのできることを見つけることや、少しでも良くなったことに気づいてあげることは患者さんのモチベーションにも繋がります。

また、新人教育や実習生指導などでも、よく出来ていないことを指摘されることが多いと思います。それも大切なことではありますが、良いところも褒めてあげることも必要かと思います。

私も、先輩の良いところはすぐに真似をして自分のスキルを高めるように心掛けています。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

ゆくゆくは訪問リハビリに携わりたいと思っています。予防医療や地域での活動が重要視されていますが、まだまだ地域で活躍されている言語聴覚士は少ないのが現状です。

実際、私が担当していた患者さんでも、退院後にもリハビリを続けたくても、近くに訪問リハビリを行なっている言語聴覚士の方がおらず、継続ができないということがありました。

病気にならない取り組みや退院した後の支援も重要だと思っているので、ゆくゆくは病院の中だけではなく、地域にも関われる言語聴覚士になりたいと考えています。

編集部
編集部

同じ言語聴覚士として働く方へメッセージをお願いします。

同じ言語聴覚士として働く方へメッセージをお願いします。

言語聴覚療法は、エビデンスも少なく、目に見えるリハビリの効果も感じにくい領域です。言語聴覚士の数もまだまだ少なく、相談ができる言語聴覚士が近くにいないという環境で働いている方もいるかと思います。

私も「本当にこれでいいのだろうか?」と日々悩むことが多くあります。しかし、同じ言語聴覚士だけでなく、理学療法士や作業療法士の方にも相談をし、助けていただいています。

日々の些細な会話からでも、いいヒントがもらえることもあります。新人の言語聴覚士の方には特に、1人で悩むのではなく、先輩や他職種の方に相談をすることをおすすめします。

私も今後は、学会や研修会にも積極的に参加をし、新しい知識やスキルを吸収していきたいと考えています。言語聴覚士は狭い世界です。

同じ志で働く仲間として、どこかでお会いできることを楽しみにしていきます。

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