【経験談】理学療法士が呼吸療法認定士を取ると仕事にどう活かせるのか?

資格
呼吸療法認定士に興味があるPT
呼吸療法認定士に興味があるPT

呼吸療法認定士を取ってみようか迷っている。呼吸器疾患の患者さんに、どのように活かせるのか知りたい。

呼吸療法認定士の資格はすべての理学療法士が取るべき資格というわけではありません。必要性を感じていないのに勉強するのは辛いものですし、無理をして勉強しても身につきにくいと思います。

ではどんな理学療法士が呼吸療法認定士の資格を取得するべきでしょうか。

呼吸療法認定士資格を持つ理学療法士に、「仕事にどう活かせるのか?」を聞いてみました。

記事のテーマ
  1. 運動療法を行う理学療法士にとって呼吸の専門的知識は必要
  2. 重症の呼吸器患者さんに対して恐さが減る
  3. 人工呼吸器管理、COPD急性増悪、間質性肺炎のケースでどう知識が活かされるのか

なぜ、理学療法士が呼吸療法認定士の資格を取るべきか?

なぜ、理学療法士が呼吸療法認定士の資格を取るべきか?

私は理学療法士5年目でそれまで勤めていた一般病院から総合病院に転職しました。

総合病院では呼吸器疾患の患者さんに初めて関わる機会を得ました。未経験の分野に携わる中で未熟さを感じたことと、もっとしっかりとした知識をつけたいという思いが強くなり呼吸療法認定士を取得しました。

ここでは、私の経験を元になぜ理学療法士が呼吸療法認定士を取得するべきなのかを解説します。

理由①:運動療法を行う理学療法士にとって呼吸の知識は必須なため

呼吸療法認定士の資格を取得するには受験に必要な講習会への参加が必修であり、さらに資格試験の合格するための試験勉強を行うことになります。理学療法士が呼吸について学ぶことはとても有意義なことです。

なぜなら、運動療法を行う上で呼吸の知識は必須だからです。

運動を行うためには酸素を取り込んで、二酸化炭素を排出する必要があります。そもそも呼吸ができなければ運動以前に身体に酸素が行き渡らず生命を維持することさえ困難です。

運動療法は生命維持が土台にあり、その上で動作を回復させるために行う医療行為です。生命維持に負担をかけないことがリスク管理につながります。リスクを犯して運動療法を実施することになるため理学療法士には深い呼吸の知識が必要です。

これは呼吸器疾患の患者さんに直接関わる理学療法士にはもちろん、直接関わりの少ない環境の理学療法士でも例外ではありません。整形外科の患者さんであっても運動による息切れや呼吸数の増加などは把握する必要があり、呼吸の知識を深めることで自分の行う運動療法が適切か見つめ直すきっかけになります。

理由②:資格試験の勉強をすることで自然と知識が身につくため

必要性は感じていても自分で勉強するのは甘えが出るものです。

しかし、資格を取るという目標ができることと落としたくないという不安感から半強制的に勉強をしやすくなります。資格試験に合格するためにはそれなりの勉強が必要です。元々呼吸器の知識が豊富であればそれほど勉強せずに合格できる方もいるのかもしれません。

大抵の場合は、理学療法士の国家試験を受けたときのように、どれだけ勉強しても合格できるのかどうか確信がないので勉強し続けることになります。だれでも試験を受けるからには無駄な出費は避けたいし、試験に失敗して何度も同じ勉強をするのは辛いので一発合格したいと考えます。

私の場合は、呼吸の生理学や人工呼吸器に対する知識、呼吸に関連する血液データの知識など乏しいところが多かったので、試験前の講習会を受けてから試験当日まで1日1〜2時間ほど勉強していました。

試験に合格するための勉強は臨床で呼吸器の患者さんを担当したときに活かせる場面が多いので国家試験の勉強よりは取り組みやすかった印象です。

質問があれば気軽にコメントください

呼吸療法認定士の資格を取るべき理学療法士

呼吸療法認定士の資格を取るべき理学療法士

呼吸療法認定士の資格はすべての理学療法士が取るべき資格というわけではありません。私は総合病院に転職したこときっかけに呼吸器疾患の患者さんにことが増えました。その前の一般病院に勤務していたときには呼吸療法認定士の資格を取りたいと考えたことはありませんでした。

興味のない分野にあえて挑戦する必要はありません。必要性を感じていないのに勉強するのは辛いものですし、無理をして勉強しても身につきにくいと思います。

ではどんな理学療法士が呼吸療法認定士の資格を取得するべきでしょうか。私の経験を元に以下に解説します。

その①:呼吸の生理学や呼吸器疾患の知識を増やしたい人

私は総合病院に転職したことで呼吸器疾患や人工呼吸器管理の患者さんに携わる機会を得ました。その前に勤めていた病院には内科入院がありましたが、重症の呼吸器疾患や人工呼吸器管理の患者さんは入院しない一般病院でした。

そのため、総合病院で初めて呼吸器の患者さんを担当したときには臨床実習で少し見学させて頂いた程度の知識と経験しかない状態でした。右も左もわからず未熟さを感じながらも少しずつ患者さんにできることから行なっていきました。

総合病院には呼吸療法認定士を持つ理学療法士の先輩がいました。人工呼吸器管理の患者さんに何を行うべきか、重症肺炎の患者さんの血液データやレントゲン画像はどのように見ていくかなど先輩から色々と学ぶことが多かったです。

その先輩からの勧めもあり呼吸療法認定士の資格を取得しようと考えました。仕事をしながら基礎的な学習を一から行う機会はあまりありません。呼吸器だけでなく運動器も循環器も基礎的な学習が最も大事です。呼吸療法認定士を取得することで確実に呼吸器の知識は増えます。

その②:呼吸の専門的知識を身につけて他の理学療法士と差をつけたいと考える人

病院は国家資格を持つ者の集まりです。理学療法士であれば理学療法士の、看護師であれば看護師の国家資格を有することがその仕事をするために必須なので国家資格を持っていることに対する凄みは感じません。

しかし、その中で理学療法士以外にさらに認定資格を持つということはより専門的な知識を持っていることの証明になります。呼吸療法認定士を取得すると医師や看護師、臨床工学技士など他職種からの見られ方も変わります。

それまで、たくさんいる理学療法士の一人という位置づけだったのが「呼吸器の専門的知識を持つ理学療法士」という位置づけになります。

私の場合は呼吸療法認定士の資格を取得したことでそれまで先輩が担当していたRSTを引き継ぐことになりました。RSTとは呼吸サポートチームのことで、主に人工呼吸器管理下の患者さんに対して呼吸器の設定や口腔環境の評価などを他職種で行います。

医師、看護師、臨床工学技士、歯科衛生士と理学療法士で構成されるチームで呼吸リハビリの必要性や実施状況などを話すのが理学療法士の役割です。

呼吸療法認定士の資格取得した時のメリット、デメリット

呼吸療法認定士の資格取得した時のメリット、デメリット

資格を取得したいと考える方は当然何かしらのメリットを求めて行動します。呼吸療法認定士を取得するとどんなメリットがあるのかわかれば行動に移しやすいですよね。

私の場合は臨床で呼吸器疾患の患者さんに携わる中でどのような知識が足りないのかわかってきました。その足りない部分を補うために資格取得に動きました。

また、メリットがあるからには多少デメリットもあります。私の経験を元に以下に解説します。

メリット:重症の呼吸器患者さんに対して恐さが減る。思考の幅が広がる

呼吸認定療法士を取得する前の私は呼吸器疾患の患者さんに対する経験が乏しく、知識も少ない状態でした。知識と経験が少ないなかで重症の呼吸器患者さん、特に人工呼吸器で管理が必要な患者さんを目の前にすると何をしてよいかわからず自分のした行為によって病状が悪化したらどうしようと恐怖すら覚えました。

呼吸認定療法士の資格を取得するためには人工呼吸器の知識は落とせない部分であり、人工呼吸器の仕組みや設定の意味など医療機器の基礎知識や人工呼吸器での呼吸と自発呼吸との違いを知ることができます。

確かな知識があると患者さんを目の前にしたときにも目的と行為がはっきりしているので恐さが少し減ります。人工呼吸器のアラームが鳴っても焦らず対応しやすくなります。

また、酸素化の良い体位で管理するために、なぜその体位を選ぶのか看護師とも話しをすすめやすくなります。

さらに人工呼吸器に対する知識だけでなく、呼吸器全般の知識が身につくことで既往に呼吸器疾患をお持ちの整形や脳外科の患者さんにも思考の幅が広がります。

デメリット:呼吸器以外の患者さんに関わる機会が減る。通常業務以外の仕事が増える

デメリットはそれほどありません。強いて言えば呼吸器疾患の患者さんを多く担当するように職場が配慮してくれたので、それ以外の整形や脳血管の患者さんを担当する機会は一時的に減りました。

担当できる患者さんに偏りができてしまうのは色々な科の患者さんに携わりたいと考える理学療法士にはデメリットになるかもしれません。

私の場合は、呼吸器領域の知識と技術を深めたかったのでデメリットには感じませんでした。デメリットに感じる方はバランスよく患者さんを見たいと職場に相談する必要があるでしょう。

その他には新人看護師や理学療法士の呼吸器の研修もするようになったので通常業務以外の時間が増えたということがありました。新人の指導や教育に興味がなく面倒に感じる方にとっては余計な仕事が増えることになりデメリットになるかもしれません。

ただ、これも指導や教育をすることで自己の学習効果が高まるのでプラスに考えればむしろメリットになり得ます。私の経験ではデメリットよりもはるかにメリットの方が大きいと考えます。

【経験談】呼吸療法認定士を取ってどう活かせるのか

【経験談】呼吸療法認定士を取ってどう活かせるのか

呼吸療法認定士を取得したことで呼吸器疾患の患者さんの見方が広がりました。それは資格を取るために基礎知識から臨床に直結する実践的な知識まで学ぶことができるためです。

呼吸療法認定士を取得しなくても自己学習をすすめることは可能ですが私の場合は呼吸療法認定士の勉強をきっかけに知った知識が現場に役立つことが多かったと感じます。ここでは呼吸療法認定士を取って臨床でどのように活かせるのか私の経験した症例を元に解説します。

症例①急性呼吸不全、人工呼吸器管理Aさん

急性呼吸不全から気管挿管され人工呼吸器管理中の患者さんを担当したときのことです。その方は痰の量が多く、痰が排出しやすい体位を評価し酸素化の改善に努めました。

気管挿管中の体位ドレナージは抜管のリスクを伴うため、看護師と協力しながら実施しました。ここでリーダーシップを取りながら適切に体位変換できるように看護師に声かけする必要があります。

そこで呼吸療法認定士の資格を持っていると説得力が増します。また資格を取得してから他の救急病院に見学に行きマニュアルハイパーインフレーションを経験したことも役に立ちました。ジャクソンリースを使用して痰の排出を促し、虚脱した肺胞に含気の回復を図る手技です。

技術は呼吸療法認定士の講習会では習得できませんが、そのような方法があると知ったのは講習会がきっかけでした。担当した患者さんは少しずつ酸素化が改善し人工呼吸器を離脱することができました。

人工呼吸器を早期に離脱できるかどうかは理学療法士の腕の見せ所です。早期離脱ができれば廃用症候群を最小限にすることができます。

症例②COPD急性増悪Bさん

私が勤務していた総合病院ではCOPD急性増悪で入院される方は珍しくありませんでした。

入院するまで自立して生活していた方でも入院当初は強い息切れを訴えることが多いです。そんな苦しい方に頑張って動いてくださいと言っても中々受け入れられない患者さんもいます。

息苦しさがずっと続くのではないかと不安に思われている方も多いのです。そんな患者さんを担当したときにはまず不安を少しでも解消できるように介入することを心がけています。息切れの少ない呼吸の仕方を教えたり、痰が絡んだときに上手な咳の出し方を教えたり、呼吸介助やリラクゼーションをしながら楽に呼吸ができるように手助けしました。

最終的にはできる限り動いていただかないと動作回復は難しいのですが始めから厳しいことをやろうとしても患者さんはついてきてくれません。はじめのうちは患者さんのハートを掴むことが大事です。

呼吸療法認定士の資格を取得することで確かな知識が身につき、病態把握がしやすくなるため焦らずに理学療法を実施することができます。

症例③間質性肺炎Cさん

間質性肺炎は安静時にSPO2が正常範囲に維持されても歩行などの動作時にはSPO2が著明に低下する特徴があります。これは肺の線維化が進み伸展性が乏しくなり、吸気で肺が膨らみにくくなり酸素を取り込む量が減ってしまうことで起こります。

理学療法を行うことで硬くなった肺を柔らかくすることは難しいですが、どの程度の動作でSPO2が低下しやすいか評価することはできます。その上で適切な量の酸素投与も併用します。

私が担当していた患者さんは、入院前は釣りやドライブに行くほど活動的な方でしたが病気の発症を機にそれらの趣味を諦めざるを得ない状態になりました。

間質性肺炎は必ずしも入院前の肺の機能に戻れる疾患ではありません。どんな疾患でも入院前の生活に戻れなくなる場合はあります。

そうなったとき活動の範囲を狭くしても可能な限りQOLの高い生活を送れることが理想です。QOLを改善させるために在宅酸素療法(HOT)は一定の効果があるといわれます。

この患者さんもHOTを導入することで外出が可能になりました。退院時に釣りに行けるまでにはなりませんでしたが目標を持ちながら訪問リハビリにつなげました。

まとめ

呼吸療法認定士について私の経験を元にお話しました。呼吸に関する知識は呼吸器疾患の患者さんに関わる機会のある理学療法士には必須です。

また、呼吸器疾患の患者さんに関わることの少ない環境にいる理学療法士にとっても、基礎知識として知っておいた方がよいことはあるので無関係ではありません。

資格を取得するのはとても大変な努力が必要な印象があるかもしれません。ですが理学療法士は皆国家試験に合格して仕事をしています。難しい国家試験を通るほどの実力は持ち合わせています。

呼吸療法認定士の試験勉強は簡単ではないですが国家試験ほど範囲は広くないので頑張れます。

個人的には呼吸療法認定士の資格を取ること自体はそれほど重要ではないと考えます。

資格を取るための過程で呼吸の基礎から幅広い疾患の知識、呼吸リハビリの概要を学ぶことができる点が重要であり、仮に合格できなくとも無駄にはなりません。

学んだ知識は患者さんを見る上で確実に役立ちます。また呼吸療法認定士の資格を取得できればそこまでの努力が認められた証明になるので自信がつきます。

私の経験が呼吸に興味を持つ理学療法士の参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

yasuo
yasuoさん

30代の男性で二児の父。現在は整形外科クリニックに勤務。外来リハビリ中心のクリニックで肩関節周囲炎や腰椎椎間板ヘルニア、交通外傷の患者さんなどを担当。入院では主に腰椎圧迫骨折や大腿骨頚部骨折の手術後の患者さんのリハビリを行う。

経歴

  • 2009年理学療法士資格を取得
  • 2009〜2013年:内科と整形外科のある一般病棟、回復期病棟、外来リハビリ部門のある病床数150床の一般病院
  • 2013〜2020年:急性期病棟、回復期病棟、外来リハビリを持つ病床数300床の総合病院へ転職
  • 2020年〜:病床数19床の整形外科クリニックへ転職

資格

  • 理学療法士

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