【研修会レポ】動作分析を軽視していない?一人前の理学療法士になるための動作分析とは?

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動作分析が苦手な理学療法士
動作分析が苦手な理学療法士

動作分析が苦手で患者様の問題点を探し出すことができない。そもそも正常の動作ってあるの?注意して評価するべきポイントが分かれば簡単なのに。

患者様の動作を十分に評価できていますか?できない動作を介助して終わっていませんか?

理学療法士に最も要求されるスキルといっても過言でないのが「動作分析」です。

しかし、若手理学療法士は臨床経験不足もあり、動作分析に自信がない方がほとんどです。そこで今回は、正常な寝返り・起き上がり動作とはどのような動きなのか。動作分析で注目するポイントはどこなのかについて解説していきます。

記事のテーマ
  1. 正常運動と随意運動の違いを理解するべし。
  2. 背臥位姿勢はボディイメージが低下することを把握しておく。
  3. 寝返りは頭頸部の立ち直りと四肢の努力性に注目する。
  4. 筋の協調性が起き上がり動作を左右する。

2019年4月開催の研修会について

2019年4月開催の研修会について

2019年4月20日に青森県八戸市で開催された「正常運動分析~背臥位および寝返り・起き上がり~」の研修会に参加しました。

講師はIBITA認定基礎講習会インストラクターの方で、ボバースアプローチの観点からいろいろ教えていただきました。研修会の参加者は約30名程度で若手~中堅理学療法士が多い印象でした。

研修会のテーマ・ポイント

今回の研修会は、背臥位の状態での姿勢や寝返り・起き上がり動作分析をテーマにしていました。そもそも正常な運動とはどのような状態のことをいうのか、運動分析はなぜ必要なのかを理解したうえで実際の動作分析を解説していました。

実技形式の研修会ではなく、運動分析の重要性を理解するということがポイントです。

この研修会をおすすめするならどんな人?

臨床経験の浅い若手理学療法士全員におすすめできます。脳卒中や運動器、廃用症候群など全ての疾患に当てはまる内容となっているため、働いている病院の特徴に関係なく参考にすることができます。

また、若手だけでなく、中堅~ベテラン理学療法士の方も復習として参考にしてみるのもいいと思います。

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過去の研修会・講義についてレビューしています

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現場で活かせそうなこと

現場で活かせそうなこと

動作分析は全ての患者様に対して行う必要があるため、常に現場で活かすことができます。

患者様が無意識に行っている寝返りや起き上がりはどのような意図を持って行っているのかを正しく把握することで、今後の理学療法アプローチの効率性にも関わってきます。

また、動作分析の理解を深めることで介助や誘導方法も磨くことができます。

研修会で何を学んだか

今回参加した研修会では、正常動作と随意運動の意味や背臥位姿勢の特徴、寝返り・起き上がり動作を行うためにはどのような要素が重要であるかを学びました。

姿勢や動作の特徴を理解することで動作分析の質を向上させることができ、それに合わせた理学療法アプローチを行うことができます。若手理学療法士はこれらの知識を把握することで、一人前の理学療法士に大きく近づくことができます。

正常運動と随意運動の違いは意識して動かすかどうか

動作分析を極めるためには、正常運動や随意運動の意味を正しく理解することが重要です。これらの理解が不十分な状態で動作分析を行うと、誤った評価をしてしまいます。

正常運動は協調性、効率そして機能的目標に関して必要以上に努力しないことが特徴です。この必要以上に努力しないことが大切であり、必要以上に力んで動作を遂行している場合には正常運動とは呼べません。

また、正常運動は目的指向的な感覚運動であり、意識して寝返りや起き上がりを行うことはほとんどありません。随意運動は環境との相互作用の中で、動作の目標が決定され、意思をもって始められる運動です。先ほどの正常運動とは違い、随意運動は意識して関節を動かすことです。

背臥位姿勢で注意すべき点は体幹筋

背臥位姿勢は他の姿勢に比べると最も重心が低く、支持面との接触面が狭いため、覚醒や筋緊張は低くなりやすいです。

また、自分の身体や支持面が視野に入りにくく、自身を定位しにくい姿勢とも言えます。自分の身体を見ることができないということはボディイメージが低下しやすく、患者様自身がなぜうまく動かすことができないか気付きにくいことがデメリットになります。

このような背臥位姿勢から四肢や頭頸部を動かすためには、先行した身体中枢部の安定性が必要です(コアスタビリティの活性化)。背臥位で左右差がないか、動作開始時に体幹筋の収縮が確認できるかを第一に評価してください。

寝返り動作は頭部の立ち直りと体幹筋が重要

寝返り動作には上肢、下肢、頭頸部から開始する多様な運動パターンがあります。

また、背臥位と違い抗重力運動になるため、急激に筋出力を要求される難しい動作です。寝返り動作を遂行するためには頭部の立ち直りが必要であり、そのためには体幹筋の活動も重要です。多くの患者様は頭頸部・体幹筋の筋力低下により頭部の立ち直りが不十分となり、上下肢を努力的に使用する傾向があります。

そのため、寝返り動作の分析では頭頸部の運動が可能か、上下肢の運動は努力的ではないかに注目してください。

起き上がり動作は筋の協調性も評価すべき

起き上がり動作は、日常生活動作の中で最も難しい動作です。患者様の中には、歩行が可能でも起き上がりが困難である場合も多いと思います。なぜ起き上がりに難渋するのかというと、背臥位から側臥位への姿勢変換であるため支持基底面が狭くなり、筋出力だけでなく協調性も要求されることが要因です。

勢いに任せて起き上がってしまうと前方に倒れてしまいますし、勢いが足りないと側臥位に移行することができません。筋の協調性には、視覚系や体性感覚系、前提系の知覚要素が正確に統合される必要があります。

そのため、始めに側臥位を自力で保持可能かどうか評価するようにしてください。側臥位が保持できるのであれば、次にそこからゆっくり背臥位に戻れるか確認することも重要です。

これらを遂行するためには、自身の身体の状態を正確に把握し、それに合わせた筋の協調性を発揮する必要があるからです。

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研修中にあった質問

研修中にあった質問

研修会では質問タイムを設けていただき、若手理学療法士からも多くの質問が出ていました。姿勢や動作分析は養成校でも重点的に勉強しますが、そのまま臨床に活かせる方は少ないです。

そのため。若手理学療法士はできるだけ多くの研修会に参加し、積極的に質問することが重要であると考えています。実際にあった質問について紹介します。

背臥位姿勢は脱力できていることが理想でしょうか?

それは大きな間違いです。背臥位は支持基底面が最も広く安定している姿勢ですが、全身が脱力しているわけではありません。講義でも説明しましたが、四肢を動かすためには先行して体幹筋が活動することが重要です。

これは背臥位でも同様であり、すぐ体幹筋が活動できるよう、全身の筋肉は常にある程度の緊張を保つことが必要になります。分かりやすい評価として、背臥位から上下肢を挙上させるよう指示してみてください。

すぐに動作を遂行できれば体幹筋が活動しており、動作緩慢であれば体幹筋がうまく活動できていない可能性が高いです。

寝返りや起き上がりにアプローチすることで、その他の動作にも影響は生じますか?

寝返りや起き上がり動作を遂行するためには頭頸部の立ち直りと体幹筋の活動が重要であると解説しました。これは歩行動作でも重要な要素であり、寝返り・起き上がり練習を反復した後に歩行練習を実施すると変化がみられることもあります。

立位課題では支持基底面が狭く努力的になりやすいため、あえて支持基底面の広い寝返り・起き上がり動作からアプローチを始めることも効果的です。

体幹筋の活動が低下している場合、どのようなアプローチを行えばいいですか?

寝返り・起き上がり動作で活動している体幹筋は主に腹筋群の等尺性収縮です。腹筋群の等尺性収縮を促す効果的な方法は、起き上がって背臥位に戻る動作を反復することです。

特にゆっくり背臥位に戻るためには体幹筋を収縮し続ける必要があるため、ほとんどの方が難しいと感じると思います。

まとめ

若手理学療法士が一人前になるためには、背臥位姿勢と寝返り・起き上がり動作分析を極めることが重要です。患者様の多くは頭頸部・体幹筋の活動性が乏しく、それを四肢の過剰努力で代償する傾向にあります。

寝返り・起き上がり動作を努力的に実施していると、その後の起立動作や歩行動作も努力的なものになっていまいます。

今回解説した内容の評価を臨床で実践し、効率的な動作を患者様に行ってもらうようにしてください。

研修会の内容で質問があれば、気軽にコメントしてください。

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この記事を書いた人

トッシー

専門学校卒業後にリハビリ病院に入職し、脳卒中や大腿骨頸部骨折術後の患者様のリハビリを中心に行っています。現在は入職して4年目になるため、リハビリだけでなく、若手の育成指導にも力を入れています。また、休日は理学療法の研修会に積極的に参加し、脳卒中認定理学療法士の資格を取得するため日々勉学を続けています。

資格

  • 理学療法士
  • ケアマネージャー

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