LGBTな理学療法士YOPPYが考える理想的な理学療法とは?

現役PT・OT・STに話を聞く「深イイ話」

現役理学療法士の深イイ話

インタビュー実施日:2020年9月9日

現役で働くリハビリ職のインタビューを通じ、医療介護従事者として働き続けるモチベーションの源泉に迫ります。周囲の考えに目を向けることで、この先にどうありたいか、自分の将来を考えるキッカケになれば幸いです。

プロフィール

30代後半(アラフォー)の理学療法士、YOPPY(女子)です。理学療法士になって現在8年目です。

私は高校を卒業し、社会人を経験。26歳の時に理学療法士の専門学校に通い始めました。夜間部に通っていたため、昼間はバイト、夜学校に行くという日々が4年間続きました。

卒業後、整形外科クリニックに勤務し、総合病院、現在は脳神経外科クリニックに勤務しています。主に外来患者さんのリハビリ、短時間デイケアのリハを行っています。

脳神経外科では、脳梗塞や脳出血による後遺症のリハビリだけではなく、運動器疾患(変形性頚椎症、肩関節周囲炎、腰椎椎間板ヘルニア、変形性膝関節症など)のリハビリも行っています。

プライベートでは、現在のパートナーが3人の子持ち。一人生活から一気に5人での生活となり、大変賑やかで慌ただしい毎日を送っています。

私自身、長女で3人兄弟であったので突然の子育ても難なくこなせています。ちなみに私のパートナーは女性。そのため「2人のママ」が子育てし、生活を共にしています。いわゆるLGBTのステップファミリーです。

理学療法士 YOPPYさん

あなたにとって理学療法士とは?

「お医者さんとか、看護師さんにはなかなか話せないけど、理学療法士の先生には話せるわ」と、よく患者さんから言われます。理学療法士は、医師、看護師と違い、一人の患者さんと接する時間がとても長いため、患者さんの心に最も寄り添うことができる職種です。

治療技術はもちろんのこと、人を思いやる気持ちやコミュニケーション能力が必要となります。それは患者さんとの関わりだけでなく、医療職とのコミュニケーションにも役立ちます。

医療職にもっとも大切なことはチームワークです。得た情報を医師、看護師、ケアワーカーなどに、報告・連絡・相談・コミュニケーションを図ることで、一人ひとりの患者さんの安全なケアを行うことに繋がることになります。

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2013~2017年
    整形外科クリニック
    理学療法士になって初めて勤務したのは整形外科クリニックです。
    この整形外科クリニックでは、内視鏡手術、人工関節置換術、骨接合術など整形外科手術ができ、入院病棟が11床ありました。そのため、急性期~回復期、維持期までの患者さんのリハビリに携わることができました。
    またこのクリニックのリハビリは、関節治療技術に力を入れられていました。
    入職したばかりの私には、混乱する日々でした。学校で習ったことが通用せず、その技術ではストレッチや運動はあまりしないほうが良いとされていたからです。
    しかしながら、「え?さっきまで痛かったのに、あの痛みがなくなった!」などと、患者さんの反応はとてもよく、県外から治療を受けに来られる人も多くおられました。
    私もその治療技術を学ぶため、昼休みや診療後の時間を使い、日々治療の勉強を行っていました。
    入社して数か月は見学とバイザーの先生と共に患者さんを診る日々でしたが、GWが過ぎた頃に、入院患者さんを受け持つようになりました。初めて受け持った患者さんは交通事故の患者さんと膝の人工関節の手術を呈された方でした。術後の患者さんに対するプログラムが個人個人によって違うということ、リハビリは控えめにしてもダメ、やりすぎてもダメだということを知ることができました。
    2年目から外来患者さんも併用して受け持つようになりました。外来では3歳から90代まで、様々な年齢の患者さんを受け持っていました。各年齢層に対するコミュニケーションの取り方を学ぶことができました。
  • 2017~2018年
    総合病院
    整形外科以外の患者さんのリハビリを行ってみたいと思ったことと、心臓リハビリに興味を抱いていたため、総合病院に転職しました。慢性期で200床ある病院でした。ここは心臓リハ、呼吸リハ、脳血管リハ、運動器リハがありました。
    6年目でありながら、脳血管疾患、心臓リハ、呼吸リハが初めてであったため、今までと違った環境でとても勉強になりました。
    今までの整形外科クリニックでは、腰や膝が痛いというだけで、比較的元気な患者さんを相手にしてきました。また入院しても、元気になって退院される方ばかりで、ハッピーエンドのシナリオばかりでした、
    しかし、この慢性期の病院では、そのような方はおられません。「死」と隣合わせの方々が多く入院されていました。そのため、「死を待つ患者さんのためにできることは何なのだろう」と常に考えさせられ、とても悩みました。
    そんな時、PT歴30年の大ベテランの先生に「ゴール設定とか目標は立てにくいよね。けど、寝たきりでも、話ができなくても、私たちが介入することに意味がある」と声をかけてくれたことは、心にとても残っています。
    死が近い、寝たきりの方であっても最後までQOLを維持していくことの大切さを学ぶことができました。
  • 2018年~現在
    脳神経外科クリニック
    総合病院では、脳血管疾患の患者さんを多く受け持っており、その中で脳血管疾患の患者さんに対するリハビリの大変さ、難しさを経験しました。その難しさをもっと極めたいと思い、脳神経外科クリニックに転職しました。
    この脳神経外科クリニックは、入院病棟は無く、外来と短時間デイケアを行っています。
    患者さんの割合としては運動器疾患患者さんが6割、脳血管疾患患者さんが4割です。
    脳血管疾患では、脳梗塞、脳出血後遺症の方、パーキンソン病の方など。運動器疾患では変形性頸椎症、頸椎・腰椎ヘルニア、頸椎・腰椎脊柱管狭窄症などの疾患の方のリハビリを行っています。
    外来での脳血管疾患のリハは時間との勝負です。入院患者さんでは今日できなかった訓練を明日しよう!と持ち越せますが、外来になると、多くても1週間に2~3回のペース。施術だけに時間を取ったり、訓練だけに時間を取ったりということはできません。
    施術後の訓練も短時間で効果を出せるよう、時間配分を考え、今日はこことここに的を絞って訓練をしていくと計画を立て、患者さんと共に集中し、リハビリを行っていきます。
    脳神経外科クリニックの外来リハは、時間の采配、判断力、集中力が試されるなと感じます。しかし、このような切羽詰まった環境が私にとって合っているように思えます。

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私はこんな理学療法士です。

私はこんな理学療法士です。

私は患者さん、スタッフ、先生方から「人の懐に入るのが上手」と言われます。しかし、自分では特に努力していることなどはありません。

私が心がけていることは、「心に寄り添う」です。

リハビリは、理学療法士だけが頑張っても結果は出ません。また患者さんがいくら頑張っても間違った方法でやってしまうと結果が悪くなります。必ず、患者さんと理学療法士、二人がともに目標に向かって歩いていくことが大切です。

人は、日によって気持ちや体調は変化します。良い日もあれば、悪い日もあるでしょう。声掛けでコンディションが上がる人もいれば、何をしてもうまくいかない人もいます。その時々で声掛けを変える、訓練メニューを変えるなどといった「見極め」が大切になります。

その見極めができるためには、相手の気持ちに寄り添い、相手の感情を感じ取る必要があります。

寄り添うといっても、話を単に聞くということではありません。

私も心を開いて、私という人を分かってもらい、私もあなたと同じ立場にいる人間なのだということを、会話の中で相手に伝える必要があります。

そのように人と触れ合うことをモットーにしていることで、「懐にスッと入り込む」ことができるのだと思います。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに理学療法士になったのでしょうか?

私が高校2年生のころ、祖母が脳梗塞で倒れ、その時に理学療法士の仕事を知ることになります。

入院してすぐ祖母のリハビリが開始になりました。「倒れてすぐの人なのに・・・大丈夫?殺されない?安静にしてなくていいの?」と、正直、理学療法士の方を疑いました。

しかし、その担当の理学療法士さんは、高校生の私の不安を察知したようで、親切に今の祖母の状況や、私の不安な気持ちに対して耳を傾けてくれ、丁寧に対応してくれました。

残念ながら祖母は天国に旅立ってしまいましたが、その時に出会った理学療法士の先生がとても印象に残り、私も理学療法士になりたい!と思ったのがきっかけです。

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他にも、やり甲斐や誇りを持って働く人がいます

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編集部
編集部

理学療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

誰しも病気やケガをすると、心身共に元気がなくなります。リハビリというものは、その人にとって前向きなものでもあり、マイナス(障害)と向き合うものであったりします。

その人にとって人生の大きな局面を、私たち理学療法士は共にリハビリを通じて介入するのです。そのような仕事、ほかにはありません。

リハビリは患者さんと理学療法士が0から頑張り、日々の努力が積み重なって、患者さんの「できること」が増え、回復していきます。そんなときに患者さんの笑顔が見られること、そして喜びを分かち合えた瞬間に、セラピストになって良かったと思うことができます。また「人から直接感謝の言葉を頂ける」ということもやりがいに繋がると思います。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

私が2年目の時です。事故で、中学生の女の子が入院してきました。その子は、初めての入院で夜寝るときにいつも泣いており、看護師が何度も見に行ってあげ、時にはナースステーションで話を聞いたりし、日中リハビリの時間にはとても眠そうにしている子でした。

日に日に、入院生活も慣れてきて、私たちとも会話を楽しむようになりました。

「将来の夢は何?勉強は楽しい?」と聞くと、「何がしたいかわからない。勉強は嫌い」と言っていたのですが、退院間際になると「私、先生みたいになりたい!私、勉強頑張るね!」と宣言したのです。

その子は高校受験も頑張り、常に成績トップで学生生活を過ごし、なんと本当に理学療法士の専門学校に通うようになったのです。(ちなみに私の母校に)

そして、今現在、夢を叶えて理学療法士になり、整形外科クリニックで働いています。

1人の女の子の夢のきっかけになれたこと。それはとても忘れられない経験になりました。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

仕事に就いた際、苦労したことはやはり経験の差です。

他の先生たちは見抜けることが、私にはわからない。他の先生にはできることが私にはできない。そのことがとても悔しいというか、がっかりしたというか。日々焦りと不安で悩む日々でした。

また歩行訓練の際に、患者さんのパジャマを汚してしまったり、患者さんとの距離感が分からず友達のように接してしまったりと、医療人としての意識不足がとても目立ち、先輩の理学療法士の先生によく指導されてきました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

私は、患者さんの表情や目を見て会話することを心がけています。

患者さんの表情を見ることで、「今日は元気なさそうね?どうかされたのですか?なにかありましたか?」というような声掛けができます。

患者さんによっては話さない人もいるかもしれません。しかしこちら側が聞く姿勢をとると患者さんは「あら!こんなことまで先生に話しちゃうなんて!笑」ということが多くあります。

リハビリの限られた時間ではありますが、患者さんの本当の訴えは、その話の中に潜めているかもしれません。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

今後やりたいことは、産後ケアのリハビリがしてみたいと考えています。

産後は骨盤が緩み、腰や仙骨に痛みを訴える方が多くおられます。また赤ちゃんがいることであまり病院にも行けないという方がおられると思うので、出張してリハビリを行えたらいいなと思っています。

今はなにから始めて良いかわからないので、とにかくまずは経験を積んで、技術面の向上を図ることが大切です。

編集部
編集部

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

新人の若い人に対してのメッセージとして。理学療法士は医師と同じく「一生、勉強」が必要な職業です。

「他の先生たちは遊んでいるから自分も遊んでおこう!」「周りの先生のレベルが低いから全然勉強にならない!」など言っている新人さんがチラホラいますが、学生と違い、社会人になったら周りをあてにしてはいけません。知識や技術は自らの手、足で学んでください。

それにはお金もかかりますし、休日も返上して学ぶことになります。そうやって学ぶことで、ようやく一人一人の患者さんと向き合えることができます。社会人として、理学療法士として胸を張って仕事をしてもらいたいと思います。

そして、経験を積んでたくさんのことを学んでほしいです。理学療法士は患者さんとたくさんコミュニケーションが取れる分、信頼関係も深まる、他にはない職業だと思います。「先生のおかげです!ありがとうございます」という言葉を直接頂けるありがたいお仕事です。

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