デイサービスで働く理学療法士の仕事の心得。介護分野を続けるワケとは?

現役PT・OT・STに話を聞く「深イイ話」

現役理学療法士の深イイ話

インタビュー実施日:2021年8月1日

現役で働くリハビリ職のインタビューを通じ、医療介護従事者として働き続けるモチベーションの源泉に迫ります。周囲の考えに目を向けることで、この先にどうありたいか、自分の将来を考えるキッカケになれば幸いです。

プロフィール

理学療法士11年目のkumaharaです。30代の男性で、3児の父です。現在はデイサービスに勤務しています。機能訓練員として1日30人前後の機能訓練やホール業務、送迎などを行っています。プライベートでは、3人の子育てに奮闘中。

休みの日は公園やショッピングモールにお出かけしています。独身の頃はよく研修会や学会に参加していましたが、子どもが生まれてから子育て優先になりました。

自己研鑽は読書が中心で、1カ月に3~5冊は本を読んでいます。最近はオンラインで理学療法や介護保険について学ぶことも多くなりました。

理学療法士 kumaharaさん

あなたにとって理学療法士とは?

私のざっくり変遷記(職務経歴概略)

  • 2010~2014年
    介護老人保健施設に就職
    理学療法士として初めて勤務した職場は、病院に併設している介護老人保健施設(老健)でした。本当は病院で勤務したかったのですが、介護部門の人員が不足していたため、当時はあまり興味のなかった介護分野でキャリアをスタートしました。
    一般療棟50床、認知症専門の療棟50床の中規模な施設でしたが、当時はリハスタッフ3人ですべての利用者のリハビリを実施。短いリハビリの時間内で、いかに効果を出せるのかを考え続ける日々でした。
    介護老人保健施設とは、病院を退院した方が自宅へ戻るまでの間に利用される施設です。しかし、実際にはさまざまな事情から自宅へ帰れず、10年以上も介護老人保健施設に入所したままの方が多くおられました。どうすれば自宅で生活できるのかを考え、リハビリを行い続けました。
    私が在籍した約4年間で自宅復帰された方は10人程度でしたが、少しでも利用者様の生活スタイルを改善できたと思っています。
  • 訪問看護ステーションへ転職
    結婚をきっかけに、介護老人保健施設を退職。他県へ引っ越し、訪問看護ステーションに転職しました。朝に子どもを保育園に送迎しないといけないため、始業時刻が遅いという理由で訪問看護ステーションを選びました。
    訪問看護ステーションでは、介護保険の制度について非常に勉強になりました。担当者会議や病院での退院前カンファレンスに出席したり、ケアマネジャーと連携したりと介護保険の全体が理解できた経験は今でも役に立っています。
    訪問看護ステーションに勤務している頃は家族と仕事を両立しなければならず、自己研鑽ができない時期でした。研修会にも参加できなくなりましたが、オンラインで研修動画を配信するサービスが開始されたため、子どもが寝た深夜帯によく勉強していました。
    新しく家族が増えたことで、将来のキャリアや給料の上昇についても考えるようになりました。訪問看護ステーションでは、看護師の方が管理職に就いておられたので「職位の上昇は難しいな」と考え、転職を決意しました。
  • 2018年~現在
    デイサービスへ転職
    理学療法士としてのキャリアアップを考え、デイサービスに転職しました。私が就職する前は機能訓練を行っておらず「1から機能訓練のやり方を構築できる!」と考えて、このデイサービスを選びました。
    介入当初は「機能訓練=マッサージ」というイメージが強く、なかなか運動療法が定着しませんでした。まずはレクリエーションを取り入れた楽しい運動から開始し、徐々に各利用者様の問題点に合わせた個別メニューを提案していきました。
    今では利用者様の方から「今日も運動しようか!」と訓練室に来てくれるようになり、デイサービス全体で運動療法に対する理解が深まってきたと感じています。
    デイサービスではリハビリ以外のことにも関わるように行動しています。デイサービスの営業活動やケアマネジャーとの連携にも積極的に行っています。現在は主任として、デイサービス全体の運営に取り組んでいます。

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私はこんな理学療法士です。

私はこんな理学療法士です。

利用者やご家族の意見を尊重するように心掛けています。デイサービスや訪問看護ステーションといった介護分野は、不信感を抱かれてしまう利用を止めてしまいます。まずは相手の要望を受け入れて、少しずつアプローチを進めていきます。

ただし、不可能なこと・無理な注文ははっきりとお断りしています。「優しいけど、言うべきことははっきり言う」という性格だと思います。

介護分野は利用者様の状態に異常があっても、医師とすぐに相談できません。そのため、リスク管理や状態観察は注意しています。

編集部
編集部

どのようなことをキッカケに理学療法士になったのでしょうか?

父親が看護師をしており、理学療法士を勧められました。私が中学生の頃(2000年初頭)はセラピストが不足しており、待遇がとても良かったため勧めたのだと思います。

中学・高校生の頃は「自分は理学療法士になるんだ」という目標があったため、進路に迷うことなく専門学校へ入学しました。

両親から勧められて理学療法士を目指しましたが、今では理学療法士の資格を取得して良かったと思っています。

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他にも、やり甲斐や誇りを持って働く人がいます

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編集部
編集部

理学療法士になって良かったこと、やり甲斐は何ですか?

介護分野は、利用者様の生活に直結するアプローチができることがやり甲斐です。たとえば、寝室で何度も転倒している方に対して、手すりを1本取り付けただけで転倒がなくなったケースがありました。少しのアドバイスでも、利用者様の生活スタイルを改善できます。

また、理学療法士は資格のある仕事なので、転職しても一定の給与が維持できる点は良かったと思います。私は結婚を機に地元を離れましたが、以前の職場と変わらない給与や待遇で働いています。

最近は病院や施設が倒産・閉鎖したという話もよくあるので、もしもの事態でも資格があると安心できますね。

編集部
編集部

印象に残っているご経験はどのようなことですか?

訪問看護ステーションに勤務している頃、有料老人ホームに入所されている利用者に介入させて頂きました。60代という若い年齢でしたが、神経難病により安全に歩行ができなかったため、自宅での生活が難しい状態でした。

ご本人は「自宅に帰りたい」と強い希望があり、訪問時のリハビリ以外でも自主訓練を熱心に実施されていました。

1年後には自力で歩行できるようになり、有料老人ホームを退職して自宅復帰を叶えました。

私が訪問看護ステーションに勤めた4年間で、有料老人ホームから自宅復帰されたのはその方ただ1人。まだ年齢が若かったこともありますが、なによりご本人が相当な努力をされていたことが印象に残っています。

編集部
編集部

仕事に就かれた当初苦労されたことなどありましたらお願いします。

認知症の利用者様へのリハビリに苦労しました。介護老人保健施設では認知症専門の療棟で50人の利用者様を担当していました。

口頭指示が伝わらない方もたくさんおられましたので、どんなリハビリをしたらいいのか苦労しました。

「リハビリを行う意味はないのでは…」と悩んだ時期もありました。しかし、介護スタッフの方から「○○さん、最近は歩行状態が良くなったよ」といった言葉を掛けてもらい、自分が行っているリハビリは無駄ではないと思うようになりました。

編集部
編集部

日頃から大切になさっていることはなんですか?

理学療法士として、どのようにキャリアアップしていくのかを常に考えています。

リハビリに関する知識や技術も大切ですが、サラリーマンとして職位や給料を上げることができるのかも大切です。具体的には、リハビリだけでなく事業所の運営にも積極的に関わるように行動しています。

また、理学療法士の求人情報は定期的にチェックしています。理学療法士の転職市場の確認とともに、キャリアを大幅にジャンプアップできるチャンスがあればすぐに行動できるよう心掛けています。

編集部
編集部

今後やりたい事や目標などありますか?

介護分野で働きたい!と思ってもらえる人材が増えるような活動がしたいです。介護施設はリハビリスタッフをはじめ、介護士や看護師が慢性的に不足している状態です。「仕事がきつい」「給料が安い」というイメージをなくし、働きやすい職場になるにはどうしたらいいか考え続けています。

具体的な行動として、現在は勤務しているデイサービスのホームページを作り、介護分野で働く魅力を発信しています。介護について、少しでも明るいイメージが定着したらいいなと思っています。

編集部
編集部

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

同じ理学療法士として働く方へメッセージをお願いします。

理学療法士の働き場所は、急性期や回復期などの医療分野が人気です。

しかし、私のように新卒からずっと介護分野で働く理学療法士もいます。介護分野でも知識や技術を高めることはできますし、キャリアを積むことも可能です。

理学療法士としてではなく「1人のサラリーマンとして、会社にどう貢献できるのか」が重要な時代だと思います。

介護分野は次々と新しい事業所が参入しており、介護保険制度の変更にもうまく対応しなければなりません。会社の中で「自分にしかできない仕事」を考え、行動し続けることがキャリアアップへの近道だと思います。

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