病院勤務の縦社会に限界を感じた理学療法士が転職を機に成功したワケ

現役PT・OT・STに話を聞く「深イイ話」
※画像はイメージです。

現役理学療法士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年5月3日

現役で働くリハビリ職のインタビューを通じ、医療介護従事者として働き続けるモチベーションの源泉に迫ります。周囲の考えに目を向けることで、この先にどうありたいか、自分の将来を考えるキッカケになれば幸いです。

プロフィール

将来の目標もなく何となく過ごしていた高校時代。ある日、大好きだった祖母が病気で亡くなり、初めて身近な人の死を経験する。赤の他人に対して懸命にリハビリを行う理学療法士の姿を目の当たりにし、その道に進むことを決意した。

高校卒業後すぐに専門学校へ進み、22歳で晴れて理学療法士になる。初めは病院勤務だったが、職場環境や上司との人間関係に悩まされる日々を過ごす。3年間の病院勤務後、運動特化型のデイサービスへ転職。現在は施設リーダーとして現場に立つ。

理学療法士 MM4さん

あなたにとって理学療法士とは?

人を支える「縁の下の力持ち」であると心がけています。様々な医療従事者がいますが理学療法士の多くは、身体機能レベルの向上を目的にリハビリを行います。

頑張るのはリハビリを受ける患者さんや利用者さんであるので、私たち理学療法士は最大限サポートできる存在だと考えています。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2015年~2017年
    社会人1年目
    一般的なリハビリ病院で勤務
    高校卒業後、専門学校の昼間部へ進学。4年間勉強し晴れて理学療法士となる。
    初めての職場は回復期、維持期が併設されている一般的な病院。当初の私は社会性に乏しく上司には嫌われている存在でした。何かといえば「新人だから」「ゆとり世代」と言われ、精神的にもつらい時期でした。
  • 2017年~2018年
    社会人3年目
    回復期リハビリ専従になり上司から言われる仕事をこなす日々に
    「脱新人」を経て、回復期リハビリ専従という立ち位置で奮闘していました。あの頃はリハビリをしているのが本当に楽しかったです。しかし、楽しさと同じくらい働きにくい職場環境、上司との関係性にずっと悩んでいる時期でもありました。若手だから意見は控える、上司の言うことを聞いて仕事するというスタンスに限界を感じていました。「若い世代が自由に働ける環境」を意識しだしたのはこの頃になります。
  • 2018年~2020
    社会人4年目
    「運動特化型デイサービス」へ転職
    私のリハビリの師匠とも言える人に職場での悩みを打ち明けると、今の職場を紹介して頂きました。現場での平均年齢は26歳程度で、理学療法士が会社の主体として働ける環境でとても満足しています。病院とデイサービスでは対象とする人もガラリと変化します。初めはそのギャップに苦戦することが多かったですが、おかげで今はどんな方が来ても多種多様な対応ができるようになりました。
  • 2020年~
    現在
    現在は現場リーダーとしてまとめ役や指示役を担っています。もともと私はリーダー気質ではなく、どちらかといえば周りに流されるタイプでした。しかし、転職を経て自分たちの力で会社を動かすことに慣れていくと、周りをまとめる能力が必然的に身につきました。会社の利益や働きやすい職場環境作りのことを考え、日々奮闘しています。

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私はこんな理学療法士です。

私はこんな理学療法士です。

私は、とんでもないスキルで治療を行える凄腕の理学療法士ではありません。腕に全く自信がないかと言われるとそうではありませんが、基本的なリハビリや訓練は提供ができます。

世の中にはたくさんの理学療法士が存在していますがその多くは知識、技術向上のために勉強している発展途上の人たちです。私もまだその多くの人の中にいます。

しかし、改善を求めている患者さんや利用者さんのことを誰よりも考え、一人一人のライフプランに合ったリハビリを提供することを心がけています。

相手のことを考えるあまり、ときにはつらい訓練を行いますが、目標を達成した際は一緒に喜びを分かち合います。

この瞬間は今でも好きでとても気持ちが良いものです。「あなたリハビリはきついからやりたくない」「全然良くならないし、リハビリを頑張ってもあんまり意味がない」こんなことを何度も言われた経験がありますが、それでも匙を投げることはありません。

リハビリを行う理由は病院や施設を出るためでなく、その後も長く続く人生のためにあると私は考えます。未来の、少し体が改善された自分を想像してもらい、向き合ってくれるまでリハビリの内容を少し工夫し、相手を見放すことは絶対にしません。「リハビリの担当があなたでよかった」と言ってもらえる理学療法士を常に目指しています。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに理学療法士になったのでしょうか?

高校時代に経験した祖母の死がキッカケです。元気に過ごしていた祖母がある日突然病気になり、発症から2年後に亡くなりました。

祖母が大好きだった私にとって耐え難い、経験であり、初めて身近な人の死を感じた瞬間でした。

祖母が寝たきりの状態になったとき、理学療法士の方がリハビリを行う様子や、なにげない会話で祖母の笑顔を引き出す姿を見て憧れたのを今でも覚えています。

もともと自動車に興味があり、工業高校へ進学していましたが、祖母の死が理学療法士の養成校へ行くことを決意させました。

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他にも、やり甲斐や誇りを持って働く人がいます

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編集部
編集部

理学療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

理学療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

自分より他人や周りのことを考えて行動する楽しさを覚えました。理学療法士という仕事は、医師や看護師と同じように患者さんや利用者さんと接します。

しかし、リハビリを行う時間という、まとまった時間を毎日一緒に過ごせるのはリハビリ従事者だけなのです。多くの時間を共にすることで、普段では知ることが出来ない患者さんの一面を見つけ、深い関係性を築けるようになります。

リハビリとはマイナスなイメージであることが多く、本人はもちろん周りの家族もネガティブ思考に陥ります。

「リハビリは心の拠り所」そう思っていただけたときは本当にやり甲斐を感じます。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

私が理学療法士になってちょうど5年目の出来事です。50歳代で脳梗塞を患い、後遺症として身体の半身に麻痺が残っていました。普段の生活は家族の協力と懸命なリハビリで可能に。

仕事もデスクワークが基本な為、復職することができています。後遺症の影響で長い距離を歩くことができませんが、社会人としての必要最低限の生活は可能です。その方が「マラソン大会に出たい」と言い出したのです。

もちろん、走るのではなく3㎞を制限時間内にゴールするという目標。正直、10分程度の歩行しかできない現状で私は不安が強かったです。

しかし、その方は「自分の限界を自分で決めたくない」と言われ、サポートする側の私が後ろ向きでいたことが恥ずかしくなりました。自分にやれるだけのサポートをしっかり行う。と心に決め、2人で一生懸命頑張りました。

大会本番では目標タイムを大いに縮めてゴールテープを切り、手を取り合って喜びました。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

ご年配の方とコミュニケーションを図ることに初めは苦労をしました。学生時代はコンビニや居酒屋でのアルバイト経験があり、人とのコミュニケーションには、ある程度の自信を持っていました。

しかし実際には、話す内容や言葉の言い回しなどにジェネレーションギャップを感じ、沈黙の時間が流れることもしばしばありました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

現場の「調和」を大切にしています。対患者さんだけでなく現場がいつでも上手く回るためにはスタッフ同士の良好なコミュニケーションの確立が求められます。「誰でも気兼ねなく意見を言い合える職場」を目指して、スタッフ同士の関係性を保つ役割を担っています。

最近は職場でのハラスメント問題が世間でも多く取り上げられています。また、終身雇用の崩壊も噂される中、理学療法士も転職を繰り返す人が多くなってきています。働きやすい環境を作ることで、個人のスキルアップをサポートできる立場になっていきたいです。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

先ほども少し述べたように、「働きやすい職場環境」「やめない理学療法士」の人材育成に力を入れていきます。転職を繰り返す理学療法士には、職場環境や人間関係もそうですが、

「給料を上げたい」と考える人が多く存在します。私たちの仕事は医療保険や介護保険といった診療報酬をもとに国からお金をもらう仕組みです。頑張って仕事をしても個人の評価として認められることは少なく、病院や施設の売り上げになります。

また、新卒の給料はある程度もらえますが、その後の昇給はほとんどないのが現状です。こうしたジレンマから「働く意義」を見失う人が増えています。理学療法士として、個人のスキルがきちんと認められ、給料UPに繋がる制度を作っていきたいです。

編集部
編集部

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

「理学療法士の今後は未来がない」と言われる時代になっていますが、私はそんな風に思いません。超高齢社会に突入している現代に、リハビリの需要は高まっています。

また、理学療法士の働く領域も以前より拡大しています。目標もなく何となく働くことだけはやめましょう。高齢者でも子供でも直接、人と向き合う責任ある仕事ということを忘れずに自分のやりたいことを見つけていけばいいのです。

あなたを必要とする人はこれからもたくさん現れます。一緒に医療、介護の現場を盛り上げていきましょう。

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