訪問リハで中間管理職になった理学療法士に求められるスキル・価値観とは?

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訪問リハで中間管理職になるとしたら、どんなスキルや価値観が求められるのだろう。中間管理職になると、各職員が訪問してなかなか見えない環境の中でどうやってマネジメントしなければならないのだろうか。訪問リハの中間管理職になる上で、求められる要素について知りたい。

訪問リハで管理職に就いたは良いけれど、どのようなスキルが求められ、どのような価値観も持ってマネジメントしていけば良いのか悩む方もいるのではないでしょうか。

訪問リハの中間管理職として重要な能力は、訪問リハの特徴である『職員の実務が見えない環境』をマネジメントしていくスキルになるでしょう。

管理職の役割は幅広いですが、訪問リハという環境において特に重要になるのはリスク管理と教育であると、経験から感じています。今回は、訪問リハという環境に合わせて、マネジメントにおいて重要と考えられる項目をピックアップしました。

訪問リハの管理職の経験を持つ私の実体験を交えつつ、その立場に求められるスキルや価値観について解説します。

記事のテーマ
  1. 実務が見えない環境でのマネジメント
  2. リスク管理とリスクの振り分け
  3. 教育と評価の一体化

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訪問リハの中間管理職に求められるスキル3選

訪問リハの中間管理職に求められるスキル3選

訪問リハの特徴は、職員が訪問に出てしまうので実務している姿を見ることができない環境にあるということです。実務が見えない環境をどのようにマネジメントしていくかという点が訪問リハの中間管理職に求められる重要なスキルになるでしょう。

主にリスク管理を意識した教育といった面が大切になってきます。今回はポイントを3つにまとめました。

その①:マネジメントスキルとリスクの振り分け

訪問リハの場合、各職員が訪問に出るため実務をしている状況を実際に見ながら管理する機会は少ないでしょう。実務の状況が見えない環境でどのように管理を考えていくのかが大切になります。

訪問リハの管理は、管理職がセルフマネジメントをした上で、リスクを適正に振り分けつつマネジメントすることが重要になるでしょう。

組織をマネジメントし、教育された職員がいることで運営が上手くいくことは間違いありません。しかし、実務が見えない環境では個人の能力を評価していくことが難しいのです。

そこで、リスクを適切に振り分けることが必要になります。

一般的に困難事例は、能力が十分に高いベテラン職員に担当を振り、比較的困難ではない事例を能力が十分でない若手職員に振り分けるといった振り分けをするでしょう。

大切なのは、一概にベテラン職員だから困難事例を担当できるということにはならないという理解をしておくことです。

同じ経験年数がある職員同士であっても、個々の能力が同じとは限りません。それぞれの性格特性が異なったり、得意な領域が異なったりします。若手に困難事例の担当を任せた方が上手くいくこともあるのです。

一般的なマネジメントに加え、組織全体や個々の職員を把握するスキルや適正にリスクを振り分けていくスキルが必要になるでしょう。

その②:リスク管理能力

リスクを管理するためには、管理職自身がリスク管理について理解していなければなりません。リスクとは『危険』のことを指し、さまざまな要素が想定されます。

訪問リハのマネジメントにおいて、最も重要なのは職員の見えない状況でのリスクを管理しなければならないという点です。リスクマネジメントについて個々の能力を把握し、能力の向上を図っていく必要があるでしょう。

リスク管理に長けており、信頼できる職員がいれば良いですが、基本的には教育の役割を持つ管理職がマネジメントしていく必要があります。そのためには、管理職がリスク管理について評価と教育を行えるスキルが重要になるのです。

その③:人材育成スキル

一般的に管理職の役割に人材育成の内容に含まれますが、訪問リハでは特に人材育成のスキルが重要になるでしょう。

訪問リハでは、職員が対象者の住まいに訪問してリハビリを行うため、管理者が実務を見る機会が少ないのです。そのため、評価と教育がスムーズに行いにくくなります。

評価と教育を行うためには、普段から教育を意識してミーティングや普段の会話を活用していくのが良いでしょう。

たとえば、ミーティングの情報共有時に個別的な症例のリハビリ内容について話を展開させてみたり、普段の会話の中で個別症例の目標達成度について話してみたりといった具合です。より詳細に評価と教育を行うのであれば、定期的な勉強会や症例検討をするのが良いでしょう。

勉強会や症例検討を行うことによって、それぞれの職員に担当を振り分け、どのような考えや知見を持っているのかを把握しつつ、教育につなげることも可能でしょう。

教育機会の増加によって職員の負担増加が懸念されますが、職員の実務がほとんど見られない環境である以上、うまく時間を有効活用しながら行っていくことが大切になるのではないでしょうか。

訪問リハの中間管理職の難しさ、苦労

訪問リハの中間管理職に求められるスキル3選

訪問リハの特徴である、実務が見えない環境による難しさや苦労があります。職場をマネジメントする意識を持って職員とコミュニケーションを取り、教育や評価のシステムを整えても苦悩する部分があるのです。

専門領域のみでなく、感情などの個人的な要素もマネジメントする上で絡むため、注意する必要があります。

その①:情報が把握しにくい

管理職がリハビリの対象者を把握することの難しい環境が訪問リハにはあります。実際、契約の段階から管理者ではなく一般職員に担当してもらい、リハビリが終了するまで管理者が関わることのない対象者もいるでしょう。

管理者が関わらない対象者の場合、人づての情報で判断しなければならなくなるため管理が難しくなるのです。担当者に対象者の対応を任せていたら、突然クレームが事務所入ってくるということも実際にありました。

全ての利用者を把握することは難しいですが、細かく職員と会話をし、少しでも情報を引き出すことが大切になります。

また、職員の教育不足によって、見えないところで問題が多発する恐れがあります。問題が重なってしまうと管理者が責任を取るタイミングが遅れる可能性があるでしょう。謝罪や緊急時の対応はスピード感が大事になることがあるため、対応が遅くなるとトラブルが大きくなる可能性があるのです。

訪問リハにおける教育の重要度は非常に高いと私の経験から感じました。

その②:リスク管理レベルの把握が難しい

訪問リハは実務がほとんど見えないため、リハビリ対象者の情報を把握することも難しいですが、職員のリスク管理能力を把握することも難しいという状況があるのです。

高リスクのリハビリ対象者と契約を結んだ場合、『誰に担当してもらうべきか』分かりにくいのです。

管理者が高リスクの対象者を担当することもできますが、高リスクの対象者が多くなり、担当を分担する必要性が生まれる可能性があります。

また、管理者が多くの対象者を担当してしまうと、フォローやトラブル解決の対応ができなくなるため、できるだけ担当数を抑える必要があるでしょう。

さらに、管理職がリスク管理のために職員の支援を行うとしたら事前に2名同時訪問などをスケジュールに組む必要があります。

訪問時間に縛られるリスク管理が必要であることもマネジメントの難しい要因になり得ます。なるべく多くの情報を管理者が把握することは大切になりますが、1つも情報を漏らさずに把握することはできません。

大切なのは、職員のリスク管理能力の評価とスキル向上を図ることによって、管理者が管理する範囲を小さくし、適切にリスクを振り分けていくことではないでしょうか。

その③:スキルアップのペースは人それぞれ

人材育成の重要性について多く記載してきました。教育を日常から意識して関わり、勉強会や症例検討会のシステムを作って体制を整えたとしても、全ての人が同じようにスキルアップしていくとは限らないのが教育の難しいところです。

教育体制を整えてもほとんど成長を感じられない職員がいたり、自分自身のスキルアップを望まない職員がいたりする状況を何度も見てきました。

逆も然りで、自ら向上心をもって短期間で急成長する職員もいます。職員の経験年数と、能力は比例しないという状況は、多々あるでしょう。

副管理職のポジションや、難しい症例の担当などを決める際に、若手の職員を採用することもあり得ます。そのような時は、それぞれの職員の感情面にも配慮していく必要があり、苦労する場面となります。

感情に配慮する時は、なるべく個別に話をする機会を設ける方が良いでしょう。他者がいる中では話しにくい気持ちについても話せることがあります。

キャリア・現場で役に立ったこと

キャリアや現場で役に立つことは、現場を体験しつつ学び続けることによって獲得できるものです。訪問リハという制度は同じであっても、現場は1つ1つ異なるものです。

基本的にはそれぞれの現場を経験した上で、それぞれに合わせたスキルが重要になります。

しかし、リハ職の管理についての情報が少なく、何か役立つ情報を得たいという方もいるでしょう。以下に私の経験から得た、一般的に役に立つのではないかと感じる考え方について解説します。

その①:自分自身のスキルアップ|『伝える力』『受け取る力』

訪問リハの管理職をする上で、評価と教育は非常に重要なテーマになります。それを意識しつつ職員と関わることによって、私自身の成長にもつながりました。

教育する役割を担う管理職である以上、自らを教育し、管理していく能力が必要になります。

教育を行う中で、職員と共に私自身もスキルアップしていくのを実感しました。また、管理職の場合は専門領域におけるスキルアップのみでなく、『伝える力』や『受け取る力』のスキルアップが重要になってきます。

私自身がスキルアップして、理解しても、職員に伝わらない限り教育においては意味を持たないからです。うまく伝えたり、うまく受け取ったりするスキルは知識を身につけるだけでなく、経験によって得られるものが大きいと感じています。

管理職を経験して得られた『伝える力』や『受け取る力』のスキルは、現在でも役に立っています。

その②:教育と評価を一体化して考えること

評価と教育を分けて考えずに、一体的に考えていくということを経験の中で学び、その考え方は今でも役に立っています。人事考課のように形式の決められた評価に限らず、普段の会話の中から職員の評価や教育を行うことも可能なのです。

たとえば、職員と担当症例の話を通して、知識や考え方を共有し、アドバイスをしていくことで評価と教育を一体的にすることができでしょう。私はミーティングやわずかな雑談の時間を利用して教育と評価に活かしていました。

これは、対象者をリハビリする時の考え方にも似ています。評価と治療を一体的に考えていくことによって、より効率的かつ効果的なリハビリが行えるでしょう。

『どのような修正をすると良くなるのか?どのような刺激を与えると負担になるのか?』を考えつつ、与えた刺激と、それに対する反応によってリハビリの方針を修正することは、理学療法士が一般的にする考え方ではないでしょうか。

管理者の役割の1つである教育の本質的な部分は、患者教育を行う理学療法士の誰しもが実は持っているスキルなのかもしれません。スキルを活かす場面が訪れれば、自ずと理学療法士の経験が役に立つ場面があるでしょう。

まとめ

訪問リハで中間管理職になった理学療法士に求められるスキルと価値観については、実務が見えない環境に対応して管理していく考え方が大切になります。

一般的な中間管理職の役割の中でも、特に教育面でのスキルを求められるでしょう。また、それと同時に適切に職員の能力を評価していく必要があります。個人の能力を把握して、リスク管理やリスクの振り分けを適切に行っていくことが重要になります。

個人の特性には大きな差があり、評価と教育を常に意識して教育体制を整えても盤石ではないということを理解した上で、組織をマネジメントしていくことが重要になるのではないでしょうか。

この記事を書いた人

らふき
さん

理学療法士9年目。山梨県内で新卒時点から介護業界で働き続け、通所系・訪問系・管理など様々な経験をし、現在はショートステイ併設の介護老人福祉施設に勤務。

経歴

  • 2012年:理学療法士資格を取得
  • 2012年~2013年:通所介護(デイサービス)で初のリハビリ業務
  • 2013年~2014年:通所リハビリテーション(通所リハ)へ異動
  • 2014年~2016年:再びデイサービス、そして中間管理職へ
  • 2018年~現在:介護老人福祉施設部門管理(一人職場PT)

資格

  • 理学療法士

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