リハノメ考察・レビュー「骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の病態理解と運動療法」圧迫骨折の分類や発症機序

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骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折は、整形外科領域に携わる理学療法士であれば多く経験する疾患です。学生の臨床実習でも経験するほどお馴染みの疾患と言えます。

関わることの多い疾患だからこそ、基本をしっかり押さえた上で介入することが重要になります。

この講義では、高齢者の4大骨折の中でも特に頻度の多い脊椎圧迫骨折に対し、骨粗鬆症の病態から骨折後の管理や具体的な運動療法に至るまで、網羅的に学ぶことができます。臨床に役立つ情報が満載です。

以下に、講義のポイントと現場に活かせそうな事について解説します。

レビューした人:yasuoさん
テーマ 骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の病態理解と運動療法
~圧迫骨折の分類や発症機序~
カテゴリ
難易度1.0
若手おススメ度5.0
講師 赤羽根 良和 先生
さとう整形外科・理学療法士
配信URLhttps://www.gene-llc.jp/rehanome/contents/
動画公開日2020年5月1日(金)
記事公開日2020年9月29日(火)
講義内容の要点
  1. 骨粗鬆症はどのような病態か
  2. 脊椎圧迫骨折に対するリハビリの考え方を理解する
  3. 理学療法士にできることは何か

質問があれば気軽にコメントください

講義のポイント

講義のポイント

この講義は骨粗鬆症由来の脊椎圧迫骨折を学ぶ内容になっています。そこで骨粗鬆症とはどのような状態かどんなことに注意し、何を目標とするべきか理解する必要があります。

骨粗鬆症の病態を理解した上で脊椎圧迫骨折特有の病態や症状、注意点などを学ぶことが重要です。講義を受けることでそれらの理解が深まることでしょう。

以下に講義のポイントを解説します。

その①:骨粗鬆症の病態理解

脊椎圧迫骨折は、骨粗鬆症性の骨折の代表的な疾患です。特に高齢女性に多く、私の勤務する整形外科クリニックでも関わることの多い疾患です。

骨粗鬆症が背景にあり、転倒などをきっかけに受傷することが多いです。そのため、骨粗鬆症の病態を把握しておくことが重要になります。

安定した骨は、形を変えない硬さを持つ剛力と外力を加えられてもしなって、元の形を維持する強度を合わせ持っています。講義では骨は自然界における木に近いと例えられます。

木は表面を硬い皮が覆っており、中身はしなやかさを持っています。そのため、強風に吹かれてもしなって、簡単に折れることはありません。骨も剛力と強度を合わせ持っていれば外力が加わっても、簡単に骨折には至りません。

骨粗鬆症は、このような安定した骨の状態が崩れた状態です。特に女性では20歳を骨量のピークとして、以降増加することなく50歳まで維持されます。20歳までに骨のもととなるカルシウムを摂取しビタミンDを取り入れ、骨の刺激となる運動を行なうことが重要です。

50歳を過ぎ閉経を迎えると、女性ホルモンのエストロゲンが減少します。エストロゲンが減少すると破骨細胞の働きが活発になり、骨をつくる骨芽細胞の働きが追いつかず、骨粗鬆症へと進行しやすくなります。

この生理現象を止めることは難しいため、女性は骨粗鬆症になりやすいと理解した上で、骨に刺激を与えることが大事です。骨粗鬆症由来の骨折後は、その後の予防を考えると、いかに歩ける状態にするかということが目標になります。

その②:椎体の圧潰は椎体のみの問題ではない

脊椎圧迫骨折は椎体が圧潰します。骨折部は椎体ですが、問題は椎体のみに起こるわけではありません。椎骨は前方に椎体、後方に左右の椎間関節が、さらに後方に棘突起があります。

それらが1つのユニットとして成り立っています。圧迫骨折で椎体が圧潰すると、後方の椎間関節には運動軸の不一致が起こり、関節運動が制限されます。

さらに、棘突起の間に付着する棘間靭帯には、伸張ストレスがかかりやすくなります。椎体が圧潰することで、骨折による痛みが生じることになりますが、骨折部が固まればそれですべて解決されるわけではありません。

臨床では、圧迫骨折を起こした部位よりも遠い殿部や腹側部の痛みを訴える患者さんがいます。胸椎レベルの骨折でも、腰部に痛みを訴える患者さんもいます。これは、椎体圧潰による一次的な痛みではなく、変形によって二次的に起こった痛みです。

圧迫骨折の多くが、楔状型とされていて椎体の変形によって、上下の椎骨の後弯化が起こりやすくなります。過度に後弯した場所があると、それをどこか別の場所で代償することになります。

例えば、第12胸椎の圧迫骨折では、上位腰椎は後弯化し、下部腰椎から腰仙部は代償的に前弯が増強することがあります。

その場合は、下部腰椎や腰仙部の過前弯は、抑制し上部の前弯は作らなければなりません。脊柱すべてを伸展方向に、運動させればよいということではありません。個々の患者さんに合わせて、アプローチを考えることが重要になります。

その③:最終的には歩く習慣が身につくことが大事

骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折後のリハビリで重要なことは、社会復帰ができるように日常生活動作を自立へ向けて支援していくことです。

しかし、自宅復帰を果たしただけでは、脊椎圧迫骨折後のリハビリを最終的な目標を達成したことにはなりません。脊椎圧迫骨折は、骨粗鬆症を背景にしているため、転倒や体幹の前屈動作によって再発することが多い骨折です。

そのため、最終目標は、骨粗鬆症をいかに改善させるかということです。骨粗鬆症を改善させるには、骨破壊を抑制する薬物療法が行われますが、それだけでは不十分です。薬だけでは、骨の強度を上げることは難しいのです。

その証拠に、骨粗鬆症の治療薬を内服されている患者さんが、何度も圧迫骨折を繰り返し、入院することを私の勤務先でも経験します。圧迫骨折を繰り返す患者さんのなかには、転倒には気をつけて生活しているのに、しゃがみ姿勢を続けて圧迫骨折に至ってしまうことがあります。それほど、骨が脆くなっているのです。

骨粗鬆症を予防、改善させるためには骨に荷重刺激を加えることが重要です。最も簡単な方法が歩行です。歩行することで骨粗鬆症を予防、改善につながります。

脊椎圧迫骨折後の患者さんの最終的な目標は、いかに歩行できる身体にすることができるかになります。歩行ができる身体になったら、それが習慣になるように患者指導も重要になります。

現場で活かせそうな事

現場で活かせそうな事

脊椎圧迫骨折後のリハビリで重要なことは、骨癒合を妨げずに、いかに下肢・体幹の筋力を維持し廃用を予防するかということです。

そのためには、骨癒合がどの程度進んでいるか経過を追うこと、骨折部に負担がかかりにくい動作を指導すること、受傷からの時期に合わせて理学療法を実施することが重要です。それらを踏まえ、現場で活かせそうな事について解説します。

その①:経過を追うための叩打痛テスト

脊椎圧迫骨折の検査として、叩打痛テストがあります。叩打痛テストは、特別な機器は必要なく、理学療法士の技術と知識があれば、実施できるテストであり、経過を追うために重要です。

臨床で叩打痛テストを行う機会は、今までにもありましたが、この講義を受けて方法や考え方を学び重要性を実感しました。

叩打痛テストは、脊椎圧迫骨折があるか診断するための材料という認識で、経過を追うためにも使用できることを知りませんでした。

叩打痛テストを適切に使用できると、骨癒合の程度を徒手的に推測することができ、回復時期に合わせた理学療法を実施することができます。

講義では実技を交えて、具体的な方法が解説されています。まず、腹臥位で患者さんの骨折した椎体レベルの棘突起を触診します。棘突起に指を置き、その上からもう片方の手で叩きます。

椎体にしっかり振動が伝わるように、棘突起を腹側に押し込むように叩くことがコツです。椎体に振動が伝わり、痛みが出れば陽性となります。

また、座位や立位でも叩打痛テストを実施します。座位や立位では痛みが誘発されないのに対し、臥位では痛みが出ることが、脊椎圧迫骨折の特徴です。座位、立位では重力の影響で骨折部が圧着されるため、骨癒合が不十分であっても叩打痛がでませんが、臥位では重力が除去され骨折部が離開することで叩打痛が誘発されます。

レントゲンで圧潰の進行が止まっていて、さらに臥位での叩打痛が陰性であれば、骨癒合は進んでいるという目安になります。これを指標に理学療法でできることが変わるため是非見につけたい技術です。

その②:負担の少ない寝返り、起居動作の指導

脊椎圧迫骨折では、受傷後約3週間は椎体の圧潰が進むと言われます。3週間は仮骨形成まで期間であり、その間は寝返り、起き上がりで強い痛みが出ること多いです。

私も勤務先で、脊椎圧迫骨折の患者さんを担当することがあります。その中で入院初日から歩行器で歩行できる患者さんでも、寝返りや起き上がりで強い痛みを訴える方が多くいます。

痛いながら不適切な方法で、起き上がりを繰り返し、痛いから寝ていた方が楽との理由で臥床傾向になり廃用が進んでしまう方もいます。

痛みが出るということは、骨折部が動いていることが考えられるため、可能な限り負担の少ない寝返り、起き上がりを指導することと、起居動作の回数を減らして、離床時間を長くすることが重要です。

講義では具体的な方法として寝返りでは、左右の肩甲帯と骨盤の軸を合わせ、体幹の回旋が起こらないように、寝返る方法が紹介されています。丸太様であれば、骨折部への回旋ストレスを減らすことができます。

また、起き上がりでは腹臥位になり、ベッドの端へ移動し左右の下肢をベッドの下におろして、上肢のプッシュアップを使って、立位まで至る方法が紹介されています。

上肢の力を利用することで、体幹への負担を軽減しています。脊椎圧迫骨折では、上肢の力を落とさないことも重要です。入院時からベッド上安静の期間を設けている施設では、特に上肢の筋力増強運動も実施しておく必要があります。

その③:受傷後早期ほど座位、立位の運動が重要

脊椎圧迫骨折受傷後3週間以内であり、叩打痛テストで陽性となる時期は、臥位での運動には注意が必要です。臥位では重力の影響を受けにくいため、一見負担の少ないポジションと考えてしまいます。

しかし、脊椎圧迫骨折に対しては、臥位では重力による骨折部の圧着が不十分となるため、骨折部が動きやすいポジションとなります。

そのため、叩打痛テスト陽性の時期は臥位よりも座位、立位で運動を行う方が骨折部には安全です。当然のことながら、椎体の圧潰を防ぐために、体幹の前屈動作は控えなければなりませんが、脊柱のアライメントを整えた状態で座位、立位を取ることは行うべきです。
適度な荷重は、骨折部が圧着され骨癒合の促進にも繋がります。

また、座位、立位を取ることで体幹や下肢の抗重力筋が活動し、廃用予防にもなります。そこで、受傷後早期より座位、立位での運動を積極的に行なっていくべきです。

施設によっては、1〜3週間はベッド上の安静度を取ることもあります。その場合は、上下肢の柔軟性と筋力維持が重要です。下肢の筋力増強をする場合は、骨盤や腰椎の運動を制限した状態で実施しなければなりません。

立位で行う運動に関しては、講義で具体的に示されています。骨盤や腰椎の運動をどのように防ぎながら下肢の運動を行なうか、体幹伸展筋をどのように増強するか解説されています。臨床で活かせる情報が多いため是非参考にしていただきたいと思います。

まとめ

「骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の病態理解と運動療法」の講義を受けて講義のポイントと現場で活かせそうな事について解説しました。

脊椎圧迫骨折は理学療法士にとって馴染みの深い疾患です。関わることの多い疾患だからこそ基本が大事になります。

骨折後のリハビリの基本とは、骨癒合を妨げずに適切な理学療法をすすめることです。骨折後は炎症が起こり、周囲軟部組織の癒着、瘢痕化を生じます。脊椎圧迫骨折も、四肢の骨折同様に、可動域制限が起こりやすくなります。

骨癒合が得られてからは、軟部組織の癒着、瘢痕化に伴う可動域制限を改善すること、体幹伸展筋力の増強が重要です。

脊椎圧迫骨折は、骨粗鬆症を背景としていることが多いため、骨の強度を向上させることが、その後の脊椎圧迫骨折再発のリスクを軽減することになります。

そのため、入院してから自宅復帰を達成すれば完結するわけではありません。再発予防のために歩行能力を上げて、習慣化することが最終目標です。

この講義を受けることで、脊椎圧迫骨折のリハビリの真の目的が理解できるようになります。個人的には講義を受け、患者さんに対して、より使命感を持って接することができるようになったと感じます。すべての理学療法士におすすめの講義です。

この記事を書いた人

yasuo
さん

30代の男性で二児の父。現在は整形外科クリニックに勤務。外来リハビリ中心のクリニックで肩関節周囲炎や腰椎椎間板ヘルニア、交通外傷の患者さんなどを担当。入院では主に腰椎圧迫骨折や大腿骨頚部骨折の手術後の患者さんのリハビリを行う。

経歴

  • 2009年理学療法士資格を取得
  • 2009~2013年:内科と整形外科のある一般病棟、回復期病棟、外来リハビリ部門のある病床数150床の一般病院
  • 2013~2020年:急性期病棟、回復期病棟、外来リハビリを持つ病床数300床の総合病院へ転職
  • 2020年~:病床数19床の整形外科クリニックへ転職

資格

  • 理学療法士

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