リハノメ考察・レビュー「パフォーマンスの基礎となるコア!体幹機能障害から起こるスポーツ障害」姿勢から重心の偏りを評価することが重要

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人が動作を行う上で体幹機能は欠かせません。スポーツの分野では体幹の重要性が注目されており、トップアスリートから一般のスポーツ愛好家に至るまで多くの方が体幹トレーニングを行います。

パフォーマンスの基礎となる体幹機能ですが、体幹機能が低下することによりスポーツ障害が発生することがあります。スポーツのみならず、腰痛や肩こりなどの慢性疼痛とも重要な関わりをしています。

この講義を受けることで体幹機能の重要性が理解でき、理学療法士としてどのような視点を持てばよいか学習できます。以下に講義のポイントと、現場で活かせそうな事を解説します。

レビューした人:yasuoさん
テーマ パフォーマンスの基盤となるコア!
体幹機能障害から起こるスポーツ障害
~上肢・下肢の関連性を考えた
スポーツリハビリテーション
概論&評価編~
カテゴリ
難易度3.0
若手おススメ度5.0
講師 金子 雅明先生
理学療法士
株式会社 KINETIC ACT 取締役
日本スポーツ協会
公認アスレティックトレーナー
配信URLhttps://www.gene-llc.jp/rehanome/contents/
動画公開日2020年10月24日(土)
記事公開日2020年11月11日(水)
講義内容の要点
  1. 人は重力の影響を受けながら動作を行なっている
  2. 姿勢から重心の偏りを評価することが重要

質問があれば気軽にコメントください

講義のポイント

講義のポイント

体幹の重要性は理解していても、関節や筋が細かく、運動のバリエーションが多いため、評価が難しい印象があります。講義では体幹を見る上で基礎となる知識深め、どのように評価し治療へと繋げていくか学習することができます。

以下に講義のポイントとして、重力とメカニカルストレスの関係、不良姿勢が作られる原因を探る重要性、背臥位を見ることの大事さを解説します。

その①:重力とメカニカルストレスの関係

私たちは地球に生きている以上、常に重力の影響を受けています。しかし、普段重力を意識することはありません。普通に座って、普通に立って、歩くという具合に自然にできています。自然にできるのは無意識のうちに、重力に抗する力を発揮して動いているためです。理学療法士は常に重力との関係を意識して、対象者を見ていかなくてはなりません。

重力に抗している形がアライメントです。アライメントという用語は臨床でもよく使います。「アライメントが良くない」「アライメントを正常な位置に修正しよう」などと表現されます。アライメントを見ることは重要ですが、それをどのように考えていくかは難しいものです。

講義では「アライメントはその人の生活習慣や動作の特徴を示すものであり、重力の影響を受けた骨・関節の形状、筋活動の変化が脳内で学習され、姿勢や動作として表出される」と解説されます。骨・関節のアライメントや筋活動を捉えることで、抗重力位での動作戦略の予測が可能になります。

これを応用したのがPredict Motion Theory:PMT(動作予測理論)です。PMTを理解することで評価や治療の進め方の指針ができます。アライメントから治療の糸口を見つける意識をしていくと、結果に繋がりやすくなります。この講義の最大のポイントとも言えるほど重要です。

その②:不良姿勢が作られる原因を探り、アプローチする

座位や立位など抗重力姿勢になった場合に、身体には重力がかかり、床からは床反力を受けています。重力に負けてしまうと、体幹が屈曲し猫背姿勢になったり、膝が屈曲して不良な姿勢が作られていきます。

不良姿勢を続けていると、筋肉の硬さ、筋力の発揮の仕方に左右差が生まれ動作に偏りが出ます。理学療法士は姿勢と床反力を意識して観察することで、円滑に動くことのできる身体づくりをサポートすることが重要です。

ただ、「インナーマッスルが弱いから、体幹を鍛えましょう」では、不十分です。不良姿勢になってしまう原因を取り除いた上で、体幹トレーニングをしなければなりません。

一流のスポーツ選手ほど座り方、立ち方、歩き方を意識しています。いわゆる良い姿勢は筋肉のバランスがよく、効率が良く、故障しにくいことを知っているためです。講義では不良姿勢の状態から動くとどうなるか解説されます。

例として右膝の違和感を訴える症例のスクワット動作が紹介されています。矢状面上では体幹前傾、股関節屈曲、膝関節屈曲が適度に行えていますが、前額面上では右への重心移動が大きくなる特徴がありました。

その場合は、右に重心が偏ってしまっている原因を探ることになります。体幹を見ると右肩が下がり、骨盤も右が下がり、右回旋する状態でした。その状態で正中を意識してスクワットを指導しても、原因が取り除かれていないため正しい動作で行えません。

まずは、重心が右に偏ってしまっている原因にアプローチすることが重要になります。

その③:背臥位を見ることも大事

背臥位は重力の影響を受けにくいポジションです。それにも関わらず、アライメントの異常を来しているということは筋の硬さを見るポイントになります。座位、立位という抗重力姿勢になったときには、背臥位でのマルアライメントが助長される可能性が高いのです。

背臥位の特徴としては、力学的特徴、構造学的特徴、運動学的特徴、の3つがあります。

力学的特徴としては、支持基底面が広いこと、重心位置が低いこと、偏りが少なく安定した姿勢であることが挙げられます。

構造的特徴としては、軟部組織と骨隆起部で支持していることです。背臥位は接触面積が多く安定している姿勢に見えますが、背中全面で支えるわけではありません。支えるポイントは褥瘡の好発部位となる骨隆起部です。

脊柱は多くの骨・関節で構成されるため、回転しやすく、非対称性姿勢になりやすいという特徴があります。捻れのポイントをローテーションポイントと言います。

運動学的特徴は脊柱弯曲により隙間が生じることと、回転作用を制動する力が働くことです。背臥位では、頚椎前弯により床と頭部までは6〜8cm、腰椎前弯により2〜3cmの隙間ができます。

この隙間があることで回転が起こりやすくなります。回転作用があるということはそれを制御するための筋活動が必要になります。

低い筋活動を維持するプライマリー・スタビライザーの機能が重要です。不良な背臥位は、プライマリー・スタビライザーの機能低下を意味します。

現場で活かせそうな事

現場で活かせそうな事

体幹機能を評価することの重要性が理解できたら、次に気になることはその方法です。講義では評価の方法が詳しく解説されています。それはそのまま臨床で活かせる内容になっています。

講義の中で特に重要な情報として、SLRを用いた方法、プライマリー・スタビライザーの機能を活性化する方法、立位姿勢と側屈を用いた評価方法の3点を挙げました。以下に現場で活かせそうな事として解説します。

その①:自動下肢伸展挙上テストとローテーションポイントの評価

自動下肢伸展挙上テストとは、背臥位で膝関節伸展位のまま、股関節屈曲と外転運動を行い、軽度屈曲、外転位で保持するものです。SLRをしながら股関節を外転するだけの簡単な運動です。

このテストによって、体幹の固定性を評価することができます。体幹の固定性が低下している側は、骨盤の同側回旋と寛骨の後方回旋が強くなります。わかりやすく表現すると、骨盤のベッドへの落ち込みが大きくなります。

例えば、右下肢に比べ左下肢で骨盤の回旋が大きくなった場合を考えてみます。このとき、骨盤の回旋を制御するのは反対側の内腹斜筋と、同側の外腹斜筋、同側の大腿内転筋群となります。

これらの筋の機能低下が左側にあると推測されます。

さらに背臥位では、捻れのポイントとなるローテーションポイントを見ることが重要です。ローテーションポイントは「頭、肩甲帯、みぞおち(Th8〜12)、骨盤、股関節、足部」です。自動下肢伸展挙上テストでは、下肢を挙げた側のTh8〜12の同側回旋と肩甲帯の反対側回旋で対応することになります。

この2点が、このテストにおいて重要なローテーションポイントになります。

下肢伸展挙上テストの結果、機能低下が起こっている筋が推測できたら、筋の柔軟性や筋力検査を行い、治療へと繋げて行きます。

その②:プライマリー・スタビライザーの機能と活性化させる方法

講義では筋機能の分類として安定筋と動作筋に分けています。プライマリー・スタビライザーとは第一に働く筋であり、姿勢維持や動作に先行して活動します。セカンダリー・スタビライザーとはプライマリー・スタビライザーに続いて安定と動作をつなぐ筋群です。

モビライザーとは、文字通り動作を作るための筋群です。これら全てが協調的に働くことで、良い姿勢、効率のよい動作、痛みのない動作を遂行することできます。特に重要なのはプライマリー・スタビライザーの活動です。

体幹におけるプライマリー・スタビライザーは横隔膜、腹壁・骨盤底筋といった所謂インナーユニットです。体幹の安定性を作るには、インナーユニットの協調的な収縮が重要です。

講義では体幹のプライマリー・スタビライザーを活性化する方法として、呼吸の利用が紹介されています。上肢の位置を変化させることで、活性化させる筋が変わります。上肢を腹部前面に置いた場合では、腹壁を意識することができ体幹屈筋群を優位に活動させます。

両上肢を体側に置いた場合では、肩甲骨が内転し体幹の伸筋群を優位にすることができます。呼吸を利用し体幹の屈筋群か伸筋群、どちらを活性化させたいかによって方法を変えます。

呼吸を利用したインナーユニットのエクササイズは、臨床でもよく行う方法です。現場で使える内容になっています。

その③:立位姿勢と側屈を用いた評価方法

立位姿勢を見ることは筋の左右差、バランスを見る上で重要です。姿勢から重力にどのように対応しているか、推測することができます。講義では評価の方法を詳しく解説しています。

立位の評価では重心の位置を探ることが重要です。上半身の質量中心が第7〜8胸椎、みぞおちのあたり、下半身の質量中心が大腿の1/2〜1/3の間に位置します。両者を二等分した真ん中の位置に重心があります。上半身と下半身の質量中心を結んで、左右どちらに重心が偏っているか推測します。重心の位置を探るとこができたら、次になぜ重心が偏っているのかを探っていきます。

左右の肩甲骨の下角の高さを比べます。肩甲骨の高さを比べることで上半身の質量中心の偏りを探ります。上半身が評価できたら、次は下半身です。骨盤の高さで比べます。左右の腸骨稜の頂点に手を当て高さを比べます。

立位姿勢から重心の偏りが理解できたら、動作を評価します。動作は体幹の側屈を利用します。

両足を閉じた状態で、体幹を側屈します。側屈した側と反対の骨盤が下制するのが正常です。反対の骨盤が挙上した場合は、側腹部の硬さがあります。

次に、両足を肩幅に開いて、側屈を行います。側屈した側を反対の骨盤が挙上するのが正常ですが、下制した場合は殿部の硬さがあります。

さらに、両上肢を挙上した状態からの側屈で、胸郭の硬さを評価します。私も現場で活用しています。

まとめ

「パフォーマンスの基礎となるコア!体幹機能障害からおこるスポーツ障害〜上肢・下肢の関連性を考えたスポーツリハビリテーション概論&評価編〜」を受けて、講義のポイントと現場で活かせそうな事を解説しました。

講義では、パフォーマンスを行う上で重要な重力と床反力との関係を理解することができます。重力への対応の仕方によって姿勢が変化し、重心の偏りが起こります。

不良な姿勢の状態でスポーツを行うことは、障害を招く原因になります。スポーツでは多様な動きが求められます。左右への瞬発的な動作も多いですが、そこで左右差があるとパフォーマンスが安定しません。

例えば、右の肩甲骨が下がり、重心が左に偏っていた場合、左への移動は行いやすくなりますが右への移動は苦手になります。サッカーのディフェンスで左へ抜かれそうになっても対応できますが、右は簡単に抜かれてしまいます。

このように、障害に至らずともパフォーマンスの質にバラつきが出やすくなります。この講義で解説される評価を行うことで、選手のウィークポイントを把握することができ、障害予防にもつながります。

また、スポーツ選手のみならず、慢性疾患の患者さんの評価にも多いに活用できる内容です。多くの理学療法士に参考になる講義です。

この記事を書いた人

yasuo
さん

30代の男性で二児の父。現在は整形外科クリニックに勤務。外来リハビリ中心のクリニックで肩関節周囲炎や腰椎椎間板ヘルニア、交通外傷の患者さんなどを担当。入院では主に腰椎圧迫骨折や大腿骨頚部骨折の手術後の患者さんのリハビリを行う。

経歴

  • 2009年理学療法士資格を取得
  • 2009~2013年:内科と整形外科のある一般病棟、回復期病棟、外来リハビリ部門のある病床数150床の一般病院
  • 2013~2020年:急性期病棟、回復期病棟、外来リハビリを持つ病床数300床の総合病院へ転職
  • 2020年~:病床数19床の整形外科クリニックへ転職

資格

  • 理学療法士

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