
勤務先が副業を認めてないけど、週2日ある休みを使ってバレずに副業したい。病院勤務で副業として訪問リハビリに携わるのは問題ないのか知りたい。
訪問リハビリは病院でセラピストや、デイサービスなどの介護保険領域で働く理学療法士等にとって人気の副業となっています。短時間でも働くことができ融通が利きやすい訪問リハビリは、休日や空いた時間を利用して働くセラピストが多いです。
しかし、副業禁止となっている職場が多い医療・介護業界で、副業がバレるリスクはないのでしょうか?副業で訪問リハビリとして働くメリットや注意点について解説します。
- 副業で訪問リハビリがおすすめの理由
- 訪問リハビリは事業所選びが重要
- 副業を行う際の注意点
副業で訪問リハビリはアリ
病院や施設で働いている理学療法士等にとって、副業を考えた時に真っ先に浮かぶのが訪問リハビリではないでしょうか?
訪問リハビリは理学療法士等が行う副業で最も人気のある事業所の一つで、多くのセラピストが所属しています。訪問リハビリを副業として選択することのメリットを紹介します。
理由①:時間に融通が利きやすい
訪問リハビリが副業として最も人気のある理由の一つが、時間に融通が利きやすい点です。多くの訪問リハビリ事業所は、時給制を取っておらず歩合制を取っています。
そのため、担当する利用者と訪問する時間を設定しておけば、その時間以外は時間に縛られることなく、自由な時間を過ごすことが出来ます。
例えば、本業の昼休憩の時間に1件訪問リハビリに行き、業務終了後にもう1件訪問するという働き方も可能です。
また、次の利用者との訪問リハビリ開始時間に間が空いている場合は、その間に私用を済ませることもできます。事業所で待機しておく必要が無いため、その時間を有効利用することも可能です。
理由②:短時間で高報酬
短時間で高報酬が得られることも、訪問リハビリが副業として人気の秘密です。訪問リハビリの介護報酬は、他のサービスと比べ高く20分で302単位となっています。
通常20分で訪問リハビリが終了することは稀で、ほとんどがサービス提供時間を40分、もしくは60分で契約をしています。
さらに様々な加算が上乗せされるので、訪問リハビリ事業所は理学療法士等に高額の報酬を渡したとしても十分な利益を得ることが出来ます。
1件2,500円~3,000円の報酬を提示している事業所も多く、中には1件4,000円という事業所もあります。時給1,500円~2,000円が相場のデイサービス事業所などの介護サービス事業所と比べても短時間で高報酬を得られるのではないでしょうか。
理由③:同じ立場の人が多く働いている
訪問リハビリを副業で行っている理学療法士等は多く、大きい訪問リハビリ事業所であれば2~3人は同じ立場の人たちが在籍しています。
そのため、非常勤だからという引け目を感じることなく思う存分持てる力を発揮することが出来るでしょう。
同じ立場の人たちが多いので、様々な情報を共有したりアドバイスをし合ったりすることがスムースに行えます。私自身訪問リハビリ事業所で知り合った理学療法士とは、10年を経過した今でも連絡を取り合っています。
参考理学療法士・作業療法士にとって訪問リハと診療所ではどちらが働きやすい環境か?仕組みや給与事情を紹介
副業で訪問リハビリした場合の収入・働き方例
副業で訪問リハビリを行うと言っても、初めての方にはなかなか想像が出来ないと思います。
そこで、訪問リハビリを副業に組み込んだ際の勤務スタイルと想定される報酬額について紹介します(報酬額は訪問リハビリの相場である1件3,000円で計算しています)。
週1日5時間勤務
最初に設定した条件として、本業は土日休みの週休2日、そのうち1日を訪問リハビリに従事するパターンです。10時~16時まで勤務とし、1日に対応する利用者様は5件となります。
本業が休みなので朝8時半までしっかりと睡眠をとり、ゆっくりと身支度を始めます。ちょっと遅めの朝食を家族と談笑しながら、朝のコミュニケーションを楽しみます。
9時15分くらいに出社し、10時までに利用者宅に向かいます。最近は、iPadを使ってオンライン上でカルテが書けるので訪問リハビリをしながら必要な情報は書き込んでいきます。そうすることで時間のロスが減ります。
事業所に戻らず次の利用者宅へと出発します。準備さえ出来ていれば事業所に戻らず利用者の家から家へと直接向かいます。事業所に戻るロスが短縮します。
12時になり、昼食の時間となります。事業所に戻るもしくは出先の飲食店等で食べることが出来ます。
ゆっくりと休憩を取り、時間が来たら次の利用者宅へと向かいます。時々通院等で、利用者の訪問リハビリがキャンセルされることがありますが、その場合でも事業所に戻らずご自身の私用に当てることもできます。
16時と早めに切り上げ、後の時間は家族との時間に費やします。
このスタイルでの報酬は、1件3,000円×5件(日)×4週となり、1か月の報酬はおよそ60,000円となります。利用者のキャンセル等により若干報酬額が減ることはありますが、大きく変動することはないでしょう。
週2日8時間勤務
続いて紹介するパターンは、とにかくお金を稼ぎたいという人向けの働き方です。週2日の休みを返上して訪問リハビリに当て、1日の利用者数は7~8件と設定します。
本業と同じく9時までに、訪問リハビリ事業所に到着し準備をしてすぐさま利用者宅へと向かいます。1日7~8件を訪問しようとするとある程度のプラニングが必要となります。移動時間のロスを減らすため、利用者間の移動距離が短くなるように各利用者の時間調整を行います。カルテの記入はiPad等の電子機器を用い、即座に行います。
昼食は移動中に済ませるのが効率的ですが、事業所近くに住む利用者を昼食後に設定するとゆっくり事業所で昼食を取ることができます。英気を養って午後からの訪問リハビリに備えます。
午後からは4~5件の訪問を行います。移動効率も考えどの利用者から実施するのかのマネジメントが必要となります。1日7~8件担当すると計画書作成などの雑務の頻度が増えてきます。場合によっては30分ほどの残業となるかもしれません。
このスタイルでの報酬は、1件3,000円×7~8件(日)×2日×4週となり、1か月の報酬は約168,000円~192,000円となります。インセンティブ制を取っている事業所であれば報酬に上乗せしてもらえる場合もあります。
副業するなら事業所選びに注意
副業で訪問リハビリを行うと決めたとしても、副業の負担で本業を圧迫したり殺伐とした環境ならば、結局継続して働き続けることは難しいでしょう。
ここでは、副業に最適な訪問リハビリの事業所選びのポイントを紹介します。
ポイント①:スタッフが多い
訪問リハビリ事業所を選ぶときに注意したいのがスタッフの人数です。病院とは違い、訪問リハビリに従事する人の人数は通常はあまり多くはありません。理学療法士や作業療法士が一人という職場も珍しくありません。
特に初めて訪問リハビリを行う人にとって、不安はつきものです。そんな不安を聞いてくれたり、アドバイスをしてくれる同職種の人間の存在は非常にありがたいです。
また、スタッフの人数が少ないと利用者の割り振りも大変。結局無理をして本業以外で疲れてしまっては元も子もありません。面接の時に、可能な限りスタッフの人数も聞くようにしましょう。
ポイント②:移動手段が豊富
訪問リハビリは思っている以上にハードな業種です。雨が降っても、台風の日でも利用者が求めれば訪問に行かなくてはなりません。
通常は自転車や原付バイクで訪問に行くことが多いと思いますが、雨の日は服がぐっしょりと濡れて利用者に迷惑をかけてしまいます。
雨の日や風が強い日など天候が悪い日には車の使用が認められている職場は、苦痛を感じることなく仕事をすることができます。意外と重要なポイントなので可能な限り事前に聴取しておきましょう。
ポイント③:福利厚生が充実しているか
福利厚生が充実しているかも訪問リハビリを選ぶにあたり重要なポイントです。福利厚生とは給料以外で支給される報酬のことで、最近福利厚生に力を入れている事業所も増えてきています。
最近は、住宅手当、交通費以外にも福利厚生倶楽部のような様々なお店で割引が出来るサービスも福利厚生に組み入れて言う事業所もあります。
これらの情報は、ネットでも検索できますが直接面接の際に「福利厚生にはどのように取り組んでいますか」と質問すると良いでしょう。福利厚生をアピールしている事業所も多いのできっと回答してくれると思います。
ポイント③:平均介護度は自分のスキルにあっているか
事業所によって様々なカラーがあります。要支援に特化した事業所や、寝たきりの方を中心に訪問する事業所もあります。
平均介護度はどの事業所も把握しているはずなので、思い切って聞いてみましょう。
その際にどんな疾患や障害の人が多いのかも一緒に聞いてみると良いでしょう。
あなたのスキルにあった事業所かどうか、得意な分野の利用者が多いか等が見えてくるかもしれません。
参考訪問リハビリはきつくて辛い?訪問リハビリのやり甲斐と年収アップ方法を紹介
勤務先で副業が認められないのであれば注意が必要
政府の推奨する働き方改革によって副業を容認する企業が増えつつありますが、医療・福祉業界では副業に対して否定的な態度を取る病院や事業所が多いです。
就業規則に「副業禁止」と書かれている場合も多く、副業していることがバレてしまうと、ペナルティを受けたり、最悪解雇される場合もあるので注意が必要です。
医療や福祉業界で副業が認められない背景について解説します。
理由①:本業に支障が出る
仕事で疲れた体をしっかりと休めたり、リラックスできるように休日があります。
しかし、その休日まで仕事に従事してしまうと労働時間の超過につながります。初めは良くとも、働く時間が増えすぎることにより健康上に問題が生じたり、疲労やストレスが蓄積して本業に影響を及ぼしてしまいます。
副業を行うことで本業に支障が出てしまうのは本末転倒であり、本業でのミスが続くと今後のキャリアップに悪影響を与えてしまうかもしれません。
本業に支障をきたしている原因が禁止されている副業を行ったことだと判断されてしまうと、解雇されてしまう場合もあります。
理由②:情報漏洩のリスク
副業を禁止する大きな理由の一つに情報漏洩のリスクがあります。厳重な個人情報管理を行う医療・福祉関係にとって情報漏洩はあってはならない重要事項として認識されています。
本業で働いているのと同じような気持ちで働いていると、ちょっとした気の緩みから個人情報を話してしまうことがあるかもしれません。
本業で知り得た個人情報は、その全てが副業先では話すことができません。
うっかり話してしまったことで裁判沙汰となったとしても、本業の事業所は一切助けてはくれないので注意が必要です。
疾患別リハビリの108単位超えは気にすべき?
病院で勤務している理学療法士等には、1日24単位週108単位という縛りがあります。果たして同様の縛りが訪問リハビリにもあるのでしょうか。
また、本業で単位数と副業での単位数を合算して計算する必要があるのでしょうか。
訪問リハビリの20分1単位は疾患別の単位に含まれる
厚生労働省が公表するQ&A【平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(VoL.1)】によると、「訪問リハビリテーションにおける20分のリハビリテーションに従事した時間を、疾患別リハビリテー ションの1単位とみなし、理学療法士等1人あたり1日18単位を標準、1日24単位を上限とし、週108単位以内であること」とされており、同一施設や法人においては108単位の縛りを考慮する必要があると思います。
同一法人であれば、法人内のデータベースに単位取得状況が明らかにされます。訪問リハビリの20分が1単位として計上され、40分行うと2単位分取得したことになります。私も同一法人で医療と訪問リハビリを行っていた時は、単位計算はまめに行っていました。
別法人で副業する場合は108単位超えは気にしなくても良い
しかし、別法人で訪問リハビリの副業をする場合はどうなるのでしょうか。
結論としては、「あまり気にする必要はない」です。108単位超えは同一施設内においては簡単に知ることが出来ますが、別の法人が絡んでくると調べることが困難です。
そもそも108単位越えも個人にではなく、施設に対して決められたルールであり「○○」という人に対しての縛りではなく「△△に所属する○○」に対しての縛りとなります。
【注意】年間20万円を超えると確定申告が必要
訪問リハビリで副業を考えている人にとって、一番の懸念事項は職場にバレるかどうかではないでしょうか。源泉徴収や確定申告を例にあげ、職場にバレない方法を提案します。
源泉徴収とは
源泉徴収とは、1年間の収入が確定する前に所得税を支払う前払い的な役割があります。
訪問リハビリのような事業所は「給与所得」となり源泉徴収されている場合がほとんどです。12月になり1年の収入が確定すると、払いすぎた所得税を確定申告をすることによって還付してもらうことが出来ます。
よく源泉徴収されているかどうかによって、会社に副業がバレてしまうと考えてしまう人がいます。
しかし、副業先での源泉徴収の有無によって本業に副業がバレてしまうことはまずありません。本業に副業がバレてしまうのは別の原因があるからです。
確定申告のルール
続いて確定申告のルールについて説明をします。「給与所得」で働いていると基本的には確定申告をする必要がありません。
しかし、本業以外で収入があると確定申告をしなければいけない場合もあります。本業以外の収入が年間を通して20万円以上あると、確定申告をしなければいけません。逆に副業の収入が年間20万円以下であれば確定申告をする必要がありません。
副業先で源泉徴収を行ってもらっていれば、確定申告をする必要はないかもしれませんが本業には副業していることがバレていると思ってください。
なぜバレているかについては以下のコンテンツで説明します。
対象者は確定申告をしないと確実にバレる
確定申告は副業で年間20万円以上の収入がある人は行わなければなりません。この確定申告を怠ると、住所地の税務署から税金が払われていない旨の通知が本業に送られてしまいます。この通知が送られてくることで、本業とは別に収入があることが分かり副業をしていることがバレてしまいます。
副業先の給与所得が年間20万円以上で源泉徴収が行われていなければ、自分自身で確定申告を行わなければなりません。
副業先の給与が源泉徴収されているかどうかを確定申告までにチェックするようにしてください。
住民税の変動でバレる
副業がバレる最大の原因が住民税の変動です。給料は本業と副業とでは別々に支払われるものの、住民税に関しては本業の給料から本業と副業の住民税が合算して引かれてしまいます。
市役所等から送られてくる住民税の納付書は、本業宛に届けられます。
経理担当者が納付書を見て、明らかに本業の給料以上の支払いとなっていればその場で副業していることが分かってしまいます。
副業がバレないための対策
副業がバレないためには、副業分の住民税を本業の給料から天引きしてもらう(特別徴収)から自分で払う(普通徴収)に変更してもらう必要があります。
普通徴収にしてもらうことで、副業分の収入に関する住民税の通知が本業ではなく自宅に届くようになります。通知が来た分だけ自分で納付すれば副業を本業に知られることはありません。
しかし、広告収入や講演の仕事で得る収入(雑所得)とは、違いアルバイトやパート等で得る(給与所得)は、特別徴収を推奨している市町村が多いです。地域の住民税担当課に連絡し、副業分の住民税を普通徴収に変えてもらえるように相談することが必要となります。
自分で確定申告に行くことも効果的です。確定申告の際、「確定申告書B」と呼ばれる提出書類の「住民税に関する事項」という部分に注目してください。
この部分には、「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」欄があり、「給与から差し引き」と「自分で納付」にチェック欄が設けられてあります。
ここで「自分で納付」をつけることで、副業分の住民税を自分で納付することが出来ます。
まとめ
病院や施設で働くセラピストにとって、時間的に融通が利き高報酬の訪問リハビリは人気の副業先として知られています。
訪問リハビリは本気で稼ぎたい人や少しの時間を有効活用したい人にも最適で、それぞれ生活スタイルに合わせた働き方が可能となっています。
その反面、報酬が高い訪問リハビリは働き方によっては職場にバレてしまう可能性も高くなってしまいます。
特に副業禁止と就業規則に書かれている本業の場合、副業として働く際には注意が必要です。
メリットとデメリットを踏まえた上で、訪問リハビリを副業の候補の一つとして選択してはいかがでしょうか。
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