介護分野での挑戦。理学療法士として介護予防や健康寿命の大切さを伝えたい

現役PT・OT・STに話を聞く「深イイ話」
※画像はイメージです。

現役理学療法士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年5月19日

現役で働くリハビリ職のインタビューを通じ、医療介護従事者として働き続けるモチベーションの源泉に迫ります。周囲の考えに目を向けることで、この先にどうありたいか、自分の将来を考えるキッカケになれば幸いです。

プロフィール

医療事務であった父からリハビリの話を聞き、理学療法士を志しました。専門学校に合格するも通学時間が長く嫌になる日々でした。なんとか勉強を続け、無事に国家試験を合格でき、理学療法士となりました。

最初は一般病院で回復期や維持期、外来といった様々な時期のリハビリテーションを経験しました。年数を重ね、管理業務を行いつつ、患者対応・後輩指導を行っていました。

デイケアの立ち上げ・運営を経験し、介護分野への興味が湧いたことから、転職を決意しました。

現在は、訪問看護ステーションからの訪問リハビリを行っています。生活期での理学療法士の役割は、自宅や施設における生活環境を踏まえた身体機能の評価を行い、利用者や家族の達成目標を明確に示していきながら、利用者が主体的にリハビリに取り組み、生活や人生を豊かにしていく事だと思っています。

それを心掛けながら、同事業所の看護師やサービスに携わる関係者とも積極的に連携することを怠らず日々の業務を行っています。

柔道、陸上の経験あり。マラソンや、バーベキューやキャンプなどアウトドア派。

理学療法士 Atsushi.kgさん

あなたにとって理学療法士とは?

仕事であり趣味です。理学療法士として治療を行う中で、患者自身が心身共に健康に向かわないと本当の治療効果は得られないと思います。

リハビリで傾聴した情報を踏まえて、何を訴えたいのか、どうしたら元気になるか?も考えながら対応しています。また、患者の変化をみて自身も元気になれるのが理学療法士だと思います。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2002年~2006年
    専門学校時代
    通学の疲れと勉強の仕方が分からず、授業中は居眠りばかりしていました。すると、1人の先生が必ず私を指名するようになり、必要に迫り勉強し始めました。
    先生は厳しかったですが色んな話をしてくれ、自然と就職を意識できるようになりました。実習では苦労しましたが、無事に卒業して国家試験に合格する事ができました。
  • 2006年~2010年
    新人時代~
    地元は地域的に高齢者が多く、就職先の病院は地域の主なリハビリ病院として稼働していました。入職した当初は回復期リハビリ病棟が主で、骨折等の整形疾患や、脳卒中の患者対応が中心でした。
    先輩方に手厚い指導を受けながら、1年目から片麻痺や切断など、治療に難渋する患者を経験しました。勉強会での発表や学会発表、実習指導者等の経験もしました。また、新人同士で集まり遅くまで残って研鑽もしました。
  • 2011年~2014年
    結婚、主任時代
    20代後半で結婚し、スタッフが増えたことで、班やチームによる組織体制を行っていく流れから、回復期リハビリ病棟のリハビリ主任となりました。スタッフの業務管理を行いつつも患者対応数は変わらず、むしろ多忙な時期でした。
    しかし、休日は仕事仲間で旅行やアウトドア、マラソン等、イベント等を積極的に行い、公私ともに充実した日々を送っていました。
  • 2015年~2019年
    科長時代、転職
    理学療法士科の科長として、業務確認や相談対応、必要書類やデータ管理などの雑務が中心となり、空き時間に外来や入院の代診対応を行っていました。その他、デイケアの運営管理と現場対応、実習指導の管理なども行いました。少しずつ生活期に対する興味と、理学療法士の役割について考える機会が増え、転職を決意しました。
  • 2019年~現在
    訪問看護ステーション入職
    転職後は、生活期、ターミナル、介護保険制度による高齢者対応だけでなく、医療保険制度による若年者に対する介入もあるため、病院での経験を活かしながら利用者の対応にあたっています。リハビリ部門責任者として、業務管理やリハビリの経過確認、報告書の作成、ケアマネ・サービス担当者等との連携を行っています。
    病院勤務時にはできなかった定時退勤や、訪問で直行直帰する日もあり、いままで残業や居残りしていた拘束時間から解放されています。年収はほぼ変わらず転職できたので、働き方を見直しつつ、時間を有効活用したいと思いライターの仕事に挑戦し始めています。

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私はこんな理学療法士です。

私はこんな理学療法士です。

利用者や同僚からは「話をよく親身になって聞いてくれる」と言われます。元々は人見知りで、人と目を合わせて話す事や、悩みを相談されることはほとんどありませんでした。しかし、臨床経験を重ねる中で、高い治療技術も必須ですが、対話力も大切である、と考えるようになりました。

そこから業務後に同期や先輩との技術練習や意見交換を行うようになり、地方の勉強会に参加して積極的に質問するようになってきました。すると、スタッフや患者との挨拶や会話もスムーズに行えるようになり、徐々に相談を受けたり、人の話を聞いて相手が元気になったり、お礼を言われたりするようになりました。

治療中の会話は、内容を間違えれば雑談であり、治療の妨げになってしまいます。しかし、誘導次第では、その日の患者の身体状況の確認、生活していて困っていること等を引き出し、姿勢や動作の問題になっている習慣などがみえ、治療の近道になる事があります。

他には、ネガティブな面ではなく、ポジティブな面を重視する様にしました。治療では身体の機能障害や改善点ばかりに着目しがちですが、本来この人にはできないはずの運動や動作が何故出来るのだろう、長所を伸ばして短所さえもカバーしよう、という視点を養っていきました。

それは患者だけでなく、スタッフや実習生の指導や、仕事以外で人と接する上でも通用することなのでとても大切にしています。その甲斐があってか、退職した現在でも前職場のスタッフから連絡や相談をうけてアドバイスしたりすることがあります。

最近では、転職したことで時間的な余裕もあり夫婦の会話が増えました。内容は少し変わっているのですが、子ども達が遊んでいる時やスイミングなどの習い事で運動している時に、普通なら優しく見守るところが、私と同じく理学療法士なので身体の動きを評価しているようです。私がその話を聞いてバランストレーニング等をアドバイスしたり実際に子どもと一緒に運動したりしています。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに理学療法士になったのでしょうか?

高校生の時は体育教師を目指していました。しかし、進路指導の際、「いまは就職難だから」と言われすぐに諦めました。そしてすぐに違う職種を探し始めた時に、テレビのドキュメンタリーで、下肢切断の子ども達にリハビリを行っている理学療法士を観ました。

その瞬間に理学療法士を目指すと決めました。しかし、高校3年生の冬休みに右肘を骨折してしまい、浪人も考えましたが、3月末に専門学校に合格することができました。

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他にも、やり甲斐や誇りを持って働く人がいます

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編集部
編集部

理学療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

理学療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

患者や利用者には、理学療法士のようなリハビリ職種だけが関わっているのではなく、医師、看護師、介護士、栄養士、相談員などの他職種が協力して個々の役割を果たしています。

その先に健康を取り戻していき、退院や生活復帰の選択ができます。自身としては、その患者の大切な人生の一部に関われている、力になっている、ということにやり甲斐を感じています。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

結婚して間もない頃に、脳梗塞から右片麻痺になった50代の女性を担当することになりました。回復期病棟で5ヶ月間の入院リハビリを行い自宅退院されました。

その女性は独身でいわゆるキャリアウーマンで、発症した日まで普通に会社で事務職をしていたのですが、突然意識を消失して救急搬送されました。担当日からリハビリを開始しましたが、最初は右手足を全く動かすことができず、起きたり座ったりするのも介助が必要な状態でした。

しかし、麻痺以外は元気なため、無断で勝手に動いてしまいベッドからの転倒や転落の危険性が高いため、病棟では要注意人物になっていました。そんな患者が一緒に外出練習を行えるようになり、退院日には杖をついて電車に乗って自宅へ帰っていきました。

患者が仕事への復帰を目標に、必死にリハビリに取り組む姿と身体の変化を日々みていたたけに、退院後の受診時に「先生のおかげで前向きに頑張れた、こんなに良くなったよ」と歩いてリハビリ室に来られた姿は忘れられません。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

就職前にアルバイトなどの経験もなく、社会経験が乏しかったこともあり、入職した当初は周りの新入職者にいわゆる報・連・相で遅れを取ることが多く、何か失敗をしては、その都度、先輩に指導を受け、後で反省を繰り返す日々の連続でした。

それでも支えてくれる同期やフォローしてくれる先輩に支えてもらえたことや、担当の患者に励まされて頑張ることができました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

現在は訪問看護ステーションからリハビリを実施しているため、各日で利用者さんと関わることが多いです。そのため、記録は評価や気づいた点をSOAPで詳細に記載するようにして、前回対応時からの経過を本人にも確認しながら対応しています。

どうしても対応時間に制限があり、一度に行える評価や治療も限られているので、入院患者のように、別の時間に病棟に上がって聞き取りだけします、というわけにはいきません。

また、記録は看護師とも共通なので、スタッフ間でも記録を見て情報共有できるように心がけています。記載方法が同じということで、課題や問題点についても確認しやすく、職場でのミーティングなども要点を絞って話し合いができるので助かっています。

1人1人、身体機能を一つとっても異なるため、それぞれの到達目標が明確になるように多職種と協力して利用者に関わっていくように心がけています。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

現在、介護分野で働いていますが、利用者や家族に対して介護予防や健康寿命の大切さについて理解を深めてもらえるように、制度についての研鑽や認定療法士等の資格取得、得られた知識や情報を地域に発信していきたいと考えています。

また、社会的にも高齢者に見が向きがちですが、近年では運動不足と言われている子どもたちが沢山います。

その一方で早々からプロを目指して誤った過度なトレーニングをすることで故障してしまったりする子どもたちもいます。身体の発達に合わせて正しい運動を行い、スポーツの楽しさや怪我の予防を理解してもらえるような関わりをしていきたいと考えています。

しかしながら、個人的に今後は理学療法士の資格だけでは安定した所得が難しい時代が来ると考えています。技術や資格だけでなく、人格的にも他者とは異なる「セールスポイント」を身に着けないといけないと感じています。そのための一歩としてライターに挑戦しています。

編集部
編集部

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

理学療法士になるまでは、みなさんも大きな夢や希望をいだいていたと思います。

しかし、いざ働き始めると時間や業務に流されてしまい、本来想像していたイメージではなく、一般業務をこなす、といったことになっていないでしょうか。もちろん知識や技術に対して日々研鑽を積まれている方もたくさんいることも事実です。

ただ、我々は人が相手の仕事であり、知識や技術だけでは思うように結果が出ない時や行き詰ってしまう時が来ると思います。患者や利用者が良くなるには、心身がともに向上しなくてはいけないと思います。まずはリハビリに対する意欲を高めることが大切だと思います。

そのためには、治療する我々も人を指導する立場にあるわけですから、人間力を高めることが必要だと思います。毎日多くの方と関わる仕事であり、接遇面や、社会面を問われることもあります。

仕事中や休日に関係なく、色んなことに興味を持ち、挑戦していく姿勢の中に新しい発見や成長があると思います。その活動はすべて、理学療法士としての自身の成長、また価値につながってくると思います。

自身の課題や目標を明確にし、理学療法士として関わる方の1人でも多くの人が、健康で生き生きとした生活を送れるように、関わっていってほしいと思います。

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