若手理学療法士がケアマネを取得すべき4つの理由とは?

リハビリセラピストの働き方を考える
※画像はイメージです。
ケアマネに興味があるPT
ケアマネに興味があるPT

ケアマネの資格に興味があるけど、理学療法士にとって必要な資格なのかな?ケアマネの仕事もイマイチ分からないし、試験の合格率も低いし、もし資格を取っても役に立たなくて無駄になるのは嫌だな。

皆さんはケアマネという資格や仕事をご存知ですか?ケアマネとは、要支援や要介護認定を受けた高齢者が、より良く生活ができるようにサービスを計画し、市町村や事業所との連絡や調整を行なう仕事です。

実は理学療法士も一定の条件を満たせば取得できる資格なのです。

そこで、今回はケアマネ取得を検討している理学療法士の方々に向けて、理学療法士がケアマネを取得するべき理由について分かりやすくご紹介していきます。

記事のテーマ
  1. 理学療法士がケアマネを取得すべき4の理由
  2. ケアマネを取得して良かった事
  3. ケアマネを取得するためのステップ

ケアマネとは、どのような資格か?

ケアマネとは、どのような資格か?

ケアマネ(ケアマネージャー)は正式には介護支援専門員と呼ばれる資格です。仕事の内容としては、自宅や施設で生活する利用者様がより良く生活ができるように適切なサービス計画(ケアプラン)を作成し、関係のある自治体やデイサービス等の事業所との連絡や調整を行ないます。ケアマネは主に、施設ケアマネと、居宅ケアマネの2種類に分かれます。

施設ケアマネ

施設ケアマネとは、老健や特養、グループホーム等の施設で勤務しているケアマネのことを指します。施設内に入居している利用者様が、より良く日々を過ごせるように目標や計画(ケアプラン)を立案します。

居宅ケアマネ

居宅ケアマネとは、居宅介護事業所や社会福祉協議会等で勤務しているケアマネのことを指します。自宅や有料老人ホーム等の、いわゆる在宅で生活している方たちが対象となり、住み慣れた自宅や地域で自立した生活を継続できるように目標や計画(ケアプラン)を立案し、関係する自治体やデイサービス等の事業所との連絡や調整を行ないます。

理学療法士がケアマネの資格を取得すべき4の理由

理学療法士がケアマネの資格を取得すべき4の理由

理学療法士でケアマネを取得している割合は全体の9%程度と言われています。

認定理学療法士などの資格と比べるとメジャーな資格と言えないかもしれませんが、私自身も理学療法士として老健で働きながら施設ケアマネの仕事を兼務しており、ケアマネの資格を取得することでたくさんのメリットがありましたので、ここでは4点ほど紹介していきます。

理由その1:国の制度に詳しくなる

ケアマネの試験には、介護保険制度の成り立ちや、法律、医療保険や介護保険等の保険制度、生活保護等の問題が多数出題されます。そのため、ケアマネを取得することで介護保険の制度について詳しくなります。

このような制度は理学療法士として働く上で普段意識する事は少ないかもしれませんが、理学療法士の仕事は法律を基に診療報酬や介護報酬を請求するため、関係する制度について知識を得ることは重要です。

また、介護保険で利用できるサービス(デイケアやデイサービス等の通所系サービス、訪問ヘルパーや訪問入浴、通所リハビリ等の訪問系サービス)や入居する施設(老健、特養、小規模多機能居宅介護、グループホーム等)には多くの種類があり、それぞれ特徴が違います。

ケアマネの取得により、これらのサービスや施設についての知識を深める事で、患者様や利用者様に適切なサービスを提案することができます。

理由その2:他事業所のケアマネとの連携がスムーズになる

通所リハビリを担当していると、他の事業所のケアマネと連携を取る機会が多くあります。その時にケアマネを取得していると、手続き上の連携がスムーズに行なえたり、適切なサービスの提案が出来たりします。

また、病院で働いている理学療法士にとっても、退院後の患者様に対し適切なサービスを提案する事は重要です。

理由その3:収入がアップする

勤務先との交渉次第ですがが、私の場合は施設ケアマネが不足しているタイミングでケアマネを取得したため、前例はありませんでしたが、理学療法士と兼務することになりました。

それに伴い、ケアマネの資格手当1万円が給与に加算され、収入アップに繋がりました。

理学療法士以外の働き方ができる

体調面や家庭の事情等で理学療法士として働くことが出来なくなった時に、ケアマネの資格を取得していれば、ケアマネとして働くことができます。

正直ケアマネとして働くことで、給与面では理学療法士と比べ下がってしまうことが多いですが、全国的にケアマネは不足しており、就職活動は容易に行う事ができます

【実録】ケアマネを取得して良かった事

【実録】ケアマネを取得して良かった事

ここからは、私が実際にケアマネを取得して良かったことを紹介します。老健で働きながら施設ケアマネの仕事を兼務しており、少しでも参考になればと思います。

適切なサービスを提案できた

独居で生活し、通所リハビリを利用している認知症の方を担当した時の事でした。その方は訪問介護による生活援助(食事や掃除等の援助)と、通所リハビリを利用していたのですが、食事が不規則になり、栄養状態が悪化していました。

また、認知症が原因で2つの事業所の職員がごちゃごちゃとなり、混乱していました。そのため、通所リハビリの職員が送迎に伺うと、調理や掃除をするように依頼し、断ると怒ってしまい通所リハビリに来られないことが多々ありました。

そこでケアマネに状況を説明して、担当者会議を実施するように依頼し、小規模多機能居宅介護へのサービスの変更を提案しました。

小規模多機能居宅介護とは、「通い、訪問、泊り」という3つの機能を兼ね揃えた施設で、同じ職員が一人の利用者に対し、自宅の訪問、施設への通い(デイサービスのようなもの)、ショートステイのサービスを提供する事で、利用者様にとっては常に顔なじみの職員と接する事ができ、認知症の方の混乱を招く事が少ないというメリットがあります。

結果として、私の勤務先の減収にはなりましたが、このサービスに変更後は、怒ることなく穏やかに過ごし、定期的にショートステイすることで栄養状態も改善し、現在も自宅での生活を継続できているとの事です。

他の職員とのコミュニケーションツールとして使えた

施設ケアマネの仕事として、入所している利用者様一人一人に対し、施設での過ごし方を計画し、目標を定めるケアプランを作成する必要があります。

ケアプランの作成は、看護師や介護職員から利用者様の普段の様子やADL等を情報収集し、それを基にプランを作成します。

また、プラン作成後も目標に向けての取り組みの様子や、定期的なプランの見直しが必要なため、常にスタッフ間でコミュニケーションを図る必要があり、自然とコミュニケーションが活発になります。

介護報酬や診療報酬改定に興味をもつようになる

介護報酬や診療報酬は定期的に見直され、改定されていることを知っている方は多いと思いますが、その内容に関しては経営に携わる管理職以外は把握していないことが多いと思います。

ケアマネの仕事をしていると、特に介護報酬の改定に関しては自身の仕事に関わってくるため、自然と改定の内容に興味を持つようになります。そのため、定期的に行政によって行なわれる実地指導にもスムーズに対処できるようになります。

ケアマネを取得するための3ステップ

ケアマネを取得するための3ステップ

ケアマネの取得には大きく3つのステップがあり、①受験資格の取得 ②試験に合格する ③実務者研修の受講 があります。ここではケアマネ取得のためのこれら3つのステップについて解説していきます。

受験資格の取得

理学療法士免許を取得して5年以上かつ、従事した日数が900日以上(受験日前日まで)必要です。これは医師や看護師、介護福祉士も同様の条件となっています。

試験に合格

受験資格を取得したら、次はケアマネ試験の申し込みを行い、試験を受験します。例年申し込みは6月頃より1カ月間程度受け付けており、試験は10月に行われます。

試験はマークシート形式で60問あり、介護保険分野25問、保健医療福祉サービス分野35問に分かれており、各分野で6~7割正解しなくてはいけません。合格率は近年では10%~30%程度で、毎回変動があります。

介護保険分野では、ケアマネに関わる法律や制度、様々なサービスの内容について問われるため、理学療法士にとっては聞き慣れない言葉が多く、対策が必要になってきます。

保健医療福祉サービス分野では、高齢者特有の疾患や、サービスの人員基準、ターミナルケア(看取り)等について問われます。高齢者の疾患に関しては、脳梗塞や認知症の基礎的な内容が問われることが多く、理学療法士の資格を取得している人には簡単に感じる問題が多いため、この分野は介護保険分野に比べると得点しやすい分野です。

以上の事から、理学療法士がケアマネを取得する際には、介護保険分野に集中して対策をし、保健医療福祉サービス分野はテキストを見直す程度で良いかと思われます。

試験の結果は例年12月頃に郵送されますが、最近では試験終了後にインターネットで速報が出るため、自己採点をすることもできます。

実務者研修の受講

無事試験に合格すると、次は実務者研修の受講です。この研修では試験に合格した人を対象にケアプランの作成等の実践的な内容を学びます。

合計で87時間程度の研修があり、日程は都道府県により異なりますが、私の地域の場合はeラーニング(インターネット)30時間⇒集合研修3日間⇒eラーニング13時間⇒集合研修4日間という日程でした。研修期間が長く、内容も濃密なものになっており、非常に大変な研修でした。

資格取得までの費用

試験の受験は12000円、初任者研修の受講は都道府県により費用が異なりますが、おおむね5万5000円~6万円程度の費用がかかります。

それに加え、勉強するためのテキスト代や、予備校、通信スクール等に通う事になると、費用はさらにかかります。

まとめ

今回は理学療法士がケアマネを取得すべき理由の解説でした。資格を取得しても、勤務先によっては収入アップには繋がらないかもしれませんが、その過程で学んだ知識は今後の理学療法士としての仕事に必ず活きていきます。

今後の日本は高齢化が進んでいくにも関わらず、理学療法士は介護保険の領域に関する知識が不足しがちです。

そのため、今回の解説を見て、興味を持った方は、ぜひケアマネの取得を目指し、今後の高齢化に向けて知識を深めて頂けたらと思います。

この記事を書いた人

かずぽん7

老健で働きながら施設ケアマネの仕事を兼務。最近では市町村で主催している介護予防教室の運営。また2020年からは、デイサービスでのアルバイトやライター業、投資信託での資産形成など様々な分野に挑戦中。

経歴

  • 専門学校の理学療法学科 卒業
  • 2011年から現在まで病院や高齢者施設で理学療法士として活動中

資格

  • 理学療法士
  • ケアマネージャー(介護支援専門員)
  • 福祉住環境コーディネーター2級
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