理学療法士が独立開業するなら訪問リハビリかデイサービス等の機能訓練士、どちらでキャリアを積むべきか

リハビリセラピストの働き方を考える
※画像はイメージです。
独立開業したいPT
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将来、理学療法士として介護保険領域で独立開業したい。ただ、開業するにはまだまだ知識も経験も不足している・・・。将来のために経験を積もうと考えているが、機能訓練士として働くのと、訪問リハビリで働くのとではどちらが近道となるのか知りたい。

近年では、理学療法士や作業療法士等のリハビリ専門職がオーナーとなり、独立開業する機会が増えています。

ただし、理学療法士等の名称だけでは独立開業することが出来ず、多くは訪問看護ステーションやデイサービス等を開設することになります。開業を目指す人たちは、将来のためにどのようなスキルを磨いた方が良いかと思案している人も多いでしょう。

今回、機能訓練士と訪問リハビリスタッフのキャリアとでは、どちらが理学療法士にとって独立開業に向いているのかを解説します。

記事のテーマ
  1. 実戦経験には訪問リハビリがおすすめ
  2. マネジメントスキルを身に着けるには機能訓練士がおすすめ
  3. 独立開業に必要なスキルやコツ

理学療法士が開業しやすいのは訪問看護ステーション

理学療法士が開業しやすいのは訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、介護保険領域において理学療法士が開業する事業所として最も人気が高くなっています。

多くの開業を目指した人が実務経験や仕事の流れを学ぶために訪問看護ステーションに就職し、そのノウハウを吸収しようとしています。

理由①:実務を通して必要な経験が得られる

理学療法士が開業しようとする事業形態が同じなら、同一のサービス方法を学ぶことが開業への近道となります。訪問看護ステーションで経験する一つ一つが将来開業するための糧となっていくでしょう。

訪問看護ステーションでは、具体的なサービス方法や利用者像、移動手段など実務を通して様々なことが体験できると思います。

理由②:仕事の流れについてのイメージが湧きやすい

初めて開業する理学療法士にとっては、仕事の流れが分からないことほど恐いことはありません。訪問看護ステーションでは、実務を通して具体的なサービスの流れ、医師や関係職種とのやり取り、利用者や家族とのかかわり方法などが体験できます。

理学療法士が同一サービスを開業するのであれば、利用者像は違えどもサービスの流れ自体は大きくは変わりません。働きながら訪問看護ステーションを運営するための具体的なイメージが構築されていきます。

理由③:運営についてのノウハウを実体験として学べる

事業所は開業して終わりではありません。事業を遂行していくためにはマネジメントスキルが必要となります。

収支計算はもちろん、人件費、経費、広報・営業活動、近隣住人や自治会等との関係づくりなど、施設や病院では専門の人が行ってくれていたことが、開業するとなると自ら行う必要があります。

そういった理学療法以外の雑務も、訪問看護ステーションでは実体験として学ぶことができます。理学療法士が開業した時に何が必要で、どのように対処したらいいのか等を学ぶよいきっかけとなるでしょう。

運営に必要なマネジメント力を身に付けるには機能訓練士がおすすめ

運営に必要なマネジメント力を身に付けるには機能訓練士がおすすめ

最近では、パワーリハビリ等の短時間デイサービスを開設する理学療法士等が増えています。デイサービスは1対1のサービスの訪問リハビリとは違い、様々な職種が協同して利用者にサービスを提供します。

そのため得られる訪問看護ステーションでは得られにくい体験やスキルを学ぶことができます。

理由①:スタッフ間の連携の必要性を体感できる

デイサービスやデイケアなどの通所施設は、介護福祉士や機能訓練士、看護師、栄養士など複数のスタッフが利用者のために、それぞれの専門性を活かしたサービスを提供しています。たとえ同一職種でも様々な視点で利用者に対応するので、スタッフ同士が密接に連携する必要があります。

そのため、知らず知らずのうちにスタッフ同士の連携の基礎が築かれていきます。

理学療法士が事業所を開業すると、自分たちのスタッフだけでなく他事業所のスタッフと連携することも必要となります。こういった連携のスキルを身に着けることは事業の運営において非常に重要な要素となります。

理由②:コミュニケーション能力が養われる

通所系施設は、スタッフの人数も利用者の人数も訪問系サービスと比べ圧倒的に多い傾向があります。そのためコミュニケーションは必須となり、スタッフ同士や利用者と連日様々なコミュニケーションが繰り返されています。

もちろん、思っていることが上手く伝わらなくて悩んでしまうこともあるでしょう。コミュニケーションが原因で関係が悪くなってしまうこともあります。そういった体験を通してより実のあるコミュニケーションスキルが身についていくでしょう。

コミュニケーションは医療・介護分野だけではなく、ほとんどのサービス関係職で最も重要視されているスキルの一つです。コミュニケーションスキルは機能訓練士として通所系サービスに勤務することで、自然と身につきやすいスキルとなります。

理由③:企画や提案を行う機会に恵まれる

事業を運営して上で必要な能力の一つに企画力や提案力があります。デイサービスなどの通所系施設では、機能訓練士が利用者の状態を考慮し、介護スタッフに対し介助方法等の提案をすることがよくあります。どうすればその利用者が歩きやすくなるか、どのような介助をすればその利用者の残存能力を利用できるかなど、利用者のADL向上のためにより具体的な内容が求められます。

また、どのスタッフにも分かりやすいように工夫して提案する必要もあります。

デイサービスなどの通所系施設では、行事のイベントが頻繁に行われています。行事企画は介護職だけでなく、機能訓練士にも回ってくることもあるでしょう。企画書を提出するためには、情報収集、課題抽出、現状分析、発信力、企画達成に向けての戦略等が必要になります。

こういった技能は通常働いているだけでは身につかず、実際に行うことで初めて身につきます。これらの能力は施設を開業した時にも役立ち、より論理的に物事を考えることが出来るようになるでしょう。

理学療法士が独立開業に必要なスキルや設備

理学療法士が独立開業に必要なスキルや設備

理学療法士が独立開業を成功させるには、様々なスキルや設備が必要となってきます。実際にどういったスキルが必要となるか、そのスキルはどこで身に着けることが出来るのかを紹介します。

具体例①:開業資金を貯めるには訪問リハビリがおすすめ

理学療法士が独立開業を行うにあたり、最初に直面する課題が資金集めです。全額自己資金で資本金を準備出来れば問題はないですが、多くの場合銀行から融資を受ける必要があります。

もちろん信用も無い状態では融資してくれる訳はありません。銀行から融資を受けるためには説得力のある事業計画、資金返済プラン、資金の用途などを明確にしなければなりません。

また、資金の融資を受けるためには一定額の自己資金を準備しておく必要があります。一般的には融資を受ける額の1/2もしくは1/3が妥当と言われています。少なくても事業所規模にもよりますが、自己資金は200~300万円は用意しておきたいところです。

機能訓練士に比べて、訪問看護ステーションでは給与水準が高いことで知られています。機能訓練士は給与制であることがほとんどですが、訪問看護ステーションでは、インセンティブ制を採用しているところが多く存在します。

そのため、努力量に合わせて報酬が上がる傾向がありますので、短期間で自己資金を増やすのには最適と思われます。

具体例②:スタッフに対するマネジメント力を高めるには機能訓練士がおすすめ

理学療法士が独立開業して事業所を設立する場合、自分以外のスタッフを新たに雇い入れる必要があります。新スタッフに思うように働いてもらうためには、一から仕事を覚えてもらう必要があります。

スタッフが増えれば増えるほど、個々のスタッフの能力や性格、状況等を把握することが重要となってきます。このマネジメント力は一朝一夕で身につくものではなく、そういった場面に自ら飛び込んでいく必要があります。

デイサービスなどの通所系の施設で、介護者に利用者の介助方法に助言や提案をする際には、そのスタッフの進退能力、理解力、立場等も考えて伝えなければなりません。

その際、その人の人物像を見極めた対応をする必要があります。個々の人に合わせた対応を繰り返していくうちにスタッフのマネジメント力は育っていきます。

具体例③:全体的な介護保険の知識をつけるには機能訓練士がおすすめ

理学療法士が介護保険領域で開業するには、最低限度の介護保険の知識が必要となります。理学療法士が利用者の多い通所系の事業所で働いていると、利用者から現在利用している介護サービスについての質問や疑問点を投げかけられる場面が多々あります。

また、利用者が現在利用している他の事業所のスタッフと担当者会議を通じて話し合うこともよく行われます。その都度介護保険についての情報をアップデートする必要があり、知らず知らずのうちに介護保険の全般的な知識が身についていきます。

具体例④:リスクマネジメントスキルを学ぶには訪問リハビリが最適

訪問リハビリはリスクと隣り合わせとなっています。通所系のサービスとは違い、訪問リハビリでは理学療法士が利用者の自宅に一人で訪れます。

そのため、利用者に何か問題が起きた場合には一人で対処しなくてはなりません。

私も利用者の自宅に訪れた時に、すでに利用者が倒れている場面に何度か遭遇したことがあります。初めはどうしたらよいかわからずに途方にくれていましたが、何度か経験するとリスクに関する対処がより迅速に、より正確に行えるようになっていきました。

リスクマネジメントは、訪問リハビリでは必要不可欠なスキルなので開業する前には身に着けておきたいスキルの一つです。

独立開業までのおススメのキャリアパス

独立開業までのおススメのキャリアパス

最近ではキャリアパス制度が整備されている企業が増えています。キャリアパスとは、いわゆるキャリアアップのための道筋や指標のことを指します。

目指す職位や職務に就くために必要とされる経験や知識、その道筋などを示したものの総称です。医療介護・業界においてもキャリアパス制度を導入して施設や事業所が増えています。

理学療法士が働く事業所の選びのポイント

理学療法士としてのキャリアを形成するために最初に決めるべきことは、「どこで働くか」です。目指すゴール地点があったとしても、働く職場がそのゴールに向かっていなければ望むキャリアを形成することは出来ないでしょう。

そのためにまず初めにすべきことは、自分の理学療法士としてのゴールを明確にすることです。

ゴールを設定すると、ある程度働く職場は絞られてきます。続いて行う過程は「情報収集」です。候補となった事業所のホームページや口コミサイトなどを利用、もしくは介護サービス情報公表システムを利用するとより詳しい情報を得ることができます。

情報収集の結果、キャリア形成に適した事業所を見つけることが出来るでしょう。

面接は、最適な情報収集の場となります。文字だけではわからなかった生の情報が面接の場で聞くことができます。また、事業所独自のキャリアアップの道筋やその必要水準等も聞けるかもしれません。

キャリアを形成することを目指した事業所選びは受け身ではなく、積極的に行動していく必要があります。

訪問リハビリからスタートする場合

訪問リハビリから理学療法士としてのキャリアをスタートする場合、最初の1~2年は一連の流れを覚え実務経験を積むことに注力します。利用者の毎日の訪問リハビリを行いながらも常に売り上げについても意識することが大切です。

3年目以降は、上司や同僚の動きにも注目します。上司からどんな指示を受けたのか、その目的は何か、それによってどんな結果が生まれたのか等はどこかに記録しておくと後に役立ちます。

同僚の訪問リハビリの担当数やリハビリの内容もチェックします。常に周りに気を配っていると、いつの間にか視野が広がっていくでしょう。

5年目以降には主任となっているかもしれません。スタッフ1人1人の動きを確認しながら、全体的な売り上げや費用についても調べるようにしましょう。独立開業に向けて具体的な計画を立てる時期でもあります。

機能訓練士からスタートする場合

機能訓練士としてキャリアを始める場合、訪問リハビリの時とはスタイルが異なります。最初の1~2年で仕事の一連の流れを押さえ、積極的にスタッフの輪に入っていきましょう。

様々な提案をしていくことで、利用者のADLが向上するだけでなく事業所における機能訓練士の地位が向上していきます。

3年目以降になると行事ごとの役員に抜擢されているかもしれません。メンバーと目標を共有しながら行事やイベントの成功に向けて一生懸命に取り組みます。

5年目になると、主任やリーダーなどの役職についているかもしれません。個人レベルで動いていた4年目までと比べ職責が大きく変わります。リーダーシップをとってチームをまとめる必要があり、今後理学療法士として独立開業するための布石となるでしょう。

7年目以降になると、管理者として部門を仕切るようになっているかもしれません。スタッフの動きをコントロールしながら、自らもスタッフとしてリハビリに加わります。運営にも携わりながら、独立開業するための運営の基礎を学びます。

まとめ

理学療法士が将来独立開業するために、訪問リハビリと機能訓練士とではどちらがキャリアを組みやすいかについて解説いたしました。どちらのキャリアを選択しても独立開業に役立つ経験やスキルを身につけることが可能です。

より実務に特化するならば訪問リハビリ、様々な運営スキルを身につけるならば機能訓練となり、目指すゴールによっても道筋が変わります。

自分自身が築きたいキャリアを明確にし、慎重に選択をしたのであればどちらの業種も求めるゴールに到達することが出来るのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

もしもし

独学での限界を感じ、専門的に理学療法を学びたいと感じ理学療法士の専門学校夜間部に入学。理学療法士および作業療法士として医療や介護、スポーツの分野にも携わる。現在は地域医療を担うクリニックのリハビリテーション部門の責任者として勤務する。オーストラリアへ留学経験もあり、現地の精神科デイケアで働きながらコミュニティサービスワーカーの資格を取得している。

資格

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • ケアマネージャー

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