
将来的に起業か管理職になりたいから、訪問リハに携わりたい。けど、いきなり一人で任されるのも不安だし、施設で働く時よりも給与が安定しないって聞くし・・・。
求人応募する際に気になる点は多くあることでしょう。しかし、最も大切なのは、目的に合っている仕事を選ぶことです。
あなたの働く目的は何か?それをしっかりと見据えて、求人応募することが最重要でしょう。
そうは言っても、一般的な注意点を知りたい方もいるかと思います。そこで今回は、訪問リハ未経験の理学療法士が求人応募する時の一般的な注意点について、中間管理職として5年間働いた私の経験から解説していきます。
- 給与の安定性を考える
- 拘束時間について考える
- OJTの有無を事前に確認する
訪問リハ未経験のPTが気を付けるべき注意点
注意点は、何のために働くかという目的によって変わりますが、未経験であれば『お金』『時間』『教育体制』で悩むことが比較的に多いのではないでしょうか。
これらは全て、人生のプランを立てる上で、必要になってくる部分でしょう。それぞれの要素1つとっても、転職をする理由になり得るほどに大切です。
全ての要素を得たくなる気持ちは理解できます。しかし、それは難しいでしょう。
たとえば、訪問リハビリで「お金」と「時間」を同時に手に入れることは難しいです。インセンティブを利用して稼ごうとすると、『時間』を要します。逆も然りです。
どこに比重を置くか、優先順位を定めることが大切になるのではないでしょうか。
注意点①:給与の安定性を考える
給与が安定しないという印象は、インセンティブや歩合制の職場だったり、残業に頼ったりする働き方をした場合に生まれるものではないでしょうか。
給与における、基本給や職務手当などは基本的には変わりません。特に給与の多くを占める基本給は、労働者の同意なく下げると違法になります。
つまり、一般職の労働者として働く場合は毎月得られる給与は基本給である程度決まります。変動する部分は、残業手当や歩合給、インセンティブになるでしょう。
インセンティブによる給与アップ条件は魅力的ですが、『基本的に変動しない給与』を確認し、安定して得られる部分をしっかり見ることが大切です。
それをしっかりと確認した上で、インセンティブや歩合給などの要素を加味して求人応募するのが良いでしょう。
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注意点②:自由な時間の捉え方
訪問リハビリは1人になる時間が多いです。そのため、時間に余裕が生まれやすい印象があるかもしれません。しかし、実際は捉え方によります。
たとえば、訪問途中の移動時間を自由時間と捉えるか、拘束時間と捉えるかによってストレスの感じ方は変わります。
仕事内容としては、移動時間は必要になる要素であるため、拘束時間となるでしょう。しかし、その時間を有意義に感じるかどうかは人それぞれです。
時間に余裕を持ちたいのであれば『訪問件数』を確認しましょう。管理業務を要する場合は、条件が分かりにくくなりますが、訪問件数が多い事業所ほど基本的に時間に余裕を持ちにくくなります。逆も然りです。
自分に合う仕事内容かどうかを確認することが大切になるでしょう。
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注意点③:OJTの有無
未経験で訪問リハビリの仕事に就く場合、特に気にかかる点でしょう。事業所によっては、「見学」→「模倣」→「実施」のように現在の臨床参加型実習と同じ形式の教育体制を持つところもあります。
訪問件数も、未経験であれば少なく調整できるところもあるでしょう。「経験者のみ募集」であったり、「中途採用のみ」のような条件があったりする場合は、丁寧なOJTを比較的受けにくいかもしれません。
未経験者で、教育体制を重視したい場合はそのような点に注意する必要があるでしょう。教育体制はそのようなOJTに限らず、Off-JTの環境も大切な要素の1つです。
しかし、Off-JTの環境は応募条件からは分かりにくいことが多いでしょう。勉強会が実施されていることが分かったとしても、その内容までは分からないことが多いです。
比較的、小さい事業所より、経営母体が大きく医療施設を持っている事業所の方が教育体制は充実しているでしょう。
後輩PTが抱くよくある訪問リハの勘違い
よく聞かれる勘違いは、「お金を稼げる」や「自由な時間がたくさんある」、「多くの疾患に関われるから勉強になる」という内容が多かった印象を受けます。
それは、自分の人生において大きな要素であり、希望を抱きやすい理由があるからでしょう。それに加えて、「訪問系はあまり人間関係を気にしなくて良い」という声も聞かれました。
理想の働き方を見つけて、幸せに暮らしていきたいと思うのは当然のことです。しかし、実際の訪問リハビリは全ての理想を手にできるような仕事内容ではありません。
今回は、その不安に対する私の考えを以下に示していきます。
勘違い①:訪問リハビリは稼げる

訪問リハビリで働くと、インセンティブが多いからお金を多く稼ぐことができる。
私の見解
理学療法士は専門職と言っても、給料をもらう立場であるのでサラリーマンです。
会社の給与形態は、そうそう変わるものではありません。将来的な給与は、基本的にその職場の上司や先輩に習って同じように上昇します。
インセンティブ制が導入されていれば多少の変動はあるでしょう。その場合であっても、務め先の事業所の上司や先輩が最も参考になることに変わりはないはずです。
お金を稼ぐということは簡単ではありません。インセンティブ制が導入されていても賞与が、基本給ベースではなかったり、訪問件数がインセンティブの条件になっていなかったりすると、その分仕事をする時間は長くなるでしょう。
メリットがあれば、デメリットがあるということです。だからこそ、自分にとっての『豊かさ』の指標を持つことが大切になります。
収入を増やすための選択肢は以下のようになるでしょう。
- 金銭面に納得しながら一般職として働き続ける
- 管理職等へキャリアアップを狙う
- より良い条件の職場への転職を狙う
- 企業をする
- 副業をする
自分に合った働き方を模索し、自己決定していくことが大切です。
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勘違い②:訪問リハビリは自由な時間が多い

訪問の仕事は、自分でスケジューリングできて、自由に時間が使える。
私の見解
訪問リハビリに限ったことではありませんが、仕事には繁盛期と閑散期があります。そして、比較的に訪問リハビリはその差が大きくなりやすいでしょう。
繁盛期であれば、訪問件数は多くなり、自由に使える時間は減少します。いつでも自由な時間が多い状態が続くということは無いはずです。
閑散期であったとしても、訪問件数が給与に影響する職場であれば収入減少の要因となります。
仕事時間を長く持ち、収入を増加させる働き方を求めるか、そうではないかは、自らの「豊かさ」の指標を持って判断しましょう。
時間やお金に対する悩みを解決するためには、さまざまな選択肢を持つことも大切です。
勘違い③:訪問リハビリはスキルアップできる

訪問リハビリで地域に携わり、多くの疾患を担当することはスキルアップにつながる。
私の見解
環境に応じて、必然的にスキルアップできる部分と、そうでない部分があります。訪問リハビリでは、リスク管理や他職種連携が必須になるため、その面は自然と学ぶことができるでしょう。
それ以外は、Off-JTを活用したり、自己啓発が必要になったりします。スキルアップは、与えられる環境も大事ですが、自ら学ぶ姿勢によって培われる部分も大きいでしょう。
忘れてはいけないことは、仕事である以上、「求められる価値」を提供する必要があるということです。
急性期医療では、そこに求められる価値があるように、地域には地域で求められる価値があります。それは同一ではありません。
「求められる価値」をしっかりと提供できるように学ぶことを前提として、それ以上を求めるのであれば自己啓発の要素が大きくなることでしょう。大切なのは、自ら学ぶ姿勢です。
もし、「自らが求める価値」と「求められる価値」に大きな乖離があるのであれば、考え直してみる必要があるかもしれません。
勘違い④:訪問リハビリは人間関係に悩まされにくい

訪問リハビリは、大勢の人と関わる機会が少なくて人間関係が楽だ。
私の見解
退職理由として、比較的多く挙げられる理由に人間関係があります。おそらく、どのような職場であっても人間関係に悩む方は少なくないのではないでしょうか。
訪問リハビリは、リハビリ時でも1対1で長時間のコミュニケーションを取ることになります。また、家族が同居していれば、家族ともコミュニケーションを取る機会が多くなるでしょう。
他事業所との電話連絡も多く、医者との関わりも多くなりやすい職種です。
人との密な関係性が得意な人ほど訪問リハビリの仕事が上手くいくこともあるでしょう。
人の価値観は、まさしく十人十色です。同じ家で育った兄弟であっても価値観に相違が生まれます。
価値観が完全に合致する人に出会う機会というのはそうそう無いことでしょう。「自分に合った」働き方なのかをしっかりと考えていくことが大切です。
自分を知ることによって、働き方もコントロールすることが豊かさへの一歩となるでしょう。
訪問リハ未経験でどのようなキャリアが考えられる?
訪問リハビリ未経験で、訪問リハビリに携わる場合、基本的には一般職としてキャリアを始めることが多いのではないでしょうか。
管理経験のある方であれば、管理職のキャリアを獲得することも可能です。しかし、当然ながら管理者は責任を取るべき立場になります。
訪問リハビリを運営する上では、リハビリ対象者のリスク管理も大切です。それに加えて、介護・医療制度を理解した上で適切に不備なく情報を管理する必要があります。
情報の管理が適切に行えないまま運営した場合、保険請求の返戻対象となってしまう可能性が考えられるでしょう。
一般的な訪問リハビリのキャリアパスは、リハビリ職としての能力に加え、管理能力を有するか否かに影響を受けやすいのではないでしょうか。
キャリアパス①:訪問リハビリでキャリアアップ
訪問リハビリ未経験からのキャリアを考える時、そのままキャリアアップして管理職の道を目指すのも選択肢の1つでしょう。
その仕事が好きであれば一般職としての仕事を楽しみつつ、キャリアアップを目指せます。
管理者になると、責任が重くなるのと同時に仕事の自由度が高くなります。訪問リハビリの管理者の上に管理者がいれば、当然その指示を受ける必要はあるでしょう。
しかし、訪問リハビリの運営を管理できる立場になれば、「時間」のコントロールをしやすくなります。
「お金」という面でも、一般的に管理職になれば役職手当が付きます。「責任」を負うことで「時間」と「お金」の両面で良い条件を得られることでしょう。
キャリアパス②:訪問リハビリでキャリアを積んで転職・起業
訪問リハビリは1人になることが多く、その環境で仕事をすることは自信につながります。スキルアップやキャリアアップを図り、転職や起業につなげるのも1つのキャリアパスになるでしょう。
より良い条件の職場に転職できれば、自らの目的に合った仕事をすることができるかもしれません。
転職エージェントでの転職相談は、無料で行えるところもあります。デメリット少なく転職を検討することも可能でしょう。
起業する際には、さまざまなリスクに注意を払いつつ行なう必要があるでしょう。コストや法律をしっかりと踏まえて事業を起こさなければ、危険を伴います。
起業する際は、リスクの許容範囲を理解した上で起業することが大切です。自分に合った仕事をするための選択肢として、転職や起業を考えてみるのも良いでしょう。
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キャリアパス③:訪問リハビリと副業
時間に余裕の持てる職場であれば、副業を検討してみるのも良いでしょう。訪問リハビリを本業として安定した収入を得つつ、副業でお金を稼ぐというのは金銭リスクの低い働き方の1つです。
訪問リハビリのインセンティブ収入を得られるように、本業を頑張るというのも1つの方法でしょう。しかし、訪問リハビリは繁盛期と閑散期があります。インセンティブ収入を毎月同じように得られるとは限りません。
副業をすることによって、時間を失うことになりますが、お金を得る手段が増えることは精神的な安定にもつながります。
時間を失うというデメリットのみで、行えるため比較的手を出しやすい選択肢の1つではないでしょうか。
まとめ
訪問リハ未経験の理学療法士が求人応募する時の注意点は、今回紹介した内容以外にも、人によってさまざまでしょう。
最も大切なことは、自分に合った働き方の基準を自分の中に持つことです。
求めるものを全て得るのは難しいことです。あちらを立てればこちらが立たずといった具合に、得られるものには限りがあるでしょう。
自分の中の価値基準の優先順位をしっかりとつけて求人応募することが大切になります。
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