人生に向かい合う為の作業療法とは?患者様と利用者様の気持ちや価値観

現役PT・OT・STに話を聞く「深イイ話」
※画像はイメージです。

現役作業療法士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年5月4日

現役で働くリハビリ職のインタビューを通じ、医療介護従事者として働き続けるモチベーションの源泉に迫ります。周囲の考えに目を向けることで、この先にどうありたいか、自分の将来を考えるキッカケになれば幸いです。

プロフィール

両親が福祉系、叔母が看護師の仕事をしており、医療福祉系の家系で育つ。初めは叔母に憧れ、看護師を目指すも受験で失敗。滑り止めで受けていた、作業療法士の学校へ入学。その後はバイトと勉強を頑張り、国家試験は1回で合格することが出来た。

就職してから1年間は維持期の病院の療養病棟を担当、2年目で通所リハビリテーションの立ち上げに参加。

作業療法はCL(患者様や利用者様、そのご家族様)に寄り添い、障害に関わらず人生を豊かにする為のサポートを行うお仕事だと考えております。

作業療法士 みぃちゃんさん

あなたにとって作業療法士とは?

CL(患者様や利用者様、そのご家族様)に寄り添い、障害に関わらず人生を豊かにする為のサポートを行う仕事だと考えております。

他人の人生を豊かにするためにはまず、自分が豊な人生を送っていないとサポートはできません。その為まずは自分を大切に、それからCLの為に、精一杯向き合っていきたいと思います。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2000~2013年
    看護師を目指していた時期
    看護師長の叔母に憧れ、物心がついたときから看護師になりたいという夢を持つも、高校3年生の冬に看護学校を受験し1次試験で不合格。滑り止めの専門学校(作業療法学科)へ入学。
  • 2013~2017年
    専門学校生活
    なんとなく入学した専門学校。親の束縛が嫌で家に帰りたくなく、バイトに友達や彼氏と遊び三昧な生活を送っていた。実習もバイザーの先生と合わずに作業療法士を目指すのを諦めかけていた。
    しかし、4年生の実習で担当させてもらった患者様とご家族様に「ありがとう。みんな(実習先の先生方)は無理だと言っていたけど、あなたのおかげでまた料理をすることが出来た。本当にありがとう。頑張ってね」との言葉をもらい、とてもうれしくやりがいを感じた。
    患者様やご家族様のやりたいことを叶えてあげられる作業療法士になりたいと心に決め、勉学に励み国家試験に無事合格することが出来た。
  • 2017~現在
    就職
    親元を離れたく、地元から車で8時間以上も離れた田舎へ就職。
    患者様やご家族様から釣りや山菜取り、畑仕事、狩猟などここでしかできないことを教えてもらいとても充実した生活を送る。
    勤務先は維持期の病院で1年目は療養病棟で患者様の余暇活動や役割、生活の楽しみを再獲得できるようにリハビリを行う。2年目は通所リハビリテーションの立ち上げに参加。貴重な運営の部分にも参加することが出来、考え方の視野が広がる。入院患者様のリハビリとは違い、通われてくる利用者様の生活や地域(地域住民の方やケアマネなどの多職種連携)との関わりについての調整が多くいろいろなことを勉強することが出来た。
    また田舎の為、利用者様とスーパーや郵便局などで出会うことが多く身近で生活を見ることが出来、またリハビリの効果を感じることが出来、勉強にもなりとてもやりがいを感じている。

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私はこんな作業療法士です。

私はこんな作業療法士です。

私はCLの本当の気持ちを大切にしています。また、「自立」と「自律」を使い分けて生活できるようにリハビリを行っております。

「自立」とは全て自分で行うこと。「自律」とは自分でできることは自分で行い、必要な時に手助けしてもらうこと。と、私は定義しております。その為、自立した生活を送れることに越したことはないですが、時には難しいこともあります。

例えば、「服を一人で着たい」と希望が聞かれた場合、どうして服を一人で着たいのか、一人で服を着て何がしたいのかなど、その先のことについて聞くようにしています。一人で服を着ることができるが、3時間かかる。本当はオシャレをして買い物に行きたいから、一人で服を着たいという希望がありました。

この場合、服を着ることに3時間もかけていては買い物へ行く元気が残らなくなってしまいます。服を着ることは手伝ってもらって楽しく買い物ができるようにサポートしていくことが大事だと私は考えています。

その為、自律した生活を送れるようにCLの気持ちや、生活において何を大切にしているのか価値観を共有して望まれている生活を送れるようにサポートしております。

私はCLから「いつもニコニコしていて気持ちが良い。先生がいるだけで病気もどっか行っちゃったわ」と言われることが多いです。私が暗い表情や気持ちで接していては、CLも心を開いてはくれません。

ですから、私はどんなに悲しいことがあろうとも絶対に笑顔は忘れずにリハビリをしております。このようにしてCLと信頼関係を築き、CLの気持ちや本当は何がしたいのか、どのような生活を送りたいのかを大切にしております。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに作業療法士になったのでしょうか?

実習で患者様とご家族様から「ありがとう」との言葉を頂いたことがキッカケです。

元々看護師を目指しており、医療従事者の職種はどのようなものがあるのか調べていたところ、作業療法士という仕事を見つけ面白そうと興味を持ちました。

看護学校の受験に失敗し、滑り止めで受けていた専門学校(作業療法学科)へ通い、実習で患者様やご家族様から「ありがとう。」とお礼を言われ本格的に作業療法士になりたいと思ったことがキッカケです。

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他にも、やり甲斐や誇りを持って働く人がいます

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編集部
編集部

作業療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

作業療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

CLが一人で目標を見つけ、生き生きとした生活を送れるように支援できたことが私のやりがいです。

リハビリを始めた当初は「死にたい。消えてしまいたい」と言っていた利用者様がリハビリを通して趣味や生活の範囲が広がった際に「ありがとう。こんなにいろいろなことが出来るようになったよ」と趣味であった漬物をつけることが出来るようになり、実際に自分でつけた漬物をプレセントしてくれたことがありました。

とても上手につけてあり、一つやりたかったことが叶うと、「今度は一人で料理してみようかな」と今まで旦那さんに手伝いながら一緒に作っていた料理を一人で始めるなど、次の目標をご自分で決めてそれに向かって頑張っている姿を見たときはとてもうれしくやりがいを感じました。

私もその方に負けないように頑張らないと思い勇気づけられました。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

自分が提供したリハビリの結果が口コミにより地域や他事業所へ広がり、利用者様の獲得につながったことです。

2年目で通所リハビリの立ち上げに参加しました。まだ、経験が浅く病院外での仕事をしたことがなく地域との繋がりもありませんでした。

私が担当していた通所リハビリのCLは怪我をきっかけに引きこもりがちな生活を送られていましたが、リハビリを通して体力や自信を持ち1㎞も離れたスーパーへ歩いて買い物に行ったり、老人クラブや婦人会に積極的に参加したりするなど生き生きとした生活へ一変しました。

それを見た担当のケアマネージャーが、私のことをとても評価してくださり当院の通所リハビリの名前が口コミで評判になり通ってくれる利用者様が増えました。一人の口コミからこんなにも反響が得られてとても自信がついた経験でした。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

理想と現実にギャップがあり、折り合いをつけることに苦労しました。私はCLの希望に出来るだけ近づけるようにリハビリを行っていましたが、同じリハビリ職でも職種が違えば考え方も違うため思うようにはチーム間での連携が中々進みませんでした。

多職種のことを少しでも理解し、作業療法士という職種を知ってもらうことでわだかまりも解け、より良い関係を築き、協力体制を作ることが出来ました。

1~3年目までは情熱にあふれているセラピストが多く、先輩セラピストとのギャップがありすぎたのかもしれません。理想と現実を見極めて、最善を尽くすことが慣れるまでとても苦労しました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

人との関わりを大切にしています。リハビリに来てくれているおじいちゃんやおばあちゃんは私たちの人生の大先輩です。リハビリで運動や考え方を指導するときもありますが、CLから生き方や生活の知恵などを教わることが多いです。

今まで何をするにも消極的だったCLが、手芸も何もできない私に対して「これから結婚するのだから、これくらいできないとだめじゃないの。」と言って裁縫や編み物を教えてくれました。

それをきっかけに、花嫁修業と称してCLから手芸を教わり、その時だけリハビリの先生と利用者様との関係ではなく、手芸の先生と生徒という関係を築きました。それにより、CLは私や他のCLへ物を教えることが楽しく生きがいとなり、明るい性格になり活動的になりました。

その為、障害に関係なく一人の人間であることを忘れず、目上の方を敬い接することを心がけています。

またケアマネージャーもCLの生活を支援してくださっており、協力することでより良いものをCLへ還元できると考えております。CLの為にも、自分の為にも人との関わりはとても大切だと考えております。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

キャラバンメイトの活動を通して、認知症の方やそのご家族様が安心して暮らせる地域づくりを行っていきたいと考えております。

現在働いている地域は日本の10年先を行く町と言われている田舎の中の田舎です。過疎化が進み、若者が少なく老老介護が当たり前となっています。過疎化の影響により、ご高齢の方へのサービスとなる資源が少なく、途方に暮れている方も多い地域です。

特に認知症のご家族様が疲れ切っている姿を多く見てきました。そこで支援できないものかと考え「キャラバンメイト」の資格を取得しました。「キャラバンメイト」とは認知症の方が住み慣れた街で安心して生活できるように、地域の方へ認知症を理解してもらい住みやすい地域づくりを行う為に、地域住民皆さんと協力して体制を作っております。

認知症の方が認知症になる前の生活で楽しみにされていたことや大切にされていたことが制限なく、のびのびとした生活を送れるように、通所リハビリやキャラバンメイトの活動を通して認知症の方やご家族様が安心して暮らせる地域を作っていきたいと考えております。

編集部
編集部

同じ作業療法士として働く方へメッセージをお願いします。

同じ作業療法士として働く方へメッセージをお願いします。

私はCLの気持ちに寄り添い、人との関わりを大切にしております。ですが、自分よりもCLを優先しすぎて自分の体を壊してしまいました。自分が壊れては、CLへ何も還元することが出来ません。

その為まずは自分を大切に、一度しかない人生を楽しんで頂きたいです。
そして、自分が経験してきたことがCLへも還元できると考えております。無理せず、疲れたときはしっかり休息して、元気になったらCLへ向き合って頂きたいです。

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