Wライセンス保持者が語るPTとOTの免許取得のメリット・デメリット

リハビリセラピストの働き方を考える
※画像はイメージです。
Wライセンスに興味がある人
Wライセンスに興味がある人

時々PTとOTの両方の免許を持つ人がいるけど、同時に2つの資格を持つことが出来ないのに、取る必要があるの?費用や時間もばかにならないし、持っていると働くうえで何かメリットがあるの?

リハビリの専門職である理学療法士(PT)と作業療法士(OT)、両方の資格を持つセラピストが近年見られるようになってきましたが、実際にWライセンスを持つメリットはあるのでしょうか?

実際にWライセンスを取得した筆者がWライセンスを持つ意味について紹介します。

記事のテーマ
  1. より広い視点で患者さんの治療ができる
  2. 職種間の視点の違いを説明し、お互いの立場を理解してもらいやすくなる
  3. 就職や転職で有利
  4. 介護保険分野で特に力を発揮する
  5. Wライセンスはメリットばかりではない
  6. Wライセンスが現場で活かせたことは?

なぜ私はPT・OTのWライセンスを取得したのか?

私がPT・OTのWライセンスを取得したいきさつ

私がPT・OTのWライセンスを取得して、早7年が経ちます。当時は珍しかったWライセンス所持者も現在少しずつ増えてきているようです。

私は、もともと作業療法士として勤務していましたが、上手に歩けるようになりたいという患者さんを多くみられました。

歩行について独自に勉強し、様々な研修会にも参加していましたが、楽に歩けるようになりたいと話す患者さんや利用者さんも多く、独学での限界を感じました。

そこで、理学療法的な視点で専門的に歩行について勉強したいという思いから、理学療法士の専門学校に改めて入学しました。

PT・OTのWライセンス取得のメリット

PT・OTのWライセンス取得のメリット

病院や施設では、治療内容に明確な規定が無くOTがPT的なことや、PTがOT的なことを行っても問題はありません。

例えば、OTが歩行訓練を実施したり、PTが手指の巧緻動作訓練を行ったりすることも臨床の現場ではよく見かける光景です。

そのため、Wライセンスを持つことに意味がないと考える人も多くいます。

しかし、本当に意味のないことなのでしょうか。私自身が両方のライセンスを取ったことによるメリットを紹介します。

1.様々な視点で患者さんを評価・治療ができる

私が、一番のメリットに感じていることは多面的な視点で患者さんに接することが出来る点です。理学療法士と作業療法士のアプローチの方法は似ていますが、その専門性に違いがあります。

理学療法士は動作分析や運動連鎖など科学的事実に基づいた視点で患者さんの動きを中心に評価するのに対し、作業療法士は訓練時の患者さんの気持ちやモチベーションを重要視します。そのため時としてどちらかに患者さんの評価が傾きがちになります。

理学療法士と作業療法士の視点を持ち合わせていれば、バランスよく患者さんの全体像をとらえ、より多くの方面から考慮されたプログラムを立案することができます。訓練中も動作の面だけでなく、患者さんの気持ちの動きも的確に捉えられるようになります。

2.多職種の想いを共有しやすい

病院や施設によっては、理学療法士と作業療法士間の関係性が良好ではなく、お互いに距離を取っている職場もあります。実際私が以前勤めていた職場でもこのような問題がありました。

理学療法士と作業療法士はお互いよく似ているがゆえに、違った専門性を持った職種だという認識が薄れてしまいがちになります。そのためお互いに理解し難くPTだからOTだからという言葉で片づけてしまいがちになります。

お互いの特性をしっかり理解していれば、回避できる問題もたくさんあります。Wライセンスを持つ人は、お互いの特徴をよく理解しています。

セラピスト間の溝を埋め、お互いが意見を尊重し合える関係の橋渡しとしての調整役の役割を担うこともできます。

3.曖昧にしていた部分が理解できるようになる

作業療法士や理学療法士にも得意な分野と苦手の分野があります。もちろんその人にもよりますが、例えば作業療法士では「歩行」、理学療法士であれば「手指の巧緻動作」などが特に苦手意識を持ちやすい分野となります。

しかし、両方の資格を持つことで、その苦手分野がメインで活躍するフィールドになり得ます。

そのため、苦手としていたことを十分理解する必要があるので、その分野に対する理解度が飛躍的に進歩します。

また、新しい分野を開拓することで、今後の将来の可能性や道筋が新たに開かれるでしょう。

4.就職に有利

最近増えてきたとは言え、Wライセンスの保持者は日本国内だけでなく世界でもほとんどいません。実際にWライセンス保持者にお会いすることもほとんどないでしょう。

そのレアリティが就職では大きな武器となります。履歴書送付の段階で、Wライセンスは面接官の目を引きます。採用は別としても話を聞きたいと思う面接官も多いでしょう。

実際私も転職の際、ほとんど困ったことはなく、ある程度の条件を提示しても受け入れてくれたことも多かったです。

質問があれば気軽にコメントください

PT・OTのWライセンス取得のデメリット

PT・OTのWライセンス取得のデメリット

もちろん、Wライセンスにはメリットばかりではありません。取得するまでに様々な困難を乗り越える必要があります。

1.取得するまでに時間がかかる

Wライセンスを保持するためには、専門教育機関で学ぶ必要があります。新たに作業療法士または、理学療法士の養成校を受験し、必要な単位数を取得しなければなりません。

どちらかの免許を取得していれば、基礎科目は免除されるので3年次に編入となり最短2年で国家試験の受験資格を得ることができます。しかし、旧カリキュラムを受けた人は、新カリキュラムと必要とされる科目が違ってくるので、補習授業が必要となります。

また、専門学校卒業と大学卒業とでは、編入のための要件が違う場合があるので事前に学校に問い合わせておくことをお勧めします。私の場合は、基礎科目からしっかりとやり直したかったので、編入せず1年次から入学したので卒業するのに4年間も要しました。

2.費用がかかる

専門教育を受ける学校にもよりますが、入学から卒業するのに相応の費用を要します。一例を挙げると、入学金30万円前後、授業料年間120万円~200万円、教科書代年間10万円~20万円、施設使用料年間5~30万円(授業料に含まれていることもあります)、その他交通費や生活費も必要となります。

夜間部では日中働くことができますが、昼間部では学校が休みの時以外で働く時間をとることができません。

たとえ夜間部であっても実習期間は仕事を休む必要があり、4年生次の臨床実習では4~6か月以上も休職する必要があります。私も4年生の臨床実習時前に仕事を退職したので、臨床実習が終わるまでは収入が無い状態が続きました。

卒業までにかかる総費用ですが、3年生次に編入した場合は300万円~450万円(生活費・交通費は除く)ほどになると思われます。私の1年次から入学したので、卒業までに約650万円要しました。

3.病院や施設では同時に両方の資格で登録することはできない

たとえ、理学療法士と作業療法士の両方の資格を持っていたとしても、病院や施設にはどちらかの資格でしか登録することはできません。

どちらかの職種の職員が不足したとしても登録変更の申請をしなければ、スイッチヒッターとしてその職種の代わりで点数を算定することはできません。

この部分がWライセンスの最大の弱点とも言われているところで、算定上はどちらかの一方の職業しか使用できません。

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【実録】Wライセンスはこんな時に活かせる

PT・OTのWライセンス取得のデメリット

続いては、私自身がWライセンスを取ってから現場で活かせたことを医療現場や介護保険領域での経験を交えて紹介します。

1.病院・診療所の場合

整形外科系の病院や診療所で働いていた時は、理学療法士として登録していました。一般の整形外科疾患の患者さんから、ハンドセラピィやスポーツ領域に至るまでどのような疾患や障害に対しても苦手意識を感じることなく治療に臨むことが出来ていました。

また、作業療法士は、相手の気持ちを優先して考える傾向があるので、患者さんの本当のニーズをとらえることが得意です。運動力学的な評価に加え、患者さんの心理面の評価を加えるとより全人間的な治療に結びつけられたのではないかと思います。

さらに、リハビリテーション部門の責任者として部門内の若い作業療法士、理学療法士の想いを同じ立場で理解しやすかったのではないかと思います。

時には揉めることもありましたが、職種間の視点の違いを説明し立場を理解してもらえることにも一役買っていたと思います。

2.介護保険領域の場合

介護保険領域では、厳密に作業療法士と理学療法士の仕事内容に大きな違いはありません。個々の施設に理学療法士と作業療法士、言語聴覚士がそろっている施設はほとんどありません。

そのため、理学療法士が行為動作などのADL動作の訓練をすることや作業療法士が主体となって歩行訓練を行うことは当たり前のように行われています。

両方の対場で物事を考えられるWライセンスは、特に介護保険領域でその力が最大限に発揮されるように感じます。

Wライセンスは営業の際にも利用できます。新事業を立ち上げ営業に行く際に、名刺やパンフレットに両方の資格を所持していることを記載するとインパクトが大きく、私の名前や施設名を覚えてもらえやすくなります。

特に訪問リハビリを立ち上げた際には、一人のセラピストがその利用者さんに合わせて専門的に理学療法と作業療法を使い分けられるということが評判となり、新規オープンにもかかわらず、ケアマネージャーからたくさんの依頼を頂きました。

まとめ:物事を多角的に見られる視野を身につけよう

Wライセンスを持つことは、単に新しい資格を取るということではなく、今までとは違った視点で物事が考えられるようになれる絶好の機会です。

視点が広がれば患者さんに提供できるサービスの幅も広がります。また、様々な場面でも利用することができるので新しいキャリアを形成しやすくなるでしょう。

様々な制約や時間とお金を必要としますが、それだけの価値があると思います。大変な道のりですが、興味があるならぜひチャレンジしてみましょう。

この記事を書いた人

もしもし

独学での限界を感じ、専門的に理学療法を学びたいと感じ理学療法士の専門学校夜間部に入学。理学療法士および作業療法士として医療や介護、スポーツの分野にも携わる。現在は地域医療を担うクリニックのリハビリテーション部門の責任者として勤務する。オーストラリアへ留学経験もあり、現地の精神科デイケアで働きながらコミュニティサービスワーカーの資格を取得している。

資格

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • ケアマネージャー

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