急性期病院から慢性期病院へ転職。言語聴覚士(ST)にとって慢性期は働きやすい?

リハビリセラピストの働き方を考える
※画像はイメージです。
慢性期病院へ転職したい言語聴覚士
慢性期病院へ転職したい言語聴覚士

他の病院に転職したい。でも、病院の求人を見たら慢性期の病院が多いけど、慢性期の病院って一体どんなことをするの?今まで自分が経験してきたことを活かせるのかな?
地方だと慢性期で求人を出している病院って、一人職場や新規立ち上げが多いようだし…こうした病院へ転職するのは不安だな。

慢性期病院のイメージってありますか?何となくぼんやりとイメージすることはできるけど、実際はどんなことをしているのかよくわからない。

実習で行ったことはあるけど、そのイメージで合っているのかわからない。慢性期病院に興味はあるけど、転職するにはもう一歩足を踏み出せずにいませんか。

今回は実際に急性期から慢性期の病院へ転職した経験を持つ筆者が、慢性期病院の働きやすさの魅力、急性期と慢性期の違いやSTとして必要とされるスキル、そして慢性期病院に勤務してわかったメリット・デメリットを一挙にご紹介します。

記事のテーマ
  1. 急性期経験者には慢性期の病院がおススメ
  2. 慢性期病院へ転職して年収アップ・休日リフレッシュ
  3. 慢性期病院で働くことへのメリット・デメリット

質問があれば気軽にコメントください

急性期病院から慢性期病院へ転職した方が良い人とは?

急性期病院から慢性期病院へ転職した方が良い人とは?

私は、急性期のある国公立病院で7年ほど勤務していました。その後、数年前に私の地元にある慢性期の民間病院へ転職をしました。

地方にある慢性期病院では、未だに言語聴覚士不在の病院が多く、私が転職した病院もそうでした。

私にとっては、新規立ち上げの一人職場という厳しい条件。

最初はプレッシャーもありましたが、急性期病院での経験をいかすことで、すぐに働きやすい環境へと変えることができました。

ここでは、急性期病院の経験のあるSTが、なぜ慢性期の病院へ転職したほうが良いのか、そのメリットを解説していきます。

急性期での経験を活かすことができる

慢性期の病院の患者さんの多くは、急性期から転院してこられます。

急性期を経験してきたSTなら、そうした患者さんが急性期でどのような経緯で、どのような治療を受けて介入してきたのかを容易に知ることができます。

リハビリの方針やプランもスムーズに決めていくことが可能になるでしょう。

また、一人職場の場合、診療報酬や施設基準、書類関係など経験者でなければわからないことが多くあります。

こうしたST業務を円滑に進められるのは経験者の最大のメリットです。

状態が安定している人が多い

急性期では医学的に不安定な状態の患者さんが多く、常に細心の注意を払いながらリハビリ介入をしていきます。

一方、慢性期では比較的状態が安定しているため、離床やリハビリもスムーズに進めやすいでしょう。急性期医療でのリスク管理を経験しておけば、慢性期においても迅速に対応することが可能になります。

給与と労働時間

給与と労働時間

私が勤務していた急性期病院は国公立の独立行政法人でした。
そのため、給与に関して初任給は低く設定され、継続勤務することで安定的に昇給していくシステムでした。

しかし、その病院は残業が多く休日出勤も当たり前…。規模の大きい病院だったため、委員会や会議、院内勉強会も多く、休日には地域住民向けの健康講座、さらには組合活動への参加もありました。

それらの出席や準備に忙殺され完全に疲弊していく日々。挙句の果てに転勤もある。その後、慢性期病院へ転職することになりました。

慢性期病院では、そうした活動は無く、業務も時間内には終了します。もちろん休日出勤なんてものはありません。

給与は、経験も考慮されたことから急性期と比べると上がり、数年を経て現在も昇給を続けています。

給与は上がるのか?

国公立病院の場合は俸給が決まっています。そのため、仕事量に似合った給与かと聞かれれば、全くと言っていいほど割に合うものではありません。

民間の場合、昇給はそれぞれの雇用契約に基づきますが、私が現在勤めている慢性期の病院では、これまでの経験が考慮された給与設定となっており、転職初年度から年収アップしています。

転職サイトなどで探してみると、特に地方にある一人職場の慢性期病院では高めの給与設定が多いようです。

労働時間はどれくらい変わるのか?

急性期に勤務していた頃は、数人のSTと当番を組んで土日出勤をしていました。

手当はつくものの、通勤に伴う費用や手間も考えると割に合うものではありません。

また、委員会や勉強会など業務以外の残業も求められ、これらは全てサービス残業でした。

一方、現在勤務している病院では、仕事内容はほぼルーチン化しており、定時には退勤することができます。

病院の規模も小さいため、院内の業務は少なく〇〇会議や□□委員会に駆り出されることもありません。

休日にはしっかりと休むことができますし、自分で仕事の裁量は決められるので、仕事の調整さえ可能なら平日でも休みはとりやすいでしょう。

もちろん売上・コスト等のノルマが課せられることはありません。

慢性期病院へ転職を考えているなら、まず最初に転職サイトへ登録しましょう。病院の求人が多い「PTOTキャリアナビ」がおススメの転職サイトです。

多職種との連携はどう変わる?

多職種との連携はどう変わる?

急性期病院ではイライラしている職員が多かったように思います。

特に医師への報告は大変…電話をかけるといつも不機嫌。連携も限られた職種で限定的。

そして患者さんは知らない間に転院していた、なんてエピソードは急性期病院あるあるネタと言われるほど、よく耳にします。

これでは、多職種連携なんてできませんよね。一方、慢性期の場合はどことなくのんびりした雰囲気があります。

連携の幅も広く、リハビリスタッフや看護、医師らはもちろん、介護士やケアマネ、さらに院外の事業所や施設職員など色んな職種の人と関わる機会が増えてきます。

多職種とのコミュニケーションが求められる

慢性期では、自分の専門領域で解決しようしても答えは出てきません。

幅広い解決策が求められてきます。決して自分一人で背負い込むことなく、気軽に多職種と相談し合える関係性が求められます。

医学的に落ち着き、今後は在宅や施設、長期療養になる患者さんが多いのが慢性期です。

そのため、院内では自然と多職種連携の流れができています。慢性期病院は、多職種と話しやすい環境だといえるでしょう。

柔軟な連携

慢性期では、勤務している病院以外の専門職と連携する機会が増えてきます。

そのため、相手がどこまでの情報を必要としているのかを把握しておく必要があります。

専門用語をかみ砕いてから情報提供し、また、他分野に関する情報も事前に知っておく必要があります。

自分にとって有意義な情報を得て、仕事をスムーズに進めるためにも、独善的でない柔軟な連携が必要になってきます。

転職後に求められたスキルとは?

転職後に求められた、必要なスキルとは?

急性期の病院に勤務している頃、私は自分の専門領域に関する知識を深めるのに積極的でした。しかし、慢性期では自分の専門性はもちろん、それ以外に関する幅広い知識が求められることを知りました。

PTやOT領域はもちろん、介護保険制度や、その地域における社会資源について知っておく必要があります。

自己完結していくスキル

先ほど記載したように、慢性期の病院では多くの職種と関わることになります。

こうした人たちと積極的に意見を出し合う機会が増える一方で、地方の慢性期病院に多い一人職場の場合には、STは自分一人しかいないというプレッシャーもあります。

周囲に相談しつつも、STとしてその場で判断して対応していく自己完結能力も、慢性期の病院には必要となります。

嚥下障害に対するスキル

最近、誤嚥性肺炎がテレビで取り上げられ話題になっていますが、慢性期の病院でも嚥下に対するニーズが非常に高くなっています。

しかし、慢性期の場合、嚥下障害をもたらす要因として、廃用や認知症など様々な状態が絡んできます。

さらに、加齢や進行性疾患など不可逆的な要素もあり、その臨床像は複雑です。機能評価と嚥下リハビリをしていればそれで終わりではなく、それよりも多職種間を調整する能力が非常に大きなウェイトを占めてきます。

慢性期の病院では、嚥下に対する幅広い見識はもちろん、多職種間連携の中心になるようなSTが必要とされるのです。

急性期から慢性期に転職して良かったこととは?

急性期から慢性期に転職して良かったこととは?

急性期の頃はSTが嫌だな~と心底思っていたのに、慢性期病院に転職してから、STの仕事が好きになりました。

プライベートを充実させることができ、趣味に費やす時間も余裕も出てきました。

今では、仕事の一部がライフワークのようになり、嚥下に関する研究発表ができるほど充実した日々を送っています。

メリット①:専門領域以外にも興味が持てる

慢性期に携わっていると、他の領域の勉強は避けて通れません。

しかし、それが結果として自分の自信につながり、バランス感覚として自分の仕事に生かされていくことを実感することができます。

これまで気が付かなかったこと、興味を持たなかったことにも、どんどん足を踏み入れてみると、その面白さに気づくことがあります。

メリット②:余裕がうまれる

急性期と比べ、リハビリ時間にも余裕が出てきます。時間に追われずに腰を据えて仕事に取り組むことが可能です。

また、残業や休日出勤もないので、仕事とプライベートとの両立ができ、メリハリの効いた日常が送れるようになります。

参考急性期、回復期、慢性期病院の求人が多いPTOTキャリアナビ

急性期から慢性期に転職して後悔したこととは?

急性期から慢性期に転職して後悔したこととは?

もちろん、後悔したこともあります。慢性期病院特有のモチベーションの低い職員が少なからずいます。

患者さん家族と密に接する機会が多くなるため気苦労も増えます。そうした時に、自分自身の気持ちをどう整理していけば良いのか。どのような方策があるのか?その解決策もふくめて解説します。

デメリット①:モチベーションが低くなりがち

慢性期では気のゆるみが生じやすくなります。また、長期療養だと患者さん自身のリハビリへのモチベーションも低くなります。

家族の受け入れも悪い、となるとリハビリの目標がぼやけ、私をふくめ職員のモチベーションも下がりっぱなし…気づけばダラリハ状態に…なんてこともあります。

そんな時、私は「生活のため」「お金のため」と思うようにします。つまり、患者さんはお客様と割り切るのです。

この考え方は、非情に思えることかもしれませんが、そう考えることが慢性期の病院ではとっても合理的な考え方だと私は気付きました。

目の前のお客様をどう楽しませるか、何をしたら喜んでもらえるか、そのために自分には何が足りていなくてどんな知識と技術が必要なのか、いつもとは違った変化をつけてみよう。

こうすることで新たな発見があります。まさに、発想の転換ですね。柔軟な発想と工夫で乗り切りましょう。

デメリット②:家族対応が難しい

慢性期の場合、患者さん家族と関わる機会が大幅に増えます。

家族にとっても受容期なのかもしれませんが、やはり対応が難しい家族や理不尽な要求をされてくる家族だと精神的にしんどいところがあります。

私は、家族対応には細心の注意を払っています。特に嚥下障害に関してはトラブルになりやすいので慎重になります。

できる限りオープンな場所での対応を心がけ、その際の記録はしっかりと残します。説明の際には白紙に書き込みながら説明をしていきます。

「前の病院(急性期)では、ここでリハビリすれば治るときいたぞ!」などと言われることもあるので、転院前にどのような説明を受けたのかも把握しておきます。一見、理不尽なことを言われようとも、その多くは医療者側の対応の悪さからくるものだと思います。

じっくりと耳を傾け、丁寧な説明をするとトラブルは防げます。丁寧な対応をすれば信頼を寄せてもらえます。

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まとめ

慢性期病院で働くには、幅広いバランス感覚とコミュニケーション能力が必要だということがおわかりいただけたかと思います。

慢性期は、急性期ほど派手さはありません。回復期ほどリハビリ効果を実感することもありません。

しかし、STとしての知識や技術以外にも自分自身の価値観やキャラクター、考え方が慢性期では問われてきます。

そして、慢性期にはこれらを応用し、自分なりに臨床像をアレンジしていく創意工夫という魅力があります。

今回の記事を読まれて、慢性期病院へ転職するきっかけの一つになれば幸いです。

この記事を書いた人

ひょっとこシゲタロ
ひょっとこシゲタロさん

児童施設、急性期病院を経て、今は海が見える地方都市の慢性期病院に勤務。療育施設勤務以外、臨床経験十数年の90%は嚥下障害。

経歴

  • 言語聴覚士養成校 卒業
  • 通信制大学 卒業

資格

  • 言語聴覚士
  •  嚥下リハ学会認定士

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