理学療法士はサルコペニア患者をどう捉えるべき?加齢性・活動・栄養・疾患別に考える

リハビリセラピストの働き方を考える
※画像はイメージです。
サルコペニアのリハビリについて知りたいセラピスト
サルコペニアついて知りたいセラピスト

最近、リハビリ栄養やサルコペニアと言う言葉を耳にするようになった。サルコペニアの患者さんはどのような人で、リハビリではどのようなことに注意したら良いのだろう。

近年、サルコペニアと言う言葉を職場でもよく耳にすることはないでしょうか、今では、高齢社会であり、サルコペニアを持ち合わせた患者さんを担当することが多くなると思います。

そして、重要になってくるのは、栄養療法との併用が大事になってきました。筆者が理学療法士になる前は、サルコペニアや栄養療法と運動路湯法の併用などのワード自体は、はあまり聞きなれませんでした。

しかし、今では、知っていないと、患者さんの状態をかえって悪くしてしまうこともあり、理学療法士の臨床現場では、必要な知識ではないかと感じています。

そのため、簡単ではありますが、サルコペニアとの関わり方や理学療法や体験に基づいた症例提示をご紹介しようと思います。

記事のテーマ
  1. サルコペニアの存在はあまり知られておらず、病院内に隠れサルコペニアが存在していることがある
  2. 他職種との連携や情報共有が大切である
  3. 理学療法士の仕事は、運動療法だけではない
  4. 運動療法をする際には、負荷量に注意する

現状と課題:理学療法士による介入だけでは機能改善に限界か?

理学療法士による介入だけでは機能改善に限界か?

サルコペニアの治療法の一つとして、理学療法士の運度運動療法が挙げられますが、その運動療法だけでは、サルコペニアはよくならないことが、多く報告されています。

もっとも大切な栄養療法が必要不可欠である。栄養が不十分でも、離床は進めていいのか?また、サルコペニアについて、名前は聞いたことがあるが、よく知らないという人も多く、現状と課題について、簡単に自分なりの考えや経験をもとに触れてみようと思います。

課題①:サルコペアであっても、安静臥床が続くことはよくないこと

まず一つ目として、理学療法士による介入だけでは、サルコペニアの改善には不十分であると考えます。もっとも重要だと感じたのは、適切な栄養管理であると考えます。

サルコペニアは、1日のエネルギー摂取量が、基礎エネルギー消費量より少ない場合、運動しなくても、筋肉量が減少します。

そのため、適切な栄養管理がなされていない状態で、理学療法を実施すると、更に、エネルギー消費を促してし、栄養状態が悪化し、筋肉量が減少してしまうため、注意が必要です。

しかし、上述したように、安静にしていた方がいいのでは?と思う理学療法士もいるかと思います。それも問題であることがあります。1日のエネルギー消費の80%のエネルギー投与で2週間、安静臥床群と非安静臥床群で除脂肪体重を比較した研究があります。

 注意

2週間の除脂肪体重の現象は、安静臥床1.10±0.1kg、非安静臥床群0.3±0.3kgと安静臥床で著名に減少がみられた研究があります。

そのため、飢餓でも離床や2~3メッツほどの運動は、行っても、大きな影響がないことが多くため、サルコペニアで、栄養管理が入っていない場合であっても、決して安静臥床にしておくのではなく、座位、立位など、離床は進めていってもいいと思います。

課題②:周知されていないこと

2つ目に、サルコペニアについて、あまり周知されていないことです。サルコペニアは、寝たきりや要介護状態の前段階とされており、また、サルコペニアとサルコペニアではない人では、予後が1~2.5倍ほど違うと言われており、決して目を離せないと思います。

65歳以上の高齢者では、1から29%がサルコペニアであるとの報告もあります。したがって、総合病院や地域の民間病院、施設入所の患者さんにおいても、サルコペニアに当てはまる人がいると考えます。

また、サルコペニアの実態を周知されていないことも見られるのが多く、医師、看護士、理学療法士など、患者さんと関わる従事者が周知していないことから、サルコペニアを見逃してしまうことが見られます。

よくある事として、実際に、リハビリの処方箋が出てくる際には、サルコペニアを通りすぎ、寝たきりに近い状態であることや、手術後であり、サルコペニアの状態で手術後からリハビリを開始することも多々みられます。

やはり、サルコペニアを合併されている人は肺炎などの合併症も経過の中で見られる方もいました。自宅退院される方もいましたが、引き続き、民間病院での治療、リハビリが必要であると判断され、転院される方も多く見られました。

周知されていても、マンパワー不足により、サルコペニアの人を対象にリハビリの処方箋が出てくることで、実際に、リハビリが最優先に必要な方への時間が確保できないことなども見られてきます。

リハビリにおいて、保険点数をとるために、リハビリが必要な疾患名を付けることも困難なことも見られます。

そのため、医療関係者以外でも、患者さんの家族もサルコペニアについて周知されていないことも多いため、早期に発見することが遅れる場合が多く見られます。

多職種連携はどうすべきか?

多職種連携はどうすべきか?

サルコペニアの患者さんについて、支援して行くためには、様々な職種が関わり包括的にアプローチしていくことが必要である。特に他職種での連携、情報共有は必須であり、その取組の一つと支援していくのに必要なこと、大まかな流れを紹介します。

具体例①:他職種による専門を生かしたアプローチと情報共有

サルコペニアの患者さんには、理学療法士が行う、運動療法にもて、いささか注意点などが必要であり、治療においては、必要不可欠でありますが、それ以前に必要であるのは、他職種の連携だと考えます。

まずは、病棟主体となっての介入が大切であると感じます。その中でも、医師、看護師、栄養士と連携して、アプローチしていくべきではないかと考えます。まずは、医師に入院してくる患者さんや転院されてくる患者さんにおいて、診察場面で、サルコペニアの患者さんを挙げてもらいます。

次に看護師においては、入院期間中に、機能低下していく患者さんで、サルコペニアの患者さんが隠れている場合もあるため、病棟のラウンドやバイタルチェックなどの際には、確認してもらいます。

そのため、医師、看護師においては、サルコペニアについての病態、診断基準などを把握してもらうことが必要です。次に、病棟内においてのサルコペニアの患者さんにおいての栄養面を把握する上で、栄養士の出番であり、栄養士に介入してもらい、栄養面の評価、そして、同時に、理学療法士において、身体機能評価などを行っていき、栄養療法と運動療法の併用を実施していきます。

あらかじめ医師、看護師においての処方箋、情報収集により、栄養士、理学療法士が介入していくことで、効率的にチームで介入できるのではないかと感じます。

また、サルコペニアの患者さんでは嚥下障害なども見られる患者さんも見られ、言語聴覚士による嚥下評価を行い、誤嚥の危険がないかを評価してもらいます。その後、他職種などで、患者さんのゴール設定や栄養面においてのエネルギー摂取量や情報共有も大切であると感じます。

そして、効果的なリハビリテーションを進めるうえで、リハビリ後などに、タンパク質摂取や糖質摂取することで、筋たんぱくの合成の促進やグリコーゲンが早期に貯蔵されることにより、筋力の改善が効果的に見込まれるため、リハビリ後に、栄養補助食品の摂取などを促すことで、より効果的な理学療法を提供できることが考えられます。

具体例②:サルコペニア患者さんの病態生理だけではなく、社会的背景、生活環境などを把握し、ケアマネージャーと連携

独居高齢者や老老介護の居宅療養者などにおいては、低栄養や重複障害などにより、サルコペニアを呈する可能性が高くなると感じます。

入院期間の短縮により、外来診療が可能な患者さんはなるべく退院させる方向となっています。地域包括ケアシステムはこれらの高齢者を地域で支えていきますが、それにも限界があり、在宅でのサルコペニアが遷延する可能性があります。

そのため、患者さんの評価は本人の病態生理だけでなく、認知機能面、身体機能面、生活環境も含めて、家族間で連携をとるとともに、他職種で包括的にケアしていくことがいいと考えます。

その際に、本人を取り巻く生活背景を踏まえて、目標を設定していくことが大事になってくると考えます。そして、目標内容の実践には、地域のケアマネージャーや訪問介護など日常的に患者に接する職種に積極的に関わっていくことが大切であると感じます。また、実践していく中で生じる問題もあると思います。

実践していく中で問題点が発生した場合には、患者さん本人や介護者から随時フィードバックを受けて目標を適宜訂正していくことにより、安定した在宅生活を構築していくことが、サルコペニアの患者さんを支援していくことが大切であると感じます。

原因別に考えるベストなアプローチとは?

原因別に考えるベストなアプローチとは?

サルコペニアにもさまざまな要因があります。理学療法士として、様々な視点やアプローチ、介入方法があり、その一部ではありますが、参考にしていただければ、幸いです。

症例①:加齢性サルコペニア

年齢・性別 80代 女性
診断名 熱中症、脱水
社会的背景 独居 入院前は自立
BMI 18.5kg/㎡
SPPB 4点
MMSE 24点

一人暮らしであり、加齢に伴うサルコペニアのため、少しずつ身体機能が低下し、生活の中では、活動量の減少が見られるようになりました。

今回、脱水、熱中症を機会に入院となり、臥床期間が長くなるに伴い、廃用症候群により、リハビリ介入となります。

本症例は、独居であり、今後も再入院の可能性も考えられるため、介護申請をし、いつでも介護サービスを利用できるように整備し、理学療法士が、住環境に応じたリハビリを、栄養士が、食事や栄養面のフォローが必要です。

ケアマネージャーとも連携をとり、生活でも困ったことなどがあれば、いつでも相談できるように支援していきます。

実際の理学療法での介入では、大きなポイントとしてはありませんが、他職種で、患者さんを支援していくことを理学療法士が看護師と共に、進んで、準備していくことも理学療法士の立派な職務であると考えます。

症例②:医原性サルコペニア

年齢・性別 70代 男性
診断名 食道癌
既往歴 高血圧 COPD
社会的背景 妻と二人暮らし、ADL自立
喫煙歴40本/日 飲酒歴あり
BMI 21.5kg/㎡
SPPB 12点
MMSE 27点

喉の違和感、食欲不振により、精査で発見されます。手術により、術後、呼吸不全により、挿管されます。

その後、抜管されるが、反回神経麻痺もあり、肺炎を起こします。ガンリハ、嚥下リハを開始し、離床を進めていきます。

各職種が集まったカンファレンスにより、いかに早期に経口摂取を開始できるかをリスク面も踏まえ、議論し、少量から開始していきます。

理学療法士は、全身状態を見ながら、低負荷からのリハビリを開始します。低栄養、加え、不顕性や誤嚥性肺炎などのリスクが高く、全身状態も不安定な患者さんに対してのリハビリ強度としては、十分に注意をしていく必要があると感じました。

症例③:疾患に関連するサルコペニア

年齢・性別 80代 女性
診断名 慢性心不全 CKD
既往歴 下腿浮腫+ 動作時息切れ+ 心不全症状+
社会的背景 生活保護、独居、要介護4
BMI 18.5kg/㎡
SPPB 5点
MMSE 24点

訪問介護と訪問看護が週2回、訪問の職員がベッド上で、横になり、ぐったりしている所を発見、食事や内服ができておらず、心不全症状の悪化がみられていました。

本人は入院の拒否もあり、訪問看看護師やケアマネージャーの訪問もあり、一時的に、在宅の生活を継続。その日から、緊急のケアプランの再検討をするために会議を開きました。

生活残金もなく、居宅サービスは困難であり、定時巡回・随時対応型訪問介護訪問看護サービスへと切り替えます。

また、訪問リハビリも開始し、患者さんの生活を維持できるように、機能低下防止を含めた、レジスタンストレーニング、住環境整備、心不全のチェックなどを行いました。

その後、医師からも訪問介護に、食事内容と両、体重管理、排便、排尿管理をしてもらうように依頼してもらうことで、本人の生活管理も、把握しやすくなりました。そのため、食事や内服のコンプライアンスも向上がみられ、心不全も安定し、在宅での生活を継続できるようになりました。

まとめ

今後、サルコペニアの患者さんを担当することが多くなると考えます。理学療法士だけでの介入では、患者さんはよくならないことが多く、栄養療法が重要になっていきます。

また、サルコペニアの患者さんに限ったことではありませんが、医師、看護士、栄養士など、他職種と連携していき、アプローチしていくことが大切になってくると考えます。

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この記事を書いた人

mitunari
mitunariさん

四年制大学を卒業、様々な疾患について勉強したいと思い、地元から少し離れた総合病院へ就職する。その中で、超急性期でのリハビリテーション、心臓疾患、呼吸器疾患などの分野に興味を持ち、県内の高度な医療が備わっている病院へ転職する。
現在では、呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の資格を取得し、緊迫した医療現場で日々リハビリテーションを実施している。

経歴

  • 2007年:理学療法学科 卒業
  • 2007年~2012年:総合病院(回復期・急性期病棟)に勤務
  • 2012年~2017年:総合病院(急性期病棟)へ転職
  • 2017年~現在:総合病院(超急性期病棟)へ転職

資格

  • 理学療法士
  • 呼吸療法士
  • 糖尿病指導士
  • 心臓リハビリテーション指導士
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