理学療法士が1人職場の施設へ転職するメリット・デメリット【自由と責任は表裏一体】

リハビリセラピストの働き方を考える
※画像はイメージです。
理学療法士
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今は忙しい職場で仕事しているけど、そろそろ1人職場でゆったりと働いて、プライベートも充実させたい。1人職場で管理的な側面を学んでスキルアップしたい。興味はあるけど、一体どんな感じの仕事環境になるのだろう?頼れる同職種もいないなら不安だな。

業務に追われるリハビリ職の方で、年齢を重ねると共に「少しゆったり仕事したい」や「管理スキルを学びたい」と考える方も多くなるのではないでしょうか。その選択肢のひとつとして、1人職場が挙げられるかと思います。

実際、1人職場で働くリハビリ職の環境はどのようなものか、私も不安を抱きながら転職をした1人です。今回はPT7年目にして1人職場に転職した筆者が、そのメリット・デメリットについて解説していきます。

記事のテーマ
  1. 仕事の自由度は高いが、責任を伴うことになる
  2. 時間を創出できるが、上手く管理する必要がある
  3. コミュニケーションが大切になる

質問があれば気軽にコメントください

PT9年目のボクからアドバイス

PT9年目のボクからアドバイス

私は、PT9年目で1人職場に転職し2年経過します。その経験から、「1人職場への転職をしたい方」に1つアドバイスをするとしたら、「自由と責任は表裏一体である」ということです。

責任の範囲は、自由度によって変わってくるでしょう。

しかし、少なくともリハビリ職としての責任は負うことになります。この記事では、それをふまえて、1人職場のリハビリ職にはどのようなメリットとデメリットがあるかを解説していきます。

セラピストを雇用したことのない職場への転職はリスク?

1人職場に就職しようとする際には、「セラピストを雇用したことのない職場」も選択肢として挙がってくるのではないでしょうか。その時、自由度の期待の反面、リスクも同時に考える事になるかと思います。

リスクとは、一般的に「危険」いう意味を表す言葉です。加えてもう一つ、「不確実性」という意味合いで使われることもあるでしょう。

セラピストがいない環境で働く場合、セラピストがいる環境を作り上げる必要があります。自分自身でコントロールできる面も多い分、不確実性が高いということになるでしょう。

環境は、自分で作っていくとしても、職場のさまざまな影響が絡む不確実性を含むものです。セラピストを雇ったことのない職場に就職すると、仕事の判断基準がなく不確実性・リスクが高いということを感じやすいのではないでしょうか。

私は、その不確実の幅を捉えて就職先を決めるのが良いと考えます。

たとえば、多数の職員を管理するポジションに付くのか、リハビリ分野のみを管理するポジションに付くのかによって不確実性の幅が変わるでしょう。

立場によって「自由度と責任」が変わります。多数の職員を管理するポジションに付く場合は、リハビリ分野に加え、自分以外の職員を含めた管理が必要です。つまり、管理できる自由度が高い分、不確実性が高まります。

リハビリ分野のみを管理する場合は、リハビリ分野のみに自由度があり、他職員を管理する必要はありません。比較的に自由度が低くなります。その分、不確実性の幅が狭くなるのです。

経験のない分野への転職はリスク?

今までに経験がない分野の1人職場へ転職する時の不安要素は、リハビリテーション分野において大きく分けて2つあると考えられます。

  1. 要素(1).求められるリハビリテーションを提供できるか
  2. 要素(2).制度面を理解して管理できるか

といった内容が挙げられるでしょう。

一人職場ではない場合は、要素(1)・(2)どちらも同業者に聞きながら職務を進めることができます。しかし、一人職場の場合はどちらも自分自身に解決を求められることになるでしょう。

要素1に関しては、リハビリにおけるリスク管理の知識があれば、大きな不安を抱かなくとも良いかと思います。

環境によって求められるリハビリは異なります。安全にリハビリを提供する中で真摯に職務に向き合い、徐々に良い価値を提供できるように成長できる環境を自ら作り上げることが大切ではないでしょうか。

要素2に関しては、制度内容を読み解く力とコミュニケーション能力が大切になります。私は、介護老人福祉施設の1人職場で働き始める際に、管理者や経営者に「私に求められる価値」を確認し、それを提供できるように行動していきました。

具体例を出すと、私の勤めた介護老人福祉施設で求められた価値の一つは『機能訓練加算(Ⅰ)を取得する』ということでした。

特養で機能訓練加算を取得する要件は、以下のように厚生労働省が定めています。

特養で個別機能訓練加算を算定するためには、次の基準にすべてに適合することが条件です。

  1. 専ら機能訓練指導員の職務に従事する「常勤」の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師(以下、機能訓練指導員)を1名以上配置していること。
  2. 入所者の数が100名を超える場合は、常勤専従の機能訓練指導員を1名以上配置+機能訓練指導員として常勤換算法で入所者の数を100で除した数値以上配置しているもの。
  3. 指定介護老人福祉施設として都道府県知事に届け出をすること。
  4. 機能訓練指導員、看護職員、介護職員、 生活相談員その他の職種の者が共同して、入所者ごとに個別機能訓練計画を作成すること。
  5. 当該計画に基づき、計画的に機能訓練を行っていること。

参考:指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準

加算取得を求められる場合、上記のような要件を解釈する必要があるでしょう。私の場合は、(1)と(2)については事業所の対応でクリアしていたため、(3)と(4)をこなしていくのが私の役割となりました。

施設で使われている介護システムの中の機能訓練計画書を選定し、計画的な機能訓練を行っていると示せる書類(評価表やリハビリ実施記録用紙)を作成していきました。現在は、令和3年に新しく創設された機能訓練加算(Ⅱ)の取得に向けて動いています。

1人職場をする環境によって求められる要素は変わりますが、医療保険であっても介護保険であっても、診療報酬や加算の要件の解釈をしていく力が必要になることでしょう。

1人職場の施設で求められた、必要なスキルとは?

1人職場の施設で求められた、必要なスキルとは?

リハビリテーションのリスク管理能力と、加算の要件解釈から書類を作成する能力、そしてコミュニケーション能力が必要になります。

総合的な能力が求められます。どれか1つの能力に特化して、それを活かしていくような働き方は比較的しにくい環境になるでしょう。

経験談①:最重要はコミュニケーション能力

コミュニケーション能力がとても重要になります。加算要件の解釈は、管理者と共に行い、書面を選定・作成しては確認する作業を繰り返しました。

管理者とのコミュニケーションが上手くいかなかった場合、作業がスムーズに行えずにさまざまな支障をきたすことになるでしょう。

1人職場の場合、同業者がいないため連携を取るのは他職種になります。また、働く職場によっては100人の利用者さんに対してリハビリ職一人という環境もあり得るため、連携がとても重要になるのです。

コミュニケーションがうまくいがない場合、連携に支障が生じ、結果的にリハビリもスムーズに行えない可能性も出てくることでしょう。

経験談②:リハビリ時のリスク管理は一人になる

リハビリを行う際、近くに同業者や医療職がいない環境になりやすいことが考えられます。自身でリスク管理の判断を必要とされる場面が多くなるでしょう。ただ、1人職場のみでなく、訪問リハビリでも同様な判断を必要とされる環境であるため、そのような状況に慣れている方は1人職場に転職しやすいと考えられます。

しかし、リスク管理の判断に対して不安が強い場合、一人職場はストレスとなる可能性があります。

経験談③:加算要件などの解釈を求められる

加算取得などの価値提供を求められる場合があるかと思います。その際、管理者や経営者とコミュニケーションをとりながら必要書類を揃えていくことになるでしょう。

リハビリ関連の加算要件については、当然、専門職であるリハビリ職に情報を求められることがあります。ある程度の知識が必要になるでしょう。

1人職場の施設へ転職して良かったこととは?

1人職場の施設へ転職して良かったこととは?

1人職場であることにより、リハビリそのものやリハビリ周辺業務の管理の自由度が高く、自分の納得できる方法を比較的自由に設定できます。

納得のいく形を模索しながら構築していくことは、難しくもやりがいがあります。スケジュールの組み方によっては、プライベートの時間が作りやすいことも良いことだといえるでしょう。

メリット①:仕事内容の自由度が高い

職場環境にもよるかと思いますが、少なくとも1人職場では、リハビリ業務の管理者は自分自身のみになります。

リハビリ業務内容の組み方の自由度は高いです。効率的にスケジュールを組むことで定時退社も可能でしょう。

実際、私は自分自身の作ったマニュアルによって仕事を管理しています。定時内に仕事を終わらせることが可能なスケジュールを作成し、残業は必要としません。

管理者から雑務の依頼などが時々ありますが、ほとんど自分の決めた行動パターンで仕事ができます。その自由度によってストレスを感じにくいことが、1人職場の醍醐味といえるのではないでしょうか。

修正が必要だと思う部分があればその都度、マニュアルを更新して仕事スタイルを変えることが簡単にできます。常に悩みながら仕事内容を更新していくことは、大変でありつつ非常に有意義なことです。

1人職場は、仕事内容の修正と変更がしやすく、残業をせずに済む環境を比較的作りやすいといえるでしょう。

メリット②:管理の仕方でプライベート時間を作れる

仕事のスケジュールを上手く組むことによって、仕事外のプライベート時間の創出が可能になります。

プライベートの時間をうまく使うことによって、スキルアップをしたり、家族や友人と過ごせたりする時間を増やすことができます。

自分の価値基準をどこに置くかにもよって良し悪しは変わると思います。価値基準の比重をプライベートに置く方には、大きなメリットとなるでしょう。

1人職場の施設へ転職して大変なこととは?

仕事内容の自由度の高い分、自分自身でコントロールしなければなりません。0から、自分の職務を作り上げていくこともあり得るでしょう。スケジュールが形になるまでは特に大変です。

自由度が高い分、自分自身で決定することが遠くなります。そこには責任が伴います。

デメリット①:自由度が高い反面、責任を負うことになる

リハビリに関しての決定権を持つことになり、そこには責任が伴います。どうすればより良いリハビリを提供できるのか、悩みながら職務に当たることになることでしよう。

その仕事は、確実にやらなければならない内容なのか、それともやった方が良い内容なのかをしっかりと振り分けることが大切になります。

デメリット②:同業種の意見交換ができない

同業がいないことにより、リハビリについて深く話し合う相手がいない環境であることがデメリットです。専門書や論文を読んだり、勉強会に参加したりすることによって自己研鑽はできます。しかし、意見交換ができないことが良い環境とはいえないでしょう。

自分でPDCAサイクルを意識して、常に仕事内容や知識のアップデートを図れる環境にすることが大切になります。

まとめ

メリットとデメリットは表裏一体といえるでしょう。仕事の自由度が高くればなるほど、責任の範囲も広くなるということです。良くも悪くも自分好みなスケジュールを組むことができるので、上手く管理できる人にとっては良い環境を作れます。

1人職場だと、同業種がいないことは仕方ありません。同業種とリハビリに関する深い意見交換をしにくい環境になります。常に自己研鑽しても、同業種との意見交換の上での納得感には及びません。

1人職場は、時間・スキル・自信の管理を行いながら仕事をすることが大切になります。自分で仕事やプライベートをコントロールできる範囲を増やしたい人には、良い環境を作り上げることで、自身の納得できる生活スタイルに近づける可能性があるのが魅力でしょう。

この記事を書いた人

らふき
さん

理学療法士9年目。山梨県内で新卒時点から介護業界で働き続け、通所系・訪問系・管理など様々な経験をし、現在はショートステイ併設の介護老人福祉施設に勤務。

経歴

  • 2012年:理学療法士資格を取得
  • 2012年~2013年:通所介護(デイサービス)で初のリハビリ業務
  • 2013年~2014年:通所リハビリテーション(通所リハ)へ異動
  • 2014年~2016年:再びデイサービス、そして中間管理職へ
  • 2018年~現在:介護老人福祉施設部門管理(一人職場PT)

資格

  • 理学療法士

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