専門職、理学療法士にこだわらず自由な働き方を選択できる、選択する人生に

現役PT・OT・STに話を聞く「深イイ話」
※画像はイメージです。

現役理学療法士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年8月28日

現役で働くリハビリ職のインタビューを通じ、医療介護従事者として働き続けるモチベーションの源泉に迫ります。周囲の考えに目を向けることで、この先にどうありたいか、自分の将来を考えるキッカケになれば幸いです。

プロフィール

田舎町出身。推薦入学で地元の大学へ通い、奨学金を借りていた地元のブラック施設で働き、辞めると決意した社会人3年目で上京。都内の回復期病院に2年半ほど勤務し訪問リハビリ兼務後、訪問看護ステーションへ転職。

現在は結婚を経て今後の育児を見込み、老人保健施設へ転職、正社員として働く理学療法士9年目です。

理学療法士 suzuさん

あなたにとって理学療法士とは?

相手と長く関わることができる仕事。ときには赤ちゃんから、ときには死を迎えるまで、その人の生活に深く関わることができることは他の職業にはなかなかないと思います。

身体的にも精神的にも単にリハビリだけなく、その人自体に寄り添うことができる職業です。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2012年4月~2014年6月
    いやいや期
    地元のデイサービスに就職。当時、特別働きたい場所がなかったため、就職先から奨学金が出て地元で働けることや、入職時には新たにクリニックが建設されるとのことで教授から勧められていた場所での就職を決めました。
    しかし、実際にクリニックが建てられたのは就職してから一年半後。社会人一年目はやはりやる気もあったので勉強会へ参加したり、福祉住環境コーディネーターの資格をとったりと励んでいました。
    会社は田舎のワンマン企業というイメージで理事長のいいなり、言ったこととやっていることが違っているなど、私が不満に感じる点が多数あり、やる気もそがれ体調も崩し鬱になりかけていました。
    地元に残る理由もなかったため、選択肢の多い都心への転職を決めて動き始めました。
  • 2017年4月~2017年9月
    介護老人保健施設で非常勤職員として勤務
    長期入所の方、短期入所の方のリハビリを行う。回復期リハビリとは違い1人当たり20分のみのリハビリ時間であるため、リハビリメニューの考案に難渋する。20人程度の利用者を対象とした集団体操や認知リハビリを実施する。夫の転職の関係で兵庫県へ引っ越すことになり、退職する。
  • 2014年7月~2016年8月
    スキルが一番身に付いた環境
    最初の会社への奨学金を返済し、引継ぎを終了させて、都内の回復期病院へ転職。転職時には3か所見学しました。
    ここの病院の決め手はスタッフの挨拶が良かったから、主任の人柄が良かったから、病院自体が新しく綺麗だったからです。回復期を選んだ理由は、前職が維持期であったため、回復期からどのような流れで患者さんが来るのかを理解したかったからです。
    リハビリ科の主任はスキルもあり、施術中に様々な知識と技術が増えました。
  • 2016年9月~2019年11月
    自由な働き方
    働く環境を変えるため、若いうちに短期間で稼げるのは今のうちだと思い、訪問看護ステーションへ転職しました。
    件数制の訪問リハビリで働き、プライベートで自分の時間を作れるように努力しました。訪問は完全一人で動くため、一匹狼タイプの自分自身は働きやすかったと思います。
    理学療法士だけで物足りなかった私は、フィットネスクラブのスタッフに登録し、体力測定のバイトをしたりもしました。また、まったく関係のない飲食のバイトも掛け持ちしながらリフレッシュできていました。
  • 2020年4月~現在
    生活のために環境を変える
    結婚、出産、将来の育児環境を踏まえ、老人保健施設へ転職。残業のない職場と優しいスタッフに囲まれて現在は自由にやらせていただいております。

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私はこんな理学療法士です。

私はこんな理学療法士です。

リハビリという言葉もだいぶ浸透してきたように感じますが、リハビリといえばマッサージのこと、と思っている高齢者の方も少なくありません。

しかし私は、リハビリとは単にマッサージだと思ってほしくありません。もちろん、もみほぐしたりストレッチをしたり必要ならさすったりすることはたくさんあります。しかし、その人の本来持っている機能を引き出すことが重要だと考えているので、最小限のお手伝いで基本は本人に頑張ってもらうこと、が私の前提にあります。

正しいリハビリの認識が広まっていけば良いなと思っています。

でも、リハビリを拒否してしまう方や認知症で理解に乏しい方に対しては、マッサージだよとお伝えしてしまうことは今でもありますけどね。

自分の信念は持ちながらも、相手の性格や背景を理解できてプログラムを組み立てられる理学療法士でありたいと思っています。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに理学療法士になったのでしょうか?

進路を決めなければいけない高校時代、オレンジデイズというドラマが放送されていました。そこで主役の妻夫木聡さんが演じていた作業療法士の映像がはっきりと残像に残っています。

おばあさんと平行棒を歩いていた数秒の映像でしたが、職業を探していた私はそれが気になってしまいこの仕事はなんだろうと調べ始めたことがきっかけです。

デスクワークは無理だと、体を動かす仕事がしたいと思っていたので、机上が多いイメージだった作業療法士より動けそうな理学療法士を志望するようになりました。

職場見学をして、当時対応してくれた病院の先生に理学療法士に向いている人はどんな人かと質問させていただくと、人のことを嫌いじゃないこと、と答えられました。誰でもできるのだなと思い、そこから理学療法士を目指し始めました。

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他にも、やり甲斐や誇りを持って働く人がいます

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編集部
編集部

理学療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

感謝されたときはやはりやりがいを感じます。前職場の先輩が言っていたことですが、ありがとうとは10回やって1回言われるかどうかだと。たしかにこちらが全力でやっても相手が思うような効果が出なかったり、病気だと余計落ち込んでいたりすることもあり感謝される場面は思うほど多くないかもしれません。

そんなときに感謝の言葉をかけられると、やってきて良かったと少し報われる気持ちになります。10回に1回のありがとうでもやる気は起こせるものです。ときには担当している人の家族から感謝されることもあります。もちろんそれもありがたいことなのですが、手をかけた本人が私のリハビリに納得して感謝してくれることが何倍もうれしいなと感じます。

また、自分の手技で治療の成果が出たと感じたときは経験してきて良かったとも思えます。これは継続が大事だなと思います。

よくその道10年といいますが、大量の知識は若いうちでも身に付きますが、感覚というものは長い間継続してこそつかめてくるのだと思います。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

訪問リハビリに携わっているときに、人生で初めて救急車を呼ぶという体験をしました。週2回訪問している一人暮らしの利用者さん宅で、訪ねると返答なく部屋に入るとベッドからずり落ちてずっこけ座りから動けない状態でした。呂律もいつもより回っておらず、脳梗塞疑いでした。バイタルを測定し、事務所の看護師と連携をとり救急車を呼ぶことになりました。

119に電話するなんてほとんどドラマでしか見たことがありませんでしたが、救急隊員の方は、マニュアル通り電話対応してくださり私も冷静に返答することができました。

高齢者や病気の方と接するからには、いつでも死に関わる職業でもあるのだと実感した体験でしたし、冷静に対応することが求められると思いました。現在はその利用者さんは元の生活に戻り以前のようにリハビリを受けられているそうです。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

初めて社会人となった一、二年目は特に理不尽な経験をたくさんしてきました。クリニック新設後は立ち上げだったため、すべてを自分たちでやる必要がありました。

私はクリニックに併設するデイケアの担当となりました。事務の人や運転手も足りない状況で、契約から書類一式の作成、リハビリ業務、デイケアの送迎、送迎表の作成、レセプト管理など、すべてを行っていました。

本来は理学療法士に必要ない業務も多々ありました。また、途中からISOの管理も始まり、一から書類の作成も行いました。終わらない残業が毎日続き、体調不良になり気持ちも落ち込んでいきました。

手首を痛め、胃腸の状態が悪くなり、足の震えが出現し通院しました。原因はわからないと言われましたが、鬱の一歩手前だったと思います。

しかし、最初の職場がそうだったため、転職後はそこまで負担に感じることは一切ありませんでしたし、メンタルが鍛えられ正しいと思ったことは発言していこうという気持ちになることができました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

何度か転職をして、私は維持期のリハビリが好きで今後も関わりたいと思っています。その理由は維持期が一番その人の生活に関わることができるからです。

最終的には死を迎える日まで一生関わる場合もあります。長期的に関わるため、気を付けていることはマンネリ化しないこと。身体機能も大きくは変化しない維持期では、リハビリの内容もルーティン化しがちです。

定期的に評価し、生活の中で不便なことはないか、より細かいところまで介入することができればそれこそQOLの向上ができると思います。

また、本人らしい生活の支援をすることを大切にしています。専門的に身体を見れば、正常に戻したいと思うことがありますが、その人に必要であればそうする、という考えです。

杖の高さ、筋トレのやり方、歩き方など、ある程度決まった基準もあり専門的なアドバイスはしますが、本人にとってそれが良いと感じればそれで良いのだと思っています。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

私が理学療法士になったきっかけもほんの些細なことでしたし、絶対になりたいと思ってこの職業に就いたのでは正直ありません。なにか他のことはできないかといつも考えているうちにアンテナが広がり情報収集していきました。

人脈を広げることはとても良いことで、選択肢が広がります。決まった職場で働くだけでなく、例えばフィットネスクラブでの体力測定のバイトは良い気分転換にもなっています。

また、旦那の仕事は自営業なのですが、将来的に飲食やアパレルなどいろいろな方面での活動もできそうで、一緒に仕事をしていくことも考えています。生涯を理学療法士で終えようとは思っていません。

資格をとると良い意味で一旦離れても再就職は現段階では簡単に行えます。若いうちにいろいろなことにチャレンジしてみたい、老若男女問わず、相手に関わる仕事をしていきたいです。

編集部
編集部

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

学生時代、みんなが口をそろえて話す厳しかった臨床実習の様子も変わり、より簡単に資格をとりやすくなっているのではと思います。

だからこそ、実践が大事になってくるのではと思うので、たくさんの患者、利用者さんと触れあい、専門的に身体を理解することと、人の価値観や背景を学ぶことが経験値になります。

まずは経験を積んでいくと、自分のやりたいことが見えてくることもあるのではないでしょうか。

専門職はこの仕事一本だと決めつけずに、やりたいことがあれば医療と関係のないことでもチャレンジしてみるのありだと思います。一医療従事者の感想ですが、だれかの心に少しでも共感できる部分があればと思います。

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