訪問看護ステーションからの訪問リハと病院からの訪問リハの違い。働き方や給与を解説

リハビリセラピストの働き方を考える
※画像はイメージです。
訪問リハビリに携わりたいセラピスト
訪問リハビリに携わりたいセラピスト

訪問リハビリで働こうと思っているけど、ステーションからの訪問と、病院からの訪問とではどう違うの?働き方とか、利用者に何か違いはあるの?給料はどちらの方が良いのか教えてほしい。

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が利用者の自宅に伺い、その人に合わせたリハビリをするという訪問リハビリは実は2種類あります。

病院や診療所、介護老人保健施設などから訪問する「訪問リハビリ」と独立したステーションから訪問する「訪問看護ステーション」です。

この2つの訪問リハビリ事業に何か違いはあるのでしょうか?訪問リハビリを長年経験した筆者が紹介します。

記事のテーマ
  1. 訪問リハビリテーションと訪問看護ステーションとのシステムの違い
  2. それぞれの事業所で給与体系が違う場合が多い
  3. 求められるスキルが違う

病院や診療所からの訪問と訪問看護ステーションからの訪問との違い

病院や診療所からの訪問と訪問看護ステーションからの訪問との違い

転職や再就職しようとしている理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が、「訪問リハビリ」の仕事を選択しようとする際に、必ず出る疑問が「訪問リハビリテーションと訪問リハビリテーションからの訪問リハビリとの違い」です。制度も内容も似通っている両者に違いはあるのでしょうか。

理由①:介護報酬が違う

制度的なところから説明すると、訪問リハビリテーション(以下訪問リハビリ)と訪問看護ステーションからの訪問リハビリ(以下訪問看護)では介護報酬自体は、大きな変化はありません。

1回の利用が20分で訪問リハビリは290単位、訪問看護では296単位とやや訪問看護の方が高く設定されています。両者とも1日3回までの提供が可能で3回を実施すると介護報酬が90/100となります。

加算の内容や報酬内容も訪問リハビリと訪問介護とでは違いがあり、事業所のサービス充実度によって介護報酬が変化します。特に特徴的な加算として、訪問リハビリには「社会参加支援加算」という加算があり、地域の行事に参加するなど利用者が社会参加に向けた取り組みを行った際に1日につき17単位を加算することができます。

理由②:利用者層が違う

訪問リハビリと訪問看護では利用者層が違うことも特徴です。訪問リハビリでは診療所や病院等の医師から直接ケアマネージャー(多くは同一法人内のケアマネージャー)に依頼をし、訪問リハビリの指示箋が出される場合が多いです。そのため、機能回復を目指す比較的軽度~中等度の利用者が中心となる傾向があります。

一方、訪問看護ではケアマネージャーが自身の受け持ちの利用者の状況を考慮して訪問看護にリハビリの依頼を出す傾向があります。多くの場合は理学療法士や作業療法士、言語聴覚士だけでなく、看護師の関与も同時に依頼をします。そのため、利用者像としては中等度~重度の利用者が多いでしょう。

理由③:システムが違う

訪問リハビリの指示医は同法人内の医師であることがほとんどなので、リハビリに対して精通していることが考えられます。

そのため、指示内容や訪問リハビリの手段についても相談しやすい環境にあります。

また、医学的情報やリスク面、指示内容の更新などがスムースに行え、リハビリスタッフと医師との情報共有なども行いやすいでしょう。

しかしその反面、かかりつけ医とリハビリの指示医が違う場合もあるので、新たに通院する必要性が出てきます。

一方訪問看護では、かかりつけ医が指示医となるので今まで通りの通院方法や回数を変える必要がありません。

しかし、かかりつけ医の全てがリハビリに精通しているわけではないので、訪問リハビリと比べて詳細な情報や指示内容はもらえないかもしれません。

また、訪問リハビリは原則1人で利用者の自宅に伺うため、突発的な事態となった時でも一人で対応する必要があります。しかし、訪問看護では2人以上のスタッフで利用者の自宅へ伺うことも認められているので、緊急の事態となった時でも他のスタッフに助けを求めやすいです。

働きやすいのはどちらの事業所?

働きやすいのはどちらの事業所?

訪問リハビリと訪問看護とではいったいどちらの方が働きやすいのでしょうか。

それぞれに特徴があり得意とする分野が違うので自分に合った事業所を選択することをおすすめします。それぞれの特色について具体例を交えて紹介します。

具体例①機能回復を目指したリハビリなら訪問リハビリテーション

機能回復を目指したリハビリテーションを希望する人は訪問リハビリをお勧めします。前述したように訪問リハビリでは、法人内の意思から直接依頼が来ることが多いので、病院で働いている時と同じような指示が出されます。

以前私が働いていた訪問リハビリでは、医師は整形外科の専門医だったので整形疾患が中心に指示箋が出されました。多くは退院後すぐの「大腿骨頭警部骨折で人工骨頭術後」や「圧迫骨折」を既往されている人で、生活範囲の拡大を目的とされていました。

多くのケースで積極的な筋力強化とADL訓練、福祉用具および住宅改修にて比較的早期に機能が回復し、一人で家事が行えたり、地域の行事に参加が出来るようになったりと生活範囲の拡大が図れました。担当医師やケアマネージャーとも話し合い、早期に訪問リハを終了し、別のサービスへ移行する利用者も数多くいました。

具体例②利用者とより長く深く付き合いたいのなら訪問看護ステーション

訪問看護では、看護師と連携して行うため比較的重度のケースが多い印象があります。以前私が勤めた訪問看護ステーションでは、多くの利用者が看護的なケアも必要としていました。

すぐに状態が良くなるというよりは、現状の生活を維持できることを目的に訪問リハビリとしての指示が出ることが多かったです。そのため、経過が長く2年以上も関わった人も数多くいました。

その人を取り巻く他のサービスの事業所とも連絡を取り合い、密な連携が出来たように思います。利用者との関りを続けていく中でお互いのことをよく理解し合えるので、より長く深く利用者と関わりたい人にはおすすめです。

給与が高いのはどちらの事業所?

給与が高いのはどちらの事業所?

今度は、両者の違いを給与面で見てみましょう。一般的に訪問看護ステーションではインセンティブ制を導入しているところが多くあり、逆に訪問リハビリでは度移入しているところは少ないとされています。このインセンティブ制によって給与はどう変化するのでしょうか。

理由①インセンティブ狙いなら訪問看護ステーション

インセンティブ制とは、月の訪問件数がその企業独自の規定を上回ると、上回った分だけ給与とは別に報酬が増加する制度のことを言います。訪問看護ではこのインセンティブ制を導入していることが多く、訪問件数が増えれば増えるほど給与に反映していきます。

そのため、例え1年目の新人でも頑張り次第で、年収が600万円以上となることは珍しくありません。

しかし、インセンティブ制の導入によって規定以下の訪問件数であれば給与が増えにくい点も指摘されています。多くの事業所でインセンティブが入るのは訪問件数が80件以上とされています。訪問件数が80件以上になるには事業所にもよりますが、半年以上かかるといわれています。その間はインセンティブが入らず、他の事業所よりも給与が逆に低い場合もあります。

また、インセンティブ獲得にこだわるあまり、リハビリの質が低下していることも危惧されています。利用者を収入源としか見られず、収入を維持するためにリハビリの手を抜いたり、必要以上に利用者のキャンセルを気にしたりする理学療法士や作業療法士、言語聴覚士もいるようです。これでは何のための訪問リハビリかわかりません。

理由②安定した給料は訪問リハビリテーション

訪問リハビリでは、インセンティブ制を導入していない事業所が多いです。訪問リハビリを兼務で行っている場合もあり、午前中は院内で患者のリハビリを行い、午後から訪問リハビリに出かけるというパターンもあります。

私が以前勤めていた訪問リハビリがまさにそのパターンで、私は院内でのリハビリと訪問リハビリを兼務で行っていました。午前中に1~2人の患者さんのリハビリを行った直後に、訪問リハビリに出かけ、帰ってきてからまた院内でリハビリを行うということが日常茶飯事でした。

給与面は、他の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士よりも訪問リハビリの手当てが入っていた分、少し高めでした。病院によっては訪問リハビリで専従として働く場合、400万円以上の年収をもらえることも多いようです。インセンティブは入りませんが、安定した給与を保証してくれるでしょう。

訪問リハビリと訪問看護で求められるスキルとは?

訪問リハビリと訪問看護で求められるスキルとは?

それでは、訪問リハビリと訪問看護で求められるスキルをそれぞれ紹介します。

具体例①訪問リハビリは医師との連携が重要

訪問リハビリは、医師との連携が最も重要となります。訪問リハビリではその利用者のほとんどが医師から直接ケアマネージャーを通して依頼されることが多いです。そのため利用者宅に訪問に伺う前に、しっかりと医師と処方内容について話しをしておきましょう。

医師の想いが理解できれば、自ずとその利用者の方向性が見えてくるでしょう。医師の信頼を勝ち取るためには、日頃から医師としっかりコミュニケーションを取っておくことが必要です

もちろん利用者の代弁者になることもあります。普段医師に話がしづらいことを利用者に代わって医師に告げる場合もよくあります。お互いの意思の調整役になることも理学療法士や作業療法士、言語聴覚士には必要です。

具体例②訪問看護ステーションは看護師との関係性が重要

訪問看護では、看護師の関係性がリハビリに大きな影響を与えてしまう場合があります。看護師との何気ない会話の中にも重要なヒントや情報が隠されていることがあります。

利用者は理学療法士や作業療法士、言語聴覚士に話す内容と看護師に話す内容が違う場合も多々あります。利用者のことをより深く理解するために看護師にも積極的に関わって意見交換をすることが必要です。

具体例③どちらの事業所もケアマネージャーとの強い連携が必要

ケアマネージャーは、各サービス事業所からの様々な情報を集めて、利用者に合った個々のケアプランを作成します。あなたが発する情報によって利用者のケアプランが変更されることもあります。

しかし、多くの場合ケアマネージャーとはサービス担当者会議の時以外はあまり直接会って話をすることはありません。そのため、伝えた情報が誤って伝わってしまい、誤解を生じる場合もあります。

時々はケアマネージャーに直接電話などで利用者についての話を行い、誤解を生じるリスクを最小限にするスキルも必要です。

働きやすい事業所を見つけるコツ

働きやすい事業所を見つけるコツ

最後に訪問リハビリを行うにあたり働きやすい事業所を見つけるコツについて紹介します。

方法論①訪問リハビリテーションの場合

訪問リハビリテーションで就職を希望する場合は、まずその病院およびクリニックの診療科目およびリハビリテーション医の専門を調べましょう。

訪問リハビリの処方が出る利用者はそのほとんどが、その病院の患者からとなります。

そのため、整形外科系の病院なのか、脳神経系の病院なのかは押さえておいた方が良いでしょう。もちろん全てがその限りではないですが、その傾向が強いことは間違いありません。

訪問リハビリは兼務か専従なのか、現在働いている訪問リハビリのセラピストはどのような勤務体系で働いているのかを面接の時に聞いておくと働くまでの間に心構えができます。

方法論②訪問看護ステーションの場合

訪問看護の場合は、まずインセンティブの有無と基準について聞いておきましょう。インセンティブの有無によって報酬がガラッと変わります。

また、現在働いている人の一日の訪問件数や1か月の訪問件数、インセンティブが発生するまでに通常どのくらいの期間を要しているか等を確認します。

特に報酬をメインに転職をされる場合すごく重要な点なので、忘れずに聞いておきましょう。

方法論③事業所の規模

事業所の規模も重要なポイントです。特に訪問看護では事業所の規模が大きいほどインセンティブ制を導入している事業所が多い傾向があります。

また、訪問看護は他のサービス事業所などを持たず単体で行っている所も多く、所属するセラピストの人数も事業所によって違います。セラピストの人数が少ない事業所であれば、セラピストが離職すると経営難に陥ることもあります。

訪問リハビリでは、病院規模に応じて専従か兼務に分かれる場合があります。大規模の病院では専従となりやすく、小規模のクリニックなどでは兼務となりやすい傾向があります。

まとめ

一口に訪問リハビリと言っても、病院や施設からの訪問リハビリと訪問看護ステーションからの訪問リハビリとは、似ているようでいくつかの相違点があります。

訪問リハビリで働く場合、収入面や働きやすさ、やりがいなど自分自身が何を一番の目的にしているのかをはっきりと意識し、自分に合った職場を探してください。

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この記事を書いた人

もしもし

独学での限界を感じ、専門的に理学療法を学びたいと感じ理学療法士の専門学校夜間部に入学。理学療法士および作業療法士として医療や介護、スポーツの分野にも携わる。現在は地域医療を担うクリニックのリハビリテーション部門の責任者として勤務する。オーストラリアへ留学経験もあり、現地の精神科デイケアで働きながらコミュニティサービスワーカーの資格を取得している。

資格

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • ケアマネージャー

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