
急性期のリハビリと医療療養型のリハビリってなにが違うの?医療療養型のリハビリ対象患者さんってどんな疾患が多いのかな?スタッフの数ってどうなんだろう?訪問リハビリ兼務って、スケジュール忙しいのかな?
リハビリ職が働く場として、急性期~維持期までありますね。今回は急性期から維持期へ転職した際の私自身が体験した事を紹介します。
維持期でのリハビリテーションの介入内容や頻度、病棟での他職種との連携等も含み働く環境の変化にも目を向けていきます。
転職したいけど・・と思っている方にも読んでいただきたいです。
- 患者さんと向き合える時間が多い
- 幅広い疾患を担当する事ができる
- 担当患者数が多い
- スケジュール管理が重要
- 病院によっては訪問リハ兼務あり
- 退院後引き続き生活リハを行う事ができる
- 院内の雰囲気が穏やかである
- ワークライフバランス良好
急性期病院から医療療養型病院へ転職した方が良い人とは?
私は急性期病院では、脳血管・整形外科疾患を主とし7人前後を担当していました。経験も浅く任される疾患は整形の術後の方が多く、もっと様々な疾患を見られるようになりたい!と思っていました。
勉強する時間はさほど取れず、日々業務での残業があり通勤がやっとの状況でした。休みの日には、症例報告作成を行い、自分の時間はほぼありませんでした。
しかし転職を機に私のワークライフバランスに大きな変化がありました。時間に追われ、患者さんと向き合う時間が取れていないセラピストは医療療養型病院への転職を考えてもいいのではないかと思います。
ここでは、急性期病院の経験のあるPT・OTが、医療療養型へ転職するとどんな点で変化があるか解説していきます。
学びの時間を取ることが可能となる
医療療養型病院へ入院されている患者さんは、平均しておよそ発症後2か月以上経っています。急性期病院で見ていたケースと照らし合わせ、その後の病態把握をする事も可能です。
時間に追われ、患者さんと向き合う時間が取れていないセラピストは医療療養型病院への転職を考えてもいいのではないかと思います。自分の担当している患者さんの病態・身体評価等時間をかけて考える事が出来るでしょう。
残業も急性期と比較し少ないので、業務後自身の勉強時間にあてる事ができます。主治医に病態説明や画像読影等を学べる機会も多くありました。
難病や変性疾患等の疾患を診る事ができる
医療療養型病院に入院されている患者さんの中では、難病や・神経変性疾患を既往に持っている方も少なくなかったです。
実際にその疾患の方を診る事ができるのは貴重な経験であるし今後の自分自身の強みにもなってきます。急性期病院でいろいろな疾患を診たいと感じていた私にとっては貴重な時間ででした。
給与と労働時間
就職活動における給料面や労働時間の問題はなかなか聞きづらいですよね。私自身は法人自体が家族経営で、職員にも手厚いサポートをしていただけました。
給与は上がるのか?
面接時に前職給料をベースで検討と言われました。結局プラスになりました。昇給も毎年6000円程あり優遇されていたと思います。
周囲の同職種の話を聞いていると、グループ病院と比較すると昇給率も良く感じました。退職時経験年数5年で、年収450万程ありました。
労働時間はどれくらい変わるのか?
患者担当数は、かなり多かったです。入院患者さん20名以上、外来患者さん10名前後、訪問2~3件担当していました。急性期と比較して、一日に見る患者さんの数は圧倒して医療療養型病院の方が多かったです。病状や身体状況によって、患者さんの介入頻度は様々でした。
私が勤務していた医療療養型の病院は、暦通り休日がありました。また17時終業なので、残業をしても18時には退勤可能でした。月で残業分だけで40時間以上は違うと思います。
身体・精神面での疲労はかなり軽減が図れました。
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多職種との連携はどう変わる?
これは急性期だから・・維持期だから・・、話す内容が変わるというのはなかったです。ただ、病院自体が患者さんに対して親密であり、カンファレンス以外での話合いが短時間で持たれる事が非常に多かったです。主治医の先生も声をかければ、病室まで一緒に見に行ってくれたりと、相談しやすい環境でした。
また、主治医の回診時に付き添う事も多くあり、指示をその場でもらう事も多かったです。
またリハ科スタッフ内での情報共有も非常にスムーズでした。セラピスト3名と非常に少なかったですが、日々コミュニケーションが密に取られていました。業務中は個々での実施になりますが、声をかければ協力しあえる関係が築けていました。
また、リハビリ助手の方が2名おり、私達のサポートを全面的にしてくれていました。リハビリ助手の教育面では頭を悩ませた時期もありましたが、日々の業務には欠かせない存在でした。
転職後に求められたスキルとは?
理学療法士として求められるスキルは、急性期と変わりません。病態知識・リスク管理・治療技術は当然求められます。特に幅広い疾患に対応できる、病態知識が必要です。
スタッフが少人数のため、一人での役割負担がとても多く常に先を見て行動する事が求められていました。主治医や他職種への提案力もその一つであります。
またリハビリ科内での、教育面での苦労がありました。私が特に必要と感じたスキルは以下の3つです。
他職種への実技指導
介護職に関しての技術指導を行う事が多かったです。車椅子への移乗、トイレ介助法の指導等病棟での技術指導を定期的に行っていました。腰痛に悩んでいる職員の、介助法の確認等行う事も仕事の一つと考えました。
また患者さんのケースによって身体介護に抱えている悩みの解決策を、先頭に立ち考える事も多くありました。リハビリ介入時だけではなく、病棟での生活において他職種で話合いができる事は大変やりがいがありました。
新入職員の介護スタッフに対してのレクチャーは業務に欠かせないものでありました。介護未経験の方もいたので、体の使い方や手順から説明する必要がありました。未経験スタッフによるインシデントは非常に多いため、指導する私達も緊張感を持ち実施していました。
専門的用語を使わず、誰にでも理解できるよう教え理解していただくこと、また分からない事をすぐに相談できる環境作りに心がけていました。スタッフへの思いやり・協調性と人材教育が求められていたと思います。
リハビリ科内教育:リハ助手・学生指導
日々の業務をするにあたり、リハ助手のサポートは必要不可欠です。リハ助手への、疾患別の算定期限の事や、算定できる疾患名、発症日のルールを説明するのも私達の仕事です。急性期病院ではすべて電子カルテがやってくれていました。
こんなに覚える事が多いなんて・・と自分自身びっくりしました。紙カルテを使用していたので、すべて自分たちで行っていました。リハビリ科も立ちあげたばかりだったので、まずセラピストで業務マニュアルを作成し、それをリハ助手の方に渡し業務を進めてきました。
その甲斐あり、私自身疾患別の基礎知識や診療報酬にも詳しくなりました。3人という少人数ではありますが、誰一人事務作業を嫌がらず行っていました。業務を行う中での上司への報告・連絡・相談の徹底にて、効率的に科内の連携が取れていたと思います。
また養成校からの学生を実習に受け入れていました。実習生を指導する際、つい強い言葉口調になってしまう事もあります。本人の持っている個性を引き出しながら、楽しく実習に毎日来られるような環境作り・指導をするよう努めていました。
人に教える事は自分で理解していないと出来ないことです。指導を受ける側よりも指導者側に努力する必要性を強く感じています。日々新しい事にチャレンジしていく精神が大切だと思っています。
担当患者数が多いため、個人でのスケジュール管理
業務時間項目でも担当数については述べましたが、急性期と比較して担当数がかなり多いです。その中で一週間でのスケジュールを自分でたて、その空き時間をみて訪問リハの時間をとっていました。
社会人なので、自身のスケジュールを立てる事は当たり前であると思います。ただこれが意外にも大変でした。担当数が多いため把握できなくなる状況もあり、リハ助手とダブルチェックを行い防ぎ確認作業を実施していました。
スタッフ数も少なかったため他の人に迷惑が掛からない様にスケジュールの管理の徹底が義務づけられていました。時間の要望等もありましたが、患者さんに不都合にならない様取り組んでいました。
急性期から医療療養型病院に転職して良かったこととは?
ここまで医療療養型病院での給与や労働時間、求められるスキルについて解説してきましたが、私自身転職して、良かった事ばかりでした。転職した事で、自主性・責任感が強くなりました。
この項目では私が医療療養型病院へ転職して良かったと感じたことを、ご紹介していきます。
メリット①:患者さんと向き合える時間が多い
一人の患者さんと向き合える時間がとれた事が一番の変化です。なぜそのように変わったのかは、環境の変化もあると思います。とにかく環境が穏やかであり、自分自身心に余裕ができたのかもしれません。時間的余裕がものすごく増加したわけではありませんでした。
患者さんのご家族とも話す機会が増え、医療療養型病院の役割を考えさせられました。
意識がなかった担当患者さんが、回復によりご自宅へ退院し訪問リハまで担当する事が出来た時は本当に嬉しかったです。その際胃瘻から経口摂取、ベッドアップから車いす、傾斜台を用いた立位訓練から平行棒歩行への身体状況の変化は忘れる事ができません。
リハビリ中家族が見学し、泣いて喜んでいたのが印象的でした。前病院で回復は難しいと回復期のリハ転院は断られたと仰っていました。転院後わずかな変化に見逃さず他職種と連携し、回復の道筋を作る事ができ本当に幸せでした。
メリット②:家族・友人との時間を大切にできた事
ワークライフバランスが取れたことにより、家族・友人との時間を持つ事が可能になりました。持病がある母と海外旅行に行き、思い出作る事が出来ました。
母の持病は進行性のものです。主治医の先生から、やりたいは事できるうちにやっといた方がいいといわれました。海外で子供の様にはしゃぐ母の姿を見ることが出来て、本当に嬉しく思いました。
また友人との時間を作る事もでき、結婚式の余興に励む事が出来ました。友人の結婚式に余興にて素敵な笑顔を見る事ができ私自身嬉しく感じました。ワークライフバランスを保つ事は容易ではないですが、達成できたときその後の仕事のモチベーションに繋がりました。
急性期から医療療養型病院に転職して後悔したこととは?
4年間医療療養型病院にて勤務していました。入職翌年、法人内での訪問リハを立ち上げする機会にも関わる事が出来ました。転職して後悔した事は一度もなかったです。
転職して後悔はない
私が後悔しなかったのは、環境の変化が苦痛ではなかった点が大きいと思います。未熟者な私に様々な経験をさせていただきました。その経験により自主性と責任感が強まる事が出来ました。訪問リハビリに初めて行った際、不安でどうしよう・・・・と焦っていた事もつい最近に感じます。急性期から維持期まで、セラピストとして働く環境があります。
やはり初心に帰りいつでも、リスク管理が重要と考えさせられます。働く環境が変化しても、技術習得を怠る事なく、向上心を持ち続ける事が大切だと感じています。また環境が変化しても、スッタフ間の連携・協調性が求められていると思います。
新しい事を嫌がらず、チャレンジしていく事が自身の成長に繋がると考えています。私自身転職は自身のステップアップです。
辞めていった人の特徴、共通点
病院職員全体として離職率は低い印象でした。ただ退職者の共通点では、介助量が多く身体的な負担が大きいと声が寄せられていました。
特に介護職の方での意見が圧倒的に多かったです。
医療療養型病院となると、身体介護を必要とするケースがほとんどであるため、介護者の負担はとても大きいので職員のケアの必要性を考えさせられました。
転職ノウハウ事例集
まとめ
今回急性期病院から医療療養型病院へ転職した私自身の経験談を記載しました。
医療療養型病院は患者様・ご家族と職員の関係性がとても密である点が魅力的であると思います。PT・OTにとって働きやすいかどうかは、ご自身が環境の変化をどう受けとめるかによっても異なります。
しかし勤務時間の点から考えるとワークライフバランスは非常に取りやすいと思います。転職の候補として、今回の経験談を機に医療療養型病院を一つとして検討していただけたら幸いです。
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